[心霊][短編小説] 続 霊章で行方不明になった人を探せ | 妄想小説日記 わしの作文

妄想小説日記 わしの作文

わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

耕作は柳生という人物に相談すべく西新宿までやってきた。待ち合わせ

場所からすぐに新宿駅へ向かいそこから群馬県と長野県の県境付近に

ある山中の廃村へ行くのかと思っていたが結局レストランで食事し経緯

(いきさつ)説明する事になる冷静になって考えれば至極当然のこと、両

者とも会うのは初めてでよく知らない人物は信用できるものではないのだ

 

ナンを手づかみで食べながら耕作から行くきっかけから順に話を聞いて

いく柳生特に説明には何もおかしなところがなく理に適う話であった。ただ

1箇所だけを除き

「上野からブルートレイン”死兆星”に乗り高崎駅で信越本線へ乗り換えて」

「・・・・」

とっくの昔にブルートレインは廃止となった筈、さらに死兆星などという名

前は聞いた事がないしそのような不吉な名詞を列車に使うはずはない。

死兆星とは北斗七星の傍で輝く死を司る星なのだ!死者の国へ向かうの

であればなんの疑念も抱くことはない。それなのに耕作と妻はその列車に

乗って行ったという。そもそも午前10時頃に乗り僅か3時間の午後1時過

ぎに横川付近の駅まで行ったというのはあまりにもおかしな話、今上野駅

から出てるのは新幹線である。いくら電車を知らなくても新幹線とブルート

レインは間違えるハズはない。

”この耕作という男、もしや・・・”

少なからずも疑問に思ったところはあったが柳生は質問をせず最後まで話

を聞いた、食事も終わり席を立とうとしたところで耕作は柳生に聞いてみる。

 

「この食事代も必要経費となるんでしょうね」

「必要経費?なんですかそれ、ここは割り勘でいいでしょう」

 

心霊相談に対する料金や経費を事前に調べたのかと柳生は考えたが

それは柳生には当てはまらない、なぜなら柳生は職業としてやっていた

訳ではない。

 

「一体誰からそんな事を言われたの」

一度は立ち上がった柳生だったが再び椅子を引いて座りなおした

 

「マヤさんから報酬として100万円かかると他に必要経費として別途か

かる」と

「なんだって!?」

「すでに言われたスルガ銀行足柄支店普通口座に振り込みました」

 

その話を聞き柳生は頭を抱えこんでしまう。100万円というのも思い当た

る節があった、”ああ~お墓が欲しいなぁ”そうマヤは常々言っていた。

今まで柳生は依頼者に請求したことはない無償で受けてきた、だが心づけ

ということで金銭以外の食べ物や作物、日常品などは貰っていたのだが

報酬として金銭をもらい受けるのは能力に対する冒涜であると柳生は考え

ていたからだ。

”マヤのやつ、これじゃ振り込み詐欺と一緒じゃないか”

もし振込先が自分の口座であったらすぐ金は返しただろう、だが振込先

はマヤの口座なので一度自宅に帰り通帳と印鑑を持ちそれから銀行へ

行かねばならないさらにその印鑑の置き場所も忘れていた。マヤが他界

して5年になるが一度も通帳を見たことはないし銀行印も使ったことは

ない

 

「数日後にはお返し致します、申し訳ない」

「なぜです、正当な報酬かと思いますが」

「いや自分の行っているのはボランティアなんでね、領収書も用意して

ない」

 

5万円以上の領収書は収入印紙を貼らなければならない、その印紙が

どこで販売してるか柳生は知らない、そもそも領収書など使った事はな

く買ったこともないので領収書に印鑑を押すことさえ知らなかったのだ。

 

「とにかくお金は返さなくていいですよ、妻がいなくなり出費がかなり減

ったので貯金は増えてばかり、失礼ながら柳生さんは生活にお困りで

はないですか」

 

貧困とまではいかなくても確かに普通以下の食生活だった柳生に返す

言葉はない。

 

「そういうわけにはいかない、返すべき金は返さなければならない」

「もし心配しての事でしたら野菜などの作物を心ばかり頂ければ」

「そんな事したら僕はマヤさんから呪われます」

「まぁ怒るだろうね、線香と甘納豆を供えれば機嫌は直るよ」

「なんで甘納豆?」

「甘納豆が大好きで入院してから他界するまで食べれなかったんだ」

「まぁお金の事は保留としてそろそろ行こうか」

「そうですね、遠いですから」

 

