音楽と競馬、思ったことを書いて行きます -42ページ目

2013/4/6

音楽と競馬、思ったことを書いて行きます

本選、聴きに行って来ました。似たようなタイプの方が多く偏よらないように、上手に6人のファイナリストを選んだような感じですかね。

まず、モーツァルトのフルート四重奏曲ですが、マチルド・カルデリーニさんだけが立っての演奏でした。座っての演奏ですと、その方が普段見せないような潜在的な癖が表出される傾向があるので、視覚的に興味深かったですね。個人的に最も素晴らしいと思ったのは、最後に演奏されたアドリアナ・フェレイラさんです。アンサンブルメンバーとのコンタクトに優れ、バランス感覚も良く、対等に堂々と主張されていました。曲に対する思い入れや共感も十分に感じられましたし、技巧面でも危ない場面がありませんでした。ただちょっと「饒舌感」を感じはしましたが・・・。この演奏は通常の演奏会でも十分に通用しますよね。次いでは、最初に演奏されたティメア・アチャイさんと、1次審査で素晴らしいフルーティストと感じたマチルド・カルデリーニさんのお二人です。このお二人は(言い方が失礼になってしまいますが)比較的似たようなタイプでしょうか。お二人とも、フルート本来が持つ音色を楽しめると言うのはうれしいですよね。マチルド・カルデリーニさんですが、立っての演奏ですと、他の奏者達との距離感も近いですから、アンサンブルがしやすい利点があります。彼女自身アンサンブルの能力に長けていて、音もとてもきれいでしたし、音そのものに「意味づけ」が感じられるような上質のモーツァルトを聴かせてくれました。テンポも技術面も全く問題がありませんでした。ティメア・アチャイさんは、最初の奏者と言うことで、基準になってしまうために少し不利でしたでしょうか。濃いメンバーが後ろに控えてのこの演奏だと、印象に残りにくいオーソドックスな造りの演奏ですので、タイプ的にもちょっとかわいそうでした。多少線の細さは気になるものの、大変清潔感のある澄んだモーツァルトで、とてもきっちりとして整然としたこの演奏自体は全く悪くは無かったです。竹山愛さんは、おひとりだけ違う曲を吹かれたんですが、特に第2楽章のヴァリエーション、この楽章は非常に素晴らしかったですね。彼女はこの変奏曲をぜひ聴かせたいと言う思いを乗せて、この曲を選んだんだなあと十分に感じることが出来ましたが、一方で、彼女は座った時の癖(足先を無意識にパタパタさせる)が非常に気になってしまったんですよね。舞台上において足先でテンポを取るのはちょっとどうかなと思うんです。濱﨑麻里子さんの演奏は、総じて物足りなかったですね。曲が消化されていない=曲に負けてしまっているような印象を受けてしまいました。アンサンブル面でも、自分の音を溶け込ませようと言う意図があまり見えずに、自分本位で終わってしまった感じでしょうか。スカートを穿いて足を広げながらの演奏と言うのも、演奏面以外の部分ですがちょっと・・・でした。セバスチャン・ジャコーさんは、聴き手によって大きく評価が分かれる演奏だったように思います。個人的な感想は、曲を「崩し過ぎ」なのではないかと言うことです。とにかくアコーギクが意図的過ぎですし(例えば、出だしのテーマ ソ~ミ~ファラソソ~ファミレド・ドッレミファソラシドシドシドシドシドシラソ。のの部分がいきなりレ~ドシラソで、ドシラソの音価が譜面通りに吹かれずに短くなってしまい、せっかくのモーツァルトが書いた素晴らしい旋律線が生かされませんし、ラインが崩れて息が詰まるような感じになってしまうんですよね。曲中ずっとこんな感じで・・・)、またちょっと曲を舐めているんじゃないかと感じるようなところも散見され、聴いていて(悪い意味で)酔ってしまいそうなモーツァルトだったんですが、人によっては曲を自分の手の内に入れた演奏だったと言う人もいるでしょうね。アドリヴや装飾をいきなり提示部から盛んに入れて来るので、この曲のアウトラインや本質が見えて来ないので、部分部分を聴くとなるほど素晴らしいのですが、曲を聴き終わっても、全体を通じてどういう演奏だったのかなあと思い出し難いような、ちょっと不思議な演奏でした。音は意外におとなしい印象でしたかね。第2楽章最後のカデンツァも、吹いたのはこの方だけでした。


