話の舞台は、ラブ・ホテルへ戻る。

あれから2時間以上、寝入っただろうか?
私は、目を覚ましてベットを見まわした。
しかし、そこにジーナの姿はない。
時は18時20分。
「んっ?」
シャワーの音がする。
『ジーナァ~!』
私が、ジーナを呼ぶとエコーがかった声で返事が返ってくる。
『ハニー オイデー。』
私は、ベットから降りて風呂場の方へ歩いていった。
そして、念のため入る前に聞きなおした。
『一緒に入るの?』
『ソウヨォ。オイデェ~!』
「まぁ、自分の気持ちの整理は出来ているし、トマホーク(逸物)も暴走はしないだろう。」と頭で呟(ツブヤ)く。
『じゃあ入るよ。』
私は風呂場へ入ってゆく。

扉を開けるとジーナは洗い場に立っていた。
右足の膝をかるく曲げ、軽いダチュ~ノのをしながら少し上半身をひねる。
そして自然な形で落とす左手が持つタオルが臍下を隠す。
いわば、キューティーハニーが変身する工程で見せる、肌一色のヌード状態であった。
全裸のジーナに直面した私だが、目のやり場に困るほど初心(ウブ)ではなかった。
私は、感心しながらジーナの体を上から下まで見入るように吸い込まれていった。
それは、思っていた以上に素晴らしい光景であった。
これには、ニュートンもダーウィンも無力に感じた。。
それくらいジーナの体は完璧だった。

『モウイッカイ アコガ ハニーノ カラダ アラッテ アゲルカラ。』
そう言いながら、優しく私を鏡とは反対側の壁に向かせた。
続いて、ボディーシャンプーで私の体を洗い始めた。
私は、されるがままに立っているしかなかった。
『ネェ ハニー。ハニーハ アコノ ナニガスキ?
ドコガ スキナノ?』
『さっきね。それを考えてたの。
それで、わかったんだ。
ジーナはアコのビーナスなんだよ。』
『ビーナス(・・?) ッテ ナニ・・・・?????
アッ!VENUS?』
『そう、ヴェ!ヴェーノゥス。』
カタカナ英語はこれだから困る。(;^_^A

『だから、イカウがアコと一緒にいてハッピーなら、いつまでもアコは居るし
いらなくなったら、アコは居なくなる。
わかる?意味。』
『スコシ ワカル。デモ スコシ ワカラナイ。(;^_^)』
『アコは、インポテンツじゃない。セックスは大好きだし。
でも、アコのトマホークが元気ないディバ?
これは、イカウがアコとやりたいじゃないから。
元気な~いの。(^.^)b』
少し、考えた末にジーナが言う。
『ホテル マデイッショ。オプロモ イッショナノニ。
Bakit(何で)!アコガ ヤリタイジャナイナノ。』
『アコはイカウがHappyなら何でも出来る。
でも、イカウがHappyじゃないとか。Expectation(期待)やhope(希望)しない事は出来ないの!
Understand?』
『Oo。。。。(;^_^A デモォ~。。。。。ハニー 
ハニーノ トマホーク・・・・・・・ゲンキ・・・・ナッテキチャッタ ジャナイ???』
『あっ!(^o^;こっこれは!イカウがシャーを触って洗うからぁ~・・・・・ナチュラルだよ!ナチュラル!
だいたい!これでもシャー元気にならなかったら。アコ本当にインポテンツじゃん』
『Joke!Joke!ジョーォ~ク(^.^)b 
ワカリマシタ。
デモ ハニー。アコハ イカウト ヤリタイ ジャナイ。ジャナイ。
アコニハ モンダイガ アルカラ。
アコ イツモ イウデショ!
ホントノ アコハ ダレモ シラナイ。
タレントモ イママデノ ニホンジンモ ダレモ シラナイ。
ハニーハ ホントノ アコ シリタイノ?』
こんな会話をしながら、さっきのトマホークの扱いが、やけに手慣れているのが気にかかっている。
えらく気持ちがよい!
最高に気持ちがよかった\(^O^)/ 
洗うポイントがわかり過ぎてるのだ。男じゃあるまいし、どこで?誰に習ったのだろう。。。。
(もしかしたらジーナって、この手のプロ?)などと妄想は大きく膨らむ。
そんなこんな妄想を膨らませながら、右脳に命令して残されたメモリーで精一杯言う。
『ジーナが言いたければ言えばいいし、言いたくなければ言わないでいいよ。』
『アコハ ハニーダケハ オシエテモ イイカナァ。
ダカラ キョウ ホテル イッタノ。(^3^)/
アコ イロイロ ウワサ アルケド ニホンノ ラヴ・ホテル ハジメテヨ。』
「えっ!この期に及んで大嘘かい!」( ̄□ ̄;)!! と、この時はそう思った。

ジーナは、私の体を全て洗い終えるとシャワーで綺麗に流してくれた。
私は、ジーナからどんな告白があろうと想定範囲を無限大に拡大するように努力していた。
おそらく(・・?)・・・・・・・「日本に来る前に、その手の風俗嬢だった・・・」とか
ジーナが元売春婦でも、それはそれで過去の事であれば包容しよう。
いや(>_<)胸に薔薇の刺青があるからぁ「アコノ マエノ アサワハ マフィヤ ダッタカラ・・・・・」まぁ、これも過去の事ならば・・・・・・・
様々なケースを想定して、どんな告白があっても驚かないよう心の準備をしていた。

『ハニーハ アコノ ホント ワカッテモ ビックリシナイ?
ホント オシエテモ アコノコト ステルシナイナノ?』
私が向きを変えようとすると、いきなり後ろから私の肩を両手で押さえ、その動きを静止した。
許容範囲は無限大!準備は万端である。
『ハニー チョットマッテクダサイ。ソノママネ。』
そう言うとジーナは、自分の体をシャワーで流し始めた。
私は、そのままの体勢で言った。
『シ~ンプレー(もちろん)!何で今さらチェンジしなきゃいけないの?
アコは、さっき言ったでしょ。
イカウはアコのヴィーナス・・・・・・シンボルだから。
イカウが結婚してようと、子供がいようと、体にオペレーションの傷があろうとAll right!関係ないの!』
もう、何を告白されても驚かない。
そう、この時までは
この瞬間までは、自信があった。

流し終えたジーナは、「そっと」私の背中に抱きついてきた。
パツン!と柔らかく張ったジーナの胸が、私の背中の下に当たり心地よかった。
しかし、次の瞬間「(・・?) ケツになんか当たってる?」 (^o^;そんな違和感がぁ
背中はとても心地よいのだがぁ。
でもやはり、尻の辺りが何かおかしい。
「えっ?なにぃ???・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ブルース?(;^_^A)」

感触はすぐに伝わったのだが、この事実を私の脳と体が認識するのに時間を要した。
いや、脳については拒否反応を示していたのかもしれない。
しかし、残酷にも私の脳裏に、サザン・オール・スターズの「ブルースへようこそ♪~」が流れてる。
ついさっきまでの自信も、無限大だと自負していた包容力も、この瞬間 見事に崩れ去っていった。

\(^O^)/ ようこそぉ~!!!ブルースの世界に(^o^;いらっしゃ~い!

♪♪♪男のがいいのぉ~ ただひとつ気がかりになるのは ミソよぉ~♪♪♪
♪♪♪恋したらしいのぉ~ 掘られるのに 気持ちが これほどいいとは(・・?)♪♪♪
♪♪♪思いもせず疑うことなく まるで男同士も良かれと ♪♪♪
♪♪♪心に決め 震える このタクちゃん(^o^;V ♪♪♪

♪♪♪お~お~ ミソがつくぅ~♪♪♪
   ♪♪♪お~お~ ミソがつくぅ~♪♪♪
      ♪♪♪お~お~ ミソがつくぅ~♪♪♪

( ̄□ ̄;)!! うっそぉだろぉ~~やめてぇ~~~~~~くぅ~~~~~れぇ~~~~~~~

私の頭脳の中では、K-1のような激しい格闘が行われていたが、今にも衝撃的な告白がジーナの口からこぼれようとしていた。
とっさに私は彼女・・・・・・もとい!彼・・・・いや彼女でいいや!
彼女に恥をかかせてはいけないという気持ちが働いた。

向きをゆっくりと変えてジーナを優しく、でも強く抱擁(ホウヨウ)した。
もちろん下半身には目をやらずに言った。
『(;^_^A ジーナ。わかったからいいよ。もう、何も言わなくていいんだよ。 )
私は、ジーナに恥をかかせることなく、何とかその場を繕うとした。
次の瞬間、私は自分を慰めていた。
「お前は世界最高の名優だぁ!」
悲しいかな、我がヴィーナスのために。
最高の濡れ場(^o^; 私は、演技に没頭し過ぎて、気がついた時には誰かが乗移っていた。
いや、そうしなくては・・・・・・その場に立っていられなかった。
本当は、自分の墓穴を掘りたかった・・・・・・・
↑ ( ̄□ ̄;)!! 「そっ・そういう意味じゃないから!」

ジーナは、しばらく理解の出来ない私の言動に「キョトン(・・?) 」としていたが、静かに語りかけてきた。
『ハァニ~。。。。。ハニーハ イツカラ シッテタノ?』
私は、ジーナの耳元で囁くように言った。
『今だよ。・・・・・・・たった今』
『Bakit? ナンデ ハニーハ ビックリシナイナノ?
ハニーハ マニアックカ?』
(;^_^A 「バカを言うな!」私は心の中で叫んでいた。

神様は生き物を上手くお創りになられた。
男同士が全裸で向かい合い抱き合うと、逸物が邪魔になって、互いの腰が引けて変な格好になってしまうものである。
『ねぇジーナ。あのぉ~ さっき、ジーナのティティなかったよねぇ。
ちょっと、あこのトマホークとぶつかってお邪魔だからぁ。
なんとかならないかなぁ。』
\(^O^)/ ドッカ~ン!
言ってしまった。
こういう時には、あからさまな方がかえっていいものだ。
するとジーナは、軽く身を右にずらすと、右手を自分のお尻の後ろから股下に入れて、逸物を「スー!」と、尻の割れ目に引き込んだ。
次の瞬間、何事もなかったようにしていれば、この世の完璧なVENUSの出来上がりである。
また、陰毛の揃っている事!
私は感心しながら、ジーナをエスコートして一緒に湯船に入った。

私がジーナを後ろから抱きかかえるようにして座った。
『ちょっとクェッションいい?・・・・・・・・・・・・・』
『Opo』
『ジーナは、恋人ある?』
ちょっと怪訝(ケゲン)そうな顔だったが、少し間をおいてジーナは答えた。
『Opo,meron(はい。います。)』
『それは、フィリピン人』
『Opo(はい。)』
『それはLalaki(男)?Babae?(女)』
さっき、自分がオカマである告白をする時には、かなり余裕があったにもかかわらず、この質問をした瞬間に、かなりジーナは動揺した。
『Bakit(何で)!Siya(彼女)ノコト シッテルノ?』
しばらく、ジーナはうつむいて無言になった。
私は、もちろん何も知らなかった。
知る由も無かった。
ただ、こんなに期待をハズされると本音は「君は地球人?」ってところから聞きたい心境だったのだ。
この質問も念のためだったのだが、いい線いってたようだ。

ジーナは、観念したような素振りで言った。
彼女が私に、こんな素振りを見せるのは初めてだった。
二人の仲には、変な親密感が生まれた。
『Babae(女性)。。。。。Po(です)。』
もう、それを聞いても私は驚かなかった。
すぐにフォローした。
『ごめんね。嫌な事まで聞いちゃって』
私は、少し安心した。
これで、ジーナが純粋なオカマだったら、人生この数年間に堀られまくられているはず。
そうなるとHIV対策も急務となったであろう。
気持ちをリラックスさせながら・・・・・少し冗談も交えて、しばらく性には関係のない話をした。
するとジーナは自分からこれまでの恋愛歴なども交えて話し始めた。

彼。。。。。。。もとい!彼女で行こう!
彼女は、生まれながらの性同一性障害である。
本人が自覚をしたのは、4~5歳だったと言う。
初恋は小学校の同級生の男の子。
その後、ハイスクールまで2~3の恋愛はするものの、全て片思いで終わった。
好きになるのは、全て男の子。
それもそのはずで、両親が厳格でジーナの異常に気づいてすぐに幼少から女性として育てられたらしい。
兄弟ですら、最近までジーナを女性として認識していた。
16歳の夏休みに近所の茂みで男性にレイプされる。
結局、これが原因で17歳という若年で、従姉妹のパスポートを取得し、女性としてジャパユキとなった。
それ以来、男性恐怖症で男性には心が開けないでいたらしい。
ゆえに、ジーナのアソコは処女・・・・・未経験だと言う。
現在は、1年前に知り合ったトンボーイ(オナベPina)と交際中。
ジーナいわく、タレントのバハイでは気が抜けないので、彼女のバハイで寝泊りをしていたらしい。
今日は、丁度 昨日のジーナの休日に大喧嘩をした挙げ句、ランナウェー中だとか。
まぁ、オカマである事を告白したのだから、これ以上の秘密はないだろう。
でも、内心 私は大きなショックを受けていたのは言うまでもない。

