なすのに乗って神宮球場へ | 町田ロッテと野球散策

町田ロッテと野球散策

いやぁ、野球って、本当にいいものですね。

 初めにお断りしておきますが、栃木県民ではありません。

 妻が入院している中で迎えた4連休です。さて、我が子をどこへ連れていったらいいものか。なおこの4連休、折悪くマリーンズは札幌遠征中でした(※実は行こうとしていたのですが飛行機を抑えようと思ったタイミングが8月の上旬で、感染者がだいぶ増えている中で飛行機も減便し始めている状況だったので諦めました…今思えば、妻は行けるはずもなかったので断念しておいてよかったです)。そしてファームもロッテ浦和球場だったので、もちろん観に行けるはずもありません。であれば…

 

 それでも野球に行ってしまいました。ああ救いがたき野球バカ親子。

 向かったのは、北でした。しかし新幹線と在来線を乗り継いで函館経由で札幌に向かうには遅すぎたので(※遅くなくてもやらないけど)、だいぶ手前の栃木まで行くことにしました。着いたのは、小山です。そこからコミュニティバスに乗り、終点のバス停から歩くこと30分だったでしょうか。車で走らずに歩いて行く国道4号線はものすごい世界でした。

 

 小山運動公園野球場です。しかし1回の表、先頭打者がツーベースで出た直後にかなり雨が強くなり、中断してしまいます。

 

 観に来たのは、久々のルートインBCリーグでした。栃木ゴールデンブレーブス対、茨城アストロプラネッツ…最後に独立リーグを観たのは何年前だったか忘れてしまいましたが、たしかこの両チームはまだ出来ていなかったものと思えます(当時、現在埼玉武蔵の監督を務める角晃多が現役だったような気がします)。

 

 しかし小山園芸の懸命なリカバリーの甲斐あって、なんとか再開します。しかも、マウンドには栃木の寺内監督が自らスコップを持って土を入れているのです。これは頭が下がりました。

 

 久しぶりに西岡剛を見ました。元気そうでした。先日栃木と再契約…実はチームで浮いているのではないかと心配になっていたのですがこの日は第一打席、第二打席でヒットを放ち、次打者のホームランで生還したときは、ホームランを打った選手が生還する際にハグで迎えるなど、実に明るく元気にプレーしていたので安心しました。

 

 そして岡田幸文コーチ。攻撃時には一塁ベースコーチ、そして守備の時は相手ランナーが得点圏になった際にはベンチから出て大きな手ぶりで外野手の守備位置を指示していました。ずいぶん、板についた感じでした。

 

 おお!

 投手コーチ兼任だそうです。こちらも元気そうで安心しました。

 

 なおこの試合ですが、雨で中断したせいもあって試合開始2時間で終えたのはわずか3イニングでした。実はこの後予定があったので、泣く泣く球場を後にします(バス停まで30分近く歩かねばならないのもあり)。ところが我が子、意外なことを言います。

「さいごまでみたかった…」

 びっくりしました。

 栃木くんだりまで来て観た独立リーグ…一般的に言えば、完全に親の変な趣味に付き合わされたかわいそうな未就学児だったと思うのです。私も、その自覚はかろうじてありました。しかし西岡や成瀬がマリーンズに居た頃なんて絶対に知らない我が子が口にしたのは「またこよーね」。本当に、本当に、驚きました。次は、信濃路でしょうか。

 

 さて次の予定のため、小山から新幹線に乗ることにしました。この駅から新幹線に乗るのは初めてでしたし、東北新幹線で「はやぶさ」以外に乗るのは13年前の「やまびこ」以来かもしれません。乗ったのは「なすの」東京行きです。

 那須野巧を思い出しながら。ロッテ浦和球場の脇を通ったはずです。

 

 新幹線でここまで向かったのはもちろん初めてです。そして、何と言っても今季初の神宮球場。スケジュールが合い、かつ収容人員緩和が重なり、しかもカープ戦にも関わらず直前までチケットが残っていたのもあって、我が子と2人で行くことに決めてしまいました。

 

 試合前、「はろーんうぇー…(チャラチャッチャチャ、チャ、チャーチャッ)」。winkの『悲しい熱帯魚』ですね。

 

