(また前回よりつづく)
場外乱闘が落ち着き、一服していると

目の前にある自分の影が、

巨大な山のような影に覆い隠された。

嫌な予感。後ろを振り返ると…

背後にはカクタス・ジャック!



まだ、場外乱闘は終わっていなかった。

慌ててその場から逃げる際、

持っていたタバコを自分の喉元に押し付けてしまった。


さて、この時の試合は

カクタス・ジャックとタイガー・ジェット・シンが

タッグマッチで戦い、

延々と場外乱闘を繰り広げていたと

記憶するのだが、その試合後、休憩時間に入る。


ところがさっきまで場外乱闘を繰り広げていたシン。

なんと控え室に戻らず、

そのまま売店コーナーへ出向くと、

自分のグッズを販売し始めた!

ついさっきまで、ヒール顔だったのに、

あっという間に商売人の顔になっていた。

さすがビジネスマンの顔も併せ持つ男・・・


そんなシンやテリー・ファンクも

自分たちの出番が終わった後、

控室から観客逹の後方の会場の隅を

目立たないように背中を丸めながら

仮設トイレに向かう姿が印象的だった。



レザーフェイスが入場。チェーンソーを振り回しながら。

チェーンソーから飛び散る火花は隣の家の二階の屋根よりも高く舞い上がる。

その光景は、まるで夏の夜の花火・・・

沸き上がる歓声。


ただし、自宅の二階ベランダから観戦してた隣家のおじさんだけは、

我が家に火の粉が降ってきやしないかと心配そうに見つめていた。



恐らく会場となった空き地も今頃は

住宅が立ち並んでいることであろう。


2010年の今、その周辺に足を運んでも

会場となった場所に辿り着けるかどうか。

この時のパンフレットも買わなかったし、

チケットの半券も残っていない。

時間の経過とともに自分の記憶からも

どんどん消失してきているこの日の思い出は

真夏の夜の幻を見てたかのよう・・・


兵どもが夢の跡・・・





(前回より続く)

大きな橋を渡り、右に曲がり、

川沿いに沿った住宅街を歩く。


友人と

「インディーの若手の試合は

ショッパイんじゃないか」と

ひねくれた話をしながら歩いて

角を曲がると、ある若手選手が

道路で屈伸運動をしているのに

遭遇し、今の会話が聞かれたんじゃないか、

と思いビビる。


そう、そこはまさにプロレス会場。


体育館ではなく、

まさに一戸建て住宅に囲まれた

ここもいずれは一戸建てが

立ち並びそうな空き地で行われた。

(不動産用語でいう、いわゆるサラ地です。

この大会のプロモーターはよくこんな場所見つけたもんだ。)


以前、雨の全日本大会のことをブログに書いたが、

今回は全く雨の心配はなし。



さて、お目当てのディック・スレーター!!!


…は残念ながら、ケガかなんかで途中帰国したらしく、

今大会は欠場…


しかし、それを忘れるぐらい、今回の

来日外人レスラーは凄すぎた!!!


テリー・ファンク

タイガー・ジェット・シン

テリー・ゴディ


カクタス・ジャック

レザーフェイス


そして

特別レフェリーのジプシー・ジョー、

この後の川崎球場大会の煽りと自分の

グッズを販売するために同行してた

NWA世界チャンピオン(ツッコミ不要)の

ダン・スバーン。


自分の人生において、この時ほど

「無駄に豪華!!」というフレーズが

ピッタリだと思ったことはない。


さて、あまりにもメンバーが豪華すぎて、

肝心な試合はどんなマッチメークだったか

今となってはほとんど覚えてない。


野外試合をいいことに

タバコを吸いながら、場外乱闘で逃げまどう。

(さすがに今じゃ、野外でもタバコだめでしょ。)


場外乱闘を大人流に嗜み、

乱闘も落ち着いて、タバコを燻らせているとき、

背後から忍び寄ってくる巨大な影に

自分はまだ気付いていなかった。(またつづく)













「今日、ディック・スレーター観に行くんですよ。」

「へぇー、ディック・スレーターか。懐かしいな。」

当時、そんな熱心にプロレスを見なくなったバイト先の先輩とも

まだそんな会話が成立してた1995年8月。

そのディック・スレーターを観るために

IWAジャパン八王子大会を観戦しに行くことにした。


このシリーズ最終戦は川崎球場で

ダン・スバーンとターザン後藤のNWA世界戦を敢行したが、

このシリーズをピークにキニョネスIWAは失速していく。


夕方、大学の友人と八王子駅で待ち合わせをし、

多分、このバスでいいのかな?、というバスに乗り込んだ。

バスに乗り込むと、「多分、行先は自分たちと同じだろう」

という人逹がいたので安心する。

しかし、降りるバス停が分からず、

結局、終点まで着いてしまい、慌てた。

バスの中には自分たちと小学生グループが取り残された。

彼らが一番バスの中で「プロレス観戦モード」全開だったんで、

彼らが降りる時に降りればいいや、高を括っていた。

結局、同じバスで引き返すことになる。



彼らの中の一人が自分たちに仲間意識を感じたのか

「誰のファンですか?」なんて聞かれたので

「いや~、最近のプロレスはよく分からないからさあせる」咄嗟にでた嘘・・・

ようやく会場近くのバス停に着いた。


彼らは会場方面に向かう、

大きな川に架かる大きな橋を

慌てて走って行った。


試合開始まであと僅か。


本当は彼らを後ろから

追い抜きたい衝動を

グッとこらえた二十歳の夏の日の夕方・・・(つづく)