後半の協奏曲ですが、前半であまり良く感じなかったセバスチャン・ジャコーさんの演奏が圧巻でした。曲のラインやそれぞれのフレーズを崩す姿勢は相変わらずなんですが、そのスタールが逆にこの曲に合っていたんじゃないでしょうか。スケールの大きな音楽を作っていましたよね。技巧的にも素晴らしかったですし、オーケストラとのコンタクトやアンサンブルも悪くなかったです。特に、弱音で聴かせたリリシズムは、普段なかなか聴けない質のものだったのではないでしょうか。また、テンポを比較的遅めに設定して音楽に「遊び」の部分を作り、それにより表現力の表出を十分に行うと言う「憎い」演出をして、余裕さえ感じました。只一点気になったのが、右手で唾を拭う「癖」「仕草」でしょうか。フルートには詳しくないのですが、観ていてちょっと見苦しい仕草なんじゃないかなあと、素人なりに思いました。次いで印象に残っているのがアドリアナ・フェレイラさん。この方の持っている音楽の器は大きいですね。音自体も大きく強い意志を持っていますし、技巧的にもケチの付けようのない演奏で、堂々としたステージマナーを含め、強く印象に残りました。この方の意外な弱点だと思うことが一点、彼女のフルートはとても饒舌で、吹かれる音・音楽で全てを語りつくしてしまうようなところがあり、聴き手が彼女の演奏を聴いて、その演奏の行間から何か感じるとか、あるいは聴き手に委ねると言う部分が少ないんじゃないかと言うことですかね。言い換えれば、聴く人によっては「窮屈な」「お節介な」演奏と思われてしまうこともあるんじゃないかと言うことです。第3楽章でも竹山さんと並んでのかなり早目のテンポ設定の中で完璧な技巧を披露されたんですが、それがかえって「煩い」ような感じを持たれた方もいらっしゃったんじゃないでしょうか。まあともかくこのお二人は別格と言う感じでしょうか。ティメア・アチャイさんの演奏もとてもつつましい清潔な佳演でしたが、(言い方が難しいんですが)音楽的な表出と言いましょうか魅力が今一つ届いて来ないなあと感じました。マチルド・カルデリーニさんは、おひとりだけ違う長調の曲を吹かれましたが、彼女が吹く音楽には「品」が感じられるのが何とも素晴らしいところではないでしょうか。これも上手く言えないんですが、音楽から立ち上る「香気」が何とも言えずに心地よいんですよね。技巧的に非常に難しい曲を的確に捉えながら聴き手に思いを伝えてくれていたように思いましたが、「強いメッセージ」を発する上に書いたお二人には、ほんの少し及ばなかったような印象です。日本のお二人は、上の4人からはだいぶ落ちる印象です。濱﨑麻里子さんは、技巧面で物足りませんね。速いパッセージで音が揃っていませんし、楽譜通りに吹けていないって言うことになってしまいます。出て来る音楽的なメッセージも残念ながら弱いですかね。このレヴェルで争うにはちょっと力不足のような印象です。竹山愛さんは、モーツァルトの素晴らしさから一転、かなり速いテンポ設定でしたが、それがかえって良くなかったですね。音楽的な余裕に乏しく、音運びに汲々となってしまい、全く音楽になっていませんでした。特に、第1楽章のターンを含む早いパッセージの続く部分で落ちてしまい、結局そこから立ち直ることが出来なかったのは致命傷でしたが、濱﨑麻里子さんよりは音楽的素養はかなり上位だと思います。今後に期待したい方ですね。