二人は新宿駅から環状線で上野駅へと移動する。

耕作はブルートレインに乗ったと言ったが切符売り場は新幹線の指定

席券を購入、新幹線のホームでブルートレインが来るのか。特別臨時

特急列車があるというのか、いやいやブルートレインが今も走ってると

は見たことも聞いたこともない、そう柳生は考えながらホームで佇む。

 

「ほら列車が来ました」

 

新幹線だったら新幹線が来たというだろうが耕作は列車が来たと言っ

た。しかしホームに来た電車は上越新幹線である。それなのに柳生の

視界には青いボディーカラーに白と赤の細いラインが車両中央部分に

前から後ろへと一直線に線が伸びている、車両の標示灯をみると確か

に耕作の言った通り”死兆星”と表示が見えた。

 

「嘘だろ本当にブルートレインじゃないか」

 

そう言った柳生だったが乗客をみると不審に思ってしまう、なぜなら乗客

の手荷物はみな少ない。新幹線を想定した荷物で中には手ぶらの客も

いたからだ。これは幻覚、視覚を信じてはいけない、実際にこのホームで

停止してるのは新幹線なのだと柳生は自分に言って聞かせポケットの中

に手を入れ中にあったものを掴んだ。すると目の前には新幹線の自動ド

アが出現した。ポケットから手を出し列車内を歩くとブルートレインと呼ば

れる寝台特急列車独自の個室が並び壁とドアがあるだけの空間、ドアに

は指定席の番号が掲示されていた。自分たちの席いや個室というべきか

自分たちの部屋を探す最中、当然ほかの乗客とすれ違いになる。しかし

正面から歩いてくる客をみて柳生は驚いてしまう。

 

歩いてきた男は青白い顔で頬はやつれ痩せており着ていた服はボロボロ

の旧日本陸軍の茶色い軍服、踵のある編み上げの黒い革靴を履いてる

為に歩くたびに音を車内に響かせる。”カツン、コツン”と

すれ違いざまも何かを見るという視覚機能がないのか視線は動かずに

フッと空気が流れるように去っていった。車輌内で柳生が感じた冷気は

自分が発熱したと思ったのは勘違いだと確信した。柳生が耕作を見ると

彼は恐がる様子もなく表情さえ変えない、見えていないのかそれとも車中

で会う人々が普通にみえているのか。ブルートレイン死兆星の車輌内で

何人かの人を見たがいずれもあの世の住人だった、だとすれば平然とす

る耕作も死者ということになる。これが柳生の出した結論だ。

とはいえ死者と断定するには少々疑問に残る点もある、確かレストランで

は店の従業員から柳生同様耕作も認識されていたし駅構内では駅員と

耕作は会話をしていた、「なぜ」その理由が柳生にもわからない。

 

新幹線の場合は上野から1時間程度で群馬県の高崎駅に到着する、もう

じきその1時間になるがブルートレインだとどのくらい時間を要するのか?

外の景色を眺めてみると見覚えがある景色、柳生は以前高崎に来た事が

あった。”高崎じゃないか”
だが列車は停止する様子は見せず信越本線の線路を走る。柳生のいる客

室からは見えないが新幹線は高崎で停車したのでこの死兆星は幽体離脱

するかの如く新幹線から抜け出した。”確か横川で折り返しとなる筈だ、しか

し特急だから横川が終着駅ではないだろう、一体どこまで行くんだ”と柳生は

多少不安になる。

 

「耕作くん、前回はこの列車に乗ったと言ったよね。その時乗り換えしたの」

「いいえ終点からは徒歩で廃村まで行けました」

「上野駅からはどのくらいでその終点に着いた?」

「午後に上野を出発し終点に到着したのは翌日の朝でした」

 

耕作からそう言われたので柳生は終着点は横川ではない、横川は通過点

でしかなくその先がある、だが線路はないからどこを通るというのだ・・・。

列車は柳生の思考など関係なく走り続ける、長いトンネルを通過したと思った

らまたトンネル、それを何回か繰り返し柳生はいつの間にか寝ていた。どのく

らい寝たのだろう、起きた時には列車は終点に到着し耕作は身支度をしてた。

 

「柳生さん、着きましたよ。降りましょう」

 

外の景色を隠すように朝靄が出ている、それだけが早朝と気づかせるもの。

ただし夜が明け朝の到来を示す鳥たちの囁きや歌声は一切聞くことがない

不自然な程の静けさがそこにはあった。

 

つづく

 

この物語はフィクションであり実在の人物

団体には一切関係ありません

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

途中経過ですww