近日公開予定の映画『TELL ME hideと見た景色』の原作は映画の主人公でもあるhideの実弟・松本裕士氏(演・今井翼)の回顧録『兄弟 追憶のhide』ですが、原案協力としてクレジットされているのがソロミュージシャン・hideの共同プロデューサーとでも呼ぶべき人物が記した本書です。
本書の内容は、打ち込み専門のスタジオミュージシャンだった著者がhideと出会い、
ソロという新たな領域へ挑戦していく際の共同制作者として歩んでいったサイボーグ・ロック誕生の道のりを中心に記されています。
実弟兼パーソナルマネージャーという立場から書かれた『兄弟』とは全く違う視点で描かれているので、どちらもhideを知るために読んでおくべきでしょう。
「未来人の片鱗」という一説に書かれたhideの発言からは、もし今でもhideが生きていたら
CGミュージシャン・hideを松本秀人がプロデュースするという展開もあり得たのでは?と思わせてくれます。
本書の最後に2014年にリリースされた『子 ギャル』の制作に関する裏話が記されています。
現在のボーカロイド合成技術の限界に挑戦し、それでも納得のできる音源に至らず
最終的には著者による手作業が加えられたとのことでした。
それでも不自然に感じる部分も残っていましたが、2019年に放送された美空ひばりの「新曲」にはそれほど不自然さが感じられませんでした。
それはAIのディープラーニングの成果なのか、参考音源の量がhideよりもはるかに多いためなのでしょうか?(美空ひばりが息子に残したテープの話し声がAIの学習素材となったようですが、hideもオールナイトニッポンの話し声が相当な数残っていることを考えると近年のAIの進化が著しいのかもしれません)
ちなみに、本書はヤマハから出版されていますがこれは前述の『子 ギャル』でヤマハのボーカロイド開発チームと縁が出来たことが影響しているのでしょうか?