比企谷八幡という漫画の主人公がいる。学校内ではヒッキーと
呼ばれ引き籠りと思われてクラスに友人はいない。そんな主人
公と自分が似ていて共感を持つ男がいた、50代独身で彼女が
出来た事がない。漫画では高校生活を自分と重ねると信じられ
ないくらいに似ている、女子から忌み嫌われているところなど分
身と思えるくらい似ている。だが漫画が終盤になると男は違和
感を感じ始めた、そして最終回比企谷は美と才を兼ね備えた女
子から告白され男は落胆した。そもそもどうして可愛い妹がいる
比企谷が卑屈な性格になってしまったのか、男には理解出来て
いた。
男には姉がいる。幼い頃より何かと比べられそして差別され何か
あると原因は自分とされ心が痛んだ、それでも祖父だけは理解し
てくれ庇ってくれたが物心つきはじめた小学校への入学、祖父は
病気で他界した。腕白で悪戯っ子だったから悪い事すれば怒られ
る、だが自分で悪い事をしたと認めたくないから謝らない。五寸釘
が足に刺さったまま授業を受けたのは両親に負い目を見せたくな
かったから激痛といった痛みはあったが意地を通した。男は自分
の信念を貫く意地っ張りだった。授業中尿意を催したがここで教
室を抜け出すのは自分の負けと思い我慢したが結局漏らした。
母が病気で入院し風呂に入らなくなった所為とトイレで漏らした
事が原因でクラスの女子から汚物扱いされた、そんな男を女教師
は馬鹿にしたことで男は女嫌いとなった。中学に上がり幼馴染が
バスケット部に入ると言うので入部したが男女合同練習で男はど
の女子からもボールを貰えない、パスの練習だったので練習にな
らなかった。男の女嫌いは確実となっていった。運動会ではフォー
クダンスの練習で手を繋いでくれる女子は誰もいない。そんな時代
に喧嘩ばかりするが女子を恨み忌み嫌い硬派を貫く中学生の漫画
が世間で人気を博した。それから男は硬派を目指し女子と会話する
ことはやめた。3年となった2月、バレンタインの時期女性教師は理
想に燃えていた、バレンタインデーは不公平なもの。好き嫌いは誰
も思うから不公平になるのは仕方ないこと、だが女性教師は不公
平をなくすために女子達全員に指示をだした。
「みなさん、隣の男子にチョコをあげてください」
「男子は必ずチョコを貰えますから安心して」
先生が期待を持たせるようにいったので男は期待で待ちに待った。
クラスに20~30人いる男子の中でチョコを貰えなかったのは二人
男ともうひとりだけ、男の隣に座っているのは男だったからだ。そう
結局男は今年も貰えなかった。女性教師がつまらぬことを言いださ
なければ貰えないまでも自分と同様に落胆した男子生徒はもっとい
た。それが今回は貰えなかったのが自分だけだと言われたようなも
ので大きく傷付き男は女を嫌いから呪う対称へと変わっていった。
男が貰えなかった人と聞かれ挙手してみると幼馴染の二人があげ
ると言った、この女性教師は女子生徒の憧れともいえる存在だった
から他の女子も自分の株をあげるチャンスだと考えたのだろう、一
斉に自分があげると手をあげた。だが今日は余分に用意している
生徒はいなかった為クラスでは後日となったが結局男が貰える事
はなかった。
朝男が登校すると違うクラスの女子が教室から手を振り挨拶をした
が男は馬鹿にしていると考えた。下駄箱で違うクラスの女子から朝
の挨拶をされても男は無言で素通りした。3年の卒業式を数日後に
控えた教室では女子が男子に卒業記念として日記に書いてくれと
騒がしく動き廻る。当然というか無論とでもいうのか男の前に立つ
女子皆無。硬派を気取ってみても女子から相手にされないのは哀
しいものだ。やっぱり一人もこないと思った時教室のドアが開き違う
クラス女子が一人、そしてまたもや違うクラスの女子が一人と入りそ
の二人が歩いた先には男がいた。男は涙が出そうなくらい嬉しかっ
た、だがこういったものに書いた事がなく男は自分の夢を書くしか
思い浮かばなかった。こんな内容でいいのか不安になり他の書き
綴ったものを読んでみると学校生活の事を書いてあるのが殆どで
自分のように身勝手な文章を書いたものなどいなかった、その為
男は自分なりに卒業についての文章を考え書き込んだ。一人は満
足していたがもう一人は不満そうな表情をしていたので書き直しを
提案してみる。
「もう一回書き直そうか」
「やっぱりいい、このままでいいよ」
女子二人はお互いに書き込んでくれた内容を見比べている。
「そっちのほうがいいな、わたしのじゃ人と同じようでつまらない」
「いいでしょ。交換してあげないから」
中学時代悪い事ばかりだったと思っていたが少しは嬉しかった事
もあったと思い出した。個人売買で商品を渡したのに代金払って
貰えず裏切られたり特別に当選したからと行ってみれば英会話の
教材を買わせられたりと人間など全滅すればいいと考えた。八幡
が恋愛成就する事に面白いものじゃないが幸福になって欲しいと
考える自分もいる。八幡は成績優秀で友人こそ作らなかったが勝
組になると頑張ってきた。しかし自分はどうだ、勝組負け組と人を
差別する事などくだらないもので愚かな事だと思っていた。死ぬ直
前に幸福だと思えるものが勝組とも考えていた、しかしだこのまま
死んだら自分は勝組ではない、男が今まで考えていたことは負け
組ではないといい訳していただけだと思った。
赤い野球ボール程度だった球場のものは数秒でスーパームーンと
呼べるほどの大きな球体と変わる。隕石が衝突しただけでも地球には大きな被害が出る、真っ赤に燃える惑星は近づく、近づくだけで
部屋の温度は真夏並みに上昇し食べていた有名ブランドの小さな
カップのアイスは瞬く間に液体と変わった。人類は男の願った通り
死滅するだろう、動物を含めた生物が消滅し地球と言う名の惑星
は何もなかったかのように跡かたなく消えゆくだろう。死が訪れると
実感した時男の考え方が変化していた。だがそれは遅い!
おわり
この物語はフィクションであり実在の人物
団体には一切関係ありません