hideを知らない人に向けた映画の最新作で、hideの実弟・松本裕士(当人の回顧録『兄弟』が原作)を主人公にした一本です。

I.N.A.の回顧録『君のいない世界』からもエピソードを引っ張ってきています。

断片的な過去のエピソードを交えつつ、hide没後からアルバム"Ja,Zoo"リリース、そしてツアーまでの流れを描いています。

 

印象としては「細かい所までよくできた映画」です。

Spread Beaverのメンバーの楽器を忠実に再現(一部は本人提供)し、

演者もhide役のJUONをはじめ実際に演奏ができる人材をそろえるなど事実を踏まえて細かい所まで作りこまれていますが、

一方で本作には「hideを知らないファンにhideを知ってもらう映画」という面が見え隠れします。


例えばhideの生前最後のテレビ収録

(番組そのものもトークと演奏が完全に別撮りなので相当毛色が違いますが)において

hideがギターを弾いているシーンは実際にはありませんでしたが、

映画ではそういったシーンが入っています。

 

これは初回限定版の特典DVDに収録された初日舞台挨拶で元々は後期hideのメインギターであったイエローハートを持っている予定だったところを、譲歩して"ROCKET DIVE"のMVでも使用されたJGに変更したとの話がありましたので、どうしても削れなかった要素という事になります。

 

それがどういう意味を持つのかはあえてここでは語りません。

知りたい方はYouTubeで解説動画をアップしている人がいるので、そちらをご覧ください。

 

ストーリーはhideの突然の死という危機にいかに立ち向かうか、

という事実をベースにしたもので、クライマックスのライヴシーンの再現は

当時の実際の映像と音源(配信と限定版のCDに収録)を交えながら、

hide with Spread Beaverのライヴを追体験できる内容となっています。

 

主演の今井翼や副主人公格のI.N.A役の塚本高史がリアルタイム世代という事もあり、かなり力の入った内容となっています。

要はあくまで事実を基にしたフィクション映画ということを頭の片隅に置いたうえで見れば、

十分に楽しめる映画ではあります。

 

こちらのドキュメンタリーの頃からhideを知らない世代に向けた映画作りを始めたように感じられます。

 

 

 

 

 

2024/5/2追記

 

などとグダグダ語っていましたが、

hideとの体重差およそ30キロ、"FAT FREE"などという好ましくない二つ名を付けられた

人のキャスティングが今井翼という時点で、この映画は既にフィクションだったんですよ。

 

ご丁寧に本人の写真もブックレットに収められているというのに、

なんで今まで気づかなかったんでしょう!

当然キャストがキャストなだけに、原作で明らかにされているマネージャーになった当初はパンチパーマに髭というルックスでダフ屋に間違われたというエピソードはカットされていますし。