山梨県南都留郡道志村・小倉美咲ちゃん行方不明事件その16(警察犬のこと) | 雑感

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小倉美咲ちゃん行方不明事件

 

さて次に「犯人が椿荘オートキャンプ場に当初はキャンプ目的で来ていた場合」の犯人の居住地域推定をしてひとまずの区切りとしたいのですが、その前に一つ書き忘れていたことがありまして、警察犬のことです。

 

犯人の居住地推定の途中でいきなり警察犬の話に振ると流れが変なことになって申し訳ないのですが、この「その16」でさせていただきます。

 

この行方不明事件、昨年10月27日に放送された日本テレビ『ザ!世界仰天ニュース』によると、美咲ちゃんが最後に目撃されたのが午後3時40分ごろで、午後5時ごろに110番通報、午後6時ごろに警察が到着。午後7時ごろに地元消防団が到着し、美咲ちゃん母親のHPによると「その後、警察犬が南の森、橋、坂の上、沢を調べるが、反応なしであった模様」とのことで、

 

この警察犬による捜索のことは『仰天ニュース』でも触れられており、それによると、このとき警察は「美咲ちゃんが当日着ていたが失踪時には脱いでいた青系のチェックシャツ」を用いて警察犬に臭いを辿らせたが警察犬は反応を示さなかったとのこと。

 

いずれにしても、初日の早い段階で、警察犬は投入されていたと。(午後10時ごろに警察・消防は当日の捜索を終了した)

 

小倉美咲ちゃん行方不明事件

 

それでこの行方不明事件を調べてみると、ネット上には「警察犬」というワードとともに、あたかもそれ(警察犬の鼻)が極めて信頼に足るものであることを前提としたかのようなコメも中にはみられるわけですが、しかしこうして刑事事件や行方不明事件をウォッチする中で警察犬の鼻については

 

「たまに機能すればラッキーくらいじゃないか」

 

と感じていた自分としては、そうしたコメを目にするたびに、そこまで警察犬の鼻に厚い信頼を寄せるのはどうなんだろうかと感じるものがあり、いつかいわゆる「空ぶった」事例をまとめておきたいと思うようになっていました。

(これまでも警察犬の鼻については何度か似たような感想を書いたことがあるのですが、まとめるのは今回が初です。)

 

訓練士の方々が日々愛情をもってトレーニングされているのはなんとなく想像はできるわけですし、自身動物好きでもあるので、動物の頑張りにもかかわらず「役に立たなかった」といわれる結果を並べるのはなんとなく心苦しくはあるのですが、しかし事実としてはこうだということで、警察犬の鼻が機能しなかった(事情はどうあれ結果に結びつかなかった)と思われる事例のうち、比較的記憶に新しいものをいくつか以下に紹介させていただきます。

(まったく当てにならないというわけではなく、「行方不明者を発見した」「犯人逮捕に貢献した」等、結果に結びつき表彰を受けたという記事もネットには散見され、中には「車のにおいを辿り1.7km追跡して窃盗未遂犯の逮捕につなげた@日光市大沢」といったものもあります。そちらのほうもよければググっていただければと。

 

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警察犬空振り事例その1.「北海道七飯町・小2男児行方不明事件(2016年5月)」

 

この行方不明事件は、2016年5月28日午後5時ごろに、北海道七飯町の山林地帯で小2男児(当時7)が行方不明になったというもの。

男児の父親によると、行方不明となった当日、家族4人(父・母・姉・男児)で隣町である鹿部町の公園に遊びに来ていたが、男児がそこで人や車に石を投げつけ父親が注意しても聞かないといった経緯があり、そのことへのいわば「しつけ」の一環として帰りの林道で男児を車から降ろし(置き去り)、車で数百メートル走った後で再びその置き去り現場に戻ってみたところ(その間約5分)、男児が本当にいなくなってしまっていた。(同日午後6時ごろに110番通報

消防のほか自衛隊も参加した大規模な捜索が実施されるも発見には至らず、不明から6日後(6月3日)の午前7時50分ごろ、捜索圏外であった陸上自衛隊駒ケ岳演習場内の「廠舎(しょうしゃ)」と呼ばれる宿泊施設に一人もぐり込んでいたところを陸自の隊員に発見された。

