変えなければならない
代える時がきた
革命が必要だ
一時的に家康や道真を神に奉ったのは誰だ
大和の国を創造している神は4人、以前からアフロディーテ、アテ
ナ、ゼウス、イプシロンなどの欧州神イエス、キャスパー、クリス
と言った北米神から多くの民を削減する大和のやり方に異議を唱え
てきた、民の中には自分の氏子も含まれていたから他人事では済ま
ない。4人の神も現行神、家康や道真、将門ら執務には不満を抱く
ものがありなんとかしなければいけない危機感に苛まれていた。
どうする現行神に変わる人材などいない
我らがやればいいじゃろ
じゃ聞くが現在の総理大臣をいうてみ
佐藤栄作か田中角栄か
何十年前だそれは、現在の大和がどうなっているか知らなければ神
なぞ無理な話。
話し合いに詰まると宴を開き酒を飲む。大和の国が天変地異によっ
て壊滅しようとしている危機的状況にある今だというのに大和の神
々は宴と会議を繰り返し数十年の月日が無駄に流れた。
”遺憾”
現社会では各国首脳はこの言葉で怒りを現すのだが世界の神々はそ
んな事を言う必要はなく天災で実力行使する。大雨、台風、地震な
どを交互に使い目標物が消滅するまで集中的に行使するのが神のや
り方だ。
現行神の監査役として4人の神が役目を果たすが現在3人しか招集
に応じず最後の一人はここ数百年集まりに応じていない。神が不在
だと気づかれない為に神々は噂を流した、それが雨の巖戸伝説であ
る。現世では偶然だろうか晴天の日は少なくなり雨が続き伝説を後
押しするような天候が続いた。
肝心の神、言わずと知れた大神(おおかみ)はどうしたのかと言え
ば田園地帯にある小さな神社に何者かを神に仕える眷属に見張らせ
その間に病院で8時から5時まで栄養士の仕事をする。大神が人間
の仕事をするのもおかしな話だが栄養士の仕事をすることで現代の
食生活を知る事が出来る。
”どう彼は動いた?”
”自宅で種まきをしているようです”
”前日熱があるのに地域の草刈りに出た模様でございます”
”やばいんじゃないの”
”今の所水飲んで堪えているようですが時間の問題かと”
人間になりすまし仕事を終えたアマテラスは帰宅すると眷属に聞く
ことが帰宅してからやること、帰宅と言っても人間のようにマンシ
ョンや戸建てではなく各地にある神社で無賃の借り住まいのような
もの、神々は食事や睡眠は必要ないので居場所さえあれば良い。
アマテラスが言った彼とは一体何者なのであろうか
5月下旬種まきが終わり後片付けの為に桶を運ぶ途中、足を崩した
かと思うとその場に倒れた。無心で夢遊病のように何も思考能力が
ない男は起き上がると再び気を失い倒れた。気絶して誰にも気づか
れなかったら絶命しただろうし死んだ方が本人にとって幸せだった
かもしれない、人生50年過酷な人生を歩んできた差別と僻みの5
0年で姉を贔屓する父親によって人生を狂わされたと言っても過言
ではない。社会人になってからは差別を心底憎むようになりその結
果転職を繰り返し転職で失敗し待遇はどんどん悪くなった。そんな
人生だから40過ぎても結婚歴0で未婚、孫がいる同世代の年齢に
なっても独身男ひとりで生活しなければならなかった。
倒れた時もし意識があればやっと楽になれると思っただろうがそれ
を許さない者がいた。傍観していたアマテラスである。完全に心臓
が停止し死後硬直が始まってしまえばアマテラスなどの神々でさえ
蘇生させることは叶わない。迎えの先祖たちが現れてしまったら死
を受け入れざる得ない。
”御神(おかみ)気づきませんか?様子が変でございます”
”なにが”
”迎えの先祖が現れないしノミや蚊といった吸血虫が離れない”
”完全死ではないというのか”
カラスに化けて様子を見守っていたアマテラスと眷属の一団は倒れ
た男が死んだ訳ではないと悟った。
アマテラスが不在のなか大和の国は天災が降りかかる、異例な集中
豪雨で各河川が氾濫し緊急避難警報が出るが今まで氾濫したことが
ないせいで人々は高を括り今回も安全と思う中河川は氾濫し多くの
人が濁流に呑まれた。運良く助かっても地震で軒先に捕まっていた
人は濁流の中に呑まれた。濁流から逃れ屋根に逃れた人々も落雷に
打たれ絶命した。海では雨降る中誰も見た事がないような引き潮で
潮がとてつもない速度で沖に引っ張られ貝や海底に住む魚は海底だ
った砂浜に打ちあげられ50キロ先の沖では大きなうねりが発生し
海底の深層水を吸い上げ膨らんでいった。うねりは速度をあげ津波
と化し海岸が近づくと流木などの浮遊物を巻き込みながら高さを上
げ乍ら勢いをつけて行く。増水した河川は土手を破壊すると縛られ
た制約から解き放たれ爆発的な破壊力を手に入れた濁流は何百年も
かけて作られた田園風景を目指し流れていった。
津波は海岸に到達すると1級河川を逆流して遡り速度を上げたまま遡
上し係留してあったボートを転覆させ桟橋を破壊しながら勢いを衰
えることなく上流を目指した。