個人的な印象から出した結果ですが、饒舌気味ではありましたが、隙無くコンスタントに充実した演奏を聴かせてくれたドリアナ・フェレイラさんが最も上位、次いで協奏曲の演奏が素晴らしすぎたセバスチャン・ジャコーさん。3番手は1次審査の時以上に音楽・音に何とも言えない「香気」を感じたマチルド・カルデリーニさん、そして誠実なティメア・アチャイさんの順番です。日本のお二人は、ちょっとここでは残念な演奏だったでしょうか。どちらかと言えば竹山愛さんの方が上位だと思います。さて、まだ最終結果は見ていませんが、どうなったでしょう。本選以前の予選も最終順位に考慮されるのであれば、聴いていない演奏も多いですし、ちょっと順位づけも替わってくるでしょうけど。


終演後、3人の方にサインを頂きました。
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審査員のウィリアム・ベネット翁。急遽の審査員ご就任、お疲れ様でした。



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セバスチャン・ジャコーさん。ありがとうございました。



音楽と競馬、思ったことを書いて行きます
そして、マチルド・カルデリーニさん。ありがとうございました。


明日の表彰式と披露演奏会も楽しみにしています。






明日は、第8回神戸国際フルートコンクールの本選会となります。大雨や暴風が予想されていますが、無事に開催されるのでしょうか。現地までの交通機関は地下鉄になりますので、開催自体は大丈夫かとは思いますが・・・。1次審査で聴かせて頂いた方のうち、フランスのマチルド・カルデリーニさんが見事本選に進まれました。その時のこの方の笛が見事でしたので、本選で再び演奏を聴かせて頂けることになり、安堵しています。私には「澄んだ中に聴こえる彼女独特の個性のある音」と聴こえましたが、古典の2曲でどのように聴こえて来るか、演奏をもう一度楽しみにしたいと思います。



1.ティメア・アチャイさん(ハンガリー)

 1988年生まれ ミュンヘン国立音楽演劇大学

 2010年 第59回ミュンヘン国際音楽コンクール セミファイナリスト など

<第1次審査>

 F. Kuhlau: 6 Divertissements Op.68 より No.6 cis-moll

 S. Karg-Elert: 30 Studies (Caprices) Op.107よりNo.30

 C. Debussy: Syrinx

<第2次審査>

 Bach: Sonate C-dur BWV 1033

 S. Prokofiev: Sonata D-dur Op.94

<第3次審査>

 G. Enesco: Cantabile et Presto

 J. Ibert: Concerto

 T. Ichiyanagi (一柳慧): In a Living Memory

<本選>

 W.A. Mozart: Quartett D-dur KV 285

 C.P.E. Bach: Konzert d-moll WQ 22



2.竹山 愛さん(日本)

 1986年生まれ 東京芸術大学大学院=洗足学園音楽大学 非常勤講師

 2010年 日本音楽コンクール第1位/岩谷賞/吉田賞/加藤賞 など

<第1次審査>

 F. Kuhlau: 6 Divertissements Op.68 より No.6 cis-moll

 S. Karg-Elert: 30 Studies (Caprices) Op.107よりNo.30

 C. Debussy: Syrinx

<第2次審査>

 Bach: Sonate C-dur BWV 1033

 S. Prokofiev: Sonata D-dur Op.94

<第3次審査>

 G. Enesco: Cantabile et Presto

 C. Nielsen: Koncert

 B. Ferneyhough: Cassandra's Dream Song(選択曲以外)

<本選>

 W.A. Mozart: Quartett C-dur KV 285b

 C.P.E. Bach: Konzert d-moll WQ 22



3.セバスチャン・ジャコーさん(スイス)

