短編小説  マンモスと生きる | 妄想小説日記 わしの作文

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わたしの妄想日記内にある”カゲロウの恋”の紹介するために作った
ブログです

僕が太郎とはじめてあったのはロシアのツンドラで生物の調査をしていた時だった。
ツンドラの針葉樹よりも大きな象はひとり崖の上にたち空を見上げていた。毛の長い象で動物園の象より一回りくらいはでかい
そのときにはじめて太郎を見たのである。
マンモスなんてものはしらなかったので大きい象だくらいにしか思えなかった。

ロシアで象を見かけるとは思わなかったのでそりゃ最初見たときは驚いたのであるが良く考えるとロシアに象がいるなんて聞いたことがない。
インドやアフリカのみ生息してると辞書でも書いてある。

数日後、ぼくは再び太郎を見かけるが彼はいつもひとり
真っ赤な夕日を見る象はせつなく僕は目をそらす事ができない

いつものように崖で佇む太郎を見てるとアメリカの生物学者が
ぼくの傍にやってきて”あれはマンモスだよ”という。
ツンドラには生態調査のために数カ国から学者がきて調べていた。

生存してるマンモスを見つけたのは史上初の大発見らしい
その学者は是非ともアメリカに持ち帰りたいというので僕は反対した。
このロシアは彼にとって故郷、きっと仲間や家族との思いでもあるに違いない。ここから連れて行くのはあまりにも可愛そうだ
”逃がしてあげよう”と僕は象を助ける決意をし
象を守るために崖の上をよじ登り象と人は接近した。

マンモスを助けるためにはしる必要があり辞書で調べると
今から3万5千年以上前に生存していた動物なので仲間は死滅した。
なぜいつもひとりなのか、その理由を知ったわたしは彼が不憫で仕方ない。
この時代、もはや仲間や家族と会うことはないだろう。
食べるときも寝るときも夢見るのもいつも孤独。雪降る中、雪が彼の体に積もっていても
体毛が白く凍っても微動だに動かず一人耐えていた。
ぼくが象をよく見てみると彼は
目を閉じて4つ足で立っていた。まるで死を覚悟していたかに見えた巨大な象。

あまりにも哀れな象太郎。放おっておけなかった僕は象のそばに行ったが彼は人に感心もなく怖れもない。
かといって人を信用するでもない。象の食べ物を差し出しても
食べることはしない誇り高きマンモスである。

数日後、僕が彼を見たとき彼は凍った岩に向かって突進を繰り返し頭から血を流して
それでも彼は突進するのをやめず岩に向かう。
一人でいる孤独が耐えられず自ら死を望んでいたのだと僕は理解できた。

「やめろよ、そんな事してると死ぬぞ。生きろよ!生きて
生き抜け」
彼は頭を血で真っ赤に染めながらも岩に突っ込んでいく。
「わかった、おれがおまえの友達になろう~
家族になってあげよう。おまえと共に生きていこう。だから
おれのためにも岩に突っ込むのをやめてくれ!お願いだ」

僕は必死に願った。心をこめて彼に叫んでいた。
それでも彼は止まることをしない
死を覚悟して僕は彼と岩の間に入り、決死の静止を試みた
彼が止まらなければ僕は岩に押しつぶされて死ぬだろう。

しかし彼の勢いは緩む事も無くぼくに向かって走る。
目を閉じて心の中で皆に別れを”みんな さようなら”と
するが・・・・・・

数分後、急に静かになったので目を開いてみるとそこには
真っ赤な顔をし充血した目をした彼が立ち止まっていた。
僕の心からの叫びが彼に通じたと
その感動と喜びで目頭は熱くなり涙が目からこぼれ落ちて
涙を止めようとしても瞳の奥から涙の流れは止まらない。

象である彼は座り込みわたしの顔を長い鼻で叩くようにする
まるで僕の涙を鼻で拭くように。
象の優しさあふれる仕草は更にぼくの涙を搾り出す。
彼の血塗れた顔を抱きしめながら僕の顔から涙の雫が
ツンドラに落ち続けると冷たい土は落ちた場所だけ溶けていく

象の額の傷をみて自分のシャツを切りさき手当てしながら
僕は
「よし、お前に名前をあげよう~」
「おまえは今日からぼくの友人 太郎 だ。よろしくな太郎」
まるでその名前が気に入ったように鼻を降り回し大きく口をあけて叫ぶ、その姿は歓喜にあふれんばかりに。
こうして巨大な象は太郎となったのである。

こうして僕は太郎と仲良くなり彼は僕の後をついてくるようになりツンドラから人の住める山奥へと一緒に移動。
こうして太郎との二人暮らしが始まったのである。