3人の神は呑気であったが天災で多くの人が死にアマテラスが戻って
くればなんとかなる、なんとかしてくれると考えていたが悠長な事
を言ってる暇ではない。大和での信仰者が自分達を支えていたがそ
れも信仰者がいてのこと、信仰者がいなくなれば自分達の存在価値
もなくなる。かといって自分達3人だけでは何をしたらいいかわか
らない、緊急事態になった時いつも矢面で動いていたのが議長だっ
たアマテラスでいわばアマテラスのワンマンチームであった。3人の
神にやらねばならないのはアマテラスを探し出すことだが今どこで
何をしてるか全く予想がつかない、人間のように緊急連絡先を聞い
ておけばと後悔しても今となっては遅かった。
”あなたはだれ”
男は心の闇に囚われ自分では夢のように感じていた。
夢の中で自分を呼ぶ者に気が付き呼びかけた。
なんど声を掛けても答えはない。
陽炎だった姿は次第に鮮明になり髪の長い女性の姿として映ると
4,5回目に声を掛けた時やっと声が戻ってきた。
”わたしはアマテラス”
何度か交信を試みてやっと会話ができたのだろうかアマテラスは頬
を湿らす涙を指で拭った。
”どうして泣いているの”
”さぁなんでかしら”
アマテラスは時を越え時代を越えて何千年この時を待っただろう、
昔の事が走馬燈として蘇ってくる、やっと見つけた時余命幾ばくも
ない病の縁にいた時や車で事故死する瞬間もみたなど何回この人の
死を乗り越えて念願だった時がやっと来たと思うと涙は止め処なく
流れ西暦2050年の今でさえ昨日の様に思えてしまう。
”そろそろ戻らないといけない”
”どっかに行っちゃうの”
”また会えるわ”
”2度と会えない気がする”
”いいえあなたが探し出してくれたら会える、絶対にさがして”
アマテラスはそれだけを言い残し小さくなって消えた。
病院の緊急医療救命病棟では植物人間だと思われていた男が奇跡的
に意識を取り戻した。名前は九弦坂幸四郎(くげんざか)52才夢を
見ていた気がするが全く覚えていなかった。ただ誰かを探す使命感
だけがあったが誰を探すべきなのか男か女かもわからない。九弦坂
は面倒な事が嫌いで考える事も好まない、深く考えず夢で見ただけ
と自分に言い聞かせ忘れる事とした。
「綺麗な奧さんですね、失礼ですがモデルさんですか」
「何かの勘違いでしょ、僕は独身で彼女もいません」
「変ですね、治療費を払って行かれましたよ」
誰だろうと考える程には知り会い友人はいない、金がないのですぐ
退院しようと考えたが1週間の前払いは済んでいるという。
病院で食事は一日3食時間が決まっておりその時間になると順番に
配膳される、また患者の病気によって献立が決まるから隣のベッド
で入院してる人と同じメニューとは限らない。食事時間も長めに取
ってあり片づける時間も大方の予想で決めてある。食事が終わると
薬を呑む時間で看護師は紅茶を持ってきた。タブレットケースから
薬を出すと口に流し込んでくれる。
薬を呑むとすぐに眠ってしまい九弦坂は夢を見た。
九弦坂は轍がある草生い茂る田んぼに囲まれた農道に立っていた。
延々と続く土手が見える、大雨のせいで土手に水しぶきが跳ねてい
るが自分が呑まれる危機感は感じなかった。南から轟音とともに大
きな濁流が新幹線の高架を呑みこむと高架は塵になって崩れ去った
津波だと九弦坂は思った。人の姿は見えないが遠くから人の声が聞
こえる。
「九弦坂さん、あなたは二つの流れを衝突させる力がある」
「わたしの力をあなたは奪ったのだけどね」
「貴方はだれ」
「忘れたんですか」
夢から醒めると7時になっていた、病院は空調完備なので寝苦しい
ことはなく寝すぎるくらいで朝5時半には目覚めてしまうが今朝は
朝7時まで目覚めることがなかった。
朝食の時間を終え薬は看護師が呑ませてくれず自分で飲むようにな
ると若い看護師の女性から飲ませて貰えない寂しさが残る。そんな
事を思いながら薬を口に投げ入れると指が不必要に光っている、指
先の指紋など光が反射して指の根元まで指が光る。油かと思って指
を洗ってみても洗った瞬間は光が鈍るのだが数分経つと再び光って
くる。
気を失い意識が戻ると集落に濁流が流れ込もうとしている田畑に一
人立尽くしていた。新幹線高架を津波は破壊し南から流れ込むのが
見えた時片手で津波を濁流にぶつける手振りをすると津波は方向を
換え氾濫した濁流へぶつかりふたつの激流は撲殺し何もなかったか
のように静まり返ると日光東照宮、靖国神社、大手町の平将門の慰
霊塔を壊滅して廻り神霊は消滅させたのか空気の流れは変わった。
空気の流れ、地脈が変わり本来の流れになると神々は喜び至福の時
がやってくる、大和の国本来のヤヲロズの神々が復活を遂げると世
界の神には為す術もなく引き上げるしかない。こうして大和の国は
天災や異常気象から守られた。九弦坂が生きてる内はアマテラスと
協力して2度と同じ過ちは起こらないだろう。
この物語はフィクションであり実在の
人物団体には一切関係ありません