The Key of Midnight -41ページ目

このライトノベルがすごい!2006に関して

『このミステリーがすごい!』編集部
このライトノベルがすごい!2006

実は本屋で少し立ち読みしてきただけなのですが、それは気にしないということにして。

そもそも、それほどライトノベルは読んでいないのですが、それでも気になったので・・・・・・。読んでみたら意外と面白く、折角なので、いくつか感想を。


まず、キャラクター部門のランキングに関して。

別にキャラクターについて語るとかそういうわけではないのですが、

女性部門一位がキノというのに結構違和感を覚えたり。

まだ2、3冊程度しか読んでいないから?

そして、二位が長門有希・・・・・・。ハルヒ越したんですね。ちなみにハルヒは四位。

男性部門は特に・・・・・・。一位がいーちゃんは普通に予想できる展開でしたし。ただ、六位に人識というのが意外だったり。

でも、一番意外だったのは、キャラクター部門ではなく作品部門。

一位や二位はどうでも良くて、

三位。「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない

まさかこの順位にくるとは予想外だった・・・・・・。

でも、この作品が高く評価されたのは素直に嬉しい。

後、22位(だったっけ?)に有川浩の「海の底」がランクしていたのも。

とにかく、これはかなりの驚きでした。

相当賛否両論分かれそうな作品だっただけに。


あと、ライトノベルジャンル別ガイドですが、

ここでは「砂糖菓子」は<切ない><怖い>に分類されていましたね。

ちなみに、古典部シリーズは<ほのぼの><ミステリ>、

「少女には向かない職業」は<切ない><怖い><共感>。

そして、僕が(たぶん)初めて読んだライトノベルであり、同時に今現在一番好きなラノベのシリーズである、「学校を出よう!」の一連は、<SF><ミステリ>。

おおっ、と。

これをSFミステリだと認めている人は、やっぱり他にもいたんですねー。ほっとしました。


まあ、たいした感想でもないのですが、読んで驚いた個所が結構多かったですね。

一つ納得いかない・・・・・・というわけでもないのですが、ライトノベルでありながらSFミステリとしてよく出来た作品でもある「キリサキ」のランクが非常に低かったのは、読んでいる人が少ないから?

なんかもったいないな、と感じました。結構驚いた作品なのですが。


本当に少ししか読んでいないので、また何か発見があれば感想挙げる予定です。

・・・・・・多分ないとは思うんですけれどね。

霧舎巧 「七月は織姫と彦星の交換殺人」

霧舎 巧
七月は織姫と彦星の交換殺人―私立霧舎学園ミステリ白書

七月。

―天漢霧立上棚幡乃雲衣能飄袖鴨。

死体の傍らで発見された謎めいた文字が連なる"祈願成就"の短冊が美少女・琴葉を七夕伝説に由来する殺人事件へと誘う。

すべての謎の中心、「笹乙女委員会」とはいったい何なのか…?

学園ラブコメディーと本格ミステリーの二重奏、「霧舎が書かずに誰が書く!」、"霧舎学園シリーズ"。

七月のテーマは交換殺人。

 

 ◆ ◆ ◆

 

二日続けての「霧舎学園ミステリ白書シリーズ」、今回は七月編。

テーマはタイトルでも書かれているとおり、交換殺人。ちなみにおまけはしおり。

最初にいっておくと、今まで読んだシリーズの中ではこれが一番面白かったです。

あらかじめ「交換殺人」であることを明かしながら、意外な真相を提示してくれます。

この構成は思いつかなかったなー。考えても良さそうなものですが、先入観にとらわれてしまっていました。

小さな伏線も色々と張られていて、やはり、ミステリとしてよく出来たシリーズなのだと改めて思い知らされます。

おまけのしおりをどう解決に絡めてくるのか、という点も面白い。

遊び心に満ちています。

「金田一少年の事件簿」がライバルらしいですが、断然こちらのほうが出来はいいと思います。

「コナン」や「金田一」は好きだけれど、ミステリはそれしか読んだことがないという人に、是非読んで欲しいシリーズかも。

本書に関しては、8点に近い7点、ということで。

霧舎巧 「六月はイニシャルトークDE連続誘拐」

霧舎 巧
六月はイニシャルトークDE連続誘拐―私立霧舎学園ミステリ白書

六月。

私立霧舎学園への美少女転校生、羽月琴葉とその同級生にして名探偵(?)小日向棚彦が学園の図書館に集うとき、またもや不可解な事件に巻き込まれる!

