[短編小説] 農家の決断 | 妄想小説日記 わしの作文

妄想小説日記 わしの作文

わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

例年のようにジャガイモを市場に出荷してみると例年と違い伝票にマイナス表示され金額の訂正がしてある。

”おかしいどうしてだ”

昨年まで母親が出荷したジャガイモは一箱1000円だったのに金額を訂正し一箱600円になっていた。そりゃ確かに傷物や一部であるが日焼けで青くなったり黒ずんだものもいれたが買手側である市場に文句を言うのは違う気がした青峰菜人(あおみね さいと)32は軽トラ

へ乗り込み帰路についた。くそ~規格通りに出して市場に必ず「売ってください」と言わせてやる、自宅には農協から貰った野菜の規格表があり農協の規格は野菜流通の規格でもあり市場でも農協の規格を

使用しているからだ。ひとつひとつグラムを計るのも一つの手、規格は3L,2L、L、M,S、Bとあり選別は大きさではなくグラム数重量で何グラム以上何グラム以下と100グラムの猶予が各サイズ与えられている。

 

「しかし面倒だな、何か良い方法はないか」

 

ふとみかん農家での選別を思い出した、みかんの場合機械で自動選別されるがどうしても人間の手で選別しなければならない場合があり

機械を導入する以前は使っていたプラスチックの板を丸く切り抜きサイズ別に円がある1枚のプラスチック板を見せて貰ったことを思い出した。

”そうだあれをつかえないだろうか、プラスチックじゃなくても段ボールでも良いとにかく目安になればいい”

造る前は簡単に思っていたサイズの小さなやつを選び芋の外観をマジックでなぞれば完成、しかしジャガイモは真円に近いものもあるが多くの場合四角形で均一な円は存在しない。ではどうするか?真円に近いジャガイモを探すか、数の多いMサイスなら探せば出てくるだろうが数が少ない2Lだと真円は奇跡に近い。円を着る為にはコンパスがあればいいと考えたがそんなことの為にコンパスを買うのは金が持ったいない、缶の底を使えばよいが偶然同じサイスの缶はない。とりあえずジャガイモのサイズを計り一本の直線を引く真ん中を計算し今度は縦に引く円を描くのが得意なら2本の線から書けるだろうがあまり円を書いたことがない菜人にはきびしかった。そこで2本で出来ないならば線を増やす事を考えた多角形の応用である。円を書く場合

点と点が遠いと難易度が高いが近ければ難易度が下がるどんなに不器用でも円を書けるということだ。円はひとつ書けたがジャガイモの場合最大サイズの円も書かなくてはならず最低でもワンサイズにつき二つの円はいる、5サイズあるので計10この円を書かなくてはならない。円を書くだけで30分は掛かったが切り抜きはカッターで抜くので5分で板はできあがった。予想外に時間は掛かったがとりあえず一つだけ測って計測板を使ってみると気持ちよいように円に入る2枚の円

に入れば多少隙間はできるが収まるだけで良い、収まらなければサイズが上だということだ。

 

やってみると昨年母親が選別していたものより2サイズは上のような気がし正規にやればこんなに違うのかと改めて実感した。とすれば昨年一箱1000円だったのは市場側の妥協で同じサイズでも正規に作れば金額はもっとあがる筈だと考えた。今年はじゃがいもの育て方を

インターネットで学び土寄せも数回やったし芽欠けも3本残し他は抜いた追肥もじゃがいも専用を与えたので今年は昨年の倍くらいは大きさがある又天候もあまり雨が降らないジャガイモには適するもので最初掘った時は土がサラサラだったのも良いジャガイモができた一因かもしれない。菜人はあまりスキを使ってジャガイモを掘ったことがなく浅く使ったらずいぶんジャガイモを切ってしまったことが悔やまれる。

