仕事が終えて帰宅すると雨が降り続いたせいで洗濯物の取り
込みが溜まっておりズボンとTシャツをたたんで箪笥に格納する
最後に靴下数セットを片づければ終わりだった。わたしは左右
足首部分を折り返して纏める、まぁ大抵はこのような仕舞い方
をすると思う。
そして最後の灰色をした靴下、片方をたたみ残すは片割れのみ
となった時に異変を感じた。何かが靴下の中で音をさせている
ハエなどの羽音ではない、どちらかというとハチのような羽音。
しかも結構大きい、そこで連想するのはスズメバチである。
”まさか・・・”
今ここで靴下を裏返しにすれば多分、出れなくなって怒り狂った
スズメバチが襲ってくるのは誰の目にも明らかに思える。
ただ確実にスズメバチだとは考えていない、この時期熊蜂(くま
んばち)が飛び回っており羽根音の大きさから可能性はある。
しかしだ、くまんばちは普段おとなしい性格であるが巣を守る時
攻撃的になり生命を掛けた時であれば攻撃的になる可能性が
あるので例えスズメバチでなくても襲われるのは間違いない。
”犯るしかない”
わたしはキンチョールというエアゾール式の殺虫剤を靴下の表
からかけてみた、一向に弱る気配がなく羽音も以前として大きい
焦る気持ちを抑え仕方なく足首から徐々に捲る、少し捲っては
殺虫剤を散布しまた少し捲っては散布する、この手順を何度か
繰り返すと黒い身体がようやく視認できるところまで至る。
靴下の爪先を洗濯バサミで挟み、干していたので爪先方向にハチ
顔が向くのは自明の理。だが尻に向かって殺虫剤を散布しても
効果は薄い、想像して欲しい痴漢撃退用の催涙スプレーを丸く
てプリッとしたお尻にかけて効果があると思うだろうか?
通常はきかない、だが今彼がいる場所は靴下という暗い洞窟
中しかも補強された踵と爪先部分は布地が厚く殺虫剤が徐々
にクマにバチの身体へ浸透していったようで次第に羽音は弱く
なっていく。
靴下をすべて裏返しにすると現れたのはやはりクマんバチ、苦し
いらしくもがいている、だがここで手に触れるのは危険を伴うもの
スズメバチの毒は神経毒で2度刺されると死ぬと言われているが
クマんバチの毒はあまり知られていなく未知数、安全マージンを
考え息の根を止めるべくわたしは除菌用アルコールスプレーを
彼の頭に散布、アルコールはヒルやムカデに有用であり虫に効
果大なのを知っていた、案の定 虫というハチは虫の息となった。
黒い身体に黄色の毛で作られたブラジャーをするクマちゃん
本当に可愛そうなことをしたとわたしはその場で手を合わせた