『でも、よくジーナはアコに話してくれたね!』
『ハニーハ アコノ ダイジ ディバ。』
すかさず
『大事なお客さんだもん・・・・・
(パーンチ(^^)q!)
・・・・・ね。って痛ぁ~ (@_@;) 』
冗談のパンチも女性のものではないから痛い。
『デモ ホントハ スッゴク カンガエタヨ。
モシ イッタラ イカウ アコノ コト キライ ナッチャウカナァ?トカ』
『嫌いとか好きって、そんなに簡単な気持ちじゃなかったからなぁ。
でも、たぶんアコがシングルで、イカウと結婚とか考えてたら。ショックだなぁ。』
『(*_*) ハニー イジワル ナマン。』
『ジョーク!ジョーク!ソリー ハ』
とは言ったものの、ショックはショックだ。

『ネエ ハニー。アコハ マタ ケンカ ナオッタラ シャーノトコロ カエル ア~。
ダイジョウブ ディバ?』
『アコは一緒に住んでやれないから。仕方がないよな。はっはははは』
『 (-_-メ) チョット マジメ ハナシ シテルンデスケド。。。。。』
『ごめん。ごめん。(^o^;)もう、冗談しない。』
『アコハ オトコ ナカ ハニーダケハ スキヨ。
ダカラ イカウ ダッタラ イッショ ネルモ ダイジョウブ(^.^)b』
『あっ・・・ありがとう。(;^_^A)』
『ハナシ カワルケド。マリテスハ イカウノコト ホントニ アイシテマスヨ。
ハニー!マリテスヲ イカウノ コイビトニ スルナラン。』
『なんてこと言ってんだよ!って事は、やっぱりジーナはアコの事。気にしてないって事じゃん( ̄~ ̄)ξ』
『チガウ!チャント キイテ。
アコハ ハニーノ コト スキ。デモ アイスルハ デキナイ。
モシ アイスルハ SEXモ ディバ。
ダカラ!ハニーハ マリテスト ヤルスレバイイ ディバ?
アコ マリテスハ ヤキモチ シナイ。
デモ モシ フタリ コイビト デモ アコノ ヒミツハ イウダメ ア!』
『そんなこと、言われなくても、わかってるって!( ̄□ ̄;)!! 』
『ジャア モンダイナイ。』
(アピール!)私は無理やり合わせて、ジーナの手のひらにアピールした。
『イイデスカ ハニー!
アコハ マリテスニ ゴメンナサイスル。
シャーニハ アコハ Lesbian(レズビアン) ッテイウカラ。
ダカラ アコハ タクさんト SEX デキナイ。ッテネ!
デッ!マリテス ニハ アコノ コイビトモ ショウカイスル。
ソシタラ Perfect ディバ!
ソレデ アコト ハニーハ タマニ フタリ フリン!!スルカ!!
パロパロ ナァ~!(^3^)/ 』
ジーナは、今までの影が嘘のように明るくしゃべりまくった。
『不倫!? 冗談じゃないよ!
なんで?バクラと不倫?(^Q^)/』
『(・_・|・・・・・・・・・ハニー・・・・・・)
『あっ!嘘!うそ!冗談だからぁ!』
『(;_;)ハニー モウ ジョウダン シナイッテ イッタ ディバァ・・・・』
ちょっとテンションの落ちたジーナを呼び戻すために、マジ顔でもう一発 冗談をかます。
『でも、ジーナ。。。。。(・・?)
俺たち不倫するのに、アコがイカウのチュッパするのか?
それとも、イカウがアコのトマホークを・・・・・』
ジーナは、赤面して私の胸を叩いて言った。
『Gagu na taragn!(本当にバカねぇ!)』
『わはははははははは』
こうして二人の不思議な関係が始まった。
いや!正確には「3人の不思議な関係」であった。

(;^_^A でも、オカマとわかっていてもジーナをオカマにしとくにはもったいない。どっから見ても絶世(ゼッセイ)のアジアン・ビューティーだ。
不思議なもので、女性ジーナの時には色々と自分に理由をつけて、終いには美と愛の女神ヴィーナスとまで呼んだにも関わらず。
ジーナが、ニューハーフとわかってからの私は、愛の神エロスが乗り移ったように頭の中がモンモンとしている。
我がトマホークは、やる気満々で燃料満タン!出動準備OK!しかも!しかも!ロックオン?体勢???なのはなぜなのか。

私は、夢から覚めるように大きく頭を振り、風呂からでてトイレに向かった。
ここで川柳(センリュウ)を一句!

悲しくも トム(トマホーク)の噴射に 冷水を
女神思えば 慰めの君よ・・・・・字あまり(^o^; 


*この話は、(仮名)ジーナがタレントとして来日しないので書きました。
もちろん、タレント現役中は彼女の秘密は厳守しましたのであしからず(^^)v
ジーナに初めて出会った時、それはこれまでの私の人生で、女性を見てこんなに感激した日はなかった。
自分自身でも説明のつかなかったが、それは見た瞬間に虜になった琥珀色の肌に愛らしい微笑と妖艶な香り、そして魅了される歌声。大きな括(クビ)れと長い御足(オミアシ)。まるでコカコーラ・ボトルのようなボディーラインのせいだったのだろう。
どこをとっても今までの女性にはないものばかりであった。
正にジーナは実在するこの世の女性としては、私にとって想像を越えた存在であった。
日本人には絶対にマネの出来ないDNAがもたらす神業(カミワザ)とでもいっておこう。

ジーナと出会う前の年を振り返れば、私にとっては最悪ともいえる事態が起っていた。
世間では、百貨店の「そごう」が事実上の倒産をして民事再生法で真逃れ。秋には統一地方選挙でヤスキチなるキャラクターを掲げて「なんとなくクリスタル」の著者が、なんとなく県知事となり。
年末には世田谷で謎の一家惨殺といった、先の見えない衝撃的なニュースが多い年でもあった。

こんな最中、一般的な中小企業の二代目が数億の借金を先代に残され他界されていた。
会社は言わずとも超債務超過、身内や自分の母親は当初「先代の命の証なのだから継承して欲しい」などと体裁のよい事を言っておきながら、その後 数ヶ月も経つと我が女房ですら「もうあなたが社長なのだから・・・・」と無責任を主張する。
また、日本の銀行などというものは今にして思えば闇金融と、そう大差はなく。
先代に貸し付ける時には、いい事ばかり並べて貸し付けて、担保価値が下がれば急激に返済を求める。
それでも、仕方なく頑張った、1年間は休みもとらずに頑張った。
死んだ父の口癖が「これだけ一生懸命まっとうに働いていて食えなければ、世の中が間違っている」。
でも、平成の世は間違っていた。正義が正義でなく、国家が国民すら守れず、ずる賢く頭を働かせてキーボードを叩けば、それが打ち出の小槌となり大金持ちに。
官僚を早期退職して財界の太鼓判を押してもらえば、大金を儲けまくるファンドマネージャーと化す。
そんなヤツ等ばかりが得をして、汗水流して一生懸命に働いた末に経済の大波に溺れれば、待っているのは「失踪」や「自殺」(年間3万人超)という選択肢。

だから、貧乏会社の立て直しは、そう簡単ではなかった。
気がつけば、弟妹は会社を去り、母親も叔父も逃げ出す算段である。
残されたのは他人である従業員のみ、馴染みのお客様と友人などが唯一の頼みの綱である。
身の回りの全てを切り詰めて、休みも無く仕事をして、何とか目処がついた頃に、それらは止めを刺すようにやってきた。
債権回収機構が先代の残した¥5,000万にもなる債権に数千万の遅延金をつけて1億近くの取立て、やっとの事で対策を弁護士と協議して対応にあたるが、顧問と言えども弁護士も100%は気は許せない事はすぐにわかった。
そんなタイミングで、虫の息を止めるように本社工場の地主から一部立ち退き要求。
更に、税務署からも先代時滞納分の一括納付の催促。。。。。。。。etc
正直、この年末は「もう、どうにでもなれっ!」という気持ちであった。

私には、「日本社会の責任」という重圧だけが重く圧(ノ)し掛かっていた。
一人取り残された私は、この世を恨(ウラ)み、父を嫉(ネタ)み、女房を初めとする身内にも心を閉ざした。
そして、孤独な絶望感の暗闇へと迷い込んでいったのだ。

私とジーナは、そんな暗ぁ~い年末が開けた正月に出会った。
誤解のないように言っておくが、決して自棄(ヤケ)を起こして、ジーナとここまで着(キ)たのではない。
あの平井賢のMiraclesのように・・・・・・
あの頃、「闇に惑う」私はジーナと出会い、我が「未来」に「光」が「放」たれたのだ。
そうして、ここまで私はなんとか辿り着いた。
ジーナは私の命の恩人と言っても過言ではない。

ゆえにジーナと知り合ってから、私的財産のほとんどを途上国(東南アジア)へ流れるように注ぎ込んで使った。
しかし、それも結果オーライで回収機構などには一泡拭かせてやって、請求額の半額で半年後に手打ち。(^^)v 
顧問弁護士も搾り取れぬと断念してか破格の報酬で手を打った。

ジーナと知り合い、結果的には日本人の持つ常識や観念には囚(トラ)われなくなり、本来 苦痛である事がとても気楽にできた。
また、下を見たらキリはないが、フィリピンの現況やジャパユキなどの置かれている状況を見れば、日本人であるだけ私は救われていた。
この頃になれば、私は心から素直に、そう思えた。
また、渡比して多くの落胆的なフィリピン人を目の当たりにすれば、もう日本の常識や良識に囚われて悩むなんてバカらしくさえなっていった。

ゆえに、この3年あまりで資産は全てなくしたものの、没収や回収されるわけなく、自分の意のままに使い果たした挙句(アゲク)に、自由な日本人の地位を手に入れることができたのだ。
私は、晴れて「世捨て人」的な日本人となっていた。
そんな私には、役所も国家も興味がないといった感じで、現在はとても気楽である。
社会的地位としてはホームレスと大差は無いが、国家政策やプロパガンダには左右されない環境を得た。
その上、フィリピン人なら殺人を犯してでも手に入れたい、日本国籍はそのまま(^^)vだし。
クレジットカードも残り、もちろんパスポートや免許証、その他のライセンスに関しては何の問題もない。
名義関係やローンなどでは、日本人の妻もいるので、実生活には何一つ不自由しない。

私は、闇社会の人間が多数名義を持つために人に優しくするのがよぉ~く理解できた。
そうなれば人は強いもので、降りかかる困難を困難と思わず、ゲーム感覚で冷静に、且つ楽しく切り抜けてゆけた。

こうして、私は納得のゆかない国家には完璧なる裏技で合法的に防御をし、心情的に捧げたい所へ大枚を注ぎ込んだのだった。
しかも、会社も倒産させず、自己破産することも無く。(^^)v
我ながら今思えば、「そごう」や「ダイエー」の最高経営者並の免責待遇での債務整理である。
この頃の私にしてみれば、この国の税金の使い方や国民(特に私のような平民)の扱いをみていれば、これしきの事はあたりまえの権利だったと思う。
これ以前には、それだけの税金を私も納めたのだから。
しかし、私はもう二度とこの国には利用されない。
そう固い決意もしたのがこの頃である。

こんなバカげた国家とは違い、ジーナやPina達は常に私に希望を与えてくれていた。
ジーナだけは・・・・・彼女といる時だけは、私自身が自信と希望に満ち溢れていられた。
二人の関係が始まった当初は、国家に殺されるくらいならマブPinaと心中もいいかなぁ?なんて過(ヨ)ぎった事もなかったわけではないが、そんなマイナス思考的な考えは、ジーナと知り合った翌日に払拭(フッショク)された。