図書館の棚に忽然と現れた謎の本―『私立霧舎学園ミステリ白書』の正体とは?

学園ラブコメディーと本格ミステリーの二重奏、「霧舎が書かずに誰が書く!」、“霧舎学園シリーズ”。六月のテーマは連続誘拐。

 

 ◆ ◆ ◆

 

霧舎巧は何がやりたい?

いや、このシリーズしか読んでいない上に、ようやく三作目を読み終わったという自分が言えるようなことではないかもしれませんが、

やっぱりこのシリーズは何を目指しているのか判らないのです・・・・・・。

「学園ラブコメと本格ミステリの融合」とか言われても・・・・・・。全くといっていいほど恋愛部分はいらない気がするのですかが。やたらとわざとらしい描写が目立っているだけで、全然その試みは成功していないような。ミステリとしては良く出来ているのに、何故そちらに絞らないのか疑問。恋愛はミスディレクションなのか、もしかして。でもやっぱりこの表紙でひいてしまって手にとらない人がいることを考えると逆効果な・・・・・・いや、これ以上言っていても仕方がないので止めましょう。

 

えー、では、その点はおいておいて。

ミステリとしてみたときの話を。

このシリーズの一つの特徴として、小説の「おまけ」を小説内の推理に絡めてくるといた趣向があるのですが、本書にはその「おまけ」はついていません。

しかし、その趣向は健在です。

作中の物語とは別の部分でヒントが提示されている。

予想していなかった部分に「それ」が隠されていて、こういう手でくるのかと少し驚いたり。

犯人はすぐ見抜けますし、トリック自体もなんとなく想像はつくのですが、それでも何箇所か「おっ」と思わせられる部分があって良いです。

でもやはり、一番面白いのは、物語自体の外にヒントを提示するという趣向。

この遊び心は好みです。なんとなく、泡坂妻夫さんを思い浮かべるような。

また、読みやすいのも確かなので、それなりにお薦めかも。

本書は6点ですが、何だかんだいっても結構本格です。

ミステリが好きな人なら、表紙でひいてしまわずに読んでみれば、結構楽しめるかもしれません。

連城三紀彦 「戻り川心中」(講談社文庫版)

連城 三紀彦
戻り川心中

大正歌壇の寵児・苑田岳葉は2度の心中未遂事件で2人の女を死なせ、その情死行を歌に遺して自害する。

女たちを死なせてまで岳葉が求めたものとは?

滅びの歌に秘められた男の野望と道連れにされる女の哀れを耽美に描く秀作「戻り川心中」(日本推理作家協会賞受賞)他、花にまつわるミステリー4編。
 

 ◆ ◆ ◆

 

一気に読むのがもったいなくて、落ち着いた時間に一編ずつ読んでいた短編集。

芸術作品です。

思わずため息がでるような。

しっとりと美しい文章で紡がれた恋愛ミステリ。

ミステリとしての完成度は言うまでもないのですが、何より余韻が素晴らしい。

後から味が出てくるような、そんな作品集です。

それぞれの短編に用意された意外性、どんでん返し。

ホワイダニットの極限の形とさえ言えるような短編がそろっていて、感心や驚きを通り越して感動さえ覚える動機の数々。

もう、一体どこに文句をつけていいのやら。非の打ち所のない傑作というのは、こういうもののことをいうのでしょう。

 

