なにかモノを作ろうとした時、基本動作として現在販売している電子機器を解析(動作、回路、周辺回路)をすることがあります。
このウインカーリレーなんかはその1つなのですが以前から気になっておりました12vのレギュレーターの動作が気になっておりました。今回は中国製の汎用品を解析しまいたのでブログとして書こうかなと思います。
まず、当方が所有するCD90(1981年製HA03,6Vポイント車だが12V改造車)に搭載されていたレギュレータ(以下レギュ)が終わりました(死んだw)。どうせなら回路解析をしたいと思っていたところでしたのでちょうど良さそうなレギュを購入し分解。
まず12Vの原付に求められるレギュの機能について整理してみます。
・発電された電力を灯火系で使えるように電圧制御(12V程度に降圧)
・発電された電力を走行に必要な機器に供給する(上と同じ)
・バッテリーを充電させる
・バッテリーと灯火系で使用する電力を整流(直流)にさせる
以上でしょうか。
原付のエンジンで発電された電力はAC電力(交流)だと考えられます。アイドリング時はバッテリー充電の能力を満たさない電圧(12V以下)、走行時は14V(バッテリーの最高充電電圧を超える)を余裕で超える電圧です(テスターで簡易的に測定)
今回の車体側の参考回路としては当方所有の原付CD90(HA03-110xxx)と12V系のスーパーカブC90などです。
んじゃ。解析していきませうwwww

今回のためにお買い上げ(落札)
買ってバラすのは若干の罪悪感を感じて気持ちよくなりつつ、wktkしながら到着を待ちます。

今回購入したレギュはAliexpress等で購入できる「12Vレギュレータ」と同様でいわゆる汎用品です。
事前にお伝えしますが、今回のレギュは各バイクメーカー純正品である新電元工業等の回路とは異なるかと思います。


内部が見える透明タイプのポッティング剤はカッターでもそれなりに崩せるので会社の昼休みで全バラができました。
ここから基板を取り出していきます。

(回路解析中、と言っても大したことはないw)

解析した回路をCADで清書しました。
ざっくりですが上記の形となります。
新電元工業様のページを参考にすればこのタイプは「単相ショート式」レクチファイアに該当すると思われます。
1つのレギュの中で発電系から供給される(ライディングのための)電圧制御とバッテリー充電用電力の整流。
この「単相ショート式」というタイプのレギュは発電された電力の電圧が高い場合、発電された電力をGND(アース)に落とします。すなわち、この手のレギュは「レギュレーション」とは言いつつある一定以上の電圧より高くなることを防ぐパーツ。
と言えそうでです。
てっきり、デコデコのような回路かと思ってたんだがなぁ。
80年代くらいまでの原付車に多用された(セレン(ダイオード)+バッテリー)車両。
あれは発電された電力はダイオードを通過しバッテリーに供給されます。バッテリーの充電に適した電圧以上の電圧が印加された場合は電解液の蒸発を持って極端に高い電圧にならない仕組み(と言えるんか?)です。
ちなみにレギュレータ未搭載の原付にMFバッテリーが適さない理由としては、
6Vバッテリーの充電電圧は
Charging Voltage 7.20 to 7.50V
12vバッテリーの充電電圧は
Charging Voltage 14.4 to 15.0V
(充電電圧と充電電流の規定は下記のサイトのデータシートを参照)
と規定されておりこれらより高い電圧がバッテリーに印加された場合は開放型バッテリーのように電解液の蒸発を持って耐えることができず充電中バッテリー内部で発生したガスによりセパレータの破損や電解液の消失、バッテリーの膨らみ等バッテリーの破損が起きて使い物にならないと推察します。また、たまに「MFが使えた!」という場合はたまたま発電電圧がMFバッテリーの充電電圧範囲内に収まっているんだと考えます。これらは原付の発電用コイルが大電流に振っているのか、発電電圧に振っているのか(要は巻数)、原付の状態や接続される電装の消費電力によるのでなんとも言えません。
以上を考えればレギュレータを搭載することでMFバッテリーの使用が可能となる。と考えるのは正しいでしょう。
さて、先程レギュに求める能力として書き出しました
・発電された電力を灯火系で使えるように電圧制御(12V程度に降圧)
・発電された電力を走行に必要な機器に供給する(上と同じ)
・バッテリーを充電させる
・バッテリーと灯火系で使用する電力を整流(直流)にさせる
と回路を見比べてみましょう。
(今回は6V原付を12v化した配線図を元に思考します。まぁ12VなC90カブでも一緒だろw)
・発電された電力を灯火系で使えるように電圧制御(12V程度に降圧)
・発電された電力を走行に必要な機器に供給する(上と同じ)
回路図のQ3、BT151はサイリスタです。
サイリスタ(SCR)はAC回路にてゲート信号に入力があるとアノードとカソード間を導通されます。
導通は電圧が規定電圧以下(=今回はほぼ0Vと考えましょう)になると未導通となります。
逆に言えばONとOFFをできるのはACラインということになります(別の制御回路を組めば別です)
ライディング回路に接続されたSCRはライディング回路の電圧を監視しており発電電圧が規定した電圧以上となった場合はQ3のゲートをONし発電電力をGNDに落とします(電圧制御)。
・バッテリーを充電させる
・バッテリーと灯火系で使用する電力を整流(直流)にさせる
バッテリーは発電コイルから発生した電力をD5(ダイオード)を通じてバッテリーに供給されます。
ダイオードは交流を直流へ変換(整流)します。
あれ?バッテリーに適す電圧に整流してないじゃんwwww
(ここは推察ですがライディングコイルとチャージコイルは同一でチャージコイルはコイルの中間から取り出し高い電圧とならないようになってる?それか電装で消費される電力によりバッテリーに供給される電圧に自然に降下してる?)
私のCD90は常時点灯ではない為ヘッドライトを昼間はOFFにできます。
このレギュレータだと発電電圧によりますが昼間のライトOFF時は高い電圧がバッテリーに印加される可能性がありますね?
困るよ?
Q3とD5以外はQ3を駆動させる為の周辺回路です。
おまけ
さて。おまけとしてこれらの原付をLED化したり別のアクセサリーを付けることを想定した際に起きる不具合を考えます。
上記に記した通り、これらのレギュはSRC制御となります。
SCRは導通から未導通へ移行した際などにノイズを発生されます(サイリスタノイズ)
記録計へのノイズとその対策
2.1:ノイズ源の種類と性質
https://web-material3.yokogawa.com/TI4D5B1-80.pdf
また、商用電源下での使用時は1us程度のパルスノイズを起こします。
レギュの基本動作として電圧が高い場合はGNDに落とします。
以上のことから、
・電圧変動
・パルスノイズ
発電系統だけでもこれらを考慮しないとなりません。
これら以外にも点火ノイズもありますし、そもそもこのレギュですとライディング系は整流されてません。
LEDヘッドライトやテールランプは逆電圧、電圧変動を嫌いますし規定電圧以上のパルスノイズは半導体(LED)素子の
破壊の元となります。また、USB充電器などのアクセサリーを搭載したい場合は早いサイクルでの電圧変動対策を施すべきでしょう(具体的にはアクセサリーの近い部分に大きめの電解コンデンサを挿入する等)
今回の汎用品レギュの分解解析でも色々見えてくることがありました。
できれば6vのレギュやより細かいレギュレーションを可能にできる回路の開発などに活かして行きたいですね。
繰り返しますが今回のレギュは国内バイクメーカーの純正品レギュと大きく異なる場合があります。
あくまでお話の参照とされてくださいね。