「神戸ニニンガ日誌」(第3,195号)
○裁判員制度が15年。原則辞退できないが、辞退者64%。
○角田光代『坂の途中の家』では、主婦の里沙子が乳幼児虐待事件の裁判員になる。被告人水穂は、娘を浴槽に落として溺死させた。里沙子の十日間の裁判と生活を綴る。
○関係者、本人が証言に立つ。虐待はあったのか。虚偽の証言はしていないか。公判が進み、水穂と自分が重なる。里沙子の夫も暴力・暴言なしで里沙子を貶めていた。それも里沙子の真実で、他者から見た里沙子はまた違う。
○解説の河合香織は「どうして私のことを知っているのだろう」と思いながら読んだという。同じような体験もあった。最後の評議で量刑を決めるが、里沙子は「自分ひとりが、どうしようもなくだめでおろかな母親に思えた。助けを呼びたいのに呼べない。身近なことはだれひとり気づかなかった」「だからといって赤ん坊を水に落としていいはずがない。同情できないのは、その一点のみです」と述べた。
○私が選ばれたら、まずこの本をもう一度開くと思う。
ⓜⓐⓓⓐⓘⓜⓐⓓⓐ まだいまだ。