短編小説 タンデムに連れてって 本編 | 妄想小説日記 わしの作文

妄想小説日記 わしの作文

わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです


バイク好きな会社員 道玄坂 慎二はネットで
知り合ったブログ友から前々から一度バイクに
乗せて欲しいと執拗に頼まれていた。

バイクの二人乗りは危険ということで
自分に課したルールを持っていたので拒否していたのだが
慎二が会社の社用車でいつものように外回りをしていると
偶然にも夢というブログ友に遭遇してしまいその時
はじめて彼女の職業を知ることになってしまった。

ドラマの撮影で屋外ロケをしていた夢、どんなに勘が
鈍い人間でもそれが著名人であると考えるには時間が
かからなかった。

慎二は夢の職業を聞かされていなかったし顔写真も
見たことがなかったのでロケ撮影にはあまり興味が
なかったのであるがロケ撮影の前は交差点で
たまたま交差点の信号は赤に変わり慎二の乗る
社用車は止まる事となった。

そこで撮影中、夢がたまたま視線を変えると慎二がおり
仕事中であるにも関わらず慎二に声を掛けてしまう。
夢のほうは慎二の顔を知っていたのだ。

その時が初の顔合わせで夢が女優であることを知った
慎二に驚きは隠せない。

ちょい役の女優さんであるならば「そうなんだ。」程度
にしか思わないかもしれないが夢はテレビをつけると
毎回画面に映し出される女優 ”子宝院 夢香”
有名人であった。

相手が有名人だからとチヤホヤする年齢でもない慎二
誰が頼んできてもバイクの後ろに乗せるつもりはなかった
たとえ相手の女性に好意を抱いていたとしても、である。

そんなに男、慎二に正攻法は効かないと考えたのか
夢香は策を弄して慎二の前に再び現れ仕事で契約
に慣れてる女優はバイクツーリングという契約書を
差し出した。

給料が低い男、生活費にも困る 独身男にとって
自分のルールより報酬に目がくらんでしまう。
それに夢香は自分が想像していたより美人だから

天秤に有名女優さんと紙幣が同じ重さであるならば
断れる男はいるだろうか!?
その両方を得ることができるのだ。

その1週間後、コンビニで待ち合わせた二人は
夢香のバイク用の服を買うために2輪専門店に来ていた。

2輪関連の総合デパートといえばわかってもらえるだろうか
2輪パーツから工具、衣類、ツーリング用品まで揃える
店は多くのライダーで賑わっていた。

颯爽とバイクを止めようとしていた慎二だったが
理想と現実を思い知る事となる。
バイクの駐車場は狭かった!
見栄が平常心を失わせたのか?
慎二のバイクは二人を乗せたままゆっくりと傾いていった。
”コケた”

店の駐車場には休憩用のベンチも設置してあり
駐車場には多くのライダーたちがいたのでそこで
バイクを倒したのであれば当人にとってまわりの
人はみな嘲笑してるようにしか感じられないもの。

”恥ずかしい~”

ドラマだったらバイクを放って彼女を助ける場面で
あるだろうが恥を少しでも挽回する為、一気に
バイクを引き起こした慎二、さすがというべきか。

「バイク、大丈夫だった?」
大人の女性でないと投げかけられない言葉。

バイクを先に心配した慎二は夢香から
当然叱咤されると覚悟していたのだが以外にも
バイクを心配する言葉を聞き、驚いた。

「悪かったね、本来は第一に女性を気遣わなければ
 ならないのにバイクのことを心配しちゃって」

「大丈夫、慎ちゃんはそういうキャラだもん」

自販機の隣にはベンチが置いてあり慎二はそっちを
指差して言った。
「悪いけどちょっと直さなければいけないからベンチに
 座ってコーヒーでも飲んでいてくれる?」

頷いた夢がベンチに座るのを確認してから慎二は
バイクにおかしなところはないか見てみると
ブレーキペダルが微妙に曲がってるのを見つける。

バイクが転倒した拍子にブレーキペダルを曲げてしまった
ので慎二は手に力を込めて修正を試みた。

「どう、直った?」

「う、うん。まぁこんなもんだろう」

タバコに火をつけ一服した後二人は店に入っていった。
誰かに声をかけられるのではないかと心配する慎二、
そんな男を尻目に夢香当人は堂々として他人の目
などまったく気にしてない様子。

店内は夢香にとって新鮮であった。
カラフルで色とりどりに並ぶクラッチレバー、
ブレーキレバーそしてハンドルバー。
マフラーのカーボンサイレンサーは蛇の柄かと
はじめてみる夢香には思えた。

「なんだか色取りどりできれい」

「そっちじゃないよ、買うものは2Fに置いてあるんだ」

二人は階段を上って2Fにあがるとジャケットやパンツが
ハンガーに吊るされ見るものを圧倒。
皮製品や布製品、フェイクレザーなど素材別に並んでいる
革製品だけでもメーカー別に分けられてる程、量は多い。

