[短編小説] 禁獣 | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

犬はいいけど猫は駄目その逆に猫は良いと大抵の両親は言う場合が

多い。子供には犬と猫どちらか選ぶことが出来る訳がない。

 

「深雪うちじゃ猫も犬も飼えないって何度言えばわかるんだ?連れ

 てきたのは何回目だ、いい加減わかってくれ」

「なんで両方ダメなのか、理解できないわ」

 

父親は犬と猫両方嫌いではない。むしろ人一倍好きで何度結婚前に

飼っただろうか、しかし娘には好きな事を言わなかった。犬は散歩

が大変で鳴いてご近所迷惑になる猫は家の柱を傷つけるし障子紙を

破くからダメだと言うのは建前だ。

 

飼っていると犬の散歩で新しい発見があり吠える事でコミュニケー

ションをとる猫はといえば腹減ってる時や遊びたい時など甘えてく

る仕草などから学校では教えてくれない勉強を学ぶ、動物を飼う事

で人間として成長する上で親となる為の予行演習となる。だから両

親は生き物全般を禁止しているのではなく犬と猫だけを飼う事に反

対している。犬やだ猫だけ反対するのもおかしな話で臭いからとい

うのであれば鳥やフェレットの方が臭い。犬や猫だけ反対するのは

匂い以外が原因とうことになる。

 

16歳の誕生日を過ぎて学校に通う深雪は女子高に通う高校2年生

学校で話が良く上がるのは犬や猫などペットのことだ。

 

「うちのダリ盛りがついてしょっちゅう立がるの」

「去勢すればいいじゃない」

「切り落とすの?可哀想」

 

深雪は会話に入って行けなかった、去勢というものがわからない。

犬もこともわからないが猫の事も本で得た知識しかわからない。

話の趣旨が犬や猫に移ると深雪の居場所はなく自分の席に戻るしか

なかった。入学と同時に好きでも無い柔道部に進学に有利だという

ことでやってみたが半年やっても実らず第一楽しいとは思えなく半

年で辞めてしまいひと月の空白期間のあと教師の勧めもあり文芸部

に入った。文芸部には御菓子食べ放題お茶飲み放題で煽られ月1回

の感想文には苦痛を感じるがそれを除けば犬や猫に関する文献を好

きなだけ読むことができた、もっとも解説書や指導書の類は文芸部

に置いていなかったが深雪は文芸部に入って満足した。

 

学校での部活動を終え帰宅すると5時になる、これからが深雪の家

での仕事という訳だ。遠乃河家では放置され草が生え放題の稲荷神

社があり石で出来た鳥居が歴史を物語る。稲荷神社に無関心だった

深雪が稲荷神社を掃除しようと思った切っ掛けは夢を見たからだっ

た。数年前にコロナに感染した友人が死去したのだが夢でその友人

がお稲荷様が怒ってると言い宥めて欲しいと泣き乍ら訴えていた。

考えると稲荷神社など近くにない、一体どこのことを言ってるのか

深雪にはわからなかったがふと幼い頃に友と遊んだ小さな社(やし

ろ)を思い出して母に聞いてみた。

 

「お母さん稲荷様って近くにあるの?」

「う~ん、あったかな?いや待てようちにあった、ほら草ぼうぼう

 になってるけどうちの裏にあるじゃない」

「ああ、あそこか」

 

翌日から早速延びた草で覆われる社(やしろ)を見に行った。父が

以前家の土方作業で使った作業用一輪車を使ってたことを思い出し

倉庫の中を探してみるとっビニールシートに被った茶色く錆色にな

った一輪車を発見した。

 

深雪は一人で草取りをした。

寒い日も暑い日も雨降る時はカッパを着て地震があった時も夢中で

草を毟(むし)った。

 