あまりに多くスキで真っ二つにしたので次の柵からは深く掘るとジャガイモは傷がつかなくなったので菜人はスキの使い方を学んだ訳だ。

母はジャガイモ掘りでカゴを使っていたがジャガイモは日の光で化学変化をおこし緑化するどのくらいの時間で毒素をだすかわからない為に菜ひとは段ボール詰めを選択した、サイズ別に箱詰めすれば早いと考えたからだ。だが大体のサイズはわかるが細かい選別はわからず後は想像でしかない、サイズ別の箱しか用意してこなかったのであまり出せない芋も同じサイズの箱にいれるしかできなかった。

 

菜人は自宅で箱詰めしながら考えると傷ものは緑化したものは確かに除外したしかし黒ずんだ色の悪いものをはじいた記憶があまりない

黒ずんだものは見た目はいいが切ると中が腐っている場合がまれだがある。そこで次回は腐った物や傷物、緑化したものだけを入れる箱を用意したほうが良い気がしたSサイスには意外と出せない芋が多いのである。

 

菜人のジャガイモ畑は広い、まわりは家庭菜園で借りるひとが殆どで

農家も一部いるが出荷で育てるひとはあまりおらず家で食べるだけにしか作らないので朝早く来るのは菜人だけしかいなかった。狭い農道に面している畑のために道路からの見通しは良い、畑から何かが出て行くのが見えた雉だ。雉がここ等へんの畑にいるのは鳴き声で知っていたがうちの畑で見るのは初めてである意味来客が来たようで嬉しかった。

 

さて来て最初にやらなくてはいけないことは昨日段ボールが足りなかった為小さいサイズのジャガイモは1箇所に集めて埋めて置いたのであるがまずはそれを片づけなければいけない。いろんなサイズがあるが段ボールは複数あるためサイズ別に入れるとMサイズで段ボールの半分くらいまで溜まった、勿論今回は出せないジャガイモのために

余分に段ボールを持ってきている株により土から出て日焼けしたジャガイモが多い場所があり不用品のジャガイモを入れる段ボールを持ってきた甲斐は果たした。40グラム以下は規格外としてすべて同一箱に入れられ分けられることはない。2L以上はまだ数がすくなく他のサイズが3箱づつ出せるも未だに1箱にもならず箱をもってきても使われることはないのが現状である。

 

説明は遅くなってしまったがここでジャガイモ掘りを説明してみよう。葉に斑点が現れたら枯れる一歩手前で勿論木が枯れてからで良い、その枯れた木を引き抜くといくつか芋がついてくる芋のまったくついてない木もあるが芋が出来ていない訳ではないから安心してほしい。先に木を引っこ抜いていきスキを使い半分掘ると木の場所にも寄るが2,3個現れる木があった場所でもない場合がありそういう場合もうない訳ではなくあと半分掘れば必ず出てくるものだ。注意してほしいのは浅く掘ると必ずジャガイモを傷つけてしまうので面倒だが必ず深く掘ることを心がけてほしい。引っこ抜いた木、苗はひとまとめに置いておきたまってきたら畑の隅において枯らすのだ。

段ボール箱は畳んで積み上げている、使うには組み立てテープで固定するために梱包テープは必需品なくなると補給しなくてはならない。

だが相手は店だ、値段や仕入れ先の事情例えば材料の輸入国が戦争になった場合材料の輸出は困難になる。店としては商品を引き続き置かなくてはならず店として値段が上がろうが商品を変えなくてはならない。店の事情で商品を変えるのは自由だが変えた場合店の正しい応対は入り口に張り紙で商品の変更を掲示し客に伝えなければならない。いつもの置き場にいつもの商品がない場合どうなるか?

 

「いつものテープがないんだが置き場を変えたのか」

「う~ん変だな、同じくクラフトテープと書いてあるから商品が変わったようですな」

 

どうやらこの店は朝礼で商品の変更を従業員に教えてないようだ、店長だけ通達され従業員には教えていないから従業員は寝耳に水。

 

雨が降る。特に男爵は雨に弱いこれからの季節は梅雨に入り雨に農家は何もできず雨が去るのを待つだけだ。雨の中芋を掘るのは愚かな行為で芋自体は掘れるがその次は泥んこの芋を水で洗わなければならず自宅でたべるだけなら問題ないが売り物にと考えた場合水は厳禁なのだ、水はいずれ乾くが芋に与えるダメージは尋常ではない特に水に弱いと言われる男爵ならば売り物にするのはきつい。では太陽ならばどうだろうか?1時間ほど陽の光に晒されても問題ない

