二次予防はストレス調査、検診、相談窓口などの体制整備

二次の段階は、心の不調を早期に発見し、対応する

段階です。具体的には精神疾病を引き起こさない

ようにその手前で発見していくことです。早期発見と

対応に関する取り組みとしては、ストレス調査や相談、

検診などといった第三者からの気づきをベースにした

内容となります。企業の多くは、すでに過重なスト レスに

苦しんでいる労働者がいるという問題をきっかけとして

メンタルヘルス対策に取り組むため、二次予防から始

める場合が多いです。適切な二次予防を実施する には、

外部の保健スタッフ、カウンセラー、産業医などの専門

家や、EAPサービスプロバイダのようなメンタルヘルス

サービスの事業者との連携が不可欠です。 きちんとした

評価手法を用いることと、個人情報の取り扱いに十分

留意した情報を共有できる体制を整備することが二次

予防の鍵となります。

「メンタルヘルス」の段階

一次予防はストレス管理、啓発活動と職場環境の把握と改善

一次の段階は、ストレスを発生させないための

予防であります。一次予防の内容は大きく分けて2種類

あり、1つめは個人のストレス管理です。従業員が

自分自身で ストレス状態に気づくことができるように、

ストレスやメンタルヘルスに関する基礎知識を身につ

け、ストレスを上手に発散できる手段を持つことで深刻

な状態 にならないように予防をします。もうひとつは職場

環境の改善です。ストレスの原因となっている職場環

境の問題点を積極的に把握し、作業量や人材配置の適正

化など業務の改善を行うというもです。これらの取り組み

によって過度なストレス状態に陥る確率を減らそうという

ことであります。

二次予防、三次予防が急務だという企業が多い中、近年

大企業を中心として一次予防の重要性を認識し、新たに

この段階に対するアプローチを始めるケー スが増えてき

ています。また特に二次予防、三次予防の必要性のない企

業でも、CSRの観点から一次予防に取り組むことが多くな

ってきました。

今、社会問題となっているのがメンタルヘルスです。
メンタルヘルスとは労働者の心の健康を保つことです。
最近はリストラやサービス残業、複雑な人間関係など
によりうつ病になる労働者の数が増えてきています。

昨日まで元気だった社員が次の日にはうつ病にかかり
会社を休んでしまうということもあります。つまりうつ病
は誰もがかかりうる身近な病気となっています。

会社にとってみればうつ病にかかるのは社員が悪いの
だと考えがちです
。しかし会社には労働者の心の健康を
保つように配慮する必要があります(安全配慮義務)。

メ ンタルヘルス対策を怠ると欠勤や遅刻、会社に出ても
モチベーションの低下が起きてきます。さらに悪化すると
従業員が自殺したり過労死を引き起こす可能性も 出てき
ます。その場合には企業は遺族に対して損害賠償責任を
問われたり、また従業員を自殺に追いやったとマスコミに
取り上げられ企業の信用の失墜を招くこ とになります。

メンタルヘルス対策を行っている企業は安心して働くことが
できるため従業員の信頼も得られることになります。また会
社の雰囲気もよくなり仕事の質がよくなり生産性も高まりま
す。


つまりメンタルヘルス対策は会社の利益になるということです。

心の病気とは、主に精神科・心療内科で扱う病気の

ジャンルです。心の健康は、世の中や社会の変化と

無関係ではありません。現代の日本は、平成の長期

不況を契機に、世の中のしくみや価値観の急激な変

化の中にいます。特に、企業倒産・リストラ・人事制度

の変化などによる家計の不安定化が、大勢の人たち

に不安とストレスをもたらした結果、うつ病などの患者

が増加しています。社会全体の変化ををみると、少子

高齢化、情報化、競争社会・格差社会の拡がり、人間

関係の希薄化などが、心の病気の増加や多様化に影

響を与えていると思われます。社会環境の変化が進み、

過去から築き上げられてきた安定が壊れていくにつれ

て、心の病気にかかる人が増えていくことが予想され、

メンタルヘルスの重要性も増していくと思われます。


心の病気も他の病気のように、基本的に治癒すること

が可能です。最近では効果の高い治療薬も開発され

ています。しかし、なにより大切なのは早期発見と早期

治療です。そのためには心の病気を知り、いち早く症状

に気付き、そして治療を受けることです。心の病気の中

には、自分が病気であるという自覚がないものも多くあり

ます。家族など周囲の人たちが、変化に気付いてあげて、

病院に行くよう促したり、連れて行ってあげることも大切です。


メンタルヘルスは文字通り、心の健康、精神衛生のことをいいます。(mental health)

近年では、ストレス社会が進み、個人は勿論のこと、国家や企業など社会全体においてこのメンタルヘルスに着目し様々な対処がなされています。


●症状

以下のような変化が自分や部下・上司、同僚に在る場合は、メンタルバランスを崩しているかもしれません。
もしそうであれば十分にコミュニケーションをとって、適切な対応をしていくことが重要です。
  • 以前と言動が変化(表情、態度、声音)
    欠勤、遅刻、早退の増加
    周囲との対立が目立つ
    とりとめのない訴えの増加
    酒量、タバコ量の増加
    他人の言動を必要以上に気にする
    仕事の能率の低下、ミスの増加

