短編小説 タンデムに連れてって 本編その2 | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

夢香の着るバイクウェアを購入しツーリングの準備が
できた夢香と慎二は昼時になったので食事をする為
讃岐うどんの全国チェーン店である花丸マーケットに
来ていた。

ここはかけうどんかつけうどんを選べさらには
乗せる具を個人が選べる形式のうどん店である。

「夢ちゃんはどこに行きたいの?」

「伊豆それも西伊豆がいいな」

「今からじゃ向こうにつくのは夜になっちゃうよ、無理」

「じゃ富士山!」

「もっと遠いじゃないの、今何時かわかってる!?
 もう12時半だよ、これから食べ終わったら13時」

「え~~、大丈夫だよ。高速使えばいいのに・・・」

と夢香が言ってくるのでここでちょっと考える慎二であった
確かに厚木インターから東名高速に乗れば御殿場まで
明るいうちにつく事ができるかもしれない。
新東名で新富士までいけば朝霧高原まで可能

だが山の日没は早いし温度の低下はきつい。
ただし一箇所だけならの話でツーリングという以上
いろいろと回りたいもの、この時間からではどちらにしろ
無理である。

「今から日帰りじゃ宮が瀬行くのがせいぜいだよ」

「え?何言ってるの、わたしは明日もオフなのよ。
 泊まればいいじゃない」

「なんだって!日帰りじゃないのかい。俺てっきり
 日帰りツーリングだと思って、明日は仕事だし」

「では休みなさい。」
「慎二くぅん、わかってるの。わたしはあなたを雇ってる
 クライアント様なのよ契約破棄するには違約金が
 生じるけどあなたに支払えるかしら」

ツーリング契約は弁護士を立会人にする正式なもので
契約書も双方の氏名と印鑑を押した公式文書でもあった。

”なんて一方的な・・・”
そこで契約書を思い出してみるとペアルックの項など
書いていなかった事を思い出した慎二は

「契約書には服を買ってもらう事など書いてなかった
 気がする。あれはどういう意味が?」

「言っておくけどあのジャケットは返品不可能なの
 これ見てくれる?」

夢香は自分の着ていたジャケットのファスナーを下げ
裏地を見せるとそこには
”生涯、道玄坂 慎二への愛を誓います。by Yumeka”
と皮に刻印されていた。

「げっ。」

「これと同じ刻印が君のジャケットにもあるの!」

「なんだよそれは、まるで婚約指輪ならぬジャケット
 ではないか?婚約した覚えはないのだが」

「あれ~~慎二くん、君は2枚目見てないのかなぁ」

「なんだよその2枚目というのは」

そういうと夢香は契約書を取り出してくじを剥がすかの
ように薄いもう一枚を剥がすとそこには

婚姻の約束が書かれてあった。

「なんだそりゃ、詐欺だ!!」
「おれは絶対、こんな婚約は認めない」

そんな慎二に小声で耳打ちをする夢香。
”今夜は初夜よん”

「え?初夜・・・・・」

”初夜、初夜、初夜、初夜、初夜”
繰り返し慎二の脳内では言霊が鳴り響いてしまう

だがまだ2度しか実際に会ったことのない女性
しかも美人でスタイル抜群の女性と・・・・
そんなうまい話があるだろうか?

慎二は考えていた。

”もしかしたら初夜ではなく醤油屋なのではないか”

夢香は金を出してくれるクライアント様であって彼女
ではない、第一慎二は低収入な駄目男。
そんな男を好き好んで結婚を希望するとは思えないのだ

とりあえず婚約のことは考えないようにしよう
あくまで運転手とクライアントの関係として割り切る
そう考えるようにしようと慎二は考えた。

女優である夢香とは今日の契約で最後さ
もう会うことはない、所詮はすむ世界違うのさ。
宿泊だってたぶん違う部屋になるから浮かれるな!
慎二はそう自分に言い聞かせるのであった。

うどんを食べ終わると、なにか物足りなさそうな夢を
尻目にさっさと店を出て行く慎二、あくまでドライに

「では先にバイクに乗ってください」
「夢香さんが乗ったのを確認してからわたしが乗ります」

運転手、運び屋としての自分の使命を考え、これは
遊びではなく仕事ということで夢香に対する接し方
を変えていた。

ただ態度が豹変した慎二に夢香は面白くない。
これではまるで一人遊ぶ女とそれを送迎する運転手
楽しいわけはない。

「慎二くん、突然どうしたの、怒った?」

「これは自分にとって報酬を貰う仕事ですから」

「こらからずっとその調子でわたしと接するの?」

「仕事ですから」

無表情に話す慎二に夢香としては悲しくもあり
気分を悪くしていった。

「だったらもうやめよう、ここで中止にしましょう」

「いえ契約ですから時間まではご一緒します。」

「だったらここで中止しても報酬は契約通り支払います」

そこまで言うと夢香は金額が書かれた小切手を慎二
に渡し一人去っていった。

その後、マネージャーに携帯で電話し迎えを頼むが
電話で話した夢香の声は涙声であった。

バイクで帰った慎二は勿論知らないこと。

この物語はフィクションであり実在の人物、団体
 には一切関係ありません