但し、これまでのジーナの身の回りなどに不安を感じなかったと言えば嘘になる。
出会った時から、数え切れないほど多くの不安と、それを克服するだけの努力をしてきた。
ジーナは他のタレントと違い、根深いミステリアスな部分を持っていたからなおさらである。
そして、何よりも彼女たちジャパユキの世界で研(ト)ぎ澄(ス)まされた「虚と実の世界」での身のこなし方など、人間が人として生きてゆくための底辺の術(スベ)。
これら「物事の捉え方」「あらゆる状況での自分の身の置き方」そして「身の振り方」など、男35歳になって彼女達から教わったように思う。
これらの全てが、私の栄養となり、力となった。
PPに来る「金にものを言わせた嫌味な日本人」に仕掛けられても負ける気もしなかったし、延いては何者がどのような企てをして望もうとも負ける気はしなかった。
むしろ私に技(業)を仕掛けてくるものは、その全てが返り討ちにあっていった。
こうして、様々な困難な状況を打破してきたのだ。

私は、部屋に戻り全裸でシーツに包まれ寝ているジーナを見下ろした。
残念ながら、彼女の全裸のラインを見ても「抱きたい」という欲望が沸きあがらない。
理由は、すぐにわかった。
ジーナは、私にとって性欲の対象ではなかったのだ。
彼女からもらう勇気や知識、自信などと引き換えに、私がジーナに求めていたもの。
それは、愛他的としか言えないが、ジーナが幸せになる事。
ジーナに対しては、そこに私の欲は無に等しいのである。
ちまたでは、よく「君を幸せにするよ」とか。「君の為なら・・・・」などと言う言葉が飛び交うが、これは中国(漢字の世界)ではありえないそうだ。
なぜなら「人」の「為」と書いて、すなわち「偽」りという漢字になるから。
でも、そう言われても彼女の幸せ、彼女の喜びが、イコール私の喜びなのである。
だから、今回の恋人問題も半同棲問題も包容できたのではないだろうか。
ジーナがその人といて幸せならば、私はそれでよいのではないだろうか。
今あらためて自分に問いただしても「嫉妬」といった感覚はまるでない。
そこまで、わかっていればジーナの今の心境は手に取るように理解できるはず。
私は、この時 ジーナに対して愛他主義で望む事を決意した。

私は、ジーナを起こさぬように「そっと」横に入った。
ベットに入った私にジーナが巻きついてくる。
お互いに全裸同士で抱き合っても、私の気持ちは変化がない。
もちろんトマホークも、変化がないどころかピクリとも動かない。

ジーナは、私にとって象徴(Symbol)であるべきなのだ。
彼女は私にとってVENUS(ヴィーナス)の存在を示した女性といえるだろう。
彼女を通じて、人間不信に陥っていた私は「愛」の存在を再確認し、「生きる強さ」を取り戻せた。
そして、ジーナの生き様をみて、自分を心の中で叱咤して数々の困難を乗り越えてきた。
私自身、彼女のように「己(オノレ)を律(リッ)して生きる」人間に憧れていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
* 「己を律する:この場合は、自分の身の丈を自身で決め。自分の方向性や目的なども的確に決めて生きる事。をいう。言い換えれば生き方の潔(イサギヨ)さの事。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
うらやましかった。
理想でもあった。
しかも、ジーナは女性であり、フィリピン人である。
日本というある種、恵まれた国に生まれて、それなりの教育も受け、債務超過といえども年商2億の会社を棚ボタで手に入れた私が、文句を言ってはジャパユキに申し訳けない。
きっと、ジーナだったら・・・・・・・
そんな思いがこの2年半、私をここまで支えてきてくれたのだ。

そして二人は、このまま数時間 抱き合いながら夢の世界へと吸い込まれていった。
もちろん、トマホークも(-_-)zzzzzzzzzzzzz
胸に刻んだ薔薇の花目指して走らせる車のCDには、ジャーニーのアルバム。
迷わず今の気持ちはセパレートウェーズを選曲した。
そして、一緒に熱唱しながらのドライヴィング。
しばらく車を走らせる。
もちろん!ラストのフレーズ「No~!♪」を力強く大きく二唱する。

カ ラオケでタレント達は、このフレーズを、最後に「Yes!」と置き換え囃(ハヤシ)し立てるが、実はこれも英語のわからない日本人に対する当て付けの隠語 で、ジャーニーの歌詞の意味からは「SeparateがNo!なのだから」⇒「別れない!または別れたくない!絶対に離さない!」といった意味。

私は渾身(コンシン)の力で何度もリプレイして熱唱していた。
そうこうしているうちに、五差路の渋滞も抜けてジーナのいるバハイに近づいてきた。

車がバハイの前に着き、ジーナに電話をすると、彼女はすぐに出てきた。
歩いてくるジーナの肩には、ショルダーバックが、しかも今日の彼女はスッピンにジャージ姿である。
私は、いつものように車の助手席のドアを開け彼女を乗せてから運転席に乗り込んだ。
『どうしたのイカウ?ランナウェーでもするの?』
『Opo(^_-)ハニーノ バハイナラン』
そう言うとジーナはセンターコンソールを乗り越えて、私の肩にもたれかかった。
『はははは。Ako walan bahay(私の家はありません)。。。。IkawのBahay nalang!(君の家
は?)』
私が冗談を言うと、ジーナは目でジョークの講評をしてから言った。
『ハニー ドコデモ イイデス。シャワー デキルトコロナ。(^_-)』

私は返答に困った。
返答にも困ったが、行き先にも困った。
戸惑いながらも、しかたなく車を走らせた。
それは、まるで今の私の心境を象徴していた。
カラオケボックスのある市街地のパーキングを探して走ったかと思えば、川向こうのホテル街へ向かおうとしたり、しばらくは まるでミツバチの蜂ダンスのようだった。
その間 私は「本来ジーナと、どうしたかったのか?」など自問自答していた。

気がつくと荒川を越えていた。
左右には、ちらほらラブホテルの看板が見え隠れしてきた。
私は、自分に言い聞かせてからジーナに言った。
『ジーナ、今日は帰ろう。
イカウは、帰ってゆっくり寝なさい。
夕方シャワー浴びたら、店内同伴でいいから。』
もちろん、ジーナは不服そうな顔をする。
『( ̄^ ̄)・・・・・・・・・・・・・』
私は、不服そうなジーナを無視して帰路に心を切り替えようとする。
それは、丁度ラブホテルの入り口を通過しようとした瞬間におきた。
ジーナがハンドルを左へブラ下るように大きくきったのだ。
『キッキィー!』
とタイヤが悲鳴を上げて、車が曲がって止まった。
『危ないなぁ!( ̄□ ̄;)!! 何するんだよ!』

私が驚きながら振り向くと、、、、ジーナの下向いた顔から大粒の涙が。

このような場合、Pinaとの言い合いの成れの果て、しかも最悪な結果は刺殺に至る。
私は、我が身を守るためにも、とりあえず緊急避難と自分に言い聞かせて、ホテルの駐車場に車を止めた。
ジーナが一喝する。
『マタ アタナ イイヒトッ!?( ̄□ ̄;)!!
ハッ!タクハ インポテンツ ナノ!?
モウ ワタシタチ 2ネン デモ ナニモナイ!
オトコ ト オンナ ソレハ オカシイジャナイ!』
言われなくとも、そりゃそうである。
私は黙って車から降りた。
『早くおいで』
さっきの大粒の涙は「どこを流れる涙」か?ジーナはニコリと微笑んでいた。
(やられたぁ(;^_^A ))

二人はもらった鍵の部屋に入り、ジーナはベットへ、私は部屋の中を一通りチェックしてから風呂場へ行った。
『ジーナ!アコ 仕事でバサバサ(汗ばんだ)なったから先にシャワーするよ。』
『Opo』
まずは、浴槽に湯を張り、そのままシャワーを浴びた。
そして、湯船に浸かりながら、これまでの事をゆっくり考えてみた。
本当にこれが私の望むところなのか?
風呂場のガラスに浮かんだ南国の海辺を見上げながら一人で思いにふけっていった。
ただ、この場面になっても私のトマホークは、一向に発射体制には入らなかった。
キャラクター・イメージの為に言っておくが、私はこれまで やり過ぎ!(^o^:と言われる事はあっても、決してインポではないし、たいへんに○EXは好きである。
ジーナに指摘されなくとも、この期に及んでも寝ているトマホークを見て、一番納得ゆかないのは、この私である。

ジーナを想った時、心が穏やかになる。
ジーナを感じた時、勇気が沸いてくる。
ジーナを見つめた時、失いたくない気持ちでいっぱいになる。
ジーナに触れた時・・・・・・・・それを今から考よう。
昨晩は寝つきが悪かった。
結局、PPから帰宅したのは深夜の1時頃、それから寝ついたのは明け方の4時頃だった。
今日は、いつになく朝から「ボーっ」としがちで、何とか仕事をしているふりという感じだ。

ジーナとあのような結末になるとは、これまでに考えても見なかった。
時は11時。
昨日の今頃は、まだジーナと昔ながらの関係だった。
「人間一寸先は闇」とは、よくいったものだ。
明日の今頃の事もわからないで、人は生きてるのだと実感した。
それどころか、数時間先の事もわからないのが現実。
それが、この世である。

(おっ!ブルブルブル・・・・)携帯電話が胸ポケットで震えた。
(げっぇ~!?ジーナからだ。)一瞬、自分の目を疑ったが間違えなくジーナの携帯からの電話である。
しかも、時はまだ11時18分。
恐る恐る、しかし喜びにも似た懐かしい感覚で電話に出た。
『もしもし・・・・』
『ハニー ゲンキデスカァ~?モウ ゴハンタベタノ?』
私は呆気(アッケ)にとられた。
ジーナはいつもと同じように電話をしてきたのである。
『イカウ何言ってんの?昨日あんな事になったのに!』
『ダッテ ハニー アコ ヤキモチ ディバァ
イカウト マリテスガ パロパロスルカラ。』
『おいおい、俺たちは何にもないよ。パロパロはイカウでしょ?』
『ハニー!アコ パロパロ イッタノ?・・・・・・・アコノコト?(・・?)
アコガ イツ パロパロ シタデスカ?』
『ジーナ、アコ知ってるんだよ。イカウがいつもPPのバハイに居ないの。』
(もう、グウの根も出ないだろう)そう思った。
ところが、思いもしない返答が受話器に響く。
『ハニー、ソレガ ドウシタノ?イカウハ イママデ アコニ「どこで寝てるの?」ッテ キイタコトアル?
アコハ ソレデ「PPノ バハイニ ネテマス」ッテ イッタノ?!』
『ちょっと待ってジーナ!そんな屁理屈(ヘリクツ)言わないでよ!』
『アコハ イママデ イカウニ 1カイモ ウソ イッタコト ナイディバ?
アコハ ナニカ ワルイ シタノ?』
『・・・・・・・でも、昨日イカウ アコにジュースかけて、すごい悪い言葉 言ったでしょ。
あれが、イカウの本当の気持ちでしょ。「コンナニ ダマサレテ マダ ワカラナイノカッ!」って言ったのを覚えてるよね!』
『ハニー アレハ ゴメンナサイ。
ダッテ イカウト マリテスニ ヤキモチシテ。アコノ ココロガ アンコントロール
ニ ナッタンダカラ。
アコノ コトモ ワカッテクダサイ。オネガイシマス。ハニー・・・・・』

何を言っても、この調子で返される。
こんな会話が10分・・・15分続いただろうか。
このままでは埒(ラチ)が明かないと思った私は、とにかくこれまでの二人の関係にピリオドを打つ方向に話のベクトルを向けようと考えた。
『・・・・・・・・・・・とにかくぅ。ジーナ・・・・・・ジーナ聞いて!
とにかく、もうアコたちは、もう客でもなければ、ジーナは私の担当でもない。
もう、フィニッシュしましょう。
ねっ!わかった?』
『ワカラナイデス。ワタシタチハ モウ ナンネンデスカ?
ソレガ コレデ オワリ?ソンナニ カンタンナノ?
ハニーハ ソレデイイノ?(涙・・・)』
『あのねぇ。。。。。。もう止めようよ!時間の無駄。電話代もったいないよ。』
『アコカラ デンワ シタディバ?アコノ デンワ ナンダカラ カンケイナイ。
アコニハ ハニーガ ダイジダカラ(泣)』
『勘弁してよぉ。もうこんなドラマいいよぉ。』
『ドラマ ジャナイ!(号泣) アコハ ホンキ!』
と号泣しながら大声で言ったかと思ったら、急にトーンダウンした小声ですすり泣くような声で続けた。
『ナンデ アナタ チェンジシタノ?ヤサシイ ハニーハ ドコイッタノ?・・・・・・』
私は、何も言えなくなった。
最初は「呆(アキ)れた」というよりも「関心するなぁ」などと冷静でいた私も、30分以上もこんな会話に付き合っているうちに、徐々に「何が起きたのか?」「いや昨日の事が悪夢?」のような錯覚に陥っていった。
そして、その錯覚は私の本心へ乗移(ノリウツ)ってしまった。
ジーナから電話が来て、そろそろ1時間以上経つだろうか。
時は12時34分。
私は、ジーナというPinaに、自覚もなしに「錯覚が現実となった。盲目の世界」に引き戻されていった。
気がつかないうちに、私は意味もなくジーナに謝っていた。(^o^; あれっ?

