ラストが悲しすぎる、田舎町で起きた火災事故を捜査していた刑事が、ある日突然、自分の人生がすべて消え去ってしまうというミステリー・スリラー。
田舎で小学校の先生をしているキム・スヒョク(ペ・スビン)の妻ユン・イヨン(チャ・スヨン)は、イタコのようにあの世と地続きになっている。
彼女の自転車を届けに来たチョン・ヘギュン(チョン・ヘギュン)が、二人の秘密を知り「ここだけの話」で拡散し、驚いた村人は彼らの家に檻を取り付けてしまう。
その檻の中で火が上がり、スヒョクとイヨンが焼け死んでいるのが発見された。
この事件を捜査するパク・ヒョング(チョ・ジヌン)が一人一人村人を取り調べる。ある夜、村人たちはヒョングを囲んで宴会を開く。
酔いつぶれ意識を失ったヒョングは、檻の中で目覚める。
すると、村人全員がヒョングを「先生」と呼び、彼は自分がスヒョクになっていることに気づく。
元々独り言を言うヒョングの設定がイヨンと同じで、何か別の世界と繋がっていたりすることを示唆している。
恐らく、スヒョクとイヨン夫婦のことは夢で、目覚めたヒョングが元々の本物。
しかし、彼は夢を現実と思い込んでいる。
だからヘギュンの温室が火事になり被害は鹿だけだったのも現実で、逆にスヒョクとイヨンの焼死は夢の話。
この夢と現実のつなぎ方が下手だったので、観ている側からすると中途半端で分かりにくい作品になってしまったのではないかな。
主演のチョ・ジヌンがノーギャラで出演を熱望するなど、俳優たちの情熱によって低予算のインディーズ映画として製作された。
チョン・ジニョン監督も、当初からインディーズ映画として製作するつもりだったので、「他人が見る自分と、私が知る自分は違う可能性があり、人間の孤独に対する慰めを表現した。一度でスッと心に響く映画ではない」と話している。
評論家やマニアから「韓国版マルホランド・ドライブ」と絶賛されたらしいが、私は分かる気がする。
ヒョングの妻チョン・ジヒョンを演じるシン・ドンミは上手いね。役柄でガラッと変わる。この人が出ている作品もいいものが多いのではないかな。
ラストのイ・チョヒ(イ・ソンビン)との出会いで、ヒョングが病んでいることが明らかになる。
チョヒは2年間ヒョングに寄り添い続けた妻だったってことかな。
