短編小説 報復代理人 山羊八寛 その2 | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
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刑事には日曜日はない、だが休みはある。
当然の如く平日休みとなるのだが・・・

台風が直撃しようとそれが平日ならばサラリーマンは
会社へ向かう、だがそれは旧世代の社会人の常識
現代サラリーマンは通勤や帰宅に支障がある場合
会社は休みとなる、これが現代の常識である。
警察官にとっては面白くない、損をした気分になる
のも致し方ないだろう。

今日は久々の休みである山羊も世間の会社員はずるい
と思っていたのであった。
朝10時を回ってるというのにベッドの中で熟睡中。
昨日自分宛に電話が掛かってきたのも気づいてない
昨日は現場検証が深夜2時までかかったので直帰し
ベッドに入ったのは午前4時の事だった。

だが山羊もだてに眠っていたわけではなかった。
寝ている時こそ報復代理人としての活動ができる
のである。夢をコントロールし他人の夢の中へ
入ることができるのは山羊の特殊な技能でもあった

今回の依頼人はひき逃げされた女子高生。
いまだに逮捕されず犯人がノウノウと生きてるかと
思うと女子高生は悔しくて我慢ならないと山羊に真珠
の涙を見せたのである。なぜそこまで悔しいのか
と尋ねてみると何度も受けたオーディション
ついに合格の通知が届き念願だった女優への
第一歩が踏み出せたと喜んだ矢先の事だったらしい

父親には小学生の時に癌で先立たれ、母親は
女手ひとつで精一杯のことを女子高生に与えて
くれたと彼女は涙ながらに山羊へ訴えかけた。

車に殺された女子高生、彼女から知ってる事実を
聞き山羊は車のナンバーから犯人を割り出した
犯人は40代半ば、不動産会社社長と判明
今日は犯人の夢の中に侵入し犯人を冥府へ
導く事それが課題である。

人の魂は冥府に行くとどうなるのか
いわゆる発作的脳卒中や心臓発作に見舞われ
寝たままの状態で突然死となってしまうのだ。

こうして山羊は熟睡中に裏の稼業をこなす。
それから数時間後の午前11時、やっと目覚めた山羊
いつものように身体がだるい
頭痛もひどく目頭を手で押さえるが辛い。

人の夢に侵入するということは精神的に強いダメージ
を伴うので毎回目覚めたときは辛いのである。
頭痛もするが腹も減っている、だが4ドア355リッター
の冷蔵庫の扉を開けても牛乳のパックしかない。
引き出し式の冷凍庫を開けてもあるのは凍らせたネギ
米もなけりゃパンもない、野菜室にあるのは焼肉のたれ
とドレッシングやソースなの調味料。

そういえば以前テレビで”黄金伝説”という番組で
濱田が小麦粉でうどんを作ったのを思い出した。
ボールを棚から見つけ出し作ろうとしたが小麦粉がない

財布の中を確認したら1円玉が数枚あるだけ
コンビニで買出しすることもできない、預金もゼロ
今あるのは牛乳だけなのだ。

一ℓの半分500ccにも満たない牛乳を鍋で暖めて
飲んでも空腹感は満たされない。
今日は午後3時から宿直のため出向かなければ
ならない、ではどうやってこの空腹感を満たすのか?
”寝る”
ということで再びベッドにもぐる山羊であった。

”ピンポーーン” ”ピンポーン”
誰かが眠ろうとする山羊の部屋を訪れたようだ
どうせ新聞の勧誘かそれとも独身の男だというのに
奥方へ化粧品を売りつけに来た空気の読めない
女性セールスマンなのか、とにかくろくな来訪者
ではないと思ったので無視することに決めたのだが

インターホンを2回鳴らし静かになった。
”帰ったか”
安心して寝返り眠ろうとした山羊だったのだが

”ドン ドン ドン ドン”
鉄のドアを思いっきり殴っているようかの音
まるで心霊現象が起こったかのような大きな音に
眠り続けることはできない、ふとんを跳ね飛ばし
不機嫌な顔でベッドから起き上がると早足で玄関へ

刑事である自分の部屋へ強引な売り込みに来たのか
いい度胸だ、と相手を殴るつもりで勢いよくドアを開けた
だが山羊の目の前にいたのは新聞の勧誘でもなく
地上げ屋や不動産関係のセールスでもない。
ましてヤクルトおばさんの
「今契約していただければ3日分無料になりますから
 お得ですよ、是非この機会を見逃さないで」
などでもない。

長い髪をサイドにまとめて垂らし派手な服を着た
若い女がそこには立っていた。
どこかで見たような女だと思ったが寝起きで頭が
ボーーっとしている山羊には思い出せはしない

「どこのお店に勤めている女性かはわからないけど
 同伴出勤するほど金持ってないよ」

最近はホステスも営業活動するのか、大変だなと
山羊は思っていた。

「刑事さん、私の顔を覚えてないんですか?」
「名刺を渡したじゃないですか、竹井です」

再び回っていない頭で考えてみる山羊八寛
”はてどこの店で名刺渡されたっけ・・・”
”う~~ん 風俗か?”

「・・・・・・・・」
まったく思い出して貰えず業を煮やし女は切れた。

「なんて刑事なの!!橋の上で会ったじゃないですか」

こぶしを手のひらに落としやっと女を理解した
今時(いまどき)頭の上で電球が輝く くらい古い表現
”ずいずいずっころばし”を知ってる世代じゃないと
たぶん理解してもらえない事だろう。

「ああ美人霊能者のおねぇちゃんか」

「竹井美紗子**です」

「なんの用件かは知らないけどとりあえずお茶でも」
と部屋の中へ案内しようとするが女は。

「あのうまずなんで自宅の場所を知ってるのか聞こう
 とは思わないんですか?それでも警察官なの」
「初対面じゃないにしてもあまり知らない人間を
 家に簡単に入れようとするなんて・・・・」

「お恥ずかしい。まいったなこりゃ、説教されちゃった」
「ここじゃ近隣の迷惑になるから部屋の中で話しを
 聞くから。あ 苦情かな」

Tシャツにトランクス姿の男(刑事なのだが)に身の危険
を感じる竹井美紗子だったが話しをしたかったので
仕方なくゴミが溢れたごみ屋敷ならぬゴミ部屋へ。
8畳一間にはベッドがあり布団もひいたまま、枕元には
ティッシュ箱と使用して固められたティッシュ。

”無事に帰れるかしら”
危機感が更に上昇し山羊への不信感は上がっていた

たった一人で野獣の檻へ入った心境の若い女
果たして山羊は怒れるロケットランチャーを出して
しまうのか?女は貞操を守れるのか?
次回までお楽しみ。

つづく

この物語はフィクションであり実在する人物団体
とは一切関係ありません