発見した隊員はその日たまたま雨で演習が一時中断となり、その間に他の隊員2名とともに廠舎を訪れたところ、男児を発見したという。(詳細についてはググっていただければと)

 

小倉美咲ちゃん行方不明事件

小倉美咲ちゃん行方不明事件

 

この事件では初日以降、わかっているだけでも2頭の警察犬を投入しているのですが、結果として全く追跡できませんでした。

男児が置き去りにされたのは原生林の中の細い道わきであり、男児が陸自の廠舎まで辿った道(距離にして約8~9km)もまた同様の周囲に草木が生い茂る中での未舗装の林道でした。

つまりそれは人や車やバイクが多く行きかい男児の臭気などかき消されてしまうような、警察犬にとって著しく不利と思える道ではなく、むしろ素人的には

「この環境で追跡できないのであれば、一体どんな環境なら追跡できるのだろうか?」

と疑問を覚えざるを得ないような道だったと。

 

男児発見後に、警察犬についても北海道警からの説明がなされ、それによると、

「初日に投入した警察犬は体調不良で捜索に役に立たない状態だった」「その後に投入された警察犬については、降雨後であったため男児の臭気を辿ることができなかった」とのこと。

しかし特に前者(体調不良云々)については、そう聞いて納得する人間がいるのだろうかと思うのですが・・・。

ネット上には「親が示した置き去り地点というのが勘違いか嘘だったのではないか?(だから警察犬が無反応だったのでは?)」とか、「警察犬投入前に捜索隊が踏み荒らしたからでは?」といった、警察犬擁護的な見方も出てはいましたが、

しかし事情はどうあれ、警察犬を投入しても結果に結びつかなかった一例として、この北海道七飯町の行方不明事件を上げることができるのではないかと。

 

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警察犬空振り事例その2.「大分県佐伯市・2歳女児行方不明事件(2016年12月)」

 

この行方不明事件は、2016年12月5日午後1時過ぎに大分県佐伯市宇目で2歳女児が行方不明となり、翌6日の午前9時50分ごろに、女児の父親の会社の同僚男性により、不明となった地点から南に約2km離れた山の斜面で座っているところを無事発見・保護されたというもの。

女児は不明となった日、佐伯市城南町から母親や祖母とともに宇目の曾祖父母の家を訪れており、昼食後に曽祖母を含めた4人で隣の畑に出掛けて野菜などを収穫、その後に母親らが畑で片付けをしていて目を離した隙(その間約5分)にいなくなっていた。

110番通報がなされたのは5日午後1時15分ごろ。

当時の産経新聞によると、初日からヘリや警察犬を投入して捜索にあたるも発見には至らず、6日の深夜0時に捜索をいったん打ち切り、夜が明けて午前7時からは人員を増やして計約150人態勢で捜索を再開していた。

大分地方気象台によると、5日夜から6日朝にかけての佐伯市周辺の天候はおおむね晴れで、気温についても「5日夜は12月の夜間としてはかなり気温が高かった」。

 

小倉美咲ちゃん行方不明事件

小倉美咲ちゃん行方不明事件

 

現場はこれまた山間の僻地で(上の画像、女児が発見された山中を望む)、北海道七飯町のケースと同じく、女児が辿ったとみられる道は警察犬にとって不得意な環境とも思えない山中へとのびる未舗装の細道でしたが、やはり警察犬はこれを追跡できなかったと。(ただし女児のにおいをかいだ警察犬はその足を南の山中に向けたと当時の毎日新聞の記事にはあるので、方角を示したという点での貢献はあったのかなと。)

しかし詳細はどうであれ、結果的に直線で2km奥まで入り込んでいたという女児の足跡を辿りきることができず、捜索ボランティアの男性(父親の同僚)に先を越されたということで、警察犬の鼻もあまり過度に期待するのは禁物だということを示す一例とみてよいのではないかと。

(警察消防などの捜索隊は警察犬が示した方向を重点的に探していたそうですが、女児を発見した男性は、あえて捜索隊が探している区域から外れたエリアに分け入って女児を発見したとのことです。)

 

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警察犬空振り事例その3.「山口県周防大島町・1歳男児行方不明事件(2018年8月)」

 

