[短編小説][創作怪談] 流血するはさみ | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

今の時代オークションにてさまざまな物を買う事が出来る。

裁縫用のハサミが壊れたので男は安く買うためにネットオークシ

ョンで買おうとサイトのページでいろいろ見るうち一つのハサミに

惹かれた。そのハサミは名匠の刻印がされたハサミで誰の作品

かはよく見えなかった、もっともハサミ作りの名匠は知る由もない

ただ刻印が入っているならば悪い品ではないだろうと考えた。

落札まで残り二日、入札は10件そして残り一日となった時入札は

20件まで膨れあがり男は半分諦めていた。だがあと数時間という

時、突然他の入札者は消えてしまう。通常のオークションでは絶

対にありえない事一旦入札すればキャンセル出来ないのがオー

クションでありもしあるとすれば出品者が複数のアカウントを使い

落札希望のふりをしていたとしか考えられないのだ。

 

落札した二日後のこと、男のもとに商品が届けられた。まだ振り

込み手続きはしていないのに送られてきたので疑念を抱いた。

どうするべきかと考えた時、裁断する仕事が遅れている。期限ま

でに出来なければ遅延金を払わなければならなくなるのだ。男

には迷っている暇はない、ここに裁断バサミはあるだから。

 

商品説明では長さ20センチと書かれていたが届いた箱の長さは

50センチで幅30センチの大きな箱、ネット販売ではよくある事だが

実際の商品の大きさに比べ大袈裟すぎる箱で梱包してくるのが

結構あり今回もそうだろうと男は思ったが箱を手で持ちあげてみ

ると意外と重く10キロくらいはありそうだ。とりあえず梱包された

商品を開梱しているとビニールの包装材で丁寧に包まれている

ガムテープを剥がしていくと今度はガーゼのような布で何重にも

捲かれているので布を捲っていくとハサミがやっと見えてきた、

ビニール越しに見えるハサミには赤い塗料の様なものが付着。

「うわっ、なんだこりゃ」

見た目ではまるで殺人に使われたとも思える物的証拠品、し

かしサバイバルゲームに使われた物かもしれないと念の為に

ビニールを取り除きそのハサミに付着する赤い液体を指で触っ

てみると塗料とは明らかに違うことを認識した。

「ひっ、これは間違いなく血だ」

濃い赤の色をする液体は粘り気があり弾力も僅かながらある

そして指を拭き終わってもベトベトする後味が悪い感触も残る。

 

しかもハサミは全長20センチの筈なのに刃渡だけで30センチも

あるし指を入れるところの幅が20センチもある特注のハサミ。

ハサミの刻印には九尾印と彫られている、勿論そんなメーカー

は聞いたことがない。梱包箱には顎も切れる万能バサミと記さ

れ男は気味が悪くなってきた。呼吸する男の吐く息が白いモヤ

となりなぜか寒気がし両肩が重くなり始めている。気が付くと

男は赤く血で染まった大型のハサミを手で握っている自分に

気が付いた。

「な、なんでおれはハサミを握っているんだ」

指を震わせてハサミを落とし眼下にあるハサミが怖くなってき

ている。

 

これはおかしいと考えた男は返品しようと考えサイトの出品者

に連絡してみるが出品者のIDがどこを探しても見つからない。

落札履歴一覧にもなく商品ページも消えている、落札者は出

品者に連絡し指定口座に振り込むのが購入の流れである。

まるで最初から存在していないかのようにアクセス出来ない

”このハサミで切りたい”

今心の中には高揚感があり男には抑えきれない欲望が渦を

巻いて回っている、返品不可能となった今その想いが正しい

判断を狂わせようとしていた。男はとりあえずハサミの掃除を

、切削オイルを塗りながら考えてみるに万能バサミというくら

いだからよく切れるのではないかと考え直してみる。

 

深夜男が寝ていると小さな音がどこかで聞こえる気がした。

”シャキーン、シャキーン”

音は徐々に大きくなっていき男はベッドから起き上がってみる

と部屋に飾られた山村を描いた油絵、その河沿いの狭い道に

はいつの間にか髪の長い女の後姿が描かれている。元々山村

風景を描いた油彩画なので人物など入っていない風景画なの

だ。油絵に描かれた女は振り返りまるでこちらに向かって歩く

ように女の姿は次第に大きくなっている、油絵の女を見て男は

背筋が凍る想いがしてきた、女は大きなハサミを閉じたり開い

たりと擦れる音をさせているからだ。

”シャキーン、シャキーン、シャキーン”

突然”プチっ”と音がし32型のLEDテレビが点灯したかと思うと

髪の長い女が大きく映し出された、口元をつり上げて嗤う女

「わっ、、口裂け女・・・嘘だろ

リモコンでTVの電源を落とそうにもリモコンボタンが反応する

ことがなく暗い部屋でTVだけが光を発している。そのテレビ

画面の中にいる女が持つハサミは眩い光を放っていた。

その女が右手に持つ大きなハサミは今 手元にあるものと

同じハサミだったが真っ赤な血で染まってはいない、一体ど

こで?

 

この物語はフィクションであり実在する人物団体

には一切関係ありません