 1897年生まれ ジュネーヴ音楽院=アンサンブル・コントレシャン首席奏者

 2005年 Jマヌエル&エヴァマリアシェンク財団ソリスト・オブ・ジ・イヤーなど

<第1次審査>

 F. Kuhlau: 6 Divertissements Op.68 より No.6 cis-moll

 S. Karg-Elert: 30 Studies (Caprices) Op.107よりNo.30

 C. Debussy: Syrinx

<第2次審査>

 Bach: Sonate C-dur BWV 1033

 P. Hindemith: Sonate

<第3次審査>

 G. Fauré: Fantaisie Op.79

 J. Ibert: Concerto

 B. Ferneyhough: Cassandra's Dream Song(選択曲以外)

<本選>

 W.A. Mozart: Quartett D-dur KV 285

 C.P.E. Bach: Konzert d-moll WQ 22



4.濱﨑 麻里子さん(日本)

 1986年生まれ 東京芸術大学大学院=洗足学園音楽大学 非常勤講師

 2010年 日本音楽コンクール第2位など

<第1次審査>

 F. Kuhlau: 6 Divertissements Op.68 より No.6 cis-moll

 L. de Lorenzo: Il “Non plus ultra” del Flautista Op.34より No.17

 P.O. Ferroud: Trois pièces より No.1 Bergère captive

<第2次審査>

 Bach: Sonate C-dur BWV 1033

 P. Hindemith: Sonate

<第3次審査>

 P. Taffanel: Andante Pastoral et Scherzettino

 C. Nielsen: Koncert

 K. Aho: Solo III

<本選>

 W.A. Mozart: Quartett D-dur KV 285

 C.P.E. Bach: Konzert d-moll WQ 22



5.マチルド・カルデリーニさん(フランス)

 1989年生まれ パリ国立高等音楽院=リヨン国立管弦楽団アカデミー首席奏者

 2011年 第2回 マクサンスラリュー国際フルートコンクール 特別賞など

<第1次審査>

 F. Kuhlau: 6 Divertissements Op.68 より No.6 cis-moll

 S. Karg-Elert: 30 Studies (Caprices) Op.107よりNo.30

 C. Debussy: Syrinx

<第2次審査>

 Bach: Sonate g-moll BWV 1020

 S. Prokofiev: Sonata D-dur Op.94

<第3次審査>

 G. Fauré: Fantaisie Op.79

 C. Nielsen: Koncert

 P. Hurel: Eolia

<本選>

 W.A. Mozart: Quartett D-dur KV 285

 C.P.E. Bach: Konzert G-dur WQ 169



6.アドリアナ・.フェレイラさん(ポルトガル)

 1990年生まれ パリ国立高等音楽学院=フランス国立管弦楽団副首席奏者

 2010年 第4回カール・ニールセン国際音楽コンクール第1位,/オーケストラ賞,/審査員賞など

<第1次審査>

 F. Kuhlau: 6 Divertissements Op.68 より No.6 cis-moll

 S. Karg-Elert: 30 Studies (Caprices) Op.107よりNo.30

 P.O. Ferroud: Trois pièces より No.1 Bergère captive

<第2次審査>

 Bach: Sonate C-dur BWV 1033

 S. Prokofiev: Sonata D-dur Op.94

<第3次審査>

 P. Gaubert: Fantaisie

 A. Jolivet: Concerto

 L. Berio: Sequenza (Sequenza I)

<本選>

 W.A. Mozart: Quartett D-dur KV 285

 C.P.E. Bach: Konzert d-moll WQ 22



こうやって書き出してみますと、日本の女流のお二人、竹山さんと濱﨑さんは、経歴が非常に似通っているんですね。お生まれのお年が同じ、大学/大学院はもとより、現在教鞭を執られている学校も同じ、2010年の日本音楽コンクールでも第1位と第2位を分け合った間柄なんですね。これは非常に興味深いですし、明日の本選ではお互い「ライバル意識」が良い方にはたらくのか、あるいは意識し過ぎてその逆になってしまうのか、聴きに行く方としてもこれは興味深々ですね。