『ごめん。Sorry ha!ジーナ 本当にゴメンネ。だから、、、、、もう泣かないで。
お願いだから。ねっ ジーナ・・・・・』
『ワカリマシタ。ハニーハ アコノコト シンジテ クレルデショ。』
『オォー!信じる。信じてるから。』
『ジャァ イマカラ アウデキマスカ?』
『えっ?今からぁ。。。。。』
せっかく、マリテスが意を決して、私の『恋の扉』に付入る亡霊ジーナから守るために、ありがたい封印をしてくれたのもつかの間。
たった、1時間あまりの電話での会話の誘惑に惑わされ。
いや!惑うどころか、気づいたときは既に遅し、まるで私は『怪談牡丹灯篭』の新三郎と化していたのだった。

しかし現世の牡丹灯篭は、原作とは話が逆でジーナは私に心底(シンソコ)惚れてなく、しかも私がノコノコとジーナに会いに行くのであった。(みっともない(;^_^A))
本当にみっともないが、これが事実。
現実は厳しいのだ。
続けてジーナは電話の最後にこう言った。
『ハニー キヲ ツケテネ。(^3^)
タレントハ ミンナ ボラボラ(おだて)ヤ ウソガ ウマイ デスカラ。』
『もう、わかってる!ってぇ(^o^;
でもぉ~、あのマリテスが嘘を言ってるようには思えないんだけどなぁ。』
『ソウヨォ。シャーハ アコノ トモダチ ウソハ イッテナイ。
 カノジョガ イカウニ イッタコトハ タブン ゼンブ ホント。
デモネ ハニー。 アコハ タレントヲ ミンナ シンジテナイ ダカラ。
シャーニモ アコノ ホントウハ ワカラナイノ。 ディバァ?!
ダカラ シャーヲ オコラナイデネ。
シャーハ ホントウニ イカウノコト スキヨ。タブン』
はたまた、ジーナな堂々と逃げも隠れも。。。。。。もとい!逃げも隠さずもせずはっきりと、そう言い放った。
そして、私がグウの根も出なくなってから、こう切り返すのであった。
『ハニー ナンジ アウスルデスカ?
イカウ スグ クルナラン!
アコ イカウニ スグ アイタイダカラ (^ε^)-☆Chu!!』
新三郎と化した私の返事は決まっていた。
『Oo po(はい)じゃあ、今からすぐ行く。』

つい2時間程前までは、黒一色のオセロが、ルールもなく白一色になった瞬間であった。
私は、正気を失い、仕事も家族も捨ててジーナの元へ行く準備をはじめた。
時は13時45分。
それから私は、怪談牡丹灯篭の牡丹ではなく、ジーナの右胸に刻まれた薔薇(バラ)を目指して車を走らせていた。
私の時計は、18時を回った。
しかし、一向にジーナからのコールがない。
( ̄~ ̄)ξ 私は、想定外なジーナの行動に悩まされていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
マリテスと約束した19時が近づいた。
時は18時55分。

もう時間がない、車から降りてPPへ向かって歩き始めた。

この日、天国への階段を昇り始めたのは19時05分。
防犯カメラを意識しながら、一歩一歩あがった。
扉を開けるといつもの出迎えが待構えていた。
『いらっしゃいませ。タクさん。ジーナさんでいいですか?』
(えっ?ジーナは今日、休みじゃないの?(・・?) )そう心の中で呟きながら、キョトンと頭でうなずいた。
スタッフが大きな声でガラ~ンとして店内へ向かい言う。
『いらっしゃいませぇ~!お1名さま13番ご案内。』
私は、次の展開を期待しながら、それに立ち向かうように席へ着いた。

そして、座るなりに一手を打ち返した。
『店長。マリテスを場内で入れて』
店長は、想定していたように伝票に記入しながら言った。
『はい。マリテスさん場内指名頂きます。ありがとうございます。』
そして、私の言いつけどおりウェイティングで座っていたマリテスが先に案内されて来た。
座るなりに彼女が言った。
『バキット(何で)!アコヲ シメイ シタデスカ?
 シャー(彼女)ハ キョウ 1セットダケ シゴトスルダッテ。
 アコ オミセ ハイルマデ ワカラナカッタ。
 ジーナ キョウ ドォ―ハン スルノヨ。』
毅然たる態度で、私は言った。
『全ては、私に任せなさい。大丈夫だから。』
『ダメェ~ アナタト ジーナ トラブルナル。
 ハヤク!アコノ ジョーナイ キャンセル シテクダサイ。』
『大丈夫だから!アコに任せて!』
半分あきらめ顔で、マリテスは店内で知りえた情報を話し始めた。
『カノジョハ ジョウナイ-ドォ―ハン
 シャーハ 1セットデ オミセ カエリマス。
 キョウノ オキャクサンハ シツコイ デモ イイオキャクサン。
 ダカラ シャーハ 1セット ダケ ガマンシテ シゴトスルツモリ。
 モウ シャーニ スタッフガ デンワ シタカラ。
 アナタ イルノ シッテル。
 シャーハ モシ ドォ―ハンノ オキャクサン カエッテ イカウガ カエラナイハ イカウガ ジャマディバ。
 タブン・・・・・・シャーハ イカウトモ ケンカスル。
 ドウスル?タクさん。ドウスルナノ?』
そう、私は本来PPはベテラン客なのだ。
これまで、ジーナのお陰で盲目になっていただけ。
目覚めた私には、今やジーナは敵ではない。。。。。。はずだった。(^o^;
しかし、ヤツも上手だ。
おそらく、まったく動じずに席につくだろう。
そして、彼女達の手口はワンパターン。(^Q^)/
マリテスが言うとおり、窮地(キュウチ)に追い詰められると、必ず難癖(ナンクセ)から喧嘩をけしかけてくる。
そして、その場をグチャグチャにて、その責任はあたかもこちらにあったように振舞うのだ。

この喧嘩を売るのは彼女達の常套(ジョウトウ)手段で、利用するだけ利用した客がお役ゴメンになった時にも、縁を断ち切るために用いる。
しかし、惚れ込んで気持ちが行っている時には、どんなに罵倒(バトウ)されようとも、男は下手に出て許しを請うのだ。
これをやってしまうと一生頭が上がらなくなる構図が誕生して、その男性は『鴨』から『大鴨様』へと進化を辿る事となる。

そうこうしているうちに、ジーナがお出ましに。
店内のタレント達の緊張も一層高まり、店内は何とも言えない雰囲気に包まれた。
ジーナが座り、今日の同伴客が見えた。
あれは、数年前に店でジーナが喧嘩を売って帰らせた春日部の爺さんだ。
(間違えない!)私は確信した。
(なぁ~んだ。俺にはあれ以来、断ち切ったような素振りをしていたが「ポイント君」として、しっかりキープしていたんだぁ。) と私はあらためてジーナの強(シタタ)かさを思い知る。

それから30分ほど経って、ジーナにコールがかかる。
第1ラウンド開始のゴングが聞こえた。
(カァ~ン)
ジーナは何事もなかったように、背筋をピンとはりモデリングのように闊歩(カッポ)しながら自分のスタイルを鏡で確認しながら歩いてきた。
『ハニー。。。。アコ キョウ グアイ ワルイノォ。ナンデ ワカッタ ノ?
 ヤッパリ ハニーハ アコノコト カンガエテルカラネ(^3^)/ 』
いつもにない甘ぁ~い声と言い方で、席に着くなり私にまとわり着くジーナであった。
ここは、怒ったそぶりより、相手がこの手なら合わせてゆく事にした。
『シンプレー(もちろん!)イカウが一番、大事だから心配してた んだよ。
 だから、お店まで来ちゃった。』
しばらく、こんな茶番劇が繰り返された。
こうなると30分は長い。
互いに繕いながらの会話で第1ラウンドは終わった。
その間、ジーナはマリテスの存在すら無視していた。
(カァ~ン)

ジーナが爺さんのところへ戻る。
一言もしゃべらなかったマリテスが『フゥ~・・・・』とため息をついた。
『タクさん。アコ ワカッタ。(;-_-+ )
やっかいな面持(オモモ)ちでマリテスが言う。
『アコハ シャート ナガイカラネ。
 シャーガ ナニ カンガエテルカ ダイタイ ワカリマス。』
『でっ?何 考えてるの?』
『オネガイダカラ。キョウハ 1セットデ カエッテクダサイ。』
『だめだよ。ただ「・・・カエッテ」ったって、何の解決にもなりゃしな い。』
『オネガイダカラ。シャーハ アタマイイダカラ。
 Win(勝つ)ハ デキナイ。タブン・・・・・』
入店してからあと15分で90分=1セットだ。
私は仕掛ける事にした。
『テス!カラオケ本とって
 よ~し歌うぞ。
 じぁあ、これ』
私の指差した曲番をマリテスがリクエストカードに書いてスタッフに手渡す。
しばらくしてからイントロが流れ出す。
私はマリテスをエスコートにステージに上がりチャーの「気絶するほど悩ましい」を歌う。

♪♪♪・・・・「鏡の!中で!口紅を 塗りながら!
        どんな嘘を!ついてやろうかと 考え~る♪
 あぁなたわ~ 気絶するほどぉ 悩まし~い!」・・・・♪♪♪

♪♪♪・・・・「あ~ぁ また♪ 騙され~と思いながらぁ~!
        僕はどんどん堕ちてゆくぅ~♪

♪♪♪・・・・「あ~ぁ 嘘つき♪ 女と怒りながらぁ~!
        僕は人生かたむけるぅ~♪

                              
特に「嘘」「騙す」「落ちる」を強調して、私の反撃は終わった。
(これなら、ジーナもぶち切れて仕掛けてくるだろう・・・) そう私は思った。

とにかく、この時点で私はジーナと店内公認のシチュエーションで決別したいと考えた。
そして、次回からはジーナに気兼ねなく、このマリテスを指名して通えるようにしたい。
この際の最大の注意点は、ジーナにイニシアチブ(主導権)を握られてはならない。
そうなれば、今後ずっとマリテスは『アテ:ジーナの客を横取りした悪者』となり、この恐怖のババエ’ズ・ワールドで迫害される事になってしまうし、私もこのPPに来にくくなる。そうなれば、互いにやっかいだ。

PPに行かれたことのない方々には理解しがたいだろうが、これはこのPP業界特有のものである。
指名するホステスを常連客がいきなり乗り換えたりしたら大変な事が起こる。
こと!私とジーナの場合においては、血の雨が降ってもおかしくない。
マリテスも、それは覚悟しているようだ。

そんな事を考えているところにジーナが戻り、第二ラウンド!が始まる。
(カァ~ン)
『ハニーサッキノウタ♪。
 ナンテウタ?イイウタネ!?
 ナンカ アコノ イメージニ ピッタリデショ!(^_-)』
やはりジーナは理解していた。
私は、とぼけて聞いた。
『なんで?ジーナのイメージってBadGirlなの?』
すると今までのかわいらしい笑顔が一転して悪魔の形相になった。
『ナァ~ニ イッテンダヨ!コノ バッキャロ ガ!
 ア~ン!オマエハ アホカァ?イママデ コンナニ ダマサレテ  マダワカラナイナノ~!』
次の瞬間、ジーナが自分の飲み物を、私の顔 目掛けて「ピシャ!」とかけた。
一瞬、驚いたマリテスだが、瞬時に臨戦態勢!
飛び掛ろうとしたマリテスを私が片手で制する。
すると、次にジーナはこう言い放った。
『アレェ~ オフタリサン イツカラ コンナ ナカヨクナッタノォ??
 アコ シラナカッタ ジャン!』
このジーナの豹変振りは、まるでオカルト映画の一場面のようだった。
ここで、初めてマリテスの存在を意識するかのようにかぶせて言い放つ。
『オマエ(マリテス)モ オマエダヨネ!ドロボー!
 ダカラ キノウ アコニ モンクシタノカ!
 モウ タクト ナンカイ ヤッタノ?キモチ イイナノ?ハァー!』
臨戦態勢のマリテスを片手で抑えるのも限界だと思っているところに、見かねた店長がおしぼりを持って駆けつける。
ここでレフリーストップである。
(カン!カン!カン!カン!カン!カァ~ン)
あのジーナがみっともなかった。
彼女にしてみれば、とても屈辱的なリングアウト仕方だった。
スタッフに両腕を抱えられながら、店内に響き渡るように暴言を吐きながらの退場である。

