"Non la sospiri, la nostra casetta" | Je Veux Vivre

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ジャコモ・プッチ―にの『トスカ』第一幕、サンタ・アンドレア・デッラ ヴァッレ教会にトスカがカヴァラドッシを訪ねるシーンの二重奏に心惹かれる理由として、旋律が甘美であるばかりではなく歌詞が美しいことも挙げられる。以前書いたように"Mario!" とトスカが恋人の名を呼びかけ、カヴァラドッシが"Son qui"(ここにいる)と答えるところから愛し合う二人によって織りなされる音楽だ。

 

その中でトスカがカヴァラドッシを別荘に誘おうと歌うのが"Non la sospiri, la nostra casetta"で、甘美な旋律に乗せられた歌詞によってローマの美しい自然や牧歌的な風景が目に浮かぶ。

 

カラスのトスカとディステファノのカヴァラドッシ(ミラノ・スカラ座管弦楽団)

 

 

 

 

緑に覆われた別荘、星降る夜、萌える草、森と茂み、タイムの香り、野原と咲き誇る花、月明かりに海のそよ風、星空…。美しい自然の描写によってまさに自然が香り立つようだ。

 

 

これから訪れる悲劇を露とも想像だにせずカヴァラドッシの愛を情熱的に歌うトスカ。その後の悲劇との対比がより一層鮮明な甘美な旋律で、観客も心浮き立つ瞬間だ。