 カープの先発は、ルーキー森下です。もう新人王確定でしょう。昨年まで明治のエースとして神宮のマウンドに何度も登った森下ですが、プロになってからは初めての神宮での登板とのことでした。

 素晴らしかったですね。7回を投げて2失点の好投でした。(ちなみに座席は「ポール見切り席」という実に微妙な席だったので、ピッチャーを撮影する際には完全にポールとお友達でした)

 なおその森下から2点を奪ったヤクルト…

 

 この人のツーランホームランでした。坂口も、もう18年目です。現在3人しか現役にはいない、「元近鉄」戦士の一人。オリックスを戦力外になった時には驚きましたが、ヤクルトでしっかり復活しています。驚いたのは、ホームランを打った後のセンターの守備に入るときでした。

 ライトスタンドへ、そして今季から(?)ホーム応援席になったレフトスタンドのセンター寄りエリアに向かって深々と一礼。あまりにも深かったので驚きました。顔はおそろしくいかつい坂口ですが、こういう姿勢はもうハートにずきゅんと来ます(ギャップに弱いです)。坂口はヤクルトで一塁も守りますが、坂口曰く「日々感謝の気持ちで何でもやらせてもらっている」と語っていたのを思い出しました。

 私はヤクルトでは、坂口がいちばん好きかもしれません。

 

 試合は2-1でヤクルトがそのまま勝つだろうなと思われた8回、なんと堂林に同点アーチが飛び出します。この打席、堂林はヤクルトのセットアッパー清水の前に追い込まれるのですがその追い込まれ方が「どう考えても打てそうにないな」という感じだったのでこれまたびっくりしました。びっくりしてばかりですが、びっくりしました。まぁ、野球はびっくりの連続です。しかしこれで、延長戦に突入してしまうことになってしまいます…時間も遅くなるので我が子に「帰る?」と聞きます。連休中とは言え、さすがにそこは打診します。ところが我が子…

 

「さいごまでみたい」

 

 この子にとって、野球は最後まで観るもののようです。それは当たり前なのですがまだ小さいので私は「途中までで野球のエッセンスを感じる」楽しみ方にとどまってもいいと思っていました。しかし我が子にはそれは許されないようで、やはり「さいごまでみる」と言って、聞きません。本当であれば親は問答無用で帰路に着くものかもしれませんが…結局延長戦を観ることにしてしまいました。

 

 延長10回、勝ち越しのタイムリーを放ったのは、育成選手としてカープに入団した大盛穂(おおもり・みのる)でした。この選手、たしか昨年引退した赤松に「大盛のために、僕が支配下選手であってはいけない」と言わせた選手だったのですよね。いわば赤松に引退を決断させたかもしれない選手なのです。その大盛が、試合を決める執念の内野安打を決めました。

 ヒーローインタビューは、さすがに中座しました。ごめんなさい。

 

 栃木と東京の、久しぶりの「はしご観戦」でした。そして我が子は日に日に「野球バカ」になってきています。ただ独立リーグでも神宮でも「さいごまでみる」と言い放ったのは意外でした。4歳にして、野球をちゃんと観たいと思うようになったのでしょうか。あるいは、過度に野球漬けにしてしまった親のミスでしょうか。後者のような気がかなりしていますが、もう後戻りできないかもしれません。

 ま、いいか。

 

 なお我が子、最近「やくるとがすき」と言い始めました。こればかりは「親による洗脳」ではないと思います。

 ただ思い出すのは40年ほど前。関西出身ゆえ南海を応援していた父親に連れて来られた西武球場の三塁側スタンド。当時は三塁側はビジターでした。周囲には南海ファンがいました(たくさんはいませんでした。昔のパリーグだったので)。その中で私は…田淵とか石毛とかを公然と応援して、周囲の大人から笑われながら「ここは南海を応援しようね」と言われたものです。それでも私は、西武ファンになりました。まさか、これの繰り返しなのでしょうか。親と子が同じチームのファンになるとは限らないのかもしれません。我が子が本当にヤクルトにぞっこんであれば、それは尊重してやろうと思っています。少し。

 とりあえず、来週テストします。我が夫婦の人生で一度も体験したことのない「ヤクルト対阪神」で。

 

 札幌のマリーンズについては触れません。せめて今日は勝って!