風呂に入ってると長髪のわたしは妙に頭が痒い。
痒くて痒くてたまらなかったので洗髪しようとシャンプーを探したがどこにもシャンプーがない、固形石鹸で代用すれば良いがその考えは浮かばなかった。裸で入浴してるところだったが母は無造作に
浴室に入ってきてわたしにシャンプーを渡すのでわたしは怒った。
すると母は悲しい顔をして風呂から出て行った。
哀しい表情は昔にも見たことを回想する、あれはわたしが20代の頃
良かれと思ってわたしのことを思ってTシャツを買ってきてくれたがあったがわたしは喜ばなかった。それどころか・・・
「また黒なんか買ってきて黒いTシャツなんて着ない、センスない」
と買ってきたTシャツを突き返した。母は哀しい顔でTシャツを手
にすると部屋から出て行った。
どうしてあの時”ありがとう”の一言が言えなかったのだろう。
夢の中ではそんな思考はなくそのときが現実なのだ、夢から覚めてやっと後悔に辿り着く。
今の現実では頭髪は坊主頭で髪の毛を伸ばしたくても毛が抜けてどうすることも出来ない、夢の中では髪の毛がフサフサだった。
母が死んで第一声がありがとうだった、なぜ当時はそんなことを言ったか考えが及ばなかった。
生前わたしの為に買ってきてくれたことは何度もあるがありがとうと言ったことは一度もなかった、墓前にて最後の最後に感謝の気持ちを伝えたがそれで母は納得出来ただろうか。