●現状

現在、3社に2社の企業がメンタルヘルス対策を行っているといわれています。
また3000人以上の従業員数の会社では9割以上が実施しています。その背景には、年々、メンタルバランスを崩す人が増え(注1表参照)、それに対応して職場においてもメンタルヘルス対策していくことが求められているからです。

注1:精神障害等の労災補償状況、件数(厚生労働省)


区分 98年 99年 00年 01年 02年
精神障害
請求件数 42 155 212 265 312
認定件数 14 36 70 100
うち自殺未遂含む
請求件数 29 93 100 92 112
請求件数 11 19 31 43

* 労災として認可、補償されているものだけでもこの件数であるため、
  届け出がなく数値に表れていないものも合わせるとかなりの件数になると思われます
うつ病においても、自殺の危険があるなど緊急な治療が求められる場合もあります。
この場合は、家族の協力や消防、警察との連携の必要性を考えながら対応する必要性があります。

本人の同意が得られないにもかかわらず入院が必要な場合は、医療保護入院となりますので、この場合は保護者の同意が必要です。保護者は、配偶者等になることが多いですが、家族がいない場合は市町村長となることもあります。

稀には、著しい自傷行為などで、警察に保護された場合は、警察官通報に基づく二人の精神保健指定医の診察の結果、措置入院となることもあります。

<入院が必要な場合>
  1. 自殺念慮(自殺をしたいと思うこと)が強いとき

    将来を極端に悲観したり、自責感や罪責感から死について考えたりすることが多くなり、自殺企図(自殺を実行すること)に至る場合です。短期間であれば、家族の見守りなどが可能ですが、続く場合は入院も考慮されます。

  2. ほとんど食べず、衰弱が見られるとき

    うつ気分や疲労感のために、極端に食欲が低下し、水分も十分に取れないような場合は緊急な治療が求められることがあります。
    また、昏迷状態といって、外界を認識しているにもかかわらず(意識障害ではない)ほとんど外界からの刺激に反応しない状態においても、経口摂取が困難となることがあります。この場合は、身体的な管理も含めた入院治療が必要となります。

  3. 焦燥感(いらいら感)が激しいとき

    うつ病による焦燥感から、いてもたってもおられないようになり、自分自身の行動がコントロールできず、破壊的な行動や暴力的な行動に至ることがあります。この場合も、状態によっては、入院治療が必要です。

  4. 外来治療でなかなか良くならないとき

    うつ病の治療は、ほとんどが通院治療で行われますが、症状が改善せず、診断や治療方針を再検討する必要がある場合、入院治療が必要です。

  5. 自宅ではゆっくりと静養できないとき

    うつ病の治療にはゆっくり、安静することが前提にあります。しかし、様々な理由で自宅がそのような環境にない場合、治療に専念するために入院治療が必要となります。

  1. 心配しすぎない

    うつ病の人を前にすると、気を使いすぎてかえって言動がぎこちなくなることがあります。基本的には、今までどおり普通に接するように話します。

  2. 励ましすぎない

    ご家族はつい心配のあまり、本人を励ましてしまいがち。そのように励ましたくなるご家族の気持ちに共感しながら、しかし本人のペースを大切にしながら話をするようにしてください。

  3. 原因を追求しすぎない

    つらいことが続くと、本人はもちろんご家族もその原因を探しがちになります。それが問題解決につながればよいのですが、往々にして悪者探しになってしまいます。

    「私の性格が悪いんだ」「親の育て方が悪かったんだ」と、誰か悪者を見つけて責めるようになる。こうなるとますますつらくなり、人間関係や家族関係がギクシャクして協力して問題を解決していくことが難しくなります。
    うつ病などの精神医学的障害は原因がないことも、わからないこともあるので、あまり原因について考え込みすぎないようにすることが大切です。

  4. 重大な決定は先延ばしにする

    本人も、ときによってはご家族も、あせりすぎてつい仕事をやめることを考えたり離婚を考えたりすることがあります。

    しかし、落ち込んでいるときにはどうしてもマイナス思考が強くなっているので客観的な判断ができません。そのため、重要な決定は症状がよくなるまで先延ばしにするように本人に話してください。

  5. ゆっくり休ませる

    疲れているときにはゆっくり休むことも大切です。
    まず、心身ともに休んでリフレッシュするように本人に話してください。本人の話をゆっくり聞いて、家族が手伝ってあげられることは手伝い、できるだけ本人を心身ともに休ませるようにしてください。

  6. 薬をうまく利用する

    うつ病の治療には休養と周囲の人の温かい理解に加えて、薬による治療が役に立ちます。
    薬としては抗うつ薬が用いられますが、周囲の人はその重要性を理解し、本人が医師の指示を守って薬を服用し続けられるようサポートするように話してください。

