昔、学生時代はどっぷりとロックにはまっていた。
自身でもバンドを組みギターを弾いていたが、聴くほうも「Rock以外は音楽じゃねえ・・」と他のジャンルの
音楽は全く聴かなかった。
だけど年齢とともに音楽の趣味も変化するもので、いつからかJazzも聴くようになった。
Jazzと言えば、アルト・サックス・・・やってみたいとずっと思っていたがきっかけが無かった。
ある日、会社に入社した新入社員の女の子と話していたら、彼女はずっと中、高はブラバン、短大時代は
サックスでJazzを吹いていたとのこと。
で、サックスをやってみたかったという話をしたら、「教えてあげますよ」と言う・・・そうか、ならやってみる
かとサックスを始めた。
早速スタジオを借りて、サックスを買って、いざマウスピースの基本から教えてもらったがこれが難しい。
なかなか音が出ないし、出たと思ったらピーだのプーだのとてもサックスの音とは思えない。
彼女はいとも簡単に、そしてしなやかに数曲を吹いてくれた。
それから、一念発起してサックスの教室で先生に教えてもらい、早や2年・・。
で、そもそもサックスを吹きたいと思ったきっかけが、このタイトル曲「レフト・アローン」を聴いてからだ。
この「レフト・アローン」はJazzを聴く人なら大概知っている名曲中の名曲。
天才ピアニスト、マル・ウォルドロンが、今は亡き不世出の天才ジャズシンガー、ビリーホリディに捧げた
曲である。
ビリー・ホリディは天才ジャズシンガーとしての名声と引き換えに、お決まりの男と酒とドラッグに溺れ、早
逝した。
残されたバンドのメンバー、マル・ウォルドロンが亡きビリー・ホリディのために作曲した。
マル・ウォルドロンのピアノの哀しげな旋律に、ジャッキー・マクリーンの哀愁を帯びたアルト・サックスの
音色、最初聴いたときは本当にこの旋律に心が惹きこまれた。
ようやく、何とかこの曲が吹けるようになったら、そこは悲しき性で、いい楽器が欲しくなる。
で、ネット・オークションで探し回って、たどり着いたビンテージ・サックスがこれ・・。

米国Elkhart,Indianaの名門「Buescher(ビッシャー)」の名器 Aristocrat (貴族)と名付けられたアルトサッ
クス。
現在では、この『ビッシャー』というメーカーは、かのセルマーに買収され、存在しない。
が、このサックスも1930年代に作られたが、ラッカーもほとんど当時のまま。
そして1950年代の名だたるジャズ・ミュージシャンが使っていた幻の名器。
当然。ジャッキー・マクリーンもこのサックスであの旋律を奏でていたかと思うと、手に入れた時は本当に
嬉しかった。
自分でも最初、練習用に買った安物のサックスとは音色が違うと悦に入っていた。
早速、わが相方(Wife)をスタジオに連れていき、このビンテージ・サックスで『Left Alone』を吹いて聴かせ
た。
そして、「やっぱり、この曲はビンテージ・サックスでないと、こんな柔らかい音色は出せんやろ・・」と聞い
てみた。
ただ、一言返ってきた。「気のせいじゃない・・」