一次審査で「シリンクス」を吹かれなかったのは、濱﨑さんとフェレイラさんのお二人。二次審査のソナタはプロコフィエフが4人でヒンデミットがジャコーさんと濱﨑さんのお二人。三次審査の協奏曲は、ニールセンが3人、イベールが2人、ジョリヴェがフェレイラさんだけ、また現代曲で自由に選んだ曲が偶然にも被った竹山さんとジャコーさん(他にも3人がエントリーしていた)、B. Ferneyhough作曲の「Cassandra's Dream Song」とはどんな素敵な曲なんでしょうかね。そして、明日の本選ですが、モーツァルトの四重奏で人気の無いハ長調を選んだのが竹山さんおひとり。この曲って全2楽章構成で、その2楽章目が変奏曲と言うことで、曲に構成感に乏しく魅力が足りないかなと言う感じの曲で、演奏が非常に難しいと思うんですよね。敢えてこの曲を選んだ竹山さんの意図を現地で感じ取りたいですね。またC.P.E.バッハの協奏曲ですが、ト長調を選んだのが、私の推すカルデリーニさんおひとり。ニ短調は曲に凄みがあって、息をのむような展開を見せる曲ですが、一方のト長調の方は楽天的な感じで、曲の魅力もニ短調に比べて散漫で見劣るように思うんですよね。これを敢えて選んだカルデリーニさんが、どのように聴かせるのかも聴きどころではないでしょうか。

明日は素晴らしい音楽家達との共演を通じて、彼らと良く調和して、そこに上手に自己主張が盛り込まれた素晴らしい演奏を聴かせて欲しいものです。無事に本選が開催されましたら、私の好みでつけた順位を書いてみたいと思います。お天気が心配ですが、6人の素敵な音楽家の皆さんのご健闘を、心からお祈りしています。


音楽と競馬、思ったことを書いて行きます

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「オルフェウス」と書いてあったので、あの「オルフェウス室内管弦楽団」と関係があるのかも、と期待して行きましたが、トンだ食わせ物でした。ご招待で行って申し訳ありませんが、これはわざわざ聴きに行くレヴェルの演奏会ではなかったですね。ちょっとひどい・・・。それを喜んで「ブラヴォー」を叫んでいる聴衆のレヴェルも知れてます。曲目見ておかしいなあ・・・とは思ってはいたんですが、正直これが一流楽団が演奏するようなプログラムじゃあないですもんね・・・。マシだったのは、ソロのマリオ・ホッセン氏。あの音色はなかなか聴けませんね。でも曲を崩し過ぎてしまっては「音楽を聴く」と言うのではなく、まさに「音を聴く」ための演奏会だったのではないでしょうか。アンサンブルもバラバラ、音程も駄目、繰り返しも何度も間違えるなどなど。奏者達に緊張感が全く感じらませんでした。お客さんが拍手続けているのに、さっさと譜面しまいこんで帰ろうとしている奏者を見て、腹が立ちました。プロでこんな不誠実なコンサートは久しぶりでした。時間を損してしまいました。


7/29

ステージに登場される時・去られる時の雰囲気からも想像出来ますが、曖昧さを極力排し、全てが躊躇無く、そして颯爽としている。それが毛利 文香さんの大きな持ち味であり、そして彼女のお人柄の一面だと思います。それらが実演として、見事に具現化されていたのが、今回のリサイタルではなかったでしょうか。

