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「ボーはおそれている」

 “BEAU IS AFRAID”(2023/ハピネットファントム・スタジオ)

 

 監督:アリ・アスター

 脚本:アリ・アスター

 

 ホアキン・フェニックス ネイサン・レイン

 スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン

 パティ・ルボーン エイミー・ライアン パーカー・ポージー

 

 おすすめ度…★★☆☆☆ 満足度…★★★★☆

 

 
とりあえずタイトル通りの映画でした。
 
上映時間3時間という長尺作品ながら、またしてもとんでもない映画体験をしてしまったというのがまず最初に思ったこと。
 
2018年に「ヘレデシタリー/継承」で長編映画デビューして、まだ2作目ながら前作「ミッドサマ―」がカルト作品として大注目されたアリ・アスター監督。
 
個人的にはその「ミッドサマ―」しか観ていないのに、アリ・アスター監督の新作と聞いただけで「これは観なくちゃ」という思いに駆られた。
 
とはいえ、3時間の上映時間というとそれなりの覚悟をもってスクリーンと対峙しないといけないわけで、シネコンのタイムテーブルもなかなかタイトなスケジュールになる。
 
当然ながらシネコンの上映初週でも朝昼夜の3回上映が限界で、そのうち一日2回になり、気がついたらレイトショーのみになっているパターンが想像できる。
 
実際、昨秋の「キリエのうた」も楽しみにしていたものの、3時間の上映時間で、いいタイミングでのタイムテーブルを探っているうちに上映が終わってしまった。
 
そんな懸念もあったので今回は公開直後の時間が合ったタイミングで思い切ってシネコンに向かった次第。
ただし予告編以外の予備情報としては、どうやら今回はコメディらしいことくらいだけ。
 
でも、コレどこを切り取ったらコメディになるんだろう?
いや確かにそれっぽい雰囲気を感じさせるシーンは多々はあるんだけれど、それをさらに上回る哀れみとかのペーソス部分のインパクトがあって、さらにそういった観る側の感情をも押し流してしまう圧倒的な映像の洪水。
 
果たしてこれはボーの悪夢か、不条理な現実か、場面展開が早いし、各セクションでの登場人物や映像のトーンも変わっていくので、3時間もまったく飽きることなくスクリーンを注視できた。
 
同じハチャメチャな展開でも、アカデミー賞をとった「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」はまったく嵌らなかったし、今年のアカデミー賞ノミネートで話題になっている「君たちはどう生きるか」もダメだった。
 
たまたまなのか体調の問題かは別にして、自分が感じる面白さのベースはリアルな映像表現でどう見せてくれるのかなんだろうな。
 
公開直後ながらいろんなレビューを読んでいてハッと気づいたのはボーの二重人格説。
それがいちばんありなのかなとも思うけれど、とりあえずひとつひとつのパートで完結している部分も感じたりして、時間があればもう一度観なおしたい作品ではある。
 
個人的には「シックス・センス」が思い出されたのは事実。
アリ・アスターもM・ナイト・シャマランとイメージが被る感じもあるし。
 
クライマックスの屋根裏部屋のデカ〇ンの怪物だったり、前半のボーのフル〇ンなど、驚かされる映像が相次ぐ中で、エレインとの行為だけはボカシが入っていた映倫の基準ってなんだろ?
 
鑑賞後少しずつ冷静に振り返っていくと腑に落ちるところもあって、ベースにあるエディプスコンプレックスの概念だったり、すべては母親の意のままというラストシーンだったり…それでもまずは映像として楽しめたのでよしとしておこうと思う。
 
 ユナイテッド・シネマ前橋 スクリーン9