「藤の香」「桔梗の宿」の、切なく美しい動機、真相。

特に「桔梗の宿」の恋愛小説とミステリの融合が完璧に成されている様は、これを越すような恋愛ミステリは存在するのか、と思ってしまうほど。

この二編の余韻は、本書の中でも特に強い。

「桐の柩」ホワイダニットの素晴らしさ。

「白蓮の寺」意外すぎる真相。

もう、これはただひたすら驚くほかないですね。かなり衝撃的などんでん返し。

そして、「戻り川心中」の、とてつもない動機。

本当、上手く形容できる言葉が見つからないのがもどかしい。

凄いのです。どの短編も。

文学的で、人物から情景描写から動機から、何から何まで綺麗で・・・・・・。

意外性の提示の仕方や伏線の張り方も上手い。

これは10点をつけてもいい作品。

ただ、僕が読んだのは講談社文庫版で、<花葬>シリーズはあと三編残っているのです・・・・・・。

その点が少し不満。ハルキ文庫だったら10点をつけていたかも。ほとんど10点の9点

尤も、「夕萩心中」も購入してあるので、これに収録されている作品を読めば、<花葬>は全部抑えられるのですが。

とにかくお薦め。どれだけ言葉を尽くしてもこのよさは伝わりませんから、是非是非読んでください。

西澤保彦 「生贄を抱く夜」

西澤 保彦
生贄を抱く夜

超能力があったら名・・・・・・。そんな貴方の願望を打ち砕く<チョーモンイン>シリーズ!

 

性悪美人の友人・真寿美に、人生を狂わされた地味で平凡なOL・波子は、嫌々招かれた豪邸で突然意識を失った。気づくと何故か手足を縛られ、裸同然の姿に!?そして雷鳴が轟く密室の中、“あの女”の死体が現れた!―歪んだ人間関係と超能力が交錯する表題作ほか、神麻嗣子、神余響子、能解警部らが超常事件と対峙する。

 

 ◆ ◆ ◆

 

先に書いた「黒の貴婦人」同様、神麻嗣子シリーズの最新作で、同時に、シリーズ中読み残していた最後の一冊。

これもまた短編集です。

随分とミステリ部分が弱くなっているような・・・・・・。

しかも、シリーズキャラがほとんど登場しない話ばかりで、なんかなーといった印象。

後味悪い話ばかりですし・・・・・・。これは西澤さんの特徴の一つでもありますが。

一番面白かったのは、書き下ろしの「情熱と無駄のあいだ」

これが一番面白かった、というのもまたどうなんだろう、と思わざるを得ませんが、かなり笑える話です。

ほとんどミステリではありませんが、この無駄加減が良い。こういう作品も、今後もたまには書いて欲しいですね。

あと印象に残っているのは・・・・・・。

「殺し合い」の、ラストにおける少女の残酷、というか酷すぎる一言と、どうしようもなく嫌な感じで怖い終り方。

「共喰い」での、奇妙な事件の構造。

表題作「生贄を抱く夜」の動機の無邪気な恐ろしさ。

「動く刺青」の、少し意外な真相。

 

適当に並べ挙げてみましたが。

やっぱり、今までに比べると幾分かレベルダウンしている気はします。

そういうわけで6点にしますが・・・・・・。

このシリーズも長編作品が「夢幻巡礼」以来発表されていないですね。

「実況中死」のような作品を、また書いて欲しいものです。

それにしても、最終回はいつになるのだろう・・・・・・。

西澤保彦 「黒の貴婦人」

西澤 保彦
黒の貴婦人

飲み屋でいつも見かける“白の貴婦人”と、絶品の限定・鯖寿司との不思議な関係を大学の仲間四人組が推理した表題作。新入生が自宅で会を開き女子大生刺殺事件に巻き込まれる「招かれざる死者」。四人の女子合宿にただ一人、参加した男子が若者の心の暗部に迫る「スプリット・イメージ」ほか本格ミステリにしてほろ苦い青春小説、珠玉の短編集。
 

 ◆ ◆ ◆

 

読み残していた、タック&タカチシリーズの、一番新しい短編集です。

とはいえ、初めて刊行されたのは2003年で、それからずっと続編でていないのか、と思ったり。

一応、これでタック&タカチシリーズは全部読んだことになります。

基本的に四人の大学卒業後の話で、これまでのシリーズと何箇所か関わりがある部分も。

ちなみに、本作の収録作は、ほとん「妄想推理で決着がつけられ、「多分これが真相なのだろう」というような解決なのですが、これはシリーズ全体にも共通するようなことですし。

あくまで「真相」ではなく、「この真相だったら綺麗だ、面白い」というような解決。

でも、それだけに面白いからいいのです。

 

「招かれざる死者」は、一旦犯人がわかって着地した後に明かされる、もう一つの企みが面白い。この短編集の中では、結構捻ってあります。

表題作「黒の貴婦人」は、解説で太田忠志さんもかかれていますが、「白の貴婦人」の謎がかかれるのに何故タイトルがこれなのか、という点が結構重要。多くの方は想像つくと思いますが、そのためミステリというよりはキャラクターがメインの話です。

