長編小説 続10 菩提樹 | 妄想小説日記 わしの作文

妄想小説日記 わしの作文

わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

霊能者辛口麗華から町に救う悪霊達を排除してくれと依頼され
麗華と共に転輪聖王の長作と弥勒菩薩でもある妻は大阪
通天閣を目指し東名高速を車で走っていた。
麗華と弥勒から変態な夫と思われ口も利いて貰えない長作は
話すこともなくただ運転に専念するだけであった。

「弥勒様、長作様との出会いってどんなでした?」
「ずっと聞いてみたかったんですよね、弥勒様は絶世の美女
 それが言っちゃ悪いんですけど長作様ってハゲでデブだし」

正直に阿弥陀如来から独身の長作を紹介されたとは言えず
「う~~ん、あとで話してあげましょう。」
「やっぱり旦那さんがいるから言いにくいですか?」
長作のいる前で言っても恥ずかしい訳でもない
そして長作に聞かれても構わなかったが、
弥勒は”ハゲでデブ”と長作を言われたので不快になった。
いくら不和な旦那でも人から悪口を言われれば気分は悪い

車は掛川のSAに入ると今度は麗華と弥勒が降りていった。
二人は一緒に陳列してある食品を選んでいる。
「弥勒様、どれが食べたいですか?」
「う~~ん旦那様は肉が好きなんですよね」
ここにきたのは麗華に話す為だけじゃなく長作のために
何か買ってこようと思っていた弥勒である。

「さすがご夫婦ですねぇ、弥勒様には言ってませんでしたが
 実はさっき差し上げた食べ物実は長作様が買ったんです」
「え・・・・・・」
「そうだったのね」
気まずくなっていた旦那だから自分の事は無関心だと弥勒
は思っていたのだが本当は自分を心配してくれてると
わかり弥勒は嬉しかった。

「お互いに思いやる夫婦の理想ですわ。わたしもそんな相手
 欲しいですよ」

「ねぇ麗華さん、ちょっとお茶していきましょう」
「長作様が車で待っているのにいいのですか?」
弥勒は微笑んで「あの人辛抱強いし、たぶん今頃は寝てる」

先刻車の中で約束した出会いの理由を弥勒は話すべく
喫茶店に入らなければいけなかった。
菩薩ゆえ約束したことは守る必要があったのだ。

「車の中で出会いを聞いてきましたよね」
「いえ特に言いたくなければ言わなくてもいいのですが」
聞かれたから言う訳ではなく弥勒は聞いて欲しかった。
自分が長作をどう思っているのか、長作は自分にとって
どれ程の存在なのかと言う事を。

「きっかけは阿弥陀如来様からわたしを含め三人の菩薩
 は長作様を紹介されたのです。二人の菩薩は昇進を狙って
長作様のもとに来たようですがわたしは以前から長作様
を知っていたので阿弥陀様から言われたときは
 飛び上がるほど嬉しかったのです。」
「長作様とみんなで会う前から長作様に恋してました」

「なぜ以前からご存知だったのでしょうか」

弥勒は菩薩になる以前人間だった頃、長作とは夫婦として
お互いに愛し合っていたことを麗華にはなしてみた。
そして菩薩となるまで再び長作に会えることを願った事も
気まずい雰囲気の二人だけど仲直りするきっかけがなく
寂しく思っていると麗華に打ち明けてみた。

「大丈夫、きっと仲直り出来ますわ」
「ありがとう~。でもこの事は長作様には内緒ね」
二人は車に戻ると長作は寝ていた。弥勒の言った通りに
運転席で寝ていたそれもよだれをながして。
”ばぁったぁあーん”弥勒は思いっきりドアを閉めると
ドアは大きな音をたて長作は驚いて目覚めた。

「うわっ!!」突然起き上がったせいで缶コーヒーは宙を舞う。
浮いた缶は万有引力の法則で落ちてくるものだ。
落ちてきた先は長作の頭の上に。
コーヒーという液体は缶より先に流れ落ちたのは言うまでもない
ダッシュに足をかけ寝ていたからこんな目にあうのである。

「きゃあっはははは~~」
麗華と弥勒は腹を抱えて笑っていた。まさに抱腹絶倒
「むぐぐう」
長作は悔しかった!悔しかったのだがここにきてはじめて
笑った弥勒を見ることが出来て内心嬉しかっのも事実。

車は再び高速本線に戻り走ると名古屋までの案内板が
視界に現れると女性陣は騒がしくなる。
「味噌カツ~~~、うぃろう、くいてぇ~~~」
「弥勒様、浜名湖でうなぎがおいしいですわよ」
ここからは西に行くに従いうまい食べ物が多くなる
いちいち止まる訳にはいかない長作は
「帰りは寄るから行きは大阪まで直行、我慢しろよ」と
SAに入らない長作に不満が募る弥勒と麗華。
だが車は大阪へ向かって走り続ける。

名古屋、三重と過ぎ車は大阪に入った、通天閣まで間近に迫る
大阪市内に入った時は普通の町並み、人、行き交う車と異常は
感じられなかったが通天閣が見える距離までくると風景は一変し
町並みに歩く人の姿はなくカラスさえいない。
ビルは負の象徴であるツタに覆われ草は生え放題、看板は落ち
人の住んでる気配もない。晴天の昼間だというのになぜか薄暗い
繁華街を歩いてみると寒気がする。この町には冷気が漂っていた

強い霊気のせいで人間である麗華は体調をくずしていた。
「麗華さん、ここからは私たちで行くから安全な場所まで戻りなさい」
麗華も格が高い霊能者、そんな彼女もここでは無力。
それほどこの場所は危険なのだ。並みの人間ならばショック死するだろう
建物のあちこちからこちらを伺う視線を感じる。だが人の姿はない
白いビルからは着物姿の女性、ツタで覆われたビルには
日本帝国陸軍の軍服を着た男、錆びれた食堂にはランドセルを
背負った小学生くらいの子供がいた。
周囲を見回すと霊の姿が無数にいることが確認できるほど

「長作様、弥勒様わたしはこれ以上耐えられないので戻ります」
「神格であるお二人だから大丈夫だとは思いますがここには
 あの男が、さらには悪の女王卑弥呼もおります。気をつけて」
深々と頭を下げ麗華はこの場所を離れた。

「長作様、二人一緒では効率が悪いので分かれましょう」
「ちょっと まて!!危険だ。」
身軽な弥勒は長作の言葉をきかぬまま、すぐに姿を消した。

見知らぬ場所は何が起こるかわからない安易に動くべきではない
長作は二人で一緒にいて様子を見たほうがいいと思っていたのだ
そんな長作と違い菩薩としての誇り、奢りで一人で動いた弥勒
ましてや神通力を封じるネックレスをしているのに。
神の力がない弥勒は非力な人間と同じなのである。
唯一の救いは神格である故に悪霊は取り憑く事ができない事

弥勒が心配だった。しかしどこに行ったかまったく見当がつかない
弥勒を探すためとりあえずビルの中へ入ると力の弱い霊の姿を
たくさん見かける。弱い霊では転輪聖王たる長作に近づくことも
できないそれどころか長作の体から輝く7色の光で浄化されるので
弱い霊は逃げていった。
光で浄化されない抵抗力を持った強い霊でも長作が腕を振りかざすと
霊は体を神光で切り裂かれ消滅してしまう。
しかし、長作はもっと急ぐべきだった。神通力が使えない弥勒は・・・


この物語はフィクションです。