2012/9/29 五嶋みどり バッハを弾いた夏・2012 を観て | 音楽と競馬、思ったことを書いて行きます


音楽と競馬、思ったことを書いて行きます


関連サイト

http://www.bs-asahi.co.jp/gotomidori_bach/content.html


みどりさんの若い頃の演奏を、少し批判的な立場で聴いていました。どの曲を弾くのを聴いても「曲芸」「パフォーマンス」のような印象しか持たなかったからです。何故そう思ったのか、それはだいぶ前のことですから、良く覚えていませんが・・。今こうして彼女の演奏をYouTubeや持っている音源、そしてこの番組を見終わって、先日実演に接した時と違った印象を持ちました。「献身」、その単語がみどりさんにはぴったりだと思います。弓を短く持って弾くようになったのは、そんなに昔からではないと思うんですが、バッハを弾く時もウォルトンを弾く時も同じなんですよね。これによって「音」よりも「音楽」が前面に出て来ます。十分に熟した、大人の素晴らしい音楽の連続です。加えて、曖昧さのないボウイングと音程、技術的にも破綻が全くないのは本当に驚きですし、同じ楽器を嗜む者にとって「憧れ」でもあります。とにかく「楽」をしようと言う場面が何一つありません。この番組ですが、彼女の音楽への、そして聴く人に対しての「献身」に加え、音楽を突きつめて行く姿勢が、聴く人・観る人を震えさせます。彼女に対する今までの「誤解」を申し訳なく思います。芸術家として、そして人間として尊敬しています。自分を追い込んで行く姿は圧巻ですし、心を打ちますよね。道半ばで挫折した私ですが、楽器を趣味で弾く立場になったとはいえ、死ぬまでにもう一度この楽器を自分が出来る限り頑張ってやって行きたいと考えさせてくれた、そんな素晴らしい番組でした。みどりさん、ありがとう。