深夜に突然訪れた訪問者、誰かと思って出てみると
それはこの世のものにあらず。幽霊を信じていない赤板でも
目の前に現れた以上信じないわけにはいかない。
たとえそれが自分の知る人間でもやはり怖いものであった。
赤板は頭の中で考えていた。幽霊を除霊する方法を
”こういうときは聖水?いやニンニクか、それとも十字架
お札のほうがいいかな”
霊を信じていない人間は心霊を研究しようと思わないので
除霊の仕方などわかるわけないのだ。
頭でいろいろと考えてみるが自宅にそのようなものはない
聖水とは水道水で代用することな出来ないのだ。
「ねぇねぇ、私たち悪魔でもドラキュラでもないし悪霊でも
ないのだけど・・・・・」
「私、癌で入院してたじゃない!?それで君の家で実る
石榴を食べさせて貰いに来ただけなの」
「それだけ食べれば帰ってくれるんだな」
しかし石榴が実る季節は終わり今は柿やみかんしか庭に
なかった。その柿さえもムクドリなどの野鳥が大群で
押し寄せ残ってるのは食い散らかされた柿の実しか残って
いない。
赤板は難題を出されて困ってしまった、石榴は今ないのだ
同じ酸っぱい果実なら柚子があるが代用はできないか・・・
困ってる赤板を見かねて友紀子は言った。
「庭に光った石榴なっていたけど、」
光る石榴など聞いたことがない、そこで不思議に思って
友紀子達と共に庭に出てみると確かに発光体が
垣根にあるではないか。
「なんだありゃ?」
そこで近くにいってよく見てみるとそこには
丸い果実みたいなものがあるだがそれを抱えるように
光るイカが垣根にたくさんなっていた。
「なんで垣根にイカがたくさんいるんだよ・・・」
「なんでだろうねぇ~」
たとえば蝙蝠や蛍だったらどこからか飛んできたのだと
納得することも出来るだろうが海の生物であるイカが飛ぶ
などあり得ない。
赤板の見ている目の前で友紀子はひとつのイカを手で掴み
ちぎり取ると口の中へ押し込んだ。
「これ 甘くておいしぃい~~、お父さんも食べてみて」
娘に言われてモギ取ろうとする父親。
同時に赤板も変わった果実を触ろうとした瞬間、イカに
見えていたのがスズメバチの丸い巣に変わっていた。
赤板に襲い掛かってくるスズメバチの軍隊!
「うわぁ~~~~!スズメバチの巣だよこれ。お父さん
食べれませんから」
「何いってるのよ、これ光るイカじゃない。」
再び友紀子がもぎ取って見せると確かにイカである。
そしてもぎ取ったものを父親に渡すと彼女のお父さんも
笑顔で答えた。
「うまいなぁこれ、甘くてこの世のものとは思えない」
自分だけ違ったものに見えてしまうとき自分の頭がどうか
なったのではあるまいか?と疑うように赤板もまた
疑心暗鬼になってしまった。
友紀子はそんな赤板にもぎ取ったイカを手に渡してみせると
赤板の手にあったものは丸いスズメバチの巣。
手触りもスズメ蜂の巣と同様に軽くてガサガサした感触で
あり小さい穴からは今にも出てこようとしている蜂の顔も
見えた。
”やっぱりスズメ蜂の巣だよ”と手から落下していく巣。
「さぁて、お父さん十分食べたから帰りましょう」
「そうだな。ご馳走になりました赤板さん、どうも有難う」
そして「またね」とだけ言い残して消えていった友紀子と父
それよりも赤板にとって光るスズメ蜂の巣のほうに興味が
いっていた。
「なんで、、光る蜂の巣なんて聞いたことがない」
「なんで光るイカに見えるのか???」
二人の幽霊が去ってからも座り込んで不思議そうに
光るイカを観察し続け翌日、彼は熱を出し寝込んでしまった
ベッドの上で赤板は思っていた。
”やっぱりあいつら、悪霊じゃねぇか”
この物語はフィクションであり実在する人物とは一切
関係ありません