女性としては、大変骨太な音(この部分は、若い頃の竹澤 恭子さんに何となく似ている)をお持ちの一方で、強い意志に貫かれた彼女の紡ぎ出す音そのものは大変美しく、弾かれる音楽には知性と気品がとてもバランス良く備わっています。ヴィブラートはごく自然で、(一見雑なように見えるけれど、決してそうではない!)見事にコントロールされた右手も全く力みが無く、キレや爽快感があるのに、お聴きした後の充実度・満足感は半端ではありません。ハイポジションの音程が非常に安定していることもあり、4つの弦それぞれが持つ個性を左手のポジションで上手に弾き分けておられたり等、ご自身が舞台上でしたいと思うことが聴き手にも非常に良く理解が出来、見事に演奏として反映されていました。加えて、頂いたプログラムの中でご自身の言葉で書かれている曲目解説を読んでも、彼女が並みの芸術家でないことが窺い知れます。ヴァイオリニスト・芸術家として必要なものを全て手にされておられる、稀有な存在と言えるのではないでしょうか。

 

プーランクやベートーヴェンの最終楽章は、かなり速いテンポでの演奏でしたが、全く音楽の輪郭が崩れずに、彼女の持つ音楽的資質が存分に発揮されていたように思います。モーツァルトとベートーヴェンでは、楽譜通りに繰り返しをされていましたが、その見識の素晴らしさと共に、繰り返し部分を変に弾き替えたりせず、更に充実して行きながら、ご自身の意志を堂々と貫かれる姿勢に大変感心しました。ミルシュテインで聴かれた技巧の完璧さ、2曲のアンコールで聴かれたしみじみとした唄心など、彼女の良さ・持てるものが全て発揮された「最高の公演」と言えるでしょう。

 

 

この日の演奏で、たったひとつだけ気になった部分、プーランクの第2楽章の練習番号「2」からしばらく続く、付点8分音符+16分音符のスラーで繋がっているような形。16分音符の弾き方・処理が幾分曖昧に感じ、その音の存在が多少希薄になり気味だったこと。16分音符に重きを置いて欲しいと言うことでは無く、その音価通りに普通に弾いて下されば、彼女の音楽性から、ごく自然に映えて聴こえて来たのでは、と思った次第です。それとも、彼女はこの一節を大きな括りとして捉えていたからこそ、そのように弾かれたのかも知れませんが、そこまでお聴きする勇気も時間もありませんでした・・・。

 

原嶋 唯さんのピアノ、共演者に十分な配慮をされつつも、ご自身の持つ個性=小気味良さ、独特のデュナーミクと音色を、大変見事に発揮されておられました。

それにしても、一瞬たりとも退屈な時間は無く、これ程集中してお聴き出来た公演は、本当に珍しい経験です。

 

今後の、お二人の益々のご活躍を願っております。ありがとうございました。

 

 

7/28

今年、最も楽しみにしていた公演に伺いましたが、その期待に違わぬ大変素晴らしい演奏で、ここ数年でお聴きしたライヴの中でも、最も感銘を受けたものと言っても過言ではありません。

 

 

毛利 文香さんの実演を初めてお聴きしたのは、もう4年前になります。「ル・ポン 2014」の赤穂・プリコンサートとして、「エール弦楽四重奏団」(メンバーは、山根 一仁さん、田原 綾子さん、上野 通明さん)と言う四重奏で、ラヴェルの弦楽四重奏曲の抜粋を弾かれた時になります。わざわざ東京から弾きに来られたのに、なぜ抜粋なのかと、運営の方に散々文句を申し上げた記憶があります。また、その日は折しも、今日と同じく大型台風の来襲で、出演者も聴衆も大変な思いをしながら、演奏をされ、そしてお聴きした時でもありました。あの時の四人の若者が披露された、素晴らしい鮮烈なラヴェルの演奏が心に残り、以来、彼らの演奏をいろいろな場面で追いかけて来ました。しかし、山根さん以外の3人の方は関西に来られる機会も少なく、ライヴ以外の録音等をお聴きするにとどまって来ましたが、いよいよ今日、毛利 文香さんの実演に接する機会に恵まれ、勇んで聴きに伺ったと言う次第です。そして、ピアノで共演されたのが、何と原嶋 唯さん。昨年の日本音楽コンクール・ピアノ部門第3位を受賞された素晴らしいピアニストでした。

