Book116.モハメド・アリ リングを降りた黒い戦士 | Cap as Cap Can!! 俺は帽子とだってプロレスできるぜ日記
行って参りました!
6月22日闘道館「猪木アリ戦 最後の真実」に。



登壇したのは過激な仕掛け人新間寿氏、
猪木・アリ戦の採点集計を行った大塚直樹氏、
そして当日の実況を行った名アナウンサー舟橋慶一氏の3名。

猪木・アリ戦の裏話としては、
アリ軍団が打ち合わせの席でピストルを忍ばせていたとか、

記者会見で「勝者がファイトマネー総取りでどうだ!」と猪木に迫られ、
カッとなったアリがサインした契約書を巡って大騒動になったとか、

アリのグローブは石膏で固められていたとか、

勝敗発表まで10分近く要したのは、採点操作に手間取ったからだとか、

後日アリ側から起こされた90億円もの訴訟が、
新間氏とハーバード・モハメッド氏とのface to faceでの交渉でチャラになったとか、

猪木アリ戦についてはどれが本当で、何ががおとぎ話かわからない逸話が
わんさかあるわけですが、「最後の真実」と銘打たれたら行かないわけにはいきません。

内容については猪木・アリ戦の話だけでなく、
新間氏WWE殿堂入りについて、
新日創成期の苦労話、
第1回IWGPについて 等々
多岐にわたって、大変興味深いものばかりでした。



大塚氏の新日クーデターについての話は、
またのお楽しみということで話題にならなかったのですが、
これはこれで楽しみです。

この日のクライマックスは、大塚氏が発した次の質問でした。
「本部長(新間氏)、初めて質問しますが、
どうして私を採点集計係りに任命されたのですか?」

疑惑の採点集計係と噂される大塚氏自らの質問に、
静まりかえる会場。

新間氏の回答はこうでした。
「それは阿吽だよ。お前なら、俺の気持ちがわかってるよな・・・っていうね」

「そうでしたか」と頷く大塚氏。

新間さんの言葉は続きます。
「これは今まで誰にも言わなかったことなんだけど・・・
私は猪木に負けてもらわなければ困る、
最悪でも引き分け・・・
とリングサイドで願っていたんだよ」
予想外の言葉にどよめく会場。



「それはどうしてですか」
会場の空気を察して、質問する舟橋氏。

「金ですよ、金。
試合中、私はずっと金の算段のことを考えていたんです。この試合にかかった何十億という莫大な金。その支払いについて、試合後、絶対裁判沙汰になる。
その時、猪木が負けていれば、アリ側の理不尽な交渉姿勢をネタに、損害賠償的な金を請求できる。それに、たとえ猪木が負けても、がんじがらめなルールの試合だったと言い訳すれば、イメージダウンにはならないはずと踏んだんです。でも、この作戦は猪木が勝つと成り立たない。だから猪木に勝ってもらっては困る・・・と思っていたんです」

静まり返る会場で、新間氏の言葉は続きます。

「こんなこと、当時は誰にも言えないじゃないですか。それで、私の気持ちを阿吽でわかってくれるだろうと思って、採点集計係に大塚を指名したんです」

「そうだったんですね・・・」
と深々と頷く大塚氏。

そこでニヤリと笑った新間氏が
「そして、大塚は私の思惑どおり・・・」
と言ったところ、
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください、本部長!私は本当にそういう採点操作はしていませんから(汗)」
と大慌てで否定する大塚氏。

猪木・アリ戦のプロデューサーならではの、生々しい衝撃の告白でありました。



モハメド・アリ リングを降りた黒い戦士 THE LIFE STORY

「俺にベトコンと戦う理由はない」

そう社会に訴えて、世界最強のチャンピオンベルトを投げ捨てた男。。。モハメッド・アリ。

当時のアメリカ政府とアリの闘いを記録した一冊です。

会場のお客様からこういった質問がありました。
「当時のゴングや東スポに、猪木アリ再戦のニュースが再三出ていましたが、
実際のところはどうだったんですか」

これに対しての新間氏の回答も興味深いものでした。
「猪木アリ戦後、猪木はスピンクス戦に招待され、またアリの結婚式にも招待され、親交を深めて行きました。そして、その度に『あの闘いは引き分けでよかったよな』と互いに語り合っていました。再戦の交渉は進めていたんですが、親交を深めた二人から闘う意志が消えてしまい、交渉も立ち消えになってしまったんですよ」

歴史の証人である3名のサインを入れていただいたCapは、一生の宝物です。



猪木アリ 最後の真実。

看板に偽りなしのトークイベントでありました。

モハメド・アリ リングを降りた黒い戦士
The life story
(メディアファクトリー 田中茂朗 1992.6)