私の洋服を拭きながら、マリテスの左手にはしっかりと光るものがあった。
それは金属製のマドラーであった。
(;^_^A (やっぱPinaは怖っ!) そう思った。
『テッ・・・テス? もう・・・・それっ!いいんじゃないかなぁ?
もう、ジーナは居ないから。そのマドラー こっちにくれる?』
(ハッ!)と我に返ったマリテスは、恥ずかしそうにマドラーを私に渡す。
手に持つ感触で、その金属製のマドラーが曲がっている事に気づく。

私は、正当な客を装って言い放つ。
『店長。もうジーナはこの席に戻さなくていいから。
見送りもいらないし。』
この時、私はジャパユキの常套手段を逆手にとってやった、くらいに考えていた。
そして、この日ジーナは私の席には戻らず、春日部の客が帰るのを見送ると、店から姿を消していた。
時は23時をまわり、私は(これでジーナとは終わった)そう思った。
タレント達もいい加減なもので、来るヤツ来るヤツが口を揃えるようにジーナを悪く言う。
そして、私とマリテスを祝福する言葉をかけるのだ。
私もマリテスも、当事者は浮かれてはいなかった。
「明日は我が身」という言葉はPinaの辞書にはない。
そう実感した日でもあった。
夕方の上野:松坂屋前、ここは渋谷で言えばハチ公前みたいなもの、夕方ともなればPinaと同伴客のメッカとなるが、今はまだ少し早い。
約束の5分は、過ぎたものの、マリテスは10分前には来た。
ノー・メイクにGパン、上着はWシャツの胸元を開け、質素だがカッコイイ。
店内では、あまり目立たなかったが、素材がよいのか?綺麗だった。
そう、それが今 思い起こせばマリテスの第一印象だった。
しかし、その時の私には観賞に浸る余裕はなかったと思う。
『早い時間に呼び出してごめんね。』
『ダイジョウブデス』
『Kumain ka na?(ご飯食べた?)』
『OK Lang(大丈夫!) クヤー タガログ ジョウズ デスネ』
『俺まだ一言しか言ってないよ。』
『ナンカ タクさんハ ニホンジン ジャナイミタイ。
ピリピンジン ニ ミエルカラ・・・・』
笑いながら話すマリテスに、その場の雰囲気は助けられていた。
『とりあえず喫茶店でも入ろうか?』
『Oo po(はい)』
私達は、しばらく歩いて喫茶店に入った。
互いに注文した飲み物が来てから、私は手探りしながら切り出した。
『今朝。。。。。。昨日は大変だったんだって?
でも、ありがとうな。アコの為にそこまで』
恥ずかしそうに下を向き、首を横に振りながら彼女は言った。
『チガイマス。ダレノタメデモナイ。ワタシノタメ ダカラ。。。』
私は、あえて否定せずに言った。
『そうかぁ。それならいいんだけど。
でも、勇気あるね。今もおとなしいけどマリテスがそんなに勇敢だとは思わなかった。』
『ユウカン?』
『あっ。。。。。Courageって言うか。Courageousかなぁ。』
『フィリピンジン ハ ミンナ バカニサレタラ コワイデスヨ。クヤハ ベテラン ダカラ シッテルデショ。』
彼女の表情や言い回しから、昨日のジーナの様子がとって見えた。
『そんなにジーナは、私をバカにしてた?』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『あ~ぁ、ごめん。話をチェンジしよう。
本当は、知ってるんだよ。ジーナが誰と一緒に住んでて、誰の事を好きなのか。』
本当は、知らなかった。さっきまで寝耳に水だった。
しかし、この時の私にはこう言うしか、身の置きどころがなかった。
マリテスは博愛(ハクアイ)的な、ものの言い方に少し怪訝(ケゲン)な言い方で返してきた。
『クヤハ スキナヒト ガ ホシイジャナイノ?
 ナンデ ソンナコト イウデキルノ?
 ダカラ ジーナハ アナタノコト バカニ シテルジャナイ!
 アコハ ジブンノ スキナヒト バカニ サレテルノ ガマン 
 デキナイ。』
私は、場面的に冷静を装って言った。
『そうだなぁ。でも、イカウ達は仕事で日本に来てるんでしょ?
恋人チャカ(and)フィアンセを探すためじゃないディバ?
だから、アコ達もお客さんでいいんじゃない?』
この時のマリテスは、少しガッカリした様子で、また理解できないといった顔で言った。
『ダカラ ニホンジンハ ワカラナイ。』
『ん・・・ん。日本人とフィリピン人とは難しいかもな。』
『ヒンディ(いいえ)。ホントハ ムズカシイジャナイデス。「愛」ハ  カンタン。
「アイシテル」or「スキジャナイ」ダケ。デモニホンジンガ ムズカシ
 ク シテルンジャナイ?』
『そうだね。日本人が難しくしてるのかもしれない。』
『「・・・・シレナイ」ジャナクテ。アコハ ソウオモイマス。
イママデモ ケイケン アルカラ。。。。』
マリテスの顔がとても寂しそうに見えた。
それから、二人は1時間あまりお互いの恋愛感や経験について話し合っただろうか。
気がつけば、そこには誠実で素直な彼女に引かれてゆく自分があった。
『ねえマリテス。』
『「テス」デイイデス。イイニクイ デショ。』
『テスかぁ。ん!こりゃ言いやすいわ。
 テス。今から食事に行こうよ。時間もあるし、できればこのまま
 同伴ってのはどう?』
『クヤー ジーナ。ヤスミディバ。』
(;^_^A ゲッ!知らなかった。おそらく、そんな事も知らずにノコノコとネギを背負っていったら、またまた彼女の嘘で、「ハニー キョウ アコ グアイ ワルイカラ ヤスミスルア~・・・・」などと上手くあしわられて、お終いであったのだろう。
(>_<)。。。。。。。。。。。。。。(・_・|・・・・・・・・\(^O^)/

目が覚めた。この時、私は完全に目が覚めたのだった。
『よぉ~し!
 イカウは、今 恋人とかボーイフレンドはいるの?』
『イナイ ディバ!
 ナニイッテルノ!イカウ@#&%$*?。。。ナニイッテル クヤァ!』
『じゃあ。アコを信じて、全部アコに任せるナラン(^.^)b』
 目覚めた私は、次のようなプランをたてた。

これから、二人は楽しくひと時を過ごす。
スタッフが送迎に来る17:30までにマリテスをバハイに送り届ける。
マリテスは同伴なしの状態で、いつもどおりPPへ早出する。
どうせ18時近くになれば、ジーナが私の携帯へドラマ(演技)をしに連絡を入れてくるだろうが、私は携帯を留守電にしておいて、絶対にその電話には出ない。
19時に私はPPへ入店し、マリテスを指名する。(^^)v

後日、ジーナが何と言おうと私の大義名分は!「電話に出ないジーナが心配で店に行った。でも休みだったので友達のテスを指名した」という筋書き。
これなら、ジーナもグウの音も出ないだろう。
そして、今日を起にジーナを断ち斬(切)る!
その時の私は、そう思った。
それから、二人は楽しくデートをし、予定通り彼女をバハイに送り届けた。
もちろん、後でPPで落ち合う約束をして。
私は、車の中でジーナからの電話を待った

私は、酔いしれた。
それは、酔うというよりは狂っていた。
ただただ、自分の持つべき時間と金をジーナに費やした。
ジーナの為なら仕事も家庭も顧(カエリ)みず、ただひたすらに彼女とその妖艶な雰囲気に酔いしれたのである。
気がつけば、イラクではサダム・フセインの銅像が倒され、日本では18年ぶりに阪神タイガースがセリーグ優勝していた。

もう、ジーナと知り合って2年目が経過しようとしていた。
ジーナのお陰といってもよいのだろうか?
私の体系は20代の時のようにスリムなマッチョ、洋服も若返り、何より自慢の歌にも磨きがかかり、気がつけばタレントの大好物となっていた。
しかし、その半面、多額な授業料を払ったのも言うまでもない。東京の環七圏内で車庫付きの建売が1~2戸、買えただろうか。

そして、今やジーナは居ない。
もう彼女に会う事もないだろう。
数ヶ月前に目が覚めてみれば、これまで彼女の行動には不審な点は多々あった。
しかし、彼女に対して盲目であった私にはまったく見えなかった。
いや、見ようとしなかったのだ。

あれから2ケ月。
今、私の横には一人のタレントが寝ている。
ジーナとは風貌がまったく違うPinaである。
彼女が私の目を覚ました。
いや、覚ましてくれたのだ。
この2年間、ジーナが来日すると半年1セットで私はPPへ入り浸っていた。
日数にすれば、500日以上。
半年も前から、人伝えに、このマリテスが私に気がある事は聞いていた。
しかし、ジーナと同じ店、同年代、二人はファーストタイマーから一緒の仲。
とてもではないが、マリテスのアプローチには、嬉しくはあっても、応えられる状況にはなかった。

でも、あの日が来た。
私の目が覚める時が来たのだ。
あれは、あと1ケ月もすればジーナが帰国するという日であった。
ヘルプで初めてマリテスが私の席についた。
今考えれば、この紹介事態が不自然だった。
新人を常連客に紹介する事はあっても、マリテスのようなベテランを私に紹介するなんて、店側の策略だったに違いない。
いつも遠巻きに私を見ているのは意識していたが、こんなに近くでは互いに意識しすぎてギクシャクしていた。

1週間ほど前には、彼女が帰国するブンソのビデオ撮りを頼まれた撮影中に、私のカラオケが入った。
ステージで歌う私を隠れながらに撮影しているのに私は気づいた。
歌い終わっても、ファインダーで追いかける彼女に私が投げキッスをすると、ビックリした彼女はビデオを放り投げて、そのテーブルは大騒ぎ。(;^_^A
こんな一場面もあった。
私は彼女の気持ちは十分すぎるほどに知っていた。

しばらくは、私がリードして、たあいない話をもちかけリラックスさせた。
彼女は、そのうちに自分の生い立ちや、これまでの経歴を話し始め、フィリピン人との間に12歳になる女の子が1人居ることや、その亭主とは若い頃に別れたこと、6年間はフィリピンで靴を作って子育てをしていたことなどを話してくれた。
マリテスは自分の事を話し終えたあとにこう言った。
『イカウハ ジーナ ノコト アイシテルナノ?』
『うん。そうだなぁ。』
その頃、ジーナの気持ちがわからなくなってきた私としては、あまりにも直球な質問にためらいがあった。
『モウ フタリハ ナガイデショ。ケッコン スルノ?』
『(;^_^A 結婚は出来ないんだ。俺、日本で結婚して子供もいるから。 』
『イツモ オミセニ イルケド ファミリーハ ドウシテルノ?』
『そうだね。サラリーだけあげて、ぜんぜん帰ってないな。悪いなアコ。』
『ンゥ~ン。ソンナコトナイデス。ミンナ イロイロ デスカラ・・・・・
ナンデ ジーナト イッショ クラサナイノ?』
今考えれば、この言葉が彼女の最大の気遣いだったのだ。
しかし、その時の私にはまったく、そのシグナルが見えなかった。
『だって、一緒には暮らせないでしょう。イカウたちは、お店のバハイがあるでしょ。』
『・・・・・・・・・・・・・』
この時のマリテスは、今だから言えるが、とても意味ありげで、つぶらな瞳を私に向けて私にシグナルを送っていた。
そして、次の瞬間 マリテスは去り、ジーナが戻ってきた。
席に戻るとジーナはしきりとマリテスとの会話を聞きだそうと質問攻めだったのを今でも覚えている。

そして、その日の終業後にマリテスは意を決してジーナに迫った。
明け方のバハイでは、一歩間違えれば流血の惨事という緊迫した状況があったのだ。
当時そんな事も知らない私は、暢気(ノンキ)にも翌日これまでと同じようにジーナに電話をしていた。
しかし、彼女はいつもの希少時間になっても出ない。こんな事は、はじめてだった。
心配になった私は、3時頃から彼女たちのバハイ近くで、ジーナに電話をしていた。
早起きのタレントが私を見つけるなり近づいてきて来て言った。
『クヤァ~ モテル ハ タイヘンナァ~。。。』
最初、私は彼女の言っている意味がわからなかった。
『・・・・・・・・』
しかし、知らないと言うと彼女たちは貝になるので、知っているふりをして誘導尋問して聞き出した。

