「最近は彼女とどうなんだよ?」
「う~~ん、駄目かもしんない」
友人の運転する車の中でわたしに尋ねてきた。
それというのも友人の嫁が紹介してくれた女性だった
ので友人としても気になっていたのだろう。
「そうかぁ・・・」
わたしが寂しそうな顔で答えたものだから友人はそれ以上
聞こうとせずわたしを配慮してくれた。
友人の嫁、芙美子さんから女性を紹介されて1週間
40代後半の自分にとってこれが最後の出会い
いや恋だと思っていた。
まだお互い相手のことを良く知らないのでこれから
というときにある事件が起こったのである。
それ以来、わたしは彼女と会うことが無くなった。
ひとたび疎遠になってしまうと悪いほうへばかり
考えてしまうA型では頭の中には”会わない”という
文字が消えることはない。
この恋は諦めるしかないだろうと心の中で思っていた
そんなときに40代半ばの知り合いA氏から今度
バイク仲間のパーティーがあるからと誘われたのである。
バイクの知り合いも多数出席するというので
わたしは出席せざる得ない状況に立たされてしまった。
さらに友人からも欠席はできないからとダメ押しされた
パーティーは立食形式、しかもバイキング形式なので
おのおのが取りにいかねばならない。
わたしも食べ物を取りに行こうとしたときだった、それは。
ハイヒールの音を立て柔らかく長い髪、淡いピンクの
スーツを着た女性にわたしは目を奪われた。
その女性が彼女だとすぐにわかってしまった
しかし、嫌われてると思っていたので自分から言葉を
かけることはできずただ見つからないように
影から彼女を姿を追うことしか出来ない自分。
「ま、松太郎さん?」
「え!?」
彼女の姿を見失い探しているところで背後からそう
言葉を投げかけられ心臓の心拍数は突如、急上昇。
バイクで例えれば
ある回転数からトルクの盛り上がりが急激にアップする
エンジンのようにわたしの体力を奪っていく。
わたしの突然の事に驚き、本能的に足は後ずさり。
危険を察知し自分を守るために体が動くように
「どうしてわたしを避けるんですか?」
「わたしのことが嫌いになってしまったんでしょうか」
「いや、そうじゃなくて臆病な自分だから嫌われたのか
と思って」
「ううん、わたしは松太郎さんに会いたかったのに」
「ぜんぜん連絡してくれないし電話にも出てくれないから」
彼女の言葉を聞いてわたしは自分が大きな誤解を
していたことに気がついた。
彼女に対し申し訳ない気持ちと情けない自分に
わたしの頬を涙が”ツーー”っと音もなく流れてしまう。
そんな情けなく涙もろい自分の手を
彼女は強く握り締め
「大丈夫!わたしがついてるから」
「またどこかへ連れて行ってくださいね」
その光景を静かに見守っていた友人は拍手
友人の嫁 芙美子さんも手を叩いてわたし達二人を
喜んでくれ”これが幸せというものか”と
生まれてはじめてわたしは痛感したのである。
おわり
おわかりでしょうが一応「フィクション」です