「またパンツに茶色い沁みつけて!」
どこの家庭でもある風景、主婦が漂白剤でつけおきする。家族
の下着を洗うわけだが19になる娘だけは自分で洗うといって
下着さえ見た事がない。母親として娘の着用するパンツを心配
するのは当たり前のことだった、透けてないのか、食い込んで
いないだろうか、まさか穴あきじゃないだろうかと悩む。
つけおきが終わり今度は洗剤で洗うわけだが一旦使用した漂
白剤は主婦によって後処理はさまざま、そのまま捨てる人もい
れば他にも使おうと置いておくなどいろいろである。この家の場
合には除菌すると言う目的でもあり洗い流すのが日課。
”緊急警報、洗剤が流れてくる、避難されたし”
下水管の住人、ねずみたちは大騒ぎで逃亡する。そのたびに地
下から振動が起こり奇怪な音を立てる。暗い下水管の中は湿度
が高くそして太陽の光が届かず外敵もいない陰湿な虫や獣達の
格好の住処、しかし生き物以外にもここにはいた。闇から力を得
て夜の闇に紛れ不幸を糧とする魔、人が言う悪霊である。
「ネズミたちが騒がしい、またあれが流れてくるのか」
この下水管は定期的に漂白剤が流れるせいで下水管の底だけ
川底の掃除をしているかのように汚物がこびりつくことなく綺麗。
悪霊は下水管の上に張り付き難を逃れた。
「ふ~危ない、下流の明子さんにも教えてやらねば」
足首がない悪霊は以前漂白剤のせいで足首が浄化され消えた
漂白剤の危うさは身を持って知っている悪霊は下流に生息する
同じ悪霊仲間の明子という女に知らせなければと考えた。悪霊は
瞬間移動が可能であり瞬時にして明子へ知らせた。危険な場所
で悪霊が住み続けるのには理由があり地縛霊は人のように嫌で
も安易に引越すことが出来ず場所に魂を縛りつけられるので動け
ないのだ。
三日に一度しか流れない漂白剤、悪霊に油断はあったのかもしれ
ない。再び住まいへ戻ってきた悪霊は驚いた、こない筈のものが
来たからである。
「なぜだ?なぜ流れてくる、三日に一度の筈だ」
「そうか!キッチンハイターか・・・」
悪霊は忘れていたひと月に一回は流しの器具を漬け洗いしていた
意識が消えかかる中で悪霊は呟いた。
「恐ろしや、ハイター・・・」
この物語はフィクションであり実在の
人物団体には一切関係ありません