昨日は初日と言うことで、顔見世を兼ねて盛りだくさんのプログラムでしたが、今日は落ち着いたプログラミングとなりました。まず、ホフマイスターのホルン五重奏曲。やはりこの弦楽器メンバーの組み合わせは素晴らしいですね。この音楽祭期間中最もレヴェルの高い組み合わせだと思います。音色や意思の統一感は見事だと言わざるを得ません。ロメイコさんの存在はとても大きいですね。そんなメンバーに囲まれて吹く大御所・シュナイダーさんのホルンが最高に引き立っていました。この演奏は室内楽の理想を具現したものと言っても決して過言でないような名演ではなかったでしょうか。堪能しました。メイエさんの顔見せとなったイェナーのトリオ、これもしみじみとした情感が表出して、味わい深い演奏となりました。昨日聴いて少々荒っぽい傾向を感じていたリフシッツさんのピアノですが、2人の管トッププレイヤーに触発されたのか、とても共感出来るピアニズムだったと思います。曲の持つロマンティシズムと鄙びた雰囲気とが相まって、心に残る佳演でしたね。後半のブラームス/ピアノ連弾によるワルツ集、前半の流れを引き継いで、これもセンスの良いおしゃれで素敵な連弾でした。ペダルは低音担当のスカナヴィさんが務めていましたが、ブラームスがこの曲で描きたかった雰囲気を上手に表現されていましたよね。有名な第15番ワルツの源調がイ長調とは知りませんでした。普段は半音低い変イ長調で演奏したりしますので。メインのブラームス/弦楽六重奏曲第1番、これ以上ないと言っても良いくらいのロマンティックな解釈でした。ヴィヴラートもビンビンにかけられていましたね。奏者個々人の音楽的素養・センスとアンサンブル能力が問われる第1楽章は、各奏者も気持ちがお互いに通じ合い、それぞれが「こんな演奏にしたい」と言う思いが通じたような素敵な演奏だったと思います。ところが、第2楽章に入ってから、メンバーの不足によりやむなく2ndvcの位置に入ったコントラバスがちょっといけませんでしたね。シェハタさんは超一流のバス奏者ですし、昨日の「ベッリーニの思い出」は曲芸に近い見事さを見せてくれていましたが、ここでは技術がどうのこうのと言うのではなく、コントラバスと言う楽器の限界→音楽・和音を構成する音そのものが欠ける=作曲者の意図通りになっておらず、結果気の抜けたような音楽になってしまいました。3音書いてある和音のうち2音しか弾かれていない(弾けない)んですよね。ですから、音そのものが足りないので、音楽に厚みが無いし、せっかくブラームスが書いた和音感が減退してしまう訳です。音階の部分も流石に名手としても技術的ちょっと難しかったですかね。ま、これは仕方ない部分かとも思いましたが・・・。シェハタさんには気の毒なことになってしまいましたね。第3楽章以降は、全体的に練習不足が露呈してしまいましたね。音楽が根付かずに流れて行ってしまいました。「普通の演奏」になってしまったと言う感じでしょうか。第3楽章は冒頭のアレグロの部分とトリオのアニマートの部分が交互に現れる対比が聴きどころなんですが、トリオの部分がありきたりなテンポ設定・演奏になってしまい、陳腐な印象でした。アクセントで強調したり、またもう少し切迫感が表出されないと、この楽章・部分は面白くないですよね。加えて樫本さんの音程のミスもあり、ちょっと残念な楽章でした。第4楽章は、曲の出来自体が今一つなこともあり、より精密な打ち合わせの元でのアンサンブルが求められるんですが、メンバー間の音楽作りに於いて統一感が欠けた印象で、ちょっと聴いていて辛かったですね。各楽器が有機的に組み合わさっていないので、かなり散漫な演奏に聴こえてしまいました。終結部に向けて1stvaが和音のアルペジオをレッジェーロで次第に速度を速めて弾いて行くんですが、その先にある頂点で変ロ長調の和音がぴたっと決まらなかったのも不満ですね。ここ一番と言う場所で決まらないのは、せっかく長い道のりをかけてここまで来たことが無駄になってしまいます。終演後会場は沸いていましたが、これはご祝儀と言うのもありますので、評価は割引く必要があると思います。川久保さんの存在感、今日もちょっと薄かったですかね。「間違えないようにきちっと弾く」と言うことに主眼があり、表現が弱いんですよね。ただ、アンサンブルが不調の方向に行き始めた第3楽章以降は、自分もなんとかしなければと言う意識が芽生えたのか、積極的な面も見えて来てはいました。まあ時間的に制約の多い音楽祭と言う事情を考えれば、後半の不出来は同情出来るんですけどね。加えて、終演後のサイン会が無かったのも残念でした。明日は姫路・パルナソスホールに場所を替えて心機一転、素晴らしい演奏を期待したいと思います。