「スプリット・イメージ または避暑地の出来事」はこの短編集中最も長い作品で、一応ミステリとしては一番良く出来ているかも。

「ジャケットの地図」これは結構好み。名前は出てきませんが、タックが登場する話です。

「夜空の向こう側」結婚式で起こった御祝儀泥棒事件。そのときの状況から、犯人は絞られてくるのに・・・・・・。ああ、なるほどと思える真相。ラストの余韻も良いです。もしかしたら、これが本書中ベストかも。

 

まあまあ面白かったのですが、ただ、「謎酊論処」のほうが短編集としてはよく出来ていた印象。

ミステリと部分が弱くなっている気がします。

やはり、タック&タカチシリーズは長編で読みたいなー、と思いました。

「依存」以来長編は出ていないようですが・・・・・・。気長に待ちましょう。

6点です。

デザインフェスタ vol.22レポ

デザインフェスタ vol.22に行ってきました。

目的は、もちろんココノビ堂 のブース。

先日神保町に行ったときにもココノビ堂のレンタルボックスには寄れなかったので、今回のデザインフェスタをずっと楽しみにしていたのです。

昼過ぎに、国際展示場駅でさかきさん、みつるさんと合流して会場へ。

第一印象。・・・・・・広い

東京ビッグサイトって・・・・・・。名前から想像するよりずっと大きな建物でした。

こんな中から捜すのは骨が折れるだろうなー、と不安を感じていたら、さかきさんの誘導のおかげでですんなりココノビのブースに到着。

名前どおり鮮やかな、「彩狐」の原画が壁(?)に飾ってあり、机の上にはポストカードが一面に並べられていて、

そして、その場になんと菊池さんご自身も!

まさかご本人が売られているとは。予想外でしたが、とても嬉しい出来事。

その場で、気に入ったポストカードを一通りと、お土産用のものを数枚選んでいたら、菊池さんから「無理して買わないでいいですよ・・・・・・」と声をかけられたりも。

でも、たとえ無理してでも買わないわけにはいかないのですよ。この日のためにちょっとした節約も続けてきましたし。

結局、25枚ほどポストカードを購入しました。

かわうそと少女が描かれた、どこか幻想的な感じの一枚が特に好き。新シリーズもユーモラスな感じでとても好みです。後は、ココノビ堂のホームページで見てからずっと欲しかった三匹の猫が寄り添っている絵も買えて、とにかく満足。

「彩狐」「蒼狐」もセットで額に入れて飾っておきたいですね。

それにしても、やはり菊池健さんの絵は素晴らしいです。全部の種類を買うだけの金額がなかったのは残念ですが・・・・・・。

来年のデザインフェスタの時までにもっと貯金をしておこう、と決意。


菊池さんに挨拶をしてその場を後にし、後はその他のブースをぶらぶらと見て回ったり。

妖怪画を描いている方や、森さんの「ZOKU」や鯨さんの「ふたりのシンデレラ」のカバーイラストをかかれている方が結構印象に残りました。

あと、自分の好みの絵が何点かあったのですが、そんなに買ってもいられないので、必至に記憶に留めておこうと努力・・・・・・もう既に結構抜け落ちていますが。

色々と自分で描くときの参考にもなりそうで、わざわざ行ってよかったなー、と実感。

面白かったのは、仮装というかコスプレというか、奇妙な格好をした人が何人もいたり、占いやらマジックやらをやっている人もいた、というところ。

何でもありの場所ですね、ほんと。少し見て回るだけでも、とても楽しいです。さすがに「祭り」なだけあってにぎやか。

芸術系のイベントで、これだけ楽しめるのもなかなかないですよ。下手したら、トリエンナーレなどに行くよりずっと面白いかも。

来年も行くのは確定かな。


・・・・・・というわけで、とても有意義な一日を過ごさせていただきました。

また、さかきさんやみつるさんとお話できたこともとても良かったです。

興味深いことが色々聞けて・・・・・・。

今日は一日、どうもありがとうございました。

今度お会いした時は、また、よろしくお願いします。



恩田陸 「図書室の海」

恩田 陸
図書室の海

あたしは主人公にはなれない―。

関根夏はそう思っていた。だが半年前の卒業式、夏はテニス部の先輩・志田から、秘密の使命を授かった。

高校で代々語り継がれる“サヨコ”伝説に関わる使命を…。

少女の一瞬のときめきを描く『六番目の小夜子』の番外篇(表題作)、『夜のピクニック』の前日譚「ピクニックの準備」など全10話。

恩田ワールドの魅力を凝縮したあまりにも贅沢な短篇玉手箱。
 

 ◆ ◆ ◆

 