詳しい感想はまた明日にでも書かせて頂きますが、申し分のない演奏で、毛利 文香さんは、今日、私の最も愛すべきヴァイオリニストのおひとりとなりました。「音楽が活きている」。その感想で、もう十分なんでしょうけどね・・・。

 

お二人には、もう本当にたくさんの楽譜や書籍にサインを頂戴してしまいました。これはそのほんの一部です。ずっと大切にさせて頂きます。

この台風の中、今日東京に帰られるのかわかりませんが、無事にお帰りになられますよう願っています。また、毛利さんのご両親には大変親切にして頂き、この場をお借りして、心よりお礼申し上げます。

7/29

「ジョイントコンサート」を開催するご事情の裏側で、聴く側としては、どうしても一緒に出られる方同士を比較してしまうと言うような難しさも含んでいます。気心を良く知りあっているお二人の間でも、お互い選曲にも気を遣われるのでしょう。

そんな事情はさておき、三重野 奈緒さんの選曲は、一般的にあまり良く聴かれないような、また、作曲家の作品の中では決して一級品とは言われないような曲が並んでいる一方で、聴く方とすれば、先入観を抱かず、無心にその演奏をお聴き出来ると言う良い面もあります。彼女のピアノからは、「明るさ」「明晰さ」「軽妙さ」「率直さ」を特に感じます。それは彼女のステージマナーにも良く表れていますよね。音は澄み、とてもきれい。トリルや装飾音符の扱いも、彼女独特の感覚でどれも意味深く、そのタイミングも素晴らしいですね。解釈はいずれの曲も大変率直ですし、ご自身のやりたいことが、手に取るようにストレートに聴き手に伝わって来ると言う演奏で、聴いていてストレスを全く感じないと言うのが、彼女の大きな美点だと思います。決して第一級の作品と思われない3曲が、聴き慣れた曲として魅力的に聴こえて来ると言うのは、とても不思議な感覚です。

リード 希亜奈さんの選曲はヴァラエティに富み、彼女の持つ多才さが発揮されていたように感じます。彼女のピアノをお聴きして、一口で形容するのは難しいですが、全体的にはとても「思索的」で、いろいろ「出来てしまう」資質と ご自身が曲を深く考えた上で出て来るような部分が混ざったような、大変複雑な演奏で、個人的には少し苦手なタイプのピアノなんですが、一方で、聴く人によってはそれこそが彼女の魅力だと言うことになるんでしょう。どちらかと言うと、細かい部分よりも「大きな括り」と言うものを大切にされているようで、「喜びの島」のような曲では、もっと率直に曲そのものの良さや響きを聴かせて欲しいと思う反面、プロコフィエフのソナタでは、譜読みが大変深いことが理解出来、それを見事に具現化された大変スケールの大きい演奏で、曲全体を通してお聴きした時の感銘の大きさは、言葉では言い尽くせないものがあります。彼女の最良の資質・器の大きさが、この曲の演奏からは十分に聴かれたのではないでしょうか。最終楽章での、多く弾かれる音の重ね方(音の選別)に、更にほんの少しの工夫が欲しいようにも感じましたが、それもあくまでの個人的な印象です。

お二人とも既に多くの実績を積まれ、実際に大変多くのファンがいらっしゃいます。あくまでも個人的な嗜好による感じたことを書かせて頂いた、と言うことで、どうぞご容赦下さい。また別の機会に、この日とは異なった曲の演奏で以って、お二人の違った面をもっと知りたいとも思う、そんな貴重な機会でした。

 

 

7/26

二足早い夏休みを頂き、お二人のジョイントコンサートを聴きに伺いました。早い時間に並ばせて頂いたお蔭で、いろいろと良いことがありましたが、ここでは詳細は省略。また、お二人の演奏につきましては、近々に追記させて頂きます。