草を除去しはじめて1週間経過した頃だった深雪と遠乃河家に生活

に変化が現れ始め今まで末等しか当たらなかった宝くじが100万

円当選した、これは遠乃家にとって凄い事で100万円程度と思う

なかれ金額じゃないのだ宝くじ以外にも缶コーヒーの懸賞さえ当た

った事が皆無だった遠乃河家にとって一大ニュースになった。1度

では偶然と感じ気にも留めないが2度、3度と続くと冗談では済ま

なくなるところだが悪い事が続く場合は人に話す、しかしこれが良

い事が続く場合だと話したら幸運を盗まれる気がして人には打ち明

けない。

 

夏になると雨が続いた。

雨音のオーケストラで本降りの雨だと理解をするが認めたくない心

ガラス窓を開けて再確認を促す。向日葵柄の遮光カーテンとレー

スの日よけカーテンを開きガラスサッシを開けると雨は屋根を叩き

つける音ほど降っておらず不思議に感じた。ダイニングにテレビの

天気予報をみると土砂降りの雨が一日降り続くと言っていたので先

刻寝ている時聞いた雨音と同様だが実際に自分の目で確かめた雨は

小雨で可笑しなこともあるもんだと思った。

 

深雪の朝は早く朝5時には起きる。いつもは朝5時半くらいから草

取りをするが今朝は早朝から雨の音が聞こえていたので中止にしよ

うか考えていたのであるが実際に雨をみると以外にも小雨だった。

 

草取りするしないに関わらずとりあえず稲荷さまを拝顔すべく雨具

を着てお稲荷様の社(やしろ)に行ってみた。雨で柔らかくなった

土の上の獣らしき足跡が残っていたが大きさこそ大型犬くらいある

が決して犬や猫ではない足跡がいきなり、侵入経路もなく突如とし

てついてそして目的が済んだのか空中で消えたかのようにいきなり

足跡の主が消えている。足跡もアライグマのように5本指だが何か

が違う。

 

「お母さんお稲荷様の近くで変な足跡みたよ」

「犬か猫でしょ、そんな事より顔洗ってご飯食べなさい」

「違うと思うんだけどな」

 

母に共感して欲しかった深雪だったがあっさりとう受け流されて消

沈、気を取り直して学校で話をしてみようと考える。学校で話をし

てみるとやはり犬だとするものが大半でアライグマだとするものが

一部だけあった。その中で面白い話が出た。

 

「神獣って知ってる?」

「神の使いと言われ狛犬のモデルとなっている朱雀、青龍、白虎、

 玄武などがそれで4神獣と呼ばれる、九尾の狐もその一種」

「その神獣の姿を見たものはご利益があると言われているの」

「もし写真を撮影出来たら史上初かもしれないわ」

「いやいやそれは無理だよ、足跡くらいで姿をみせないもの」

 

稲荷様の社(やしろ)に現れるのは一体どんな獣なのか一目姿をみ

ようと注意深く朝から夜中まで見張ったが何も現れなかった、ただ

ひとつ気づいたのは雨降った後に限って足跡が残る。

 

稲荷様に油揚げや納豆を献上したが何も起きなかったが稲荷寿司を

供えると翌日の夕方、猫の様な鳴き声が家の外から聞こえ開けてみ

ると猫のような愛らしい眼を持つ猫より一回り大きな顔のアライグ

マが現れた。しかしネットで画像をみるとアライグマとは違うよう

で金色の色だった。深雪はアナグマと勝手に認定した。そのアナグ

マは深雪には初めての対面だというのに懐き持っていた大福をねだ

ると美味そうに食べる。

 

ひとつ食べると途切れた言葉が聞こえた

ふたつ食べると言葉に聞こえた

三つ食べると”なにがほしい”と聞こえた

 

「あなたが欲しい」

 

深雪が答える。

するとアナグマはハスキー犬に変わり深雪の家で飼われる事になっ

たらあれだけ犬を飼う事を反対だった父が人が変わったように犬を

愛するようになった。変貌し毎日激高していた父がどういう訳か穏

やかで優しい顔に変わりお稲荷様の社も修復すると福の神が訪れた

かのように幸福がたて続けに訪れたそうな。

 

おわり

 

この物語はフィクションであり実在の

人物団体には一切関係ありません