心霊写真や心霊動画の中には本当に見えてはいけない
ものが世の中には存在するのをご存知でしょうか?
そういうものを見てしまいたいていの人は事故死や病気
行方不明になってしまうものです。
にも関わらず怖いものみたさで見る人が後を絶えない
「何々、視聴すると霊章やご自身に影響がでる場合があり
ますので自己責任でご覧ください、一切責任をもちません」
こんなテロップを見ると信用しない人々がいるがこの男は
違っていた、信用するしかなかったのである。
今までこの手の動画を見て霊に取り憑かれたのは2度や
3度ではない、数え切れないほど霊を呼び寄せていたのだ。
今までは自分で取り憑いた霊を払ってきたので今回も
できるだろうと楽天的に考えていたので特に危機感は
持っていなかった。
それが大きな間違いだったかもしれない。
今回の動画は今まで見たものと違い幽霊がはっきり
映し出されており投稿者およびその知人友人が何人も
事故死だったり行方不明になったりと後を絶えないもので
まさに”見てはいけない動画”であった。
動画で現れた幽霊は長い白髪をした老婆で呪文のような
ものを詠唱していた。まるで呪いをかけているように
この手の動画、中には意図的に画像を合成したヤラセ
心霊ドキュメント動画というのも存在しているが男は
この動画が本物であると直感的に理解をした。
だがこの老婆、男にはなぜか見覚えが・・・・
”どこかで見たような気がする”
思い返してもそれを思い出すことは出来なかったのだが。
動画を見ていたときには
”おまえなどには負けない”と強気でいた男も
夜が更けて寝る時刻になりベッドに入っても眠りにつけない
ベッドのバックレストの背後から手が現れてきたら
どうしよう!と思うと瞼を下げることがどうしても出来ない。
仕方なくベッドから出てトレーニングのために
シャドーボクシングを20分程度やるのだが疲労しても
ベッドで眠りにつくことはなかった。しかし人間というもの
はベッドで転がっているといつの間にか眠ってしまうもの
で男も知らぬ間に眠りについていた。
翌朝いつものように起床して通勤準備をする。
「なんだなんにも起きなかったじゃないか!気のしすぎ
だった。夕べは眠れなかったから眠いなぁ~」
と安心した男であるが夢のことをすっかり忘れてしまった。
夢であの老婆が現れ「おまえを呪う」と言われたことも
いつものように商業用バンで得意先に向かっていると
太陽が強く照りつけ今日は夏のような気温になっている
筈なのに車の室内はどういうわけか暑くない。
エアコンをつけると逆に寒いくらいだった。
普通の人なら”これはなにか変だ”と思うところであるが
”こりゃ調度いいなぁ”
男は能天気であった。
運転してると何か左手を締め付ける感覚。
無論助手席には誰もいないし見て何もいなかいから
またカルシウムが流れて骨がきしんでいるのだろうと
男が考えるのも無理はない事。
しかし・・・・・
あの老婆が男のバンに乗り込み今までやってきたように
車のハンドルを引っ張って事故に遭わせようとしていた。
ある時は車の運転を妨害しまたあるときは乗りうつって
崖から飛ばせたり電車の線路に飛び込んだりして
人間を何人も事故死させてきた呪われた老婆。
人間が死ぬ直前に恐怖する姿を見て愉しむのが
老婆の生きがいみたいなものだったのだ。
”おまえも死ね”と老婆は男の左腕を掴みハンドルを
切れない状況を作りだしてみたのだが・・・・・・
車はカーブに差し掛かりハンドルを切らなければ
ガードレールに突っ込んで海の岸壁へ落ちていく。
老婆のシナリオは完璧の筈だった。
ところが車は何事もなかったようにカーブを通過する
男の左手はシフトレバーに置いたまま右手だけで
ハンドルを切った男。
”こんな馬鹿な・・・・”
老婆は驚きで一杯になった。
老婆は知らなかった、世の中にはワンハンドで
ハンドル操作をする運転者がいるということを
「ばぁさん、出る場所を間違えたな!」
老婆が驚きで焦ったせいかはわからないが
老婆の霊体は出現し男は存在を知り得たのである
「いや間違えてなどいない、おまえは死ぬ」
悪名高い幽霊である老婆にとって一度の失敗
で挫ける事はできず再び運転操作を束縛しようと
顧みる。
青く尖った爪が生える干からびて細い指で男の
首を締め付けようとした刹那、男はアクセルを
踏み込んでいた。
下り坂で速度はどんどん増して行き、白い
ガードレールが眼前に迫ってくる。
「な、なにをする!ひぃぃぃ~~~~」
こんな速い速度で走る車に同乗したことのない
老婆、はじめての経験とは恐ろしいものだった。
「まだまだ本領発揮はこれからだ、ばぁさん」
そういうと男はコーナー目掛けて思いっきり
ブレーキペダルを踏み込むと車はバランスを
崩し車体は横滑りしていく。
「やめれぇ~~~死ぬぅーー」
あまりの恐怖で老婆は絶叫した。
”もう死んでるくせに・・・・”と男は思ったが。
目の前に迫るガードレール、それを見開く眼球
横滑りする車体をアクセルでコントロールし
コーナーのRに合わせてハンドルを切る男の
身体からは光輝くオーラが噴出していく。
「お・・おまえは一体何者か?」
「神ではない
人は俺を魔王と呼ぶものもいるが」
そして男のオーラは老婆を染めていった。
それから数十分経過した頃だろうか車は
路肩に寄せて止まり、男は助手席の
老婆を見ると驚愕した。
白髪頭の筈が茶色を帯びた黒髪に変わり
皺があるやつれた顔はふっくらとした若い
女性の顔に変貌を遂げたからである。
その後老婆は男に天界へ送ってと哀願
したが男にそんな能力はない。
行くところがない老婆は居候を男に頼む
がやっぱりそれも断られた。
若返りした老婆、男への逆恨みで
呪う心は膨れ上がったのは言うまでもない。
この物語はフィクションであり実在の人物
団体には一切関係ありません。