今朝方の出来事を聞いてビックリするとともに、ジーナがバハイに居ない事実も知りショックが倍増。。。。。。
心に風穴が開き、足の力が抜けてゆくのを感じた。
ジーナがバハイに居ないのは、今に始まった事ではないようだ。
そのタレントは、私とジーナが同棲していて、昨日のマリテスとの関係修復に早い時間から私がマリテスを待っていると思ったらしい。
でも、その時の私にはジーナの行き先は皆目見当がつかなかった。

私は、想像する他の男の横で寝ているジーナに、これ以上電話をする勇気もなく。
かわりに彼女たちのバハイの公衆電話を鳴らしてみた。
タイマーらしいタレントが電話にでる。
『モシモォ~シ。ダレデスカァ~?』
『ヘロー!シー タク。アテ・マリテス いますか?』
『サンダリーラン ポー(チョット待ってください。)』
・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しばらくするとマリテスが出た。
『・・・・・・・・・・・・・モシモシ。。。』
『おう、タクです。わかる?』
『ハイ。ワカリマス。』
『これから会えないかなぁ。』
『ゴメンナサイ。キノウノコトデスカ?』
『いいや、、、、ヒンディ。君に会って話がしたい。今日は同伴あるの?』
『Wala(ありません)』
『じゃあ、これから会って話ができないかな?』
『・・・・・・・・』
『大丈夫!昨日の事はアコのためディバ?だから怒ってない。マリテスにあって話がしたいだけ。』
本音は、詳しいところを聞きたかった。
『ジャァ ハナシダケネ。DUHANハ コマリマス。』
『わかった。何時にしようか?』
普通は、早くても1時間が相場なのに対し彼女の返答には驚いた。
『5フン シタラ マツザカヤ ノ マエ ニ イキマス。』
私は、了解して待ち合わせ場所へ行った。

ジーナは、アヤの現実をあっさりと切り捨てた。
『デモ、ハニー ショウガナイ ディバ。フィリピンジンダカラ。。。。。。ネ』
「何がしょうがないものか!」私は心の中で、そう応えた。
「世の中には貧富の差があっても、最初から仕方のない事などはない。」と、この時の私はそう思った。
特に、「フィリピン人だから諦めなくてはいけない事などはない。」と強く思った。
この頃は、そう思っていた。
そして、ジーナが自分に重ねるように言う。
『ホントハ アコダッテ ハジメテ キタノハ18サイヨ』
『えっ! ジーナもパスポート違う人のなんだ?』
未成年では、ジャパユキにはなれない。
その為に未成年の場合には、成人の戸籍を買い、そのパスポートを作成して、興行VISAを申請し来日するのだ。
『アコノ パスポートハ イトコノ オネエサン。
ハニーハ アコノコト アマリ キカナイネ?』
これまで、ジーナのプライベートには踏み込まなかった。
私は、敢えて踏み込まなかったのかもしれない。
よいチャンスである。絶好のチャンスである。
「聞いてみたい」いや「聞きたい」そんな気持ちが私に言わせた。
『聞きたいな。ずっと聞きたかった。』
『ドウゾ。』
私の恐る恐るの態度とは裏腹に、ジーナはスラスラと語り始めた。
『アコノ ナマエハ カルロスG・アマリア。
イマハ21サイ。
ニホンハ6カイ デス。』
そして、その語りは止まらず続いた。
『フィリピンニ ララキノ コドモ(男の子)ガ イサ(一人)。
マエノ ショータハ フィリピンジン。
16サイ トキ ランナウェー(家出)シテ、コドモノ オトウサント イッショ クラシテ、17サイ デ シャー(子供は)ウマレタノ。
ソノアト セパレートシテ、バハイニ カエッテ、タレントニ ナッテ。
イチバン サイショハ ココ(上野)。ニカイメ カラ ヨンカイメ マデ サイタマ。
コノマエガ オギクボ。デ! マタ ウエノニ カエッテキタ。
ニホンジンノ コイビトハ イママデ2人 デモ ミンナセパレート シタ。
マエノ サイタマ デ ホントハ スキナヒト イタケド。シャーハ アヨコ(ダメ) ダッテ・・・・』
ジーナの少し言いにくいような間に割って入って、私は言った。
『もういいよ。わかった。
それは、みんなもう終わったでしょ?終わった事は、アコには関係ないから。』
でも、本当は「日本人の恋人」の部分と「ジーナが気を寄せていた男」については、とても気になっていた。
『ワカリマシタ。』
「聞きたい!」本当は根掘り葉掘り聞きたいのである。
しかし、またもやジーナは素直に語る事をやめてしまった。
みっともない事はわかっていたが、恥を忍んで聞いてみた。
『前のショータ(恋人)は、騙された?』
『ハニー!「ダマサレタ」イワナイデ。
Love Gameハ 50:50(フィフティーフィフティー) ディバ。』
ジーナらしい答えだ。
私は簡単に納得した。
そう「簡単に」、何の疑問ももたずに納得したのである。この時は・・・・・・・・
「Love Game」という言葉を流してしまった。

楽しい時間(ジカン)とは、経つのが早いものである。
時計を見ると既に19時。
『おう。そろそろ行くか?』
『オーポ』
ボーリング場の入ったビルを出て、お店まで徒歩で5分。
『ハニー、マダジカン アルカラ ママヤハ(後で)オミセ アー』
『じゃあ、あとでな!』
ジーナの言うとおりに、抜け道の銀行前でジーナ達と別れて見送る。
彼女たちは振り向かずに天国への階段を目指して歩いてゆく。

『タク、茶でもするか?』
コーヒーの好きな先輩が言う。
『そうですね。』
2人は、いつもの喫茶店に入り指定席に座る。
そして、お約束のブレンドを2杯注文する。
私の方から、さっきの話題へ戻す。
『急に泣き出すんだもん。ビックリしちゃったよ。浅輪ちゃんがあんなとこ連れてくから。』
『喜ぶかと思ったんだよ。日本来るとみんな綺麗なところばかりだろ。結構、あそこは外人にはウケがよかったんだけどなぁ。』
『アヤ、何で泣いたか、わかります?』
『おう、ルビーから聞いた。自分ん家(チ)、思い出しちゃったんだってな。
連れてく相手を間違えたな。俺としたことが(^o^; )
『ルビーもビザヤ言葉わかるんだ。』
『おう。ビザヤの出よ!レイテ島よ!』
『そうなんだ。』
『レイテも似たようなもんだってよ。まぁ、ルビーのとこには電気とガスはあるらしいが』
考えてみれば、このような経済状況はフィリピンだけではない。
アヤのような境遇、いやそれ以下の子供達は、この世界には沢山いる。

19時30分をまわったので店に向かう。
いつものように天国への階段を昇り店内に入りジーナを待つ。
支度を済ませていたアヤとミーナがすぐに来た。
続いてルビーも来た。
「ジーナが遅いなんて珍しい。」
何気に、鏡を使って店内を見回す。
すると、ジーナは既に接客をしている。
(W同伴?) (・・?)
(まさか。やられた?
しかし、ジーナは何も言っていなかった。)
気にしていないように平静を装い飲み始めた。
しばらくするとジーナが来た。
『ゴメンナサイ。ハニー シメイノ オキャクサン キテタ』
『そっかぁ。よかったじゃない。』
私の心中は、今の言葉とは真逆だった。
『シャー サイタマノ オキャクサン ヨ。』
とぼけて誘導尋問してみる。
『あ~ぁ。あのイカウが好きだった?』
『オーポ。ナンデ ワカルノ?
シャー シッテルナノ?』
ガーン!本当はショックだった。
懸命に平静を装いながら、実際には腰から下の力が入らないほどショックを受けていた。
『さっき、ジーナが言ってたじゃない。
だから、そうかなぁと思って』
この時の私には、この「知ってるよ」発言が精一杯の装いであった。
『よかったね。好きな人が来てくれて』
『ヨカッタナノ?
ホントウニ ヨカッタデスカ?ハニー!』
『違う!そんな意味じゃないよ!』
では、どんな意味なのか?言っている自分でもわかっていない。
『ジャア、ドンナ イミデスカ?』
(ほら!きた!)どのように答えるのか、必死で言葉を検索する。
その結果、出てきたのがこんな言葉であった。
『ポイント稼げてよかった。の意味だよ。』
(何言ってんだ!俺?)そう、心の中で呟いていた。
『ソウデスカ!アコ ソンナ ポイント イラナイ!』
この間の事例もある。
喧嘩を仕掛けて、客を帰らせるくらい朝飯前のジーナである。
なんとかしなければ、また収拾がつかなくなる。
ところが、ジーナの反応は予想に反して急に、にこやかな顔で言うのであった。
『モウ スキジャ ナイカラ。
シャー トモダチト イッショディバ、シゴト カエリダッテ。
タブン タマタマ ダケ。』
「救われたのか?」それとも「救ったのか?」私にはわからなかった。

それよりも、重大なのは私の心の方だ。
重症である。
恋の病(ヤマイ)で手遅れだ。
学生時代に味わったような、余裕のない嫉妬と不安が心を金縛りにしている。
こんな気持ちは十数年ぶりである。
この日は、なぜか勝手な思い込みに流されるように心が体を誘導してゆく。
(とにかくジーナにとって、俺の席が一番居やすいようでなくては)
今日の私は、へんな事ばかりを意識している。
(まぁ、今やジーナにとっては特別な存在なのだから。。。。。。)
そう、自分に言い聞かせて、心を静めた。
どうであれ、ジーナと一緒に過ごせれば、それでよかった。
この薄赤暗い店内でも、二人が一緒であればよかった。
また、明日になって朝が来れば、この夢が覚めてしまう。

彼女は目覚めると客からの電話に追われて、ドラマ(演技)で応対をする。
店の外を歩けば、他の客から声をかけられ、また店内へ入ればジーナとして振舞う。
考えてみれば、ジーナがアマリアに戻る時間は、この日本では寝ている時だけなのだ。
そして、私はいつもジーナと一緒で、未だにアマリアとは会った事もない。
こんなに切なく、こんなに寂しい恋ははじめてかもしれない。
こんな事を考えているとジーナがカラオケ本を手渡しながら、私にリクエストする。
『ハニー ヒライ ケン ノMiraclesウタエ マスカ?』
『♪高いなぁ~。( ̄~ ̄)ξ ん~、たぶん歌えると思うよ。』
アヤが嬉しそうに言う。
『クーヤー アコMiraclesアン グスト コ(好き(^Q^)/)。』
リクエストを入れると有線のBGMが止まり、平井賢のミラクルが流れる♪。
私はジーナとアヤをエスコートに、イントロの流れと一緒にステージへあがる。
そして、渾身(コンシン)の気持ちを移入して歌う。
ア~ァ アァァ~アアァァ♪~
ドドドド~ド~ン♪
『♪ささやくぅ~声がぁすきぃ~~耳元でぇ~♪・・・・・・・・・・・・・』
初めて歌って気がついた。
(ん???この歌詞・・・・・(・・?) この意味って????)
そう、この歌詞こそ、今の私の心境、そのままである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
♪まさに今の私はジーナの虜(トリコ)。
まるで魔法をかけられたかのよう。
朝になると私だけが現世へ戻り、夢から覚める。
もちろん、私が目覚める時には、ジーナ君は夢の中。

♪私がジーナを独り占め出来る時は、彼女が寝ている時だけ。
その時だけが、ジーナを私の心の中で束縛できる唯一の時間。
そして、また夕方になると私はジーナに会いに行く。

♪1日のうち、ほとんど私はジーナと一緒に居る。
しかし、私はもっとジーナの確固たる存在になりたいと欲(ホッ)する。
なぜならばジーナは、私のお先真っ暗な、どん底人生の唯一の光だから。
そう、君が導いてくれた素晴らしい気持ち。

♪でも、最近の私の心情はどうだろう。
ジーナと一緒に時間(トキ)を過ごせば過ごすほど、心がせつなくなってゆく。
ジーナを感じれば感じるほどに、私の心は破裂しそうに痛い。

♪私は、どこかで祈り続ける。
この奇跡が、ずっと続きますように!
現実逃避だと判っていても、ただひたすらに祈り続ける私がいる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
席に戻った私は思いに深けた。