この行方不明事件は、2018年8月12日午前10時半ごろに、山口県周防大島町で1歳男児---翌13日に2歳の誕生日を控えていた---が行方不明となり、3日後の15日午前6時半ごろ、大分県日出町から参加していた捜索ボランティアの尾畠春夫さん(78)により、山中の沢で一人座っているところを無事発見・保護されたというもの。

尾畠さんは現地に到着し捜索を開始後、約30分での発見でした。

行方不明となった日、男児は曾祖父宅に帰省中であり、祖父(66)と兄(3)と一緒に曾祖父宅から約400m離れた海岸に海水浴に行くため家を出たが、100mほど歩いたところで「帰る」などと言って一人で家の方へと引き返し、そのまま行方不明になったとのこと。

(下の画像、男児が発見された山中の沢の方向を望む。2枚目の気象データは、周防大島のものがなかったので近くの柳井市のものとした。)

 

小倉美咲ちゃん行方不明事件

小倉美咲ちゃん行方不明事件

 

捜索は警察と消防が述べ550人であたり、警察犬も投入されたが、結果には結びつきませんでした。

警察犬の投入時期について、「不明翌日の13日には警察犬も投入し・・・」としている当時の記事がある一方で、「初日=12日から警察犬が投入されている様子がニュースに映っていた」とする当時のネット上の書き込みも見られますが、

この点、1歳の男児が午前中に田舎道を一人歩いてそのまま行方をくらました状況で翌日(13日)から警察犬を投入したのなら別の意味で問題ではないかと思うので、初日=12日からの投入が正解ではないかと想像します。

現場は先の北海道七飯町、大分県佐伯市宇目に続いてまたしても非常な僻地で、素人目にも警察犬にとって不利とは思えない環境ですが、やはりここでも警察犬は追跡することができませんでした。

ちなみに尾畠さんが男児を発見した場所は、男児が最後に目撃された曾祖父宅付近から約560m北東の山中の沢でしたが、そこはすでに警察などが「捜索済み」としていた場所でした。

これも、警察犬を投入するも空振りに終わった事例とみてよいかと。

 

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警察犬空振り事例その4.「大阪市住吉区小6女子行方不明事件(2019年11月)」

 

この行方不明事件は、2019年11月17日午前に大阪市住吉区の小6女子が自宅からいなくなり、6日後の23日午後1時半ごろに助けを求めて栃木県小山市の犬塚交番を訪れたところを保護され、その説明により、同市在住35歳の男(小山市犬塚1、自称派遣社員)による連れ去り監禁事件であることが発覚したというもの。

男は連れ去り1週間前ごろからSNSで女子とメッセージのやりとりを始め、

「半年くらい前にうちに来た女の子がいる。話し相手になってほしい。うちに来ない?」

などと誘ったうえで女子の自宅近くの某公園で会う約束をし、17日に大阪へ出向き、午前10時半ごろに待ち合わせた公園から一緒に徒歩で最寄りの鉄道駅に向かい、そこから在来線を乗り継いで栃木県小山市の自宅まで連れて行った。

(スタートとなった駅は大阪メトロ御堂筋線の「あびこ駅」。待ち合わせた公園から約360m(ルートによっては約400m)、歩いて5分ほどのところに同駅の3号出入口がある。同駅から在来線を乗り継ぎ、男の自宅への到着は18日午前0時ごろだった。また男の自宅にはもう一人、15歳の少女が監禁されていた。この少女は茨城の中学生で6月に行方不明届けが出されていたが、捜査の結果こちらも保護された。)

女子の母親は17日午前に女子の不在に気付いたが、女子のスマホに何度電話しても電源オフでつながらず、夜になっても帰宅しなかったため、同日午後10時ごろに府警住吉署に行方不明を届け出た。(下のストリートビュー、在来線の起点となったあびこ駅近くの交差点。中央に同駅の3号出入口が見える。)


小倉美咲ちゃん行方不明事件

 

府警は19日までに延べ約110人態勢で住吉区内の防犯カメラ映像を確認するなどしたが、有力な手がかりは得られなかった。自宅からあびこ駅までのルート上にも防犯カメラが複数台あったが、女子の姿は映っていなかった。
この事件でも警察犬が投入されたのですが、女子が歩いた行程(自宅から待ち合わせの公園を経由してあびこ駅まで)を警察犬が追跡できていたという情報はないので、やはり、追跡はできなかったものとみてよいかと。

