短編小説 介護の為の見合い 第2編 | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

前回修一郎の両親および次男の嫁3人で見合いをさせる
ための極秘会議をやり見合いを完了するまでの見合いの
心得なる小冊子まで作って両親に読ませた。
下準備はできた、次は見合い相手を決めるための第2段階
親同士の顔みせじゃなく親同士の対面である。
そこで双方相手側のプロフィールと写真を見せ合い合意すれば見合いの日時を決めて3者対面となるのだ。

そこまでいくにはまだ所定の手続きをしなければいけない
仲介する企業に自分たちのプロフィールおよび見合い当事者
のプロフィールを登録する手順に従い決められた用紙に
書き込んで提出する必要があったのではあるが。
70代の両親にその記入は難し過ぎた。そこで次男の嫁
詩織がサポートする事になる。
3枚の写真を添付したプロフィールを作成しなければ
ならず当然実質、詩織が記入しなければならない。

それだけではない独身を証明するための戸籍謄本と
収入証明書そして生命保険のコピーなど書類も提出する
自宅で書類を作ったりしたら修一郎に感づかれる危険を
伴うので自宅以外で書類を作らなければならない。

「詩織ちゃん、わたしらにこんなもの作るのは無理だよ」
「お父様、参謀と呼んでください」
「お父様とおかぁさまはわかる範囲で記入して頂いて
 あとはこの参謀が記入しますのでお任せください」
「参謀、一人で3人分作るのは大変でしょう。修一郎の
 為に無理しなくてもいいのよ」
母親から心配されたが詩織は
「いいえおかぁさま、一人ではありませんわ。しっかり光男
 さんにも手伝って頂きますから」
思わず光男の驚く顔を想像して失笑する詩織であった。

2週間たった頃両親は詩織と夫の光男を引きつれ見合い斡旋
会社まで来ていた。見合い登録および斡旋窓口に書類を提出
するとしばらくして担当の相談員が窓口にやってきた。

相談員はプロフィールに目を通すと苦笑いして
「まことに言い難いのですが息子さんの年収では誰も相手に
 してくれないと思われます。本当に40代の年収ですか?」
「こんな年収じゃ無理ですかねぇ~」
両親は無理を承知でやってきたがもしかしてと思いここを訪れた
だが担当者からはっきり無理だと言われショックを隠せない。
しかし両親とは違い担当者の言葉に怒りを覚えた弟と嫁は
「ちょっと、私たちはお客なのよ。そんな言い方はないでしょう」
「確かに収入低いかもしれないけど一応探してみては
 貰えないんですかね?」

「わが社としてもボランティアでやってる訳じゃないんですよ
 お相手が見つかる可能性のある方でないと紹介出来兼ねます
 紹介された方が今幸せに暮らしてるとお客様にサンプルとして
 紹介したいのです」
「申し訳ありませんがお引取りを願い申し上げます」
と相談員から言われたが詩織は簡単に引き下がる事はできない。
両親にここの見合いを紹介した手前、責任があったしそれよりも
3人分のプロフィールを作成する際、夫と揉めた。ここで諦めたら
何のために夫婦喧嘩までして書類を作ったのかわからなくなる。

「若い方の結婚じゃあるまいしそこまで年収が大事な項目ですか」
熱く語る詩織に相談員は冷徹に告げた。 「どうぞお引取りを」
「もういい、帰ろう詩織さん光男!!」
「いろいろやってくれたけど無理だったんだよ詩織さん」
父親と母親にそう言われ帰るしかなかった。
「あなた!!わたし悔しい~」
泣く詩織の肩を抱くようにして光男は相談員に背を向けた。
悲しで帰る4人とすれ違いに受け付けに向かう風格ある女性。
高級デザイナーブランド服を身にまといいかにもセレブという
出で立ちをした60代の女性は颯爽と歩いていた。
人との出会いとは面白いものですれ違った時は気がつかなかった
としても後に出会う事になる。

つづく