開幕しました。前売り券完売につき当日券が売りに出されていませんでしたね。大盛況です。客席には、明日から参加されるポール・メイエさん、ギャレス・ルベさんのお顔も見え、また樫本さんにぴったりと寄り添う美しい奥様もいらっしゃいました。さて、演奏ですが、ヴァイオリンを含む編成の3曲は、それぞれ担当したヴァイオリニストの「器の大きさ」「実戦経験の差」で明暗が分かれた感があります。流石だと思ったのは、樫本大進さん率いるブラームス/ピアノトリオ第3番ですね。彼の音は、例えると「頭から尻尾まで餡子が詰まった鯛焼き」のような感じですかね。とにかく音の中身が均一で安定しています。ソロの弾き方とは別に、室内楽ではどの弦で弾いても均一の音色が求められる時があります。彼はブラームスが要求するその音色を見事に「弾き出し」ていました。あまり馴染みのない第3番でしたが、聴衆も熱心に聴き入っていたことを考えると、多くの聴衆が満足した佳演ではなかったでしょうか。ピアノ・チェロも気ごころの知れた仲間ですし、練れたアンサンブルを聴かせてくれていました。また、ナタリア・ロメイコさん率いるシューベルト/「ます」チームも良い出来だったように思います。一昨年は虫の音も多い屋外の舞台と言う悪条件の中、合わせることに主眼を置いた直線的で思い切りの良い演奏でしたが、非常に感心した記憶がありますが、今日は室内と言うこともあり、より一層精緻かつアンサンブルらしい「揺らした」演奏が聴けました。ロメイコさんのヴァイオリンは、人懐っこい暖かな音色が特徴で、聴いていて心に沁みて来るんですよね。そして安定感があり、アンサンブルの「ツボ」を心得ているので、一緒に演奏している仲間も安心していたように見受けられました。特に感銘を受けた有名な旋律の出てくる第4楽章の最終変奏から終結部にかけての「洒脱さ」と「即興感」。そうそう聴けないような類の優れた演奏だったと思います。大変に満足しました。課題が残ったのは、初登場・川久保賜紀さん率いるブラームス/ホルントリオです。彼女の音は張りがある一方で、アンサンブルに不向きな突き放すような金属的で冷たい音色なんですよね。また、気持ちのこもった音と、そうでない音の差が大きく、時に気のないよう場面(パッセージを「音楽」ではなく、単なる「音」「音列」として通過・処理したりするような場面)に遭遇すると、聴いている方も残念な気持ちになってしまうんです。最終楽章は彼女の好きな曲のようで、かなり内容の濃いアンサンブルが行われていましたが、そこに至るまでの道程が少々面白くなかったですね。シュナイダー・リフシッツのご両人も、結局アンサンブルが不出来になってしまったせいか、隙間風を感じたりして、結局個人個人の「音自慢」っぽい演奏に終始してしまった感があるのは残念でした。3人がお互いに「寄り添い不足」だったように思います。川久保さんは「ます」を客席で聴かれていましたので、このアンサンブルを聴かれて、何か感じるものを得て、そして姫路城の公演でトップを務める2曲に生かして行って下さればうれしいのですが。アンサンブルの先輩たちと同じ音楽祭で多くのものを吸収し、さらに大きい芸術家となって行ってもらいたいですね。こういう音楽祭は、参加するだけではなく、自己を高める場ともなり得るのですから。ソリストとすれば、もう十分名の知れた演奏家なのですから、彼女ならさらに高まるはずです。頑張って欲しいですね。
関連サイト
http://www.bs-asahi.co.jp/gotomidori_bach/content.html