「おれはツーリングバッグ見てくるから一人で選んで」

「え~~、一人じゃわからないよぉ」
「だいたいツーリングバッグって何?わたし、乗るんだよ」

「夢ちゃんが着ていた服を入れないとね」

「いいよ、あんなの。ここで処分してもらうし」

「服はなんとかなったとしても目的地で買ったお土産を
 持って帰るにはどうしてもバッグが必要なの!」
「あの服は特殊な素材だからこの店じゃ処分できないし」

「仕方ないなぁ、マネージャーに電話して取りに来て
 貰うしかないか~」

慎二は買わなければ行けないリストを書いたメモを
夢香に渡しツーリングバッグ置き場に歩いていった。

ヘルメットにグローブとパンツ&ジャケットを
一人で選ばなければならない夢。
バイク初心者にとって置いてある製品がすべて同じに
見えておりどれにすればいいかわからない。
悩んでも仕方ないので見た目で判断しようと考えた。

30分後、サイドバッグを購入した慎二は戻ってきた
夢香はやっとパンツを選んだようで買い物カゴには
ライトブラウンのレザーパンツが入っていただけ。

「これどうかな?」
カゴから出してパンツを手にした夢香。

「げ!」

デザイン的に格好良いパンツで皮もしなやか
でふと価格ラベルに目をやると8万の表示が。

一般ピープルの女性だったらこんなに高い
パンツは必要ないと言う慎二であろうが夢は
女優、しかも有名人なので反論はできなかった。

更に夢香は御揃いのジャケットを買おうと言う。
確かにタンデムに乗った女性だけが皮ジャケット
を着ているというのも変だし絵柄も良くない。
慎二の着ていたジャケットは年季の入った
布製オフロードジャケット、レザージャケットは
自宅にも持っていない。

だがレザージャケットにも安価なものがある。
”安いのだったらまぁいいか”
そう考えてはいたが一抹の不安もあった。

安いレザージャケットが並ぶ売り場で足を止めて
品定めしてる慎二の腕を掴む夢。
なんだろうと振り向くと夢香は言った

「ここじゃないよ」

再び歩を進めていく二人の前にはメーカー品コーナーが
イタリアのシンプルゾーンやオッパインスダ。
それほど高くないレザーなのでここかなと思ったら
ここも通り過ぎていく夢、慎二は仕方なく後を追う。

そして国産メーカー品コーナーに
まずは安めのTaichi Kokubu
見ようともしない夢。
そして挫い谷、オーダーも扱う有名どころである

夢は遂に足を止めて売り場に視線を。
やっとか、と思って慎二が見るとそこには・・・・
”釜ど屋”
バイクに乗るものなら誰でも知ってるある種のステータス
憧れのレザースーツメーカーで革製品の老舗でもある。
慎二のような○貧ライダーには無縁なジャケット。

まぁいくら無縁な高級品でも見るだけならタダ
ふと値段を見て驚いた、8と○が4個並んでいた。
”8万かよぉお~~”

「慎二くんはこれがいいの?」
夢香が聞いてきたので慎二は顔を横に振って否定した。

「だよねぇ~、これじゃパンツのライトブラウンとは
 合わないものねぇ。」
「店員さん、これの色違いはありませんか?」

「今切らしてまして、ブラウン系ならばこちらのは
 いかがでしょうか?」

と店員が持ってきたジャケットは肩にキルティング加工
され胸のポケットファスナーも縦に並ぶクールな
ジャケットであった。

”こんなものが安い筈はない”
と慎二は値段を見て驚いた。

”げげっ、120000円かよ”

丁度サイズ違いで何着か吊るしてある。
まぁ当然であろう、高価なジャケットが簡単に売れるとは
思えない。

「店員さん、これにします。サイズ違いで2着ください」

「ちょっと待て、こんな高価なジャケット俺は買えないよ」

安いジャケットならば自分で買おうと思っていた慎二
さっきサイドバッグを購入したばかりだったので追加で
買えはしない。焦る慎二だった

「店員さんわたしが買うんで包んでください」
「あ、それからパンツと私が着るジャケットのほうは
 着ていきたいのでよろしくお願いしますね」

「では先に試着室でパンツを履かれてそれから清算
 をお願いします。」

店員にそう言われパンツを持って試着室へ行く夢。
試着室の外で待つ慎二は合計いくらになるか考え
ながら夢香の着替えを待っていた。

「慎二くぅ~~ん、どう?」
と言いながらモデルのようなポーズをとる夢。

慎二の目は釘付けになってしまった。
慎二だけではなく他にいた買い物客の男性もである。
既製品のパンツだというのにまるで夢のために作ら
れたかのように長い足にぴったりとフィットしていた。

店員と同行し清算するためにレジで並ぶ。
夢はクレジットカードをレジ係の女性に見せると
女性スタッフは夢香の顔とクレジットカード何回も
見直して言った。

「あのう失礼ですが女優の・・・・・・さんでは?」

クレジットカードにはしっかりと
”Yumeka Shihouin”と刻印されていた。

「あはっ、ばれちゃいましたか」

「ファンなんですぅ」
と女性スタッフは言ったがここで長話する事もできない

「今日は連れがいるので、次来るときにはサインを!」

早々と逃げるように慎二と夢香は店を後にした。

つづく

この物語はノンフィクションです
と言いたい所ですが残念ながらフィクションであります。
(笑