フンボルト大学学生オーケストラ。

ここは初めは、学生では手に
負えなくなってしまった
少し難しい曲を演奏会の直前に
お邪魔して、お手伝い。という関係で
スタート。

入れ替わりの激しい学生諸君の
中でも、卒業後も演奏を続ける
馴染みの顔も増えてきて、
年末恒例のクリスマス・オラトリオや
専門の音楽大学でも難しいと
思われるレヴェルの曲を
丁寧に週1回づつの練習で
約3ヶ月ほどかけて根気よく
仕上げていく。

指揮者のA氏、スタッフも素晴らしく
気持ちの良い関係で
私は管楽器のトレーナーとしても
参加させていただいている。
私のここでの役割は、
まだ管楽器全体の機能的な
つながりや効果を学生達に
理解してもらう手伝いを
しているところ。

料理でいうところの下仕事・
仕込の段階の追い回しの役目。
という所かな

自治・自主の進んだ、今学期彼等が
選んだプログラムはイタリアオペラ
金字塔、プッチーニ作曲のトスカ。
4月21日から始まった譜読み稽古、
約2週間4日間程の短い間に
全幕通してしまった。
若い時期にフランクフルト・
アム・マインのアルテオペラ座にて
ショルティの薫陶を受けたA氏の
綿密な計画通りに
此処までは何とか漕ぎ着けた。
大切なパートに、欠員がまだ
目だった時期もあったが
なんとかなってしまうのだろう。

幸いなことに今回は、1演奏者
としてトランペットのパート譜を
見て演奏しているのと全く違う
視点をこの大作の隅々を
追経験できた。

1番最初の譜読み合わせ、下稽古から
見学に参加できたことだ。

勿論、イースター休暇を費やして
万全な準備を整えと自信に
溢れて語る彼の笑顔が眩しい。

A氏は、明日ベルリン・ドイツ
オペラ座でこの曲を、明日の晩
振ってくださいと懇願されれば、
成し得てしまうかもしれない。
もう、そのくらい当たり前の
完成度なのだ。

彼の頭中では、それ位の精度で
オペラが既に出来上がっているのを
ハッキリと感じる事ができる。

私は、まだはっきり言って現在の
自分の音楽能力で、このような
舞台総合芸術は下振りをすること
すら、もう少し修行が必要だろう。

全く打ちのめされたかというと
そうでもないが、舞台上で一度に
起きることが多すぎる。
整理するのに1世代前の電化製品で
エッチラオッチラノロノロ演算
処理をしている様な
気になってくる。

もう暫く観察・鑑賞を楽しむ事に
なるだろう。

新しいことを学ぶのは、いつも
ワクワクと気持ちが膨らんでいくのを
[感じる。





朝食。

折角買い入れた食品が
悪くなってしまう前に、
美味しく食べたい。
上手い具合に今日は時間がある。

購入してあった椎茸(ビオ・ドイツ産)
季節の走り白アスパラガスは
(ベルリッツ産:ドイツでは
シュパーゲルと呼び、行き着けの
近所の八百屋は、市電駅の
構内入り口にある)皮が既に剥いてある。

アスパラガスを茹でる為に、
背の高くなった鍋にお湯を
タップリ沸かす。
背の高さの割に、底面積が15cm位の
通常よりもかなり小さめの
鍋なので1人用の調理には、重宝だ。
これでご飯も炊けるし、
麺も茹でる。
鍋自体は大ききくないので、
お湯は結構早く準備できる。
その間を素早く、下準備に活用すると
早く調理できる。

先に椎茸に取り掛かる。
日本の物より大振りだ。
香りがあまり強くないのは、
おそらく室内で栽培している為と
思われる。椎茸独特の香りを
堪能出来無いのは残念だけれども
露地物は今の状況では、憂慮なく
口に出来にくい。
石付きを取り分けて、乾燥させる為に
とっておく。
歯応えが私は好きなので、
炒め物に利用する。
香りも乾燥を経ると、凝縮されて
一味変わってくる。

炒め始めたところで、軽く塩を
して味見。
玉葱を加えて、オムレツに
してしまおうと気付く。
紹興酒を振り入れ、お皿で
蓋をして蒸らす。
そうすると、場所の効率化と
同時に食べる為の皿を温められる。
独り暮らしの狭いキッチンは、
なんでもアリだ。
さらに青ネギも長めに切って、
風味と見た目を良くする。

