(また前回よりつづく)
場外乱闘が落ち着き、一服していると
目の前にある自分の影が、
巨大な山のような影に覆い隠された。
嫌な予感。後ろを振り返ると…
背後にはカクタス・ジャック!
まだ、場外乱闘は終わっていなかった。
慌ててその場から逃げる際、
持っていたタバコを自分の喉元に押し付けてしまった。
さて、この時の試合は
カクタス・ジャックとタイガー・ジェット・シンが
タッグマッチで戦い、
延々と場外乱闘を繰り広げていたと
記憶するのだが、その試合後、休憩時間に入る。
ところがさっきまで場外乱闘を繰り広げていたシン。
なんと控え室に戻らず、
そのまま売店コーナーへ出向くと、
自分のグッズを販売し始めた!
ついさっきまで、ヒール顔だったのに、
あっという間に商売人の顔になっていた。
さすがビジネスマンの顔も併せ持つ男・・・
そんなシンやテリー・ファンクも
自分たちの出番が終わった後、
控室から観客逹の後方の会場の隅を
目立たないように背中を丸めながら
仮設トイレに向かう姿が印象的だった。
レザーフェイスが入場。チェーンソーを振り回しながら。
チェーンソーから飛び散る火花は隣の家の二階の屋根よりも高く舞い上がる。
その光景は、まるで夏の夜の花火・・・
沸き上がる歓声。
ただし、自宅の二階ベランダから観戦してた隣家のおじさんだけは、
我が家に火の粉が降ってきやしないかと心配そうに見つめていた。
恐らく会場となった空き地も今頃は
住宅が立ち並んでいることであろう。
2010年の今、その周辺に足を運んでも
会場となった場所に辿り着けるかどうか。
この時のパンフレットも買わなかったし、
チケットの半券も残っていない。
時間の経過とともに自分の記憶からも
どんどん消失してきているこの日の思い出は
真夏の夜の幻を見てたかのよう・・・
兵どもが夢の跡・・・