恩田さんのファンのための一冊、ですね。

表題作「図書室の海」は「六番目の小夜子」番外編、「睡蓮」は三月シリーズの理瀬が出てくる短編で、「ピクニックの準備」は去年話題になった「夜のピクニック」の予告編。

加えて、まだかかれていない物語の予告編もいくつか。

豪華です。

ただ、「物語の一部」だけというか、もっと読みたいのに試食程度、のような感覚で、長編が読みたい! と一編終るごとに言いたくなったり。

それでも、バラエティーに富んだ短編が10作も入っていますから、充実はしてます。

 

どれも恩田さんの魅力に溢れた作品ばかり。

「春よ、こい」あたりは情景が綺麗に浮かび、また構想も面白く、三回も読み直してしまいました(ただ単に理解できなかったから、というのもありますが)。

「茶色の小瓶」「国境の南」の二作は、どこかホラーめいた作品で、このシリーズはいつかまとめて単行本で出して欲しいです。

「イサオ・オサリヴァンを捜して」長編の予告。出たら買うんだろうなー。多分。それにしても、ほんと予告編としか言いようがないような作品。

「睡蓮」理瀬が登場する短編。あの人の登場は驚き。このシリーズは長編が読みたい・・・・・・。

「ある映画の記憶」ミステリ。トリックもありますが、それより作中に出てくる映画が気になります。

「ピクニックの準備」はもちろんあれの予告編ですが、もう一度「夜ピク」を読み返したくなりました。イベントの前日の心境が描かれていて、ああ、そういうもんだよなー、と。

「オデュッセイア」ハウルの動く城? 自分から動く町の年代記。これは面白いですね。20枚程度の短編ですが、長編で出して欲しいです。面白そう。

「図書館の海」これはタイトルがいいですね。「小夜子」の番外編で、関根夏が主人公の話。雰囲気や情景が綺麗で、とても好き。「六番目の小夜子」はやはり傑作だ、と改めて思わせてくれたり。番外編としてはなかなか。

「ノスタルジア」はタイトルからとても気になっていた短編ですが、これは・・・・・・。ノスタルジアとは未来の記憶だ、というようなことを作中でとある人が言っているのですが、そういう考えは好きです。そうだったら、なんかいいなぁ、と。

 

とにかく、恩田さんファンにはお薦めの一冊。読んだことがない人も、「予告編」集のような本ですから、これを読んで何を読むか決める、というのもいいかも。試食のような感覚で。

・・・・・・でもやっぱり長編が(しつこい)。7点かな。

あと、表紙が結構好きです。

湯本香樹美 「ポプラの秋」

湯本 香樹実
ポプラの秋


夫を失ったばかりで虚ろな母と、もうじき7歳の私。

二人は夏の昼下がり、ポプラの木に招き寄せられるように、あるアパートに引っ越した。

不気味で近寄り難い大家のおばあさんは、ふと私に奇妙な話を持ちかけた―。

18年後の秋、お葬式に向かう私の胸に、約束を守ってくれたおばあさんや隣人たちとの歳月が鮮やかに甦る。

世界で高い評価を得た『夏の庭』の著者が贈る文庫書下ろし。

 

 ◆ ◆ ◆

 