ただしこのケースの場合、母親による行方不明届けが遅かったこと(午後10時ごろであり、女子が家を出てから推定約12時間後であったこと)や、また現場が都市部であり、人や車の往来により臭気がかき消されやすい環境と思われることなど、結果を出せなかったとはいえ警察犬に同情の余地はあるのかなという気もしますが・・・。

 

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警察犬空振り事例その5.「埼玉県朝霞市・中1女子連れ去り監禁事件(2014年3月発生)」

 

この事件は、2014年3月に、埼玉県朝霞市で下校途中の中1女子が自宅玄関に入る直前の路上で千葉市稲毛区住み千葉大工学部の学生(被害女子と面識なし)に拉致され、車で移送され、千葉大すぐ隣の男の自宅アパート(3F)に約2年間監禁されたというもの。

事件概要については以下の記事中で紹介していますのでそこは割愛するとして、

山梨県南都留郡道志村・小倉美咲ちゃん行方不明事件その14(犯人の居住地域推定・片道どれくらいか) | 雑感 (ameblo.jp)

問題は警察犬のことかと。

この事件では捜索に警察犬が投入されており、「警察犬は行方不明となった女子の自宅から約240m(直線距離だと約180m)離れた月極駐車場まで追跡した」ということが明かされていました。(当該月極駐車場の方向は女子の自宅から北の方角。下の気象データは、朝霞市のものがなかったので、近くの所沢市のものとした。)

 

小倉美咲ちゃん行方不明事件

 

一方でのちに判明した事実は、「被害女子は自宅前の路上で男に車に乗せられ連れ去られた」というものでした(移送先となった千葉大横の男の自宅アパートは、方角としては、女子の自宅から南東にあたる)。

つまり女子はそもそも連れ去られた時、その警察犬が辿り着いたという、女子の自宅から北に約240m離れた月極駐車場まで歩いてはいなかったと。

とすると、「その警察犬はいったい何の臭気を辿ってその月極駐車場まで移動したのか?」ということにならざるを得ないかと思うのですが、

ここで無理やり警察犬擁護的な見方をするとすれば、

「男はいったん(方向違いではあったが)その月極駐車場方面に車を走らせたのではないか? それが男の逃走ルートだったのだ。それで警察犬は女子の自宅前からその駐車場までのルート上に残っていた男の車の臭気(タイヤの擦過臭)を追跡したか、あるいは、車からわずかに漏れ出て空気中に残存していた女子のにおいを辿ったのではないか?」

といった話になるのかもしれないのですが、

しかし女子の自宅は込み入った住宅街にあり、すぐ隣には40台は収容できそうな駐車場もあり(衛星画像で見ると20数台駐車しています)、車の通行量も多くはないにしても住宅街なりにはありそうな感じの場所で、その状況で「女子のにおいを嗅がされた警察犬」が「千葉から来ていた男の車のタイヤの擦過臭」のみを選り分けて辿っていくとか、「車から漏れ出て空気中に残存した女子のにおいを辿っていく」などといったことが、本当にあり得るのかという気はします。

また別の警察犬擁護の見方としては、

「その月極駐車場へのルートは女子の中学への通学路にあたっていたのではないか? つまり女子が連れ去られた日も彼女はその道を下校したわけだから、当然そのルート上には女子のにおいが残存していたのであり、警察犬はそのにおいを辿って月極駐車場まで歩いたのではないか?」

というものもあり得るかもしれませんが、

しかし女子が通っていたのは「朝霞市立朝霞第三中学校」であり、その月極駐車場とは全くの方向違いであり(月極駐車場は女子の自宅から北、中学は南東)、地図でルートを確認しても、その月極駐車場への道と中学への通学路がかぶるとは全く思えず、現に当時女子の帰宅ルートは公開されており、当日も通学路上にある某クリニックの防カメに下校中の彼女が写っていたシーンが公開されていたのですが、月極駐車場への道とは全くかぶっていないと、

だとすると「女子の中学への通学路とかぶっていた故に、警察犬はその月極駐車場までの道を辿ったのだ」というのも無理があるのかなと。

とするとあとは、「彼女は連れ去られる前日に、何らかの用事で、徒歩でその月極駐車場方面に出向いていたのだろう(だからそのルート上ににおいが残存していた)」といった設定で警察犬の動きのつじつまを合わせるということになるかと思うのですが、しかしそこまでする必要があるのかなと。

