[短編小説] 夢を諦めるな | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

バイクが欲しい、バイクが欲しいと思い続けて3年が過ぎた。

休日になるとバイク店に足を運ぶ、それが休日の過ごし方。

バイク店では跨ったことは何度もあるが店によって滑りやすい床も

あり300キロを超える車重だと踏ん張り切れず足が滑っていく。

エンジンをかけると他のバイクにはない鼓動も耳につく、エンジンの音で心を揺さぶられる。

バイクなら何でもいい訳ではない、欲しいバイクは決まっていた。

 

アメリカ製のハーレーダビッドソンFXDL TC96通称ツインカム

ダイナシリーズでインジェクション仕様、キャブでも良いがハーレーはキャブモデルは年式が古いのに高価なのだ。

キャブモデルはTC88といいフレームやフロントフォークの径が細くその分重量が軽い、重量差で10キロ程度だがその小さな差が乗ると大きく変わる。

体力が米国人に劣る日本人にはTC88の方が向いてるかもしれない

TC88やTC96、シャベルなどはエンジンの名称である。

 

毎週バイクを見に来ると売れた仔や新しく来た仔と入れ替わるのは少し寂しいと思えるが買うことが出来ない自分はただ見てることしか出来ない。

”みているだけで嬉しいのさ”

そう自分に言い聞かせたが本音は違う、バイクは芸術品ではなくあくまで乗り物で乗ってみてはじめて良さや欠点が理解できる。

見るだけで満足できるほど男は若くはなかった。

 

バイクを買えない理由は金額だけではない、確かに安い金額ではないが買うだけならなんとかなる。燃料はハイオク、このガソリンが高騰する時代にハイオクは辛い、それとバイクの置き場所が問題で

屋根下に置きたいところだがいろんな機械があり置くことができない。さらに年齢的に地域の役が回ってくる年齢の為、若い時のように自由に時間が取れずバイクを買っても乗り回す余裕がない。

以上なことからバイクを見ているだけにした。

 

バイクに乗る夢を諦めかけていた時思いもしなかった物を貰うことになった。

自分でも忘れていた誕生日がやってきた。

姉がやってきて男にプレゼントと言い小包を渡したが忘れていた誕生日だったのでなんのプレゼントか男には検討がつかなかった。

 

トラクターで畑を耕す仕事が終わり帰宅すると風呂を沸かした後夕食の準備に取り掛かるのが日課になっていたがごみ収集日の前日は

明日出すごみを準備する。

晩飯を食べた後部屋で晩酌してると小包があるのに気が付いた。

思い出すと朝姉から貰った誕生日のプレゼント、まだ開封してなかったことが鮮明に頭を過る。

晩酌でいつもするのがパソコンでハーレーの中古を見たり用品をみたりするのが毎日の務めと言っても過言ではない。

ネットで気になる用品を見つけた、欲しい、買いたい、でも今の自分には不要の長物。

ハーレーをもし買ったら最低でもヘルメットとデニムか皮のベストは買いたいと考えたのだった。

 

開封して驚いたがそれは自分が気になっていたジェットヘルだった

それもパイロット型でどういうわけかサイズもぴったりで被ってみるとしっくり馴染む。頭が人より一回り大きいのだが偶然にも自分と同じサイズに言葉が出ない。

 

家の仕事が忙しく2週間ぶりにバイク店に行くことが出来たのだった。

店に行くと密かに狙っていた小豆色のFXDLが消えていた。手付金を払った訳ではない中古車だから売れるのは至極当然の結果だろう。

店内を見て回ると前回見に来た時と同じダイナで意気消沈した。

小豆色マルーンは初めて買った車と同色というのもあって気になっていた1台だった。

 

「新たにダイナで入荷する予定はないんですか」

 

「入荷したばかりなんですが今日来たのが置いてあります、金額を決     

  め兼ねておりましてまだ値札もつけておりません」

 

「2階の階段近くにあったでしょう?」

 

「ああ、あれですか」

納車済みの車両かと思えるほど光っていた。

 

「見ていいですかね」

 

「はい、いいですが少々問題がありまして」

 

濃い紫の車両で塗り替えたように思えたそのタンクはコーティングしてあるようで輝きを発して見るものの心を奪った。シシーバー、

アルミのステップ、グリップはメッキのエンドでステップはボードタイプ、ステンメッシュのブレーキホースにキャリパーはロッキード、マフラーも変えてありっマフラーエンドは斜めカット、シートは

トランプ、バッグサポートもつくリアショックはオーリンズがつき

2012年式FXDLで走行距離は11000キロ

価格を店員に尋ねると115万だという。

 

バイクに誘われるように軽くミラーに触れてしまうと

右側のミラーは”ピシっ”と音を突然たてミラーに亀裂が入っていく

男は右手の人差し指から出血しミラーを赤く染めた。

通常ならひりひりするとかずきずきする訳なのに不思議なことに痛みは全く感じない、痛みはなくただ血が流れるだけだ、まるで吸血鬼に血を吸われているみたいだった。

 

「お客さん大丈夫ですか」

ミラーで指を切った程度では一般的に数分経てば血は止まるが指の

傷でも動脈を切ると血は止まらず脈打って血は流れる、男のケガはそんな状態であった。

 

「手を心臓の位置より上げて数分経てば血は止まるとでしょうよ」

男は若い時指の静脈だか動脈を切り焦ったことがあり血を止める方法を調べたことを思い出し冷静に対処した。

止血できると今度はバイクの破損についての話に移らなければならない。

 

「やっぱりミラーは弁償ですよね」

 

「いいえとんでもない、わたしの見た限りではお客様になんの落ち 

  度もありません、ミラーはうちの方で直します」

「怪我したお客様に是非話しておかければならない話がございます」

 

季節は初夏6月、注文書を書いて購入に至った、ナンバー登録を終え

試乗することになった。

店員は最後の最後まで気味の悪い車両だから購入は控えるようにと何度も説得されたが男の決意は動かなかった。金額は115万から95へ値引いてくれたのはとても嬉しいことだ。

試乗してもし悪いことが発生したらバイクをキャンセルにと店員から熱望されたことで良心的な店だと好感触。

 

姉からプレゼントされたパイロット風ジェットヘルメットを被り試乗するため出やすい場所に置かれたハーレーローライダーFXDLに跨ると濃い紫いろのタンクは気のせいか明るく輝いた。

“ドドン”

セルを回すと大きな音を出して咆哮する野獣のようなダイナ

ダイナの鼓動は大地を揺らす脈拍のうにドックンドックンと脈打つ

クシタニの白い手袋でアクセルを捻ると狙った獲物を見つけたようにダイナは加速していく。

気持ちよく走っていたらいきなりロッキードは悲鳴をあげて急制動

した。乗ってる男にも訳が分からぬまま止まってしまうバイクに唖然とした。

すると理由がわかった。

子供がいきなり飛び出してきたのだ、もしあのまま走っていたら子供を轢いてしまうところだった、そう思うと身体に震えがやってくる

其のあとは何事もなく店へ戻り試乗は終わった、試乗は終わり必要な書類を渡された後は帰宅、勿論ダイナを家へ連れて帰るのだ。

 

「試乗で嫌なことはありませんでした?」

「ありました、ダイナは交通事故からわたしを守ってくれました」

「もしあの時私が急制動をかけたら300キロを超える車重では子供を

  跳ねていたでしょう、ダイナはわたしと出会うサダメだったと

  思います。」

 

おわり

 

この物語はフィクションであり実在する個人や団体とは

一切関係ありません