弟 光男の住むマンションへ謝りに出かけた修一郎
弟から話題は親の介護の話となり気軽に考えていた介護
その実態を知り身を引き締められる思いだった。
今は両親ふたり共元気にやっているがいずれ病気になり
倒れるだろう、その時自分は冷静にいられるのだろうか
自宅に戻った修一郎はそう考えていた。
ところ変わって詩織が見合いを頼もうとした会社
愛を運ぶ企業”見合いの友”では裕福そうな女性が見合いを
斡旋してもらうために見合い登録受付へきていた。
書類を提出しすんなり登録は終わり担当者から候補となる
相手のプロフィールを何枚か提示され見るのだが・・・
「だめ、これもだめ。こんな方々しかいないのかしらね」
女性は高学歴高収入の3高と言われる相手では
気にいらなかった。
「あのうプロフィールや経験、資格など何も問題ない優秀
なお相手なのですが何が不足なのでしょうか」
疑問に思う担当者。独身女性なら理想の相手なのだから
そう考えるのが自然である。
「あははは。あなたねぇわたしはこれでも会社を経営する
社長をしてるから人を見る眼には自信を持ってるの。」
「今まで何百という応募者を書類で見てきたからわかるの
だけどわたしはね低収入でもいいから人間性のいい人
を娘の相手に選びたい。あなたはまだ若いからわからない
でしょうけど老後面倒みて貰うのだから結婚してから
放り出されちゃたまらないのよ」
女性は担当者にそう言ったが若いといっても40代男性だった
この担当者こそ詩織に対し修一郎の年収を小ばかにした
あの時の男である。人を書類でしか判断出来ない愚劣で
あり力を持つものには頭が上がらない人間だった。
当然そんな男が有名企業の社長である女性の申し出を
簡単にける事は出来ない。
「広瀬様、少し時間を頂いてもよろしいでしょうか。上司と
相談してまいります」
「いないなら他所へ行くだけだけど、まぁいいわ。」
「相談した結果がわかったら連絡くださいね」
バッグから名刺を差し出すと席を立ち女性は帰っていった。
上司である課長に女性からの依頼を報告へ行くと上司は
「高収入じゃ駄目なら低収入の方々から候補を絞り広瀬様
にご紹介すればいいだろう」という。
「・・・・・・・それが。」
だが男は係長という立場であったから登録者を選別できる
立場だったので登録者の中に低収入者はまったくいなかった
「課長、実は登録者はすべて高収入高学歴の方々ばかりで」
「何?」
課長はその言葉に激怒し声を荒げて返事した。
「課長、係長は低収入の方々が登録されに来ると事ごとく
拒否され先日はお客様をあざ笑ってられました」
と事務所にいた若い女性が声を上げる。
主任であるオトコは同僚、部下から評判悪かったのである。
課長の不手際を聞き確認のため課長は周囲を見回すと
数人が同意するように頷くので事実と判断した。
「君ねぇうちは結婚斡旋会社じゃないんだよ、介護のための
見合いをお客様にご紹介するのが目的で利益第一主義の
会社方針ではないのだよ。低所得のお客様でもお金を
支払ってくれる以上お客様なのだ」
低所得者では結婚する確立が低いから登録を見合わせた
たのだが高学歴高収入者同士で仮に結婚されても
幸せな事例として宣伝するには誰も関心を持たない。
シンデレラや逆玉の輿のような結婚は人々の関心を集め
会社のイメージアップになりえる、それが男には理解でき
なかったのである。
「係長、先日お断りしたお客様のところへ行って謝り
なんとしても登録して貰ってこい」
「そ、、それは・・・・」
つまらない意地を持ち自意識過剰の男には無理な事。
「もういい!!係長きみには今の担当からはずれて貰う」
「この話を社長が聞いたら激怒するだろう、覚悟しておく
ように」
課長はそれだけ男に告げると先ほど不手際を告げた
女性社員に歩み寄ると
「松宮くん、キミが謝罪に行ってくれますか?そして
なんとしてもお客様に登録して貰ってください」
「わかりました。住所と氏名は一応保存してありますから
大丈夫です」
若い女性にとってこれは大きなチャンスである。
これでもし登録して貰うことが出来たのなら現在の待遇から
優遇され大きな仕事も任せて貰えるかもしれない と
女性事務員は燃えていた。
一度嘲笑され断られた相手の立場になると2度と会って
貰えないし電話しても切られる。それでも何度断れても
松宮は諦める事を許されない辛い明日がまっていた。
修一郎に運命の相手が存在し見合いの会社”見合いの友”
と運命がどう絡み合うか乞うご期待。
つづく