私はこの頃、債権回収機構から取り立てを受けていた。
その額は1億数千万円。
経済的には四面楚歌であった。
そんな時に先輩がこの店に誘ってくれた。
そして、私はジーナと出会った。
当時、破れかぶれだった私は、彼女と遊んで家をあけた、その日に覚悟を決めた。
映画館でジーナの膝枕で見た夢は現実となりつつある。
「どうせ、死ぬくらいなら。人生楽しく。そう、社会の決め事なんか超越して最後くらいは人間的な人生を過ごそう」と
人は皆、何らかの悩みを抱えて生きている。
その悩みを「荷物」に例えるならば、人は荷を背負うことはあっても、けっして降ろす事はない。
それが人生なのだ。
しかし、時に人は重荷を背負いすぎる時もある。
場合によっては「失踪」や「自殺」をする要因も、この類かもしれない。
アサワ先輩とPP解禁するまでの私は、この極限に達していたのかもしれない。
二十数年前にPinaと始めて恋に落ちて、渡比した時には私は青かった。
しかし、その後 数十年間は、遊びも絶ち、家族の為に数千円の金も惜しんで、仕事一筋でやってきた。
でも、結果はどうだろう。
時代の波にさらわれたとはいえ、会社はあえなく遭難寸前。
最近の世の中は、真面目に取り組む人間が報われないようにも思える。
思い起こせば、この十数年間、心から楽しいと思った事があるようななかったような、そんな人生が続いていた。
そして、十数年ぶりに行ったPPで、見た「踊」と「音」と「楽」。
嬉しければ体を動かし表現する。
自分の気分に合わせて音を選び。
歌いたければ歌いって楽しむ。
食べたければ食べ。
泣きたければ泣く。
笑いたければ笑う。
無理のない、正直な感情。
そして、彼女たちの体に染み付いた感性。
私は、これまでの事がバカらしく思えた。
そして、急に楽になった。
それからのPP周り。
とても楽しかった。
そして、ジーナに出会って目覚めた、十数年ぶりの「男としての私の感性」。
これを奇跡と言わずに何と言おう。
私は、まだしばらく、この奇跡に酔いしれるのである。
pi 昨晩のファミレスで、「明日は、アヤもヘルプ同伴しよう」と言うことになっていた。
翌日、ジーナと私は、待ち合わせ場所へ向かった。
この時間帯ここは、タレント達と客との待ち合わせメッカとなっていた。なぜかここでは皆アイコンタクトで挨拶をかわす。これが暗黙の了解なのである。
雑踏の中を探すと、浅輪先輩が一番乗りで待っていた。
3人で、しばらく話をしていると先輩の携帯が鳴る。
『おう、ルビー。もうタクもジーナも来てるぞ。早く来い。』
『えっ、ミーナって誰?』
ヘルプ同伴の追加交渉である。
この夕方4時も過ぎると、タレントは全員起床して、今日の集客活動を始めるが、来日して間もないタレントや、怠け者のタレントが成績上位のタレントに電話をしまくり、ヘルプ同伴のおねだりをする事が多い。
まぁ、今日はアヤも来るから4人の方がバランス的にもいいのだが、先輩は直前交渉にはうるさい人である。
そうこうしていると、ジーナが先輩に携帯を変るようにせがむ。
そして、ジーナが変ってルビーにタガログ語で一喝。
『*+~&%$#$%&(ルビー何考えてるの?約束はアヤだけでしょ・・・・・)』
なる内容である。
仕方がないので、ルビーに私が助け舟を出す。
『ジーナ。(^.^)b OKラン!OKラン!連れておいで』
ジーナも不服そうではあったが、今日のところは「よし」としよう。
『浅輪ちゃん!ミーナって昨日のタイマーの1人だよ。仕方がないから私が面倒見ましょう!』
『まったく、甘やかせるとこれだからな!締める時にはビシッといかないとな。
今日だって、約束の時間5分過ぎにこの電話じゃ。本当はダメ( ̄~ ̄)ξ  』
確かに、時間にルーズなフィリピンスタイルを甘やかしてはいけないのだ。
しかし、時は既に遅し!この時は徐々に彼女たちに対して兄貴風を吹かし、知らず知らずのうちに、私だけが転がり落ちていたのである。
『アサワ サン ゴメンナサイ』
『ジーナ悪くないから。大丈夫だよ。俺が言ってんのは、ルビーの事だから』
『まぁ、今日だけって事でね!先輩?』
『しゃぁねえな。』

20分遅れでルビーがアヤとミーナを連れてやってきた。
これが、世で言う(^Q^)/お約束のフィリピンス・タイルである。
『ゴメンナサイm(__)m』
ルビーが謝ると、母親に続くように、たどたどしい日本語で2人も続いた。
先輩も、アヤの手前、雰囲気を切り返そうとする。
『大丈夫。大丈夫。よし!飯食いに行こう。ところで、ルビーお前は何食べる?』
『(^o^;ヤキニク!』
『おまえなぁ!遅れてきてヤキニクは、ねえだろう。』
すると、脈絡はわからずに、アヤが「ヤクニク\(^O^)/ ヤクニク!」と、とても嬉しそうに!はしゃぐ。
『クーヤー!ヤキニク?\(^O^)/ 』
アヤが先輩を見上げてにこやかに聞く。
『えっ、アヤちゃんヤキニク食べたいの?』
ジーナが通訳するとアヤが答える。
『\(^O^)/ オーポ!(はい) $%&$#&*・・・・・・・・』
『わりぃジーナ。何言ってんのか?わからないや。通訳!通訳!』
ジーナが恥ずかしげに通訳する。
『カノジョ ヤキニク タベタコト ナイダッテ(;^_^A 』

結局6人で焼肉屋へ行く事になった。
店内に入り店員が注文をとりに来た。
『おいタク。安いのでいいぞ!質より量じゃ!みんなフィリピンのまずい肉しか食べた事しかないんだから。
「上」なんか頼んだらお腹壊しちゃうぞ。』
本当に、金の使い道にはうるさい人だ。
ルビーとジーナが怪訝(ケゲン)そうな顔をしてみていた。
注文も終わり、先輩のコミュニケーションが始まった。
『どお~。みんな しごと なれたぁ~?』
出た!先輩のジャパグリッシュ(*4)。

★タガログ語とイングリッシュが混ざった言葉で「タガリッシュ」と言う、フィリピン独特の比英語(ピエゴ)がある。

アヤが(・・?) とした顔で身を乗り出して聞きなおす。
『クヤァー ゴメンナサイ ナンデスカ?』
『どう しごと な・れ・たぁ~?』
アヤが言った。
『NARITA?エアポート?』
\(^O^)/  \(~o~)/ドッカーン!(爆)
これだからタイマーは、おもしろい。
期待に沿って、またまたやってくれる。
店員がおいた、おしぼりと水を手にアヤが言った。
『ハイ。クヤー「オシャブリ」』
『アヤちゃん。これわぁ「お・し・ぼ・り」』
『(;^_^A ???オシャボリ?・・・・・・・オショボリ???・・・オシャブリ? 』
『そうそう!おしぼり』
『ア~(^^)v ワカリマシタ!』

アヤが山奥の田舎娘なのに比べて、ミーナはマニラ出身だと言う。
実家はケソンシティー。日本で言うと東京がメトロ・マニラだとすれば神奈川と言ったところであろうか。
来日して2ケ月という違いもあるが、日本語も片言ながら少々出来る。
そういえば、昨日アヤを制した時にジーナが使った言葉、あれはフィリピノ語やタガログ語ではなかった。
俗に言うビザヤ言葉だったような気がする。

★マニラは北の一番大きな島のルソン島にある。それに対して南の大きな島がミンダナオ島。これらの間に7,000もの島国が大小ある。セブ島もこの中にある。これらをビザヤ諸島と言う。
★言語は日本外務省データでも80種類前後あるといわれている。
主な8大方言として①タガログ語、②セブアノ語、③ビコール語、④サマール・レイテ語、⑤イロコス語、⑥イロンゴ語、⑦パンガシナン語、⑧パンパンガ語がある。
公用語は、●英語と●フィリピノ語であり、タガログ語は公用語ではない。
ここで言う「ビザヤ語」とはセブアノ語の事である。

『ねぇジーナぁ。ジーナはビザヤ語できるの?』
『オーポ。アコノ オカアサン ビザヤダカラ。カノジョモ イマノ バハイハ ミンダナオ ダケド。ウマレタノハ ビザヤ ダカラ。アコト コトバ オナジナノ。』
『そうなんだぁ。じゃあ今日はアヤの通訳頼んだよ!』
と軽く流す。個人差もあるが、フィリピン人の多くはビザヤ=田舎もの的な扱いをするものも少なくない。
したがって、人によっては、あまり触れてほしくない部分でもあるからだ。

しばらく、ジーナを返してアヤの話にみんな熱中していた。
聞けば、ウルルン探検記に出てきそうな村である。
バハイ(家)は、床上げ式で木と葉の屋根で作られ。村に電気は通っているものの、アヤの家には電気はないという。夜になるとランプやろうそく。
水道は村全体になく、井戸での手動ポンプ。
フィリピンでは都市ガスがなく主流はプロパンなのだが、アヤの家にはコンロはあるものの殆どガスでは調理しないという。(じゃあ薪かぁ?)
彼女は2番目の長女で20歳。22歳の兄と12歳と10歳の妹2人に6歳の弟。
母親が昨年他界して、父親と6人家族。
しかし、「どう見ても20歳には見えない。」(;^_^A おそらく17~18歳である。
なにが大変って、台風が来ると雨漏りで、ゆっくり寝れなかったという。
父親は病気がちで、小さい時から兄さんと一緒に、近所のマーケット(市場)に買い物袋(と言ってもコンビニ袋より粗末な物)を売りに行くのが家計を支えていたらしい。
この「近く」がジプニーで2時間だというから、彼女にとって「遠く」はどれくらいなのか?
もちろん飛行機に乗るのも今回の来日が初めてなのだが、バハイからジプニーで5時間かけて港まで行き⇒船で3日もかけてルソンまで来たという。(;^_^A「すげぇ~」

マニラ空港からの飛行機での離陸もさる事ながら飛行中も、ずっとお祈りをしていたと言う。
アヤは出産経験もなく、就職するにもまだ若すぎる。では、なぜこんな苦労をしてまで日本に働きに来たかといえば、最近では、まともな米も食べられなくて、連日おかゆが続いたくらい極貧生活で、家族を代表して出稼ぎにきたという。
こんな、彼女のようなタイマーのサラリーといえば、$250/月(¥30,000前後)で半年働いたとしても、1ケ月分を現地マネージャーにピンはねされるので、手取りは6ケ月=$1,250-(¥15~16万)なのである。
残すは、指名バックや戦利品(金)である。

注文した料理が出揃った。
『アヤちゃん。食べな。』
『クヤー。スイマセ~ン。ゴチソォ~サマ。』
皆が笑う。
そして、ジーナが教える。
『(^o^; イタダイテマァ~ス?? 』
今一度、確認してから
『イタダキマァ~ス(^^ゞ 』
先輩が、引き続き聞く。
『アヤぁ、おかゆ食べてる時に、おかづはあるの?』
ジーナを通して返って来た答えは
『「ソルト(塩)カナァ」ダッテ。。。。。。。。』
本人はまったく気にしていない様子で、初めての同伴で初めてのヤキニクを焼き始める。しかし、私達の空気は、ちょっと止まったようだった。
先輩がおしぼりで目を押さえながら言った。
『おいタク。「上!」上カルと上ハラミ。。。。。。。。沢山頼め。』
『えっ?じゃあこの普通のどうすんのっ?』
『これは、俺たちが食えばいいんだよ!俺たちゃ何時でも食えんだから。
アヤちゃんは、帰ったら今度いつ食えるかわかんないだろ。』
アヤが、私達の何を言い合っているのを、不思議そうな顔で見つめる。
『まったく。いつのそうなんだからぁ。
ねっ?アヤ。カーイン ラン ナン カイン ハ!(沢山食べなよ)』
『(^Q^)オーポ』
まったく浅輪先輩は、言ってる事がコロコロ変るが、この情にもろい所が私は好きなのだ。
お陰で、この日私と先輩は、アヤとミーナの満悦な笑みとゴム肉でお腹がいっぱいになりました。

焼肉屋を出て先輩がコーヒーを飲みに行こうと言いながら歩き出した。
『じゃあ、今日は皆に面白いところでお茶をご馳走しよう。へへへへ』
私は、わかった。もう何年も前の話だが、建物自体が傾いているボロボロの喫茶店が裏路地にある。
その店内は、とても薄暗く、アンティークな洋風な作りではあるものの、天井にはクモの巣が張り巡らされ、レコードでクラッシックがチリチリとかかっている。
この都心にあって、まるで、お化け屋敷のような喫茶店である。

