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「ハンガーゲーム0」(2023/アメリカ/KADOKAWA)

 “THE HUNGER GAMES

  :THE BALLAD OF SONGBIRDS AND SNAKES”

 

 監督:フランシス・ローレンス

 原作:スーザン・コリンズ

 脚本:マイケル・レスリー マイケル・アーント

 

 トム・ブライス レイチェル・ゼグラー

 ピーター・ディンクレイジ ハンター・シェーファー

 

 おすすめ度…★★★☆☆ 満足度…★★★★★

 

 
大好きな「ハンガーゲーム」シリーズの新作が公開されると知ったのはつい最近のこと。
 
さらにタイトルが「ハンガーゲーム0」と聞いて、どうやら完結編の二部作をもって終了したシリーズの前日譚が描かれるらしいことを確認。
 
さて地元での上映館は…そういえば直近の予告編も観ていなかった…改めて調べたら普段利用しているシネコンでの上映はなく、公開日から上映は太田のイオンシネマのみ、さらに一週遅れで上映開始が109シネマ高崎という二館のみ。
 
さすがに太田は遠いし、そもそも一度もここで映画を観たことはない。
109シネマズ高崎は高崎駅近くにあって、仕事終わりだとかなりの渋滞で時間が読めず、年に1~2回ここでしか観られない作品があるときに重い腰を上げる程度の利用。
 
確か「ハンガーゲーム」シリーズは日本ではあまりヒットせず、第1作も公開時はそこそこ話題になったものの、実際の公開では大コケしたはず。
 
自分はとても期待していた作品だけど、配給が角川映画(当時)単独ということもあって上映館そのものが少なく、しかも最初から140分超の長尺だったこともあり、よほどヒットしない限りタイムテーブルを押さえるのも難しいだろう。
 
案の定