芋は雨に弱いが乾燥だと強い。1時間程度では緑化はしないから安心しても良い。では菜人は何をしてるのかというとジャガイモの収穫は諦め今日は完全オフで朝から寝ていた。市場は午後へ運ぶのが決まっているが市場は水曜日休むので火曜の午後からは持って行けず水曜日の午後は持っていけるのがお決まりである。今日は月曜日で午後から運ぶことが出来るが流石に午前は雨で収穫できず午後に雨が上がったら収穫することだけに限られる例え火曜日に収穫できたとしても火曜日に市場に持って行くことが出来ない。結局午後になっても雨が止むことはなかったので菜人はだらだらと家の中で過ごした。

 

翌日には雨もあがり菜人は朝5時からジャガイモ掘りに出向いた、今までは緑の葉だったがこれからは葉が枯れて病気の心配をしなければならない、なぜ葉が枯れたのか心配なところである。10株分いつかは生えると期待していたが結局生えなかった、掘りあげてみると芽はなくそのせいかなにも芽が出ていないことがわかった。枯れた2株目を引き抜いてみると芋に斑点があり病気であることがわかると出荷できないと判断しすぐ不要芋の箱にいれるが市場には救済目的のBランクというものがありサイズに関係なく虫食いや日焼けなど商品価値のあるものだけを出荷できる規格が存在している。結局一株すべて病気の芋ばかりだった、3株目はやはり病気で斑点がありやはりBランクの箱に入れる。こうなると枯れた木は心配になるこの柵すべて枯れているのですべての株が心配になるが4株目は木が枯れているが病気の斑点はなかった。やはりBランクより普通サイズに揃えた方が金額が高く嬉しいものだ。

 

10時の休みに自宅へ帰ることはしない畑で取ることで能率化を図る

御菓子だけ自宅から持っていき飲み物は近所の自販機、いつものように自販機でコーヒーを買おうとしたら何かが置いてある2Lの紅茶が置いてあった、先日差し上げたジャガイモのお礼だとちいさな紙に書いてあった。

”有り難い”

別にお返しが目的ではなくお返し不要のつもりで差し上げたジャガイモだったが10時と3時に2本230円くらいかかるので遠慮なくペットボトル頂くことにした。昼は時間をずらすことも一案だが結局ずれるだけで作業効率はあまり変わらないので11時半には昼食をとるようにしている。朝は5時から畑にでるため昼は眠い、眠くて仕方ないために昼は手早く作って手早く食べるちょっとでも長く眠っていたいから昼飯を食べると睡魔が襲って来る、しかし長すぎて眠ることはなく出かける10分前には目覚めるのはいつものことだ。帰宅してやることは昼飯以外にもあり箱詰めが一杯になった段ボールは卸し空の段ボールを車に積むそのためいつも仕事が終わると段ボールを組み立てて置いておくのも恒例だ。

 

朝早くから働いてなぜ平気なのか不思議に思われるだろうが菜人にも過労で20代の半ばで倒れた事がある。昼飯を食わず休憩も取らない作業効率だけを考えた若さだけで仕事し人の1.5倍は出荷していただろうか。

 

「そんなに仕事してどうする」

「農家は数をこなさないと金にならない」

「金を持っていても命があってはじめて使えるのだぞ」

「こうやって生きているじゃないですか」

「生きている?生死の境にいるお前なのにか」

「生死の境に」

「生きたければ生活を変えろ、わたしが助けてやる」

「生きたいと思います」

 

そして目覚めると菜人は畑の中で倒れていた。言われた通り菜人は生活スタイルを換え休憩時間をしっかりとるようにした。命を助けてくれたのは畑の隣にたつ稲荷神社の守護神であり主神の稲荷菩薩であると今も思っている。

 

おわり

 

この物語はフィクションであり実在の

人物団体には一切関係ありません