自分的には単純にこの事件は、警察犬が的外れな動きをした事例の一つとみてよいのではないかと思います。

 

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警察犬(推定)空振り事例その6.「大分県大分市・2歳女児行方不明事件(2020年11月)」

 

この行方不明事件は、2020年11月13日午前1時半ごろ、大分県大分市の2歳女児が深夜に寝ぼけて起きだし、そのまま家を出て南西に約200m離れた竹やぶに紛れ込み、泣いていたところを同日午前8時50分ごろに付近の70代男性により発見・保護されたというもの。

同居の祖父によると、午前1時半ごろに目を覚ましたところ、家族と一緒に寝ていたはずの孫娘がいなくなっており、自宅玄関のカギが開いていたとのこと。(110番通報は午前2時ごろ

大分中央署などが70人態勢で捜索するも発見には至らず、約7時間後に一般の高齢男性による発見・保護となった。

 

小倉美咲ちゃん行方不明事件

 

発見した男性によると、自宅近くの道を歩いていたところ、その道わきにある竹やぶの奥から女児の泣き声が聞こえたため、斜面を登って竹やぶの奥に進んでみたところ、パジャマ姿で泣いている女児を見つけたとのこと。(女児は裸足であり、足に擦り傷を負っていた)

この行方不明事件では、警察犬が投入されたかどうかの情報が見当たりません。

ただ、2歳児が深夜に行方不明となったこの状況で初日(通報は午前2時ごろ)の捜索開始すぐから警察犬が投入されていなかったのだとすれば、それはそれでどうなのか?という気がしますし、遅くとも翌日早朝には警察犬が投入されたのではないかと。

女児が夜中に抜け出した家は山の斜面を造成してつくられた閑静な住宅街にあり、女児の発見場所から逆算してその夜に辿ったルートを考えてみると、女児はいったん自分の家から坂を下り、そこから小高い山の頂上へと続く細道に入り、その道を延々と上って途中右手にある竹やぶの奥に紛れ込んだものと思われます。

現場は先に紹介した北海道七飯や大分県佐伯市宇目、山口県周防大島のケースほどの僻地ではないですが、それでも警察犬にとって不利とも思えない環境ではあります。

仮にこの行方不明事件の捜索に警察犬が投入されていたとすれば---投入されてなければ別の意味で問題かと思うので警察犬は投入されたものと推測しますが---ここでもまた、「この環境で追跡できないのなら、では一体どういう環境でなら追跡できるのか?」と疑問を抱かざるを得ない結果になったということではないかと。(発見場所は下の竹やぶ奥)

 

 

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とりあえず6例並べてみましたが、こうして見ると、近年世間を騒がせたほぼ全ての行方不明事件で結果が出せていないということかと。

 

しかし例えば10分とか20分とかの短時間でさっさと発見した事例については、そもそも公開捜査にもならずメディアも取り上げず、それゆえ話題にもならなかった(「ご褒美はジャーキー」みたいな感じの警察犬お手柄表彰ニュースがネットの隅でちょこっと報じられるのみ)という側面もあるかと思われ、現にそうした事例もネットには散見されます。
 

そうした早期発見の事例の中には、「これよく発見したな、発見できなければ公開捜査でメディアが取り上げ、話題になってたかもな」と思われるものや、表彰時に指導員さんが、

 

外出自粛で人の出が少なく、道が踏み荒らされてなかったのが警察犬にとって有利に働いた」

交通量が多く、特にトラックが多かったため、排気ガスや風で臭いが消えやすい悪条件だったが、よく頑張ってくれた」

「当日は風が強かったが、車の通行が多い道路などのにおいが飛散しやすい場所でも追跡対象を発見できるよう訓練を積んでいたことが結果につながった」

風が穏やかで、交通量も少ない状況が功を奏したのかもしれない」

雨上がりで臭いが消えやすい状況だったが(結果を出した)」

 

等々のコメントをされていて、警察犬にとっての得意・不得意の環境がどういったものであるかを窺い知ることができるようなケースもありますので、よければそちらのほうもググってみていただければと。