店内に入って、怖がるミーナに先輩が追い討ちをかける。
『大丈夫だよ。ゴーストはいないから。はははは
アヤは、大丈夫かぁ?』
この店の前からアヤのテンションが、急激に下がったのに気がつかなかったのは先輩だけである。No!天気。。。。。。。。
『ジーナぁ。アヤ大丈夫か?』
『ハニー ダイジョウブヨ。(;^_^Aチョット コワイ ダケカナ?』
ジーナがアヤに話しかける。
しばらくすると、アヤの大きな目からポロポロと大粒の涙がこぼれて落ちた。
この涙は、恐怖からのものではない事は見て直ぐにわかった。
なのに。。。。。No!天気な先輩だけは
『アヤ大丈夫だよ。お化けなんかいないんだからぁ。』
まったく違った方角へ気遣ってしまう。
しかし、どこに溜めていたのかというほど、涙は止まらない。
とりあえず、飲み物の注文はしたものの一向にアヤ顔には変化がない。
アテとしてジーナが包容する。
アヤがジーナに何か言っているが私達にはわからない。
『ハニーゴメンナサイ(;^_^A コレ ノンダラ コノオミセカラ デマショウ。 』
それを聞いた先輩もすかさず言った。
『そうだなぁ。なんか変なとこ連れてきちゃったかなぁ。飲み物、飲まなくていいから早く出よ。』
結局、飲み物にも手をつけずに出た。
まだ、時間も早いのでボーリングをする事を提案し、とりあえずその場の雰囲気は持ち直した。
そして、アヤの顔にも笑顔が戻った。
誰も聞かない。さっきからアヤの涙の原因には誰も触れずに1ゲームが楽しく終わった。
先輩とルビーがアヤとミーナをゲーム・コーナーのプリクラへ連れて行った。
『ねぇジーナ。さっきのアヤはどうしたの?』
『ナンデモ ナイデス』
これ以上、聞いてはいけないのか?でも、気になる。何でもないわけがない。
『聞かない方がいいか!そうだな』
『。。。。。ダイジョウブヨ。』
少し間をおいてジーナが言った。
『アヤハ サッキノ コーヒーショップ ミテ ジブンノ バハイ ヲ オモイダシチャッタ ダッテ。
ジブンノ バハイ(家)ガ ボロボロハ ハズカシイ ディバ?ダカラ イワナカッタ ミタイ。
ソレト ファミリー ノコト。ハニーHomesickワカリマスカ?』
『あ~ぁ。ホームシックか。ん・・わかるよ。』
『シャー(彼女)ハ ブンソ(妹を) スゴク ダイジ シテルダッテ。
ダカラ ジブンダケ ヤキニク タベテ。ブンソタチガ カワワ(可哀相) ナッタミタイ。
イチバンハ ジブンノ ファミリーガ ビンボウデ イタイトキ? オモイダシタ カナァ。。。。。。』
『「痛い」?それを言うなら「辛(ツラ)い」じゃないか?あ~~ん。。。。。だからぁ、アヤの生活は、とっても「Hard(厳しい)」で、今や、その思い出が「Sad(悲しい)」って言うかぁ?
どちらにしても、今の日本人には実感、沸かないよね。』
『オーポ。ソウデス。
アヤノ ファミリーハ ホント タイヘン ミタイネダカラネ。』

私は、先輩達と無邪気にはしゃいでいるアヤを見ながら言った。
『アヤは20歳じゃないな。16?・・・・・・ん~ん。17か?』
ジーナが後者で軽くうなずいた。
『だよなぁ~。17歳の娘がファミリーと離れて、始めての出稼ぎで日本(異国)かぁ。勇気いるよなぁ。』
この平成の世に至って、こんな貧困生活から出稼ぎに来ている人を目の前にすると、やはりショックだ。
私もフィリピンの現状を知ってはいるつもりだが、彼女達のような「貧困生活」の体験がないだけに想像の域を脱せない。
国が違う、国民性が違うとはいえ、目の前に・・・・・・しかも、つい先月まで、そのような生活を、この娘(コ)がしていたのかと思うと、思いもまた一入(ヒトシオ)である。
今の日本は恵まれている。
そういうある意味では、恵まれているのは確かである。
しかし、「このままでいいのだろうか?」、深い意味は不明のままに、そのような気がしてならなかった。
私も、15と13の日本人の娘を持つ父親だ。
自分の娘たちには、父親としては一応、ひもじい思いや金銭絡みで進路を諦めさせた事はない。
しかし、「これで本当にいいのだろうか?」そんな思いがつのる。
浅輪先輩も2人の娘がいる。
彼もそんな父親に似た気持ちでアヤやミーナと接しているのだろうか。
そんな事を考えならがアヤを見守る私とジーナがいた。
co
なにはともあれ反省会も兼ねて近所のファミレスへ行くことにした。

『お前、手 大丈夫か?』
『しかし、ドジったなぁ。。。。。。大丈夫!もう止まったから。。。浅かったからね。』
『しかし、ミンダナオかっこよかったナァ(^.^)b』
『そういう問題じゃ。ないでしょ!いつもアンタそうなんだからぁ(^o^;
以前に車乗ってる時だって、運転してたの浅輪ちゃんなのに文句言ってきたオガキは俺目掛けて来やがって・・・・・お願いしますよぉ。。。』
『( ̄~ ̄) ありゃ~。。。ホンマもんだなぁ。本物のゲリラの遺伝子じゃぁ』
『あのねぇ~。感心してないで、俺の傷ぅ・・・・・』
『たぶんバハイにはマシンガンかなんか置いてあってさぁ・・・・・・』
『どうでもいいけど!俺ちょっとトイレで剥がして来ますから。』
歩いてトイレに向かうと反対側エリアに、さっきのチンピラ2人がぁ。( ̄□ ̄;)!!
『おっ!兄ちゃん。大丈夫か?』
『(^o^;はい。 』
『さっきの志村けん居るんか?』
そういえば、先輩の顔(・・?) どことなく志村けんに似てるような・・・・・・・

もうこれ以上もめるのは嫌なので、軽くうなずいてその場を去った。
トイレに入ると携帯が震えた。
『ハニー!ドコニイル デスカ?』
『マラピット(近く)のファミレス●●』
『ダイジョウブ?アコシンパイシテル』
『大丈夫だよ。もう大丈夫だ///イマ アコ イクカラ(ガチャ!)』
私の話も終わらずに切れた。
そして、トイレでさっきのティッシュをそっと剥がして、ナプキンで巻きなおした。
これでもファーストエイドのイントラなのだ。張り付いているティッシュは剥がさずに、上から新しいティッシュを当てて、ハンカチで巻きなおす。
『これでよし。』
この作業に5~6分費やしただろうか、トイレを出て席に戻った。
すると!浅輪先輩がチンピラに囲まれているではないか!
「マジかよぉ」と心の中で呟いた。
しかし、見捨てるわけにも行かないので席に戻ろうとすると。
どうだろう。何やらさっきとは一転して笑い声まで
『そうだろう!でも、本当にチンチンなんか切るんかぁ?』
浅輪先輩が調子に乗って話しをしている(^o^;
『そうですよ。あいつらのほとんどが爺さんの代までは、原住民みたいな部族ですからね!ジャングルでパタイ(殺)されても、わかりゃしませんから。がはははははは』
『おっ。兄ちゃん。大丈夫か?ここ座れや』
って、「そこは元から俺の席だって!」と心の中で呟きながら座る。
『なっ?タク。フィリピン人って浮気した男のチンチンカットなんてざらだよな!』
『まぁ、確かにニュースで何度か聞いた事ありますけど。でも、たまぁにですよ。』
角刈りが感心しながら言う。
『たまにでも、スゲーや。日本じゃナベサダくれぇだからな!』
『あのぉ~う。お言葉を返すようですが。。。それ「阿部貞(アベサダ)」じゃないですか?』
『まぁ、チンチンカットって事でどっちでもいいんだよ』

「あっ!( ̄□ ̄;)!! 忘れてた!」ここにジーナが来たら一貫の終わりだ。(;-_-+
『先輩ぁ~い。ちょっと、これも痛みますんで、自分早めに失礼しますぅ。』
『タク。コーヒーあと1杯、飲んだら送って行ってやるから。ちょっと待ってろよ。』
本当に空気の読めない人である。
どんどん、フィリピン話で盛り上がってゆく。
仕舞いには友人宣言にもにたコメントまで飛び出す。
『まぁ、さっきは悪かったけど、昨日の敵は今日の友って言いますからね!』
なんて調子の良い事まで言い出した。
そんなこんなで、とうとうジーナが来てしまった。
『あれ?ジーナちゃん。どしたの飯?』
チンピラがほくそえんで聞く。
ジーナは、少し呆気にとられるが、状況を瞬時に判断して。
『オニイサン。サッキ ダイジョウブ ダッタデスカァ?』
『おう。でも、びっくりしたよ。女に刃物、持たせるほど怖いものないからなぁ』
『それに、今この人から聞いてたんだけど、じぶん達の国じゃ「刃物でグサッ!」とか
大事なところカットとかあたり前なんだってぇ?』
『ソンナコト ダレ イッタデスカァ?』
と言いながら浅輪先輩に目をむくジーナ。
盆踊りのような手つきで、目を背けながら頭を垂れる先輩。言わなきゃいいのにぃ
『ホントウデスヨ。フィリピン人ハ オコッタラ コワイカラネ。オニイサンタチハ マ
フィヤ デスカ?』
『マフィヤって言うか。。。。。』
『ダイジョウブデスヨ。フィリピン人ハ マフィヤデモ コワクナイカラ。
アノママ ダレモ タスケナカッタラ ミンナ アヤ ニ パタイ サレテタカラ。
ホントウニ ヨカッタデスネ。』
『はははは。。。。物騒な事、言うなよ。(;^_^A 』
こいつらヤクザじゃない。今の反応でわかった。
『ホントヨォ。カノジョノ オニイサンハ「アブサヤフ」シッテマスカ?
「アブサヤフ」ハ ミンダナオ ノ テロリストダカラ。
カノジョハ スッゴイ シズカ、スッゴイ オトナシ。デモ オコッタラ ゼッタイ 
ユルサナイ カラ。サッキ ナイテルノ ワケ モ ソウ。クヤシイ ノ。
ワカル?ワカリマスカ?アナタタチニ バカニサレテ リベンジ デキナカッタ コト。
クヤシクテ ナイテルノヨ。』
追い討ちをかけるように先輩が神妙な顔つきで言う。
『そりゃぁ、マズイなぁ。(;-_-+ あいつら猿と同じですからね。頭の切り替えきかないか
らなぁ・・・・・・』
「もう!またまた油注いでどうするの!」心の中で呟いた。
『もう帰ろう。』
2人は、ソソクサと帰っていった。

『ジーナさっきの話。。。本当?』
『ハハハハハハハ。。。ハニー (^-^)シンジテルノ?フィリピンニ テロ ナンテ モウ 
イナイノヨ。』
『だって、アブサヤフはいるじゃない?アメリカ軍と国軍が合同で戦かってるじゃん』
『ハニー アレハ ドラマヨ ドラマ(茶番劇)。ホントニ タタカッテル ジャナイノ!Religion(宗教)ノ モンダイ ナノ。』
浅輪先輩がジーナの講義にうなずいていた。
『でも、危なかったなぁ。あれでアヤが刺したりしていたら。大問題だぞ!
まぁ、あいつらもそんなに悪いやつらじゃなさそうだし。よかったな。
あ~ぁ、あとはアヤかぁ。。。。。あいつの気が納まらないと問題だなぁ。』
『先輩は、人事のように。もう』
『アサワサン。イマノ フタリハ ダイジョウブ。アレハ ヤクザ ジャナイダカラ。
コワイハ モウ ヒトリ ダヨ。アレハ ホントノ ヤクザ。キョウハ カレノ アニ
バーサリー ダッテ。』
『そういえば、今も一人だけ帰っていなかったなぁ。』
『俺も気にはなってたんですよ。あの2人は直ぐにチンピラだってわかりましたけど
1人だけ浮いてましたからね。』
『まっ!いいか。タクも九死に一生を取り留めたし(^^)v
じゃ、帰ぇるかぁ。』
『おいおい。ジーナ今 来たバッカだし。』
『だってお前、傷 痛むんじゃないの?』
『イタイノ?ハニー』
『違うって!本当に空気が読めない人だなぁ。。。
さっきは、ジーナが来るの言い出せなくて、早く退却しようとしたのよ!場面よ!場面!。。。。。。もう、痛くないから。』
『あっ!そっか?』
本当に!本当に!本当に!本当に。( ̄~ ̄)ξ 本当に空気の読めない人である。
結局、その日も朝方の夕食に付き合い、ジーナを送って帰ると世間は出勤時間だった。
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