  7. 時には距離をおいて見守る

    本人はうつ病の病状のために度重なる甘えや攻撃がでるときがあります。そのような時には距離をおいて本人を見守る環境を作ってください。

 

うつ病の治療を開始しても症状がまったく消える人は
3分の1だとされています。
再発することも多い疾患です。ですから、うつ病の人
が医療機関の受診を開始した後も、機会があれば声
をかけるなど、日常の保健活動の中で気をつけるよう
にしてください。本人の許可を得た上でのことですが、
受診先の医療機関との連携が必要になる場合もあり
ます。

そのため、うつ病について家族の理解と協力を得るこ
とは、早期に医療機関を受診し、本人の回復を図り、
そして再発を防ぐ上で、とても大切です。この場合、
家族に、うつ病の症状、薬の効果、再発防止の重要性、
かかわり方のポイント、医療機関の情報などを伝えて
います

うつ病にかかっている人のご家族は、日々の暮らしの
中で、本人にどう接したらよいか苦慮しています。
本人の対応について家族に対する支援が必要です。
うつ病についての理解がある程度得られていても、
実際に精神科受診となると敷居が高い場合もあり
ます。

都市部では、精神科や心療内科のクリニックが増
加し、かなり受診しやすくなっていますが、やはり
地域によってばらつきがあります。受診を勧める際
には、精神科医療について理解を得ることも大切で
す。またわが国ではうつ病を経験した人の4人に1人
しか医師を受診していないという調査結果が現実に
出ています。

伝えてほしい内容
(1)国民約60人に1人が、現在精神疾患で治療
を受けている
 

厚生労働省の患者調査によれば、現在、精神疾患で
治療を受けている人は、200万人を超えており、国民
約60人に1人が受診していることになります。受診歴の
ある人を含めるとさらに多くの人が精神科を受診してい
ることになります。「かかりつけの精神科医を持つように
しましょう」と言っても過言ではなく、精神科受診は決し
て特別のことではありません。


(2)うつ病の場合、ほとんどが通院治療で行われる

精神科の治療は、基本的には通院治療で行われます。
ただ、重症で死にたいという気持ちが強い場合や経口
摂取が困難な場合、環境を変えて気持ちを切りかえる
ことが望ましい場合、診断や治療方針を再検討したほ
うが良い場合などには入院を考慮します。


(3)診療所や総合病院精神科など本人が受診しやすい
ところを気軽に早めに受診する

 
うつ病の場合も、他の内科疾患と同じように早めに受診
することで、早期治療が可能です。本人の希望に応じて、
診療所や総合病院精神科などを紹介して早めに受診し
てもらえれば、早く気持ちが楽になる可能性があります。


⇒ (4)受診を拒否された場合

 
うつ病を疑われる人が受診を拒否した場合は、うつ病や
薬についての説明、精神科医療についての情報提供な
ど根気よく説明することが大切です。時には、本人だけ
でなく家族が反対している場合もありますので、このよう
な場合には家族の理解を得ることも必要です。
場合によっては、家族だけで相談に行き、医師の助言を
得る方法もありますし、往診が可能な場合もあります。
(3)誰でもがかかる可能性のある病気である
 うつ病が、心理社会的なストレスによる、脳の神経系
の病気であるとすれば、ストレス社会と呼ばれる現代
社会においては、誰でもがかかる可能性のある病気
だと言えます。最近の疫学調査では、過去にうつ病
にかかったことのある人は、15人に1人、過去1年間
には、50人に1人がうつ病にかかっていると推定され
ています。


(4)うつ病のサインとは
 うつ病には様々なサインが表れます。主なサインとし
ては憂うつな気分が続く、何事にも興味や喜びがわ
かない、疲労感が強くやる気が起こらないなどです。
また、自信喪失、罪悪感、不眠などもよくみられます。
また、食欲低下、体重減少、頭痛、頭重感、胃部膨
満感など身体症状が中心に現れるときもあります。
この場合は、内科を受診するものの「異常なし」と言
われたまま、精神科受診に結びつかない場合が少
なくないので注意が必要です。


(5)休養と治療で楽になる可能性が高い病気であ
十分な休養と薬物療法、精神療法、環境調整など
で回復する病気であることを伝えましょう。うつ病は
治療可能な病気ですから、そのことをきちんと話し
て受診をすすめるようにしましょう。その際には、う
つ病には「有効な治療法がある」し、「たくさんの選
択肢のなかから」適切な治療法を選んで治療をす
れば気持ちが楽になる可能性が高いと伝えます。
ただ、治療の経過は「人によってさまざま」なので、
辛抱強く治療に取り組んでいってほしいということも
話しておきます。また、うつ病は再発しやすい病気な
ので、良くなったからといってすぐに薬をやめたりす
るなど、「自己判断で薬を調節しない」で、「何でも相
談するように」伝えるようにします。一般向けの啓発
書を読むように勧めても良いでしょう。