小さい頃に読んだこの人の「夏の庭」という作品がとても強く印象に残っていて、先日近所で行われていた古本祭りで本書を見かけ、即購入。作

者名もよく覚えていたのですが、なかなか新刊で買う気にはなれなかったのです。

それで本日、2時間も掛からずに読み終わりました。

完全にミステリから離れていますが、たまにはこういった作品もいいなー、と。

児童文学。久々に読みました。

この作品も「夏の庭」と同じく、人の死を物語に絡めてあります。

冒頭でいきなり書かれるおばあさんの死。

お葬式のために、かつてすごしたポプラ荘へと向かう「私」の回想が物語のほとんどの部分を占めるのですが、この何気ない日々の思い出が良いのです。

「私」と、おばあさんやポプラ荘の住人たちとの交流。

穏やかな温かさに溢れていて、

浮かび上がってくる風景の数々が鮮明で綺麗です。

ともかく、良い話。

ページ数も少なめで、少し疲れたときに読むのが良いかも。7点

柄刀一 「アリア系銀河鉄道」

柄刀 一
アリア系銀河鉄道

紅茶を深く愛する科学者、宇佐見護博士の前に、突然、人語を話す白猫が現れた。

博士の時空を超える旅の始まりだった! 二億年前の地球ではノアの方舟に乗り、銀河鉄道で星空を巡る…

そこで出合う謎の数々を、博士が解き明かしてゆく。

美しき幻想と、卓越した論理の奇跡的な結婚!作家、評論家から絶賛を浴びた、詩情溢れる連作ミステリ。

 

 ◆ ◆ ◆

 

大傑作!

もう、滅茶苦茶面白いですよこれは。

こんな傑作短編集があったとは。

各所で評判は聞いていたのですが、ほんと読んでよかった。

 

「地の文」が現実化する世界での密室殺人を描いた「言語と密室のコンポジション」は、その特殊すぎる状況下でのロジック、謎解きがかなり面白く、お遊び的な要素もあって最初の一編としてはなかなかの出来。言葉遊びが、密接に密室トリックや凶器、そして犯人に関わってくるというのがこの世界ならではで、普通ならバカミスで終わってしまうような言葉遊びも、綺麗な本格ミステリに仕上がっています。

 

二番目の「ノアの隣」は、ノアの方舟の逸話を舞台に、限られた人間しか地球に存在しない状況での壮大な「謎」が演出される。自分達以外の人間が存在しない世界で、一体どのようにそれは為されたのか。「方舟の向きが変わっている」という謎に関しては、おおよそすぐにトリックの検討はつくのですが、どこか森博嗣の某作が思い出されます。この作品はそのトリック以外にもいくつかの謎解きがありますが、これはまた意外で面白い。とにかく、「壮大」な一作。

 

そして、「探偵の匣」多重人格者が関わってくる、とある殺人事件。今までの二作のようなファンタジー状況ではなく、あくまで「普通の世界」の事件ですが・・・・・・。

読み終わって、「やられたー!」と思わず声をあげたくなる作品です。凄いです。全く予想だにしなかった衝撃。こういう作品だったとは。探偵役の意外性も奇妙で面白い。驚き、という意味ではこの短編集の中で一、ニを争うかも。

 

表題作にもなっている「アリア系銀河鉄道」は綺麗な話ですね。二つの事件と、密接に関係する二つのトリック。特に、そのうち一つは情景を想像すると・・・・・・。相当大掛かりなトリックで、美しく、意外性も抜群。この壮大な物語にあってこそ、十分な効果を発揮している、ともいえる。普通に使ったら、バカミスになりそうですし・・・・・・。

ところで、この作品のモチーフは宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」。トリックを解明した後に明かされる事実で、ようやくその意味を実感。上手いなー、ほんと。ちょっと感動的なラストです。

 

解説を挟んで、あとがきの前に配置されているボーナストラック「アリスのドア」も、ボーナスとはいえ相当よく出来たパズル。不思議な部屋と、小さな四つのドア。それ以外に出口はなし。宇佐見博士は、果たしてこの部屋から出ることができるのか。

本気で考えたのに全然答えには辿り着けず。博士の発したとある一言で、「そういうことだったのか!」と驚き、その思考の転換から脱出方法に至るまでが素晴らしい。綺麗なパズル。目からうろこです。

 

そして、あとがきで明かされる作者の意図・・・・・・。これで明らかになるボーナストラックの位置付け。「アリア系」における違和感の払拭。本当の解釈。

もう、驚くというか、この人の凄さに脱帽。


ファンタジーとミステリの融合。美しい物語で、ミステリ的な面白み、意外性にもあふれている。

読まなきゃ損。断言します。10点に近い9点

二作目の「ゴーレムの檻」も期待は大きいです。