みどりさんの若い頃の演奏を、少し批判的な立場で聴いていました。どの曲を弾くのを聴いても「曲芸」「パフォーマンス」のような印象しか持たなかったからです。何故そう思ったのか、それはだいぶ前のことですから、良く覚えていませんが・・。今こうして彼女の演奏をYouTubeや持っている音源、そしてこの番組を見終わって、先日実演に接した時と違った印象を持ちました。「献身」、その単語がみどりさんにはぴったりだと思います。弓を短く持って弾くようになったのは、そんなに昔からではないと思うんですが、バッハを弾く時もウォルトンを弾く時も同じなんですよね。これによって「音」よりも「音楽」が前面に出て来ます。十分に熟した、大人の素晴らしい音楽の連続です。加えて、曖昧さのないボウイングと音程、技術的にも破綻が全くないのは本当に驚きですし、同じ楽器を嗜む者にとって「憧れ」でもあります。とにかく「楽」をしようと言う場面が何一つありません。この番組ですが、彼女の音楽への、そして聴く人に対しての「献身」に加え、音楽を突きつめて行く姿勢が、聴く人・観る人を震えさせます。彼女に対する今までの「誤解」を申し訳なく思います。芸術家として、そして人間として尊敬しています。自分を追い込んで行く姿は圧巻ですし、心を打ちますよね。道半ばで挫折した私ですが、楽器を趣味で弾く立場になったとはいえ、死ぬまでにもう一度この楽器を自分が出来る限り頑張ってやって行きたいと考えさせてくれた、そんな素晴らしい番組でした。みどりさん、ありがとう。
朝6時15分頃、大阪市役所正面玄関に到着。だいたい150人ぐらいが既に並んでおられました。雨がパラパラと降って来ましたので、運営の方で市役所ロビーで待機させて頂けることに。これで外の様子がわからなくなってしまいましたが、後でお聞きすると、7時30分頃に「並んでも整理券が入手出来ない恐れ」のアナウンスが、7時45分頃に「並んでも入手できません」のアナウンスがかかったとのことです。いろいろご意見はあるのでしょうが、運営が決めた方法で並んだ人が、並んだ順番で整理券を入手できるというのは間違いないやり方だと思います。時間が合わなかったり、列への合流が認められずに整理券を入手出来ない方には気の毒ですが、ルールが決まっている以上は曲げてはいけないことですよね。どこかで線を引かないとならないですから。毅然とルールを守らせようと努力されていた運営の方に敬意を払います。
並んだ成果。運がよく、前の方の真ん中でした。
公演連戦の疲れか何かはわからないですが、寝ていた聴衆が多かったですね。曲に馴染みが無く、そういう方達には退屈だったのかも知れません。演奏は、短時間の事前合わせでしょうが、良いアンサンブルは出来ていたように思います。ただ三瀬さんは線が細いですね。それと、いわゆる「ステージマナー」は誉められたものではないですね。特に、三瀬さんリーダーですから、演奏前のあいさつから演奏後のお辞儀や退場など、もう少し事前にきっちり打ち合わせて、リーダーシップを発揮しないと見苦しいと思いますけれど。そこそこ場数を踏んでおられるはずなのに、どうして良いかわからないような表情や仕草を見せられると、せっかく料金を払って聴きに行っているのに、何だか損したような気になってしまいます。「大植さんが写真撮影のためにアンコールをやれと言うので」・・・?飾り気がないのが彼女の良さだとは言え、そういう言い方はないでしょう。笑いながら言われるのだったら聴衆も「冗談含み」ってわかりますが、会場から失笑しか起きていませんでしたら、言い方を含め、サービス精神に欠けていますね。そうでないにしても傍から「嫌々っぽく」見えてしまうのは損だと思いますよ。お客様の拍手がなってから、演奏が終わって拍手がなくなるまで、それ全てが「コンサート」の時間ですよね。演奏さえうまく行けば良い・・・それだけで良いのではないですよね。こういう部分をもう少し勉強してほしいですし、もう堂々と立ち振る舞ってしかるべきキャリアをお持ちですし、もうそういうお立場だと思います。頑張って下さい。