 

三重野 奈緒さんがこの日弾かれたショパンの楽譜に、素敵なサインを頂きました。

 

 

リード 希亜奈さんがこの日弾かれたドビュッシーの譜面、持参出来ませんでしたので、高松のコンクールの冊子にサインを頂きました。

 

お二人が、以前弾かれた共通の楽譜に、仲良くサインを頂きました。演奏前の貴重な時間にご対応頂き、改めまして、感謝申し上げます。

音楽と競馬、思ったことを書いて行きます


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「コンクール」と言う催し、テレビでは見たことがありましたが、現場で体験するのは今回が初めてでした。独特な雰囲気がありますね。



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昨日が3日間開催の一次審査の最終日、朝から行きたかったんですが、仕事で午後からに。残り5名と言うところから聴かせて頂きました。



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何も知らずに座った席が錚々たる審査員の方々の真ん前で、緊張しました・・・。5名しか聴くことが出来ませんでしたが、いろいろ感じるところがありました。とにかく参加されている皆さんの準備が非常に行き届いていると言うこと、舞台慣れしていると言うこと、そしてレヴェルが非常に高いと言うことでしょうか。凡演と言うのが全くありませんよね。技術的な差はほとんどありませんので、かなり審査員の「好み」が命運を分けているように思います。あとは、会場の雰囲気・空気を自分なりに捉えて、それをフルートと言う楽器に乗せて聴き手に上手に伝え切れたか、そんなところでしょうか。20分も吹きっぱなしになりますので、吹く3曲の並び順やスタミナ配分も重要な要素だったでしょうか。私自身は、最後に吹かれた白戸美帆さんのフルートの音が最も好き(とにかくフルート本来の音が聴こえ、吹く際に良く聴こえるフルートの音以外の「雑音」が全く聴こえてこなかったのは驚き!)でしたが、書かれた音符がきちっと聴こえてこなかったのが要因なのか、あるいは音自体に色が付いていない分審査員には物足りなかったのか、残念ながら二次審査には進めませんでした。最後スタミナ切れ気味だったのも影響したでしょうか。それでも、白戸さんは個人的には今後注目したいフルーティストとなりました。逆に、音の押し出しが強くて、ちょっと耳を塞ぎたくなるなるような音を出されていた方が二次審査に進まれたのは意外で、大人数が挑戦するコンクールでは、このぐらいの「個性」が必要になるんだなあと勉強になりました。白戸さんと並んで素晴らしいと感じたフランスのマチルド・カルデリーニさん、無事に二次審査に進まれました。これも聴かせて頂いたご縁と言うことで、今回私はこの方を応援して行きたいですね。二次・三次予選は聴きに行けませんので、4月6日に聴きに伺う予定の本選にぜひ選ばれて、もう一度、澄んだ中に聴こえる彼女独特の個性のある音を聴いてみたいですね。



音楽と競馬、思ったことを書いて行きます

それにしても、まだ一次審査とは言え、休日なのに会場はガラガラでした。折角こんなに素晴らしい国際的なコンクールが開催されているのに、これでは出場者も張り合いがないのではないでしょうか。今日の入場料はたった500円ですよ。フルートに興味が無くても十分に楽しめますし、自分なりに点数を付けてみても面白いですよ。コンクールの楽しみ方もいろいろでしょうが、これから活躍しそうな将来性豊かな「ダイアの原石」を自分なりにみつけたり、そんな若手音楽家をこれからの自分の「お気に入り」にして応援して行く、そんな楽しみ方もありますよね。さすがに本選や受賞披露演奏会はお客さんで一杯になるでしょうけど。

コンクール限定のパスに引き換えました。これを持って4月6日の本選に伺って、自分自身の耳を「試したい」と思います。出場者の皆さん、本選での素晴らしい演奏を楽しみにしています。頑張って下さい。