「おっちゃん」
「不毛のおっちゃんてば」
誰かが男の体を揺さぶって起こそうとしていた
工場内ではすでに製造機械は動かされ大きな音
を発し稼動していた。ソファーで寝ていたのは
不毛作ただ一人でうさぎは男を起こそうとして
いたのだ。
眩しい陽の光は不毛作の顔を照らし出しうさぎの
声でやっと重たい瞼は開き始めた
不毛作の目の前にはくびれた腰と中華まんを
ふたつつけたような胸をもつウサギが立っていた
「もう、いつまで寝てるの?勤務時間は過ぎてるよ」
「え本当。」
不毛作は夕べの新人歓迎会でいつの間にか
寝てしまい気がついたときは朝になっていた。
「これからわたしと係長とおっちゃんの3人で
出張することになったからさ」
「今からですか?」
「でも俺まだ何もできないのに出張いって
仕事できるのかなぁ」
「氷が作れれば大丈夫よ」
「一体何を作るんです?商品はなんですか」
「シルクドそれイイよ」
「・・・・・」
どこかで聞いたような言葉だけどそれが何なのか
不毛作は皆目見当がつかずにいた。
不思議そうな顔をする不毛作を見たうさぎは言った。
「わからないよね、はじめてだもん」
「いいわ、ちょっと待っていて今倉庫から持ってきて
見せてあげるから」
小走りにかけていくウサギを目で追う男は
言われたように待っているとすぐにうさぎは
戻ってきた。
「これ食べたことあるでしょ」
「雪見大福じゃん」
コンビニならばどこでも目にするアイスクリーム
雪見大福であった。
”アイスを作りにロッテかグリコの工場でも行くのか”
そう思っていた二毛作だったが・・・
「おお起きたか二毛作くん、では行こうか」
係長のイエティ、いやエディ係長がやってきた
白く長い毛で覆われた謎の生物と言われる
イエティそのままの姿で行くと言う
いやそのままではなかった、黒い眼鏡を
かけていたので誰もイエティとはたぶん
思わない、と思う。
「係長、ところで車でそれとも電車で行くんですか」
「そんなの乗らないよ、いいからついて来なさい」
「場所は着いてからのお楽しみ~」
ドアをいくつ開けただろうか係長とうさちゃんの
後をついてひたすら歩き続ける二毛作
歩いていくと通路の脇にはいくつかのドアが
ありどのドアも形状が異なって一貫性がない
「おっちゃんそういえば言うの忘れていたけど
途中にあるドアを開けたら駄目よ」
「なんで」
「ブラックホールがあるから吸い込まれちゃうのよ」
”なんで工場内にブラックホールがあるんだ”
そもそも地球にブラックホールがあるなど
二毛作は聞いたことがなかったのでこれから
行く目的地がどこなのか不安になってきた。
何個目のドアを開けた時だろうか
係長は着いたよと口を開いたので二毛作は
どこかのかと景色を見てみると
そこには・・・
男がテレビでも見たことがない景色があった。
赤や紫の巨大な天体が目前に現れたのだ
「ここは一体・・・・」
「おっちゃんここはねアンドロメダ星雲の中の
巨大な惑星なの、すごいでしょ」
「二毛作くん、ここの人たちはアイスが大の
お気に入りで一月に一回は来てるんだよ」
と嬉しそうに話すエディ係長と二毛作の腕を
組んで寄り添ってるうさちゃんに対し二毛作は
「聞いてねぇよ、こんなの」
静かな宇宙空間で男の悲痛な叫びだけが響いていた。
おわり
この物語はフィクションであり実在の人物とは
関係ありません、て当たり前ですね。