卵がすっかり乾かないうちに
取り出して、温まっていた
皿に取ってとっておく。

冷蔵庫の中で、余っていた甘酢を
フライパンに入れて、醤油で味を整える。

煮詰まって熱々になったソースを、
オムレツにかけて食べる。

1人キッチンに立っているのだが、
思わず笑えるくらい旨い。

今日はアスパラガスの下処理の
時間を、ものすごく簡略できる。
洗って水を切り、長さを揃える為に
下部の方から切り揃える。
アスパラガスはかなり思い切って
殆ど真ん中よりも上のみを食べる。
他の部分はスープ様だ。
茹で汁を捨てずに利用してソースにも
出来る。
食べられない皮や、繊維状の
やや、ささくれ立つ最下部は
特徴のある香りと、出汁の補強の
為に棄てずに一緒に
放り込んでしまう(今回は皮がなくて残念だ)

アスパラガスは、土筆の様に
先端部分を味わう。
本当に新鮮なら生でも食べることが出来るほどだと思う。
茹でる場合も、冷蔵庫に保存してあった食材を温める為程度だ。
缶詰や、ドイツ人は柔らかいのが
好みなのか?
私は歯ごたえも香りも楽しみたい。

味は新鮮なタケノコの様に土の
滋味深い味わい。
穫り立てのトウモロコシの様に
甘く、瑞々しい優しい香りがする。


子供達には通常、教会の
ポザウネン・コアーの
先輩達からの好意で、トランペト・
フリューゲルホルン・ホルン・
トロンボーン・テューバ等の
金管楽器が無償で貸与されている。
シェフのM氏、担当牧師のR氏
(彼は残念ながら、檀家の方達に
本当に惜しまれつつ、
昨年定年退職。
コアーのメンバーとしては
オブザーバーとして参加。ホルン
担当)と私の3人で
少しづつ子供達のための楽器・
楽譜を集めていく。
プロジェクト発足当初、私の独断で
コルネットを導入。
トランペットよりも管体が短く、
コンパクトで手の小さな
小学校低学年から大人まで、
幅広く対応できる。
音も柔らかく作り易い。

ベルリン市内にある馴染みの、
金管楽器奏者御用達のお店に
良品質の中国製の楽器が、
3ヶ月ごとのレンタルで
1度にスタートに充分な数が
準備できる。

子供たちの希望で彼らのサイズに
あった楽器が、ホルン、
トロンボーンも準備出来る。
購入希望者には格安で販売も
できる。
万が一壊れてしまっても、
修理が効くし買い替えも双方に
とってメリットが十分にある
(利益を出す事を考えれば、
一度に購入してレンタルで目減り
していく楽器の価値を、使用期間に
応じて目減・相殺させていくより
適正価格で販売すれば利益が出る。
ショウバイの仕組みは、
そうなっている様だ)

その分の私の月々の収入は、
減ってしまうが元々が利益を
出すのが目的ではない。
新品のグランド・ピアノ付きの
教会の場所代や、楽譜、
コピーなどの細かい消耗品、
コンサート開催にかかる
様々な経費、お金を払うだけ
ではなかなか得られない人材も、
幸いな事に私の周りには自分の
利益に目を瞑って、協力して
くださる方がたくさんいる。
必要な楽器には、修理補修を含む
維持管理も私の責務の一つだ。
月々の月謝から1人親も少なくない
この地区特有の事情も
子供達の良き理解者である、
大人に余分な負担を掛けずに
何とかヨチヨチ歩き出そうとしている
グループを運営できそうな
希望を与えてくれそうだ。


近隣では、指導者不足、後継者不足で
礼拝にポザウネン・コアー
演奏を維持でき無い教会も
増えている。
私のお世話になっている教会も
ご多聞にもれず、資金難が
主に大きな理由で苦しい状況の
ようだ。
現在の苦しい台所事情を、
何とかやりくりを付けている
状態だそうだ。

ベルリン市内でも教会自身の
統廃合、礼拝の為の
教会音楽も財政難が理由で
簡略化が進んでいる。

信仰心・教会の存在、存続の危機と
言われて久しい。
教会に関わる行事をオーガナイズ
する大切な中核の
常駐の事務職員や牧師、
オルガニストがいない。
あるいは他の地区との掛け持ちは
普通に見聞きするように
なってしまっている。

或いは、観光地ベルリンの地の利を
活かしてイベントホールの様に
なってしまったり、見学の
場所として引きも切らない観光客を
相手に入場料金を払って
教会に立ち入って、その歴史の
積み重ねを感じることはもちろん
大切なことだと思う。

地域や檀家の人々の心の拠り所、
思い出の場所魂の安息はどこで
得られるのだろうか。

私達はここでも絶妙なハーモニー
感覚、バランス感覚を
試されるに違いない。