[短編小説][奇奇怪怪] こんにちわ | 妄想小説日記 わしの作文

妄想小説日記 わしの作文

わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

「こんにちわ」

 

洗濯物をしていたわたしは手を止め誰か訪問者がきたと思い居間に

向かうと居間でだとは両親がTVを見ていてわたしはTVの音声だと

思い洗濯を続けようとしたが足を止めTVの放送をよく見ると猫を

取り上げた番組で猫と人の繋がりを放送していて人が挨拶するシー

ンは皆無だった。

 

翌日の夕方5時隣に住む小坂さんが家を訪れた。

 

「こんにちわ」

 

自治会の連絡で町ぐるみ掃除を知らせる回覧板だった。

 

「小坂さんは昨日来てませんよね」

「いいえ今日がはじめてですよ、では失礼します」

「御苦労さまです」

 

なぜ聞いたかといえば昨日の挨拶した声は女性だったので一応聞い

た。小坂さんは50代女性で母親と2人暮らし、多くは語らない人

で48歳のわたしと年上の小坂さんは幼い頃はよく遊んでくれたの

だが成人を越えてからは物静かな女性と変わってしまった。

 

痴呆気味になり食事の用意をしなくなった母の代りにわたしが晩飯

の準備をしている。料理学校で学んだ事は無いので料理はすべて自

己流でパソコンを使いネットで学ぶだけだから手の込んだ料理は作

れず今晩はポテトサラダとホウレンソウの胡麻和え、アジの開きを

焼いた程度だ。

晩飯を食べていると”ご飯が硬い””魚が良く焼けてない”など父親が

文句を言うのは毎度の事で自分じゃ出来ない癖に文句はだけは一人

前に言ってくるいちいち気にしていては料理など作れない。

 

「こんにちは」

 

夜7時に訪問者など宅配便くらいで近所の人は遅くても5時を過ぎ

て訪れることはない。

 

「誰か来たみたいだぞ」

「聞こえたよな」

「何言ってるんだ、人が来たんだ」

 

玄関を開けてみると誰もいなかった事が1、2回じゃ効かず十数回

にも昇るのでわたしは自分自身が信じられなくなっていた。

 

「こんにちわ」

 

玄関に出てみると確かにガラスの引き戸には人影が写っている。

家は古民家で玄関は木枠にガラスを嵌めた古風な玄関で鍵もねじ込

むタイプ、ねじ込みを時計と反対方向に回すと玄関は開き左側に引

き戸を開けると誰もいない、居た気配もない、去った痕跡もない。

 

頭が変になりそうだ。家に幽霊はいるらしいが霊を見たことはない

が奇怪な音を聞いたことはある、セメントの左官作業や薪を割る音

近くの畑で深夜草刈り機(草払い機)のエンジンを唸らせる音。人

が歩く足音や罵声で話し合う人の声もあるが外に出てみれば誰もい

ない、機械の音も消え静かな夜の帳(とばり)がわたしを出迎える

 

閑話休題で話を変えるが聞こえる筈がない音が私には聞こえる時が

ある。

”ピポッ、ピポッ、ピポッ、ピポッ”

入院したことが有る人なら誰もが聞いた病室いや病院での音。

病院設備の機械に依る作動音が突発的に聞こえる、初めはTVの出す

音かと思っていたが自宅の部屋にいる時も外から聞こえ普通じゃな

いと気づくと死期が近いのか霊が近寄る合図なのかと考えてしまう

 

格云うわたしも肺炎で入院した経験があり病室で飽きる程聞いた音

で2度と聞きたくないと思っていたが自分の意思とは反対に聞こえ

てしまう。聞こえる訳がない音が聞こえる時人は心霊と結びつける

頭が変になり印象強かった音が蜃気楼として聞こえる場合もあるだ

ろうが実際に耳の鼓膜から聞こえると事実として受け止めるしかな

い。

 

わたしは姿を見せない霊はわたしを畏れていて霊になったばかりの

新参者と相手の事を知らないのに勝手に想像してた。

 

霊になったばかりだと年季の入った霊の真似をするもので例えば映

画にもなった霊のように下目遣いとか4つ足で走るなど真似をする

それに引き換え病院の設備の音を出すなど新しい取り組みなのだ。

 

午後6時、無性に大便がしたくなり朝どんなに踏ん張っても出なか

った大便なので多少の時間くらい我慢できると思っていたのだがト

イレに行く途中で大便の実が半分出初めトイレの便器に着く頃には

スルッっと大きな実がパンツの隙を掻い潜り落ちてしまった。一度

出始めた実は菊門を手で抑えても太い汚物を止める事はできない。

 

”アッハハハ”

 

トイレの便器回りを掃除しているとトイレの電灯が点滅し何度か点

滅した後明るさを失うと同時に甲高い女性の声で高笑いするのが聞

こえた。暗闇の中トイレの鏡だけが蒼白く光ると髪を結った女が髪

を咥えた姿で背を向けていた、そして振り返ったらトイレの照明が

明るく光り今見た光景が幻に思えた。今日見た光景を誰にいう事も

なく夜8時に風呂へ入ると浴槽につかりながら夢をみた。

 

わたしは高級車に轢かれ他界した。霊となって裁判をみていると民

法で慰謝料が30万、成人としては至上最低金額で裁判官を含め裁

判に出席していた全員の笑いを誘った。30万の理由としては遺族

がいない事と心臓ガンで3か月しか寿命が残っていない事。わたし

が次に訪れたのはあの世で閻魔大王を裁判長とする裁判の席だった

 

「おまえは三途の川を渡る船賃が足りず、よって地獄送りとする」

「渡り賃100円ではないんですか」

「物価高の影響で5年前に200円になったばかりなのだ、もっと

 早く来れば極楽浄土だったのに残念である」

 

慰謝料30万貰った筈だがあの世には現世の1/1000しかあの世に

持って行けないらしい。300円はあるようなものだが各所で手数

料として持って行かれ手持ちには100円しか残っていなかった。

他界した久代がいたので金を都合して貰おうと頼んだら結婚式の費

用が足りなくなると断られわたしは奈落に落とされてしまった。

 

「うわぁー」

 

目覚めるといつものベッド、高い天井につけられた蛍光灯、32イ

ンチの液晶テレビなどいつもの部屋で夢を見ていたと悟った。

 

なんか胸に電気が走り違和感を覚えると真っ白な手がわたしの胸を

弄っている、乳首が勃起して乳輪が硬くなっているのはその所為だ

男の癖に柔らかな膨らみかけた胸を持つのはこの女が毎晩揉んでい

た所為だと気づいた。半透明の幸子さんは時代劇に出てくる女中の

ように髪を結い白い長襦袢を着ていた。わたしは私の胸を揉む彼女

の左手を掴んだら彼女の姿は消え見えなくなった。

 

おわり

 

この物語はフィクションであり実在の

人物団体には一切関係ありません