大植さん、サービス精神旺盛ですし、この人がいなかったらこの企画は成功していませんね。本当にありがとうございます。演奏、素晴らしかったですね。「タンホイザー」序曲ですが、管のメロディーに乗って弾く弦の難しい音階のパッセージですが、前列の客席が取り払われ、音が裸になってしまうような難しい条件の中、全く乱れることなく良く揃って聴こえていました。今までこの部分でここまで見事に響いていた演奏は記憶にありません。これは新しくコンミスにご就任になられた渡辺美穂さんのリーダーシップも大きいと思います。彼女の良さが「新世界」のソロ・ソリでも良く発揮されていました。この人の素晴らしいところは、先日も書いた通りボウイングの見事さにもあるんですが、昨日気が付いたのは左手の小指の押さえの強さですね。ハイポジションでかけるヴィヴラート、普通は小指の押さえの弱さでどうしても音が見劣ってしまうのですが、彼女は相当自信があるのか、これ見よがし(笑)に小指で攻めて来るんですよね。(他の奏者の多くは薬指を使っていました) 全く他の指の音と遜色ありません。一流のヴァイオリニストはこうでなくっちゃね。この素晴らしいコンミス、ますます応援したくなりました。
楽器ケースに頂いたサイン。初々しさが見え隠れしていますね。私もこれを励みに楽器も精進して行きたいと思います。ありがとうございました。今後大フィルで多くの大きな経験をされて、さらに成長されることを期待しています。
アンコール、予想が外れてしまいました。全くの見当はずれですね。でもこれって「お決まり」なんですか? であれば、行く前に昨年の様子をもっと確認して行けばよかったです。ここでも大植さんのエンターテイナーぶりが発揮されていましたね。本当に素晴らしい!
この最終公演ですが、一部の聴衆にモラルが欠けていましたね。演奏中の写真撮影はダメだと言っているのに、あちこちで平気でカシャカシャ。音の出る設定にされているので、うるさいの何のって。次回は、こういう聴衆は即退場でお願いしたいものです。いろいろ思うことの多かった「大阪クラシック2012」ですが、指揮者・奏者・運営、それぞれ素晴らしかったのではないでしょうか。一方で、公演の時間設定や選曲には一考の余地があるように思います。皆さん、お疲れ様でした。
結局、有料2公演のみしか観賞しませんでした。充実した音楽のハシゴは疲れますね・・・。
ちょっと練習不足でしたでしょうかね。それぞれが技量十分なので何とかなったように思いますが、曲の本質を傷つけてしまうようなアンサンブルの乱れやミスタッチが目立ちました(特に「タンホイザー」)。アンコールはベートーヴェン/交響曲第5番から第1楽章と、ワーグナー/「タンホイザー」序曲から最後の4/4拍子から最後までの2曲。聴くのに疲れてしまうような重たいプログラムでしたので、アンコールのうちベートーヴェンはいらなかったかなと思いました。
大植と言う人は、本当に「才人」ですね。凄い音楽家だと思いますよ。サービス精神も豊富で、楽しいですし。それに、この演奏に「惰性」と言う言葉は全くありません。全て有機的に進められ、演奏する側・聴く側双方に緊張を強いるわけです。ですからこの公演も疲れてしまいました・・・。9曲それぞれに聴きどころを作り、ただ単に名曲を並べただけと言うのとは一線を画す仕掛けが満載でした。指示にもすべてに根拠があり、聴く人を納得させるんですね。演奏する方も同じだと思います。それにしても、ベートヴェンの交響曲の第1楽章、同じソナタ形式でもそれぞれに個性がありますよね。モーツァルト的・ハイドン的に始まって近未来的な第9番まで。凄い作曲家です。それから、先日コンミスにご就任になられた渡辺美穂嬢、とりわけボウイングがきれいですね。曲を弾く姿勢も迫力十分です。このオケで研鑽を積みながら、大阪で良い演奏家に育って、更に大きな舞台で活躍して行って欲しいと思います。終演後にちょっとだけお話させて頂きましたが、先日まで在籍されていた東フィルには私にも知り合いが多いので、共通の話題が出来て良かったです。ソロ活動にも力を入れて欲しい逸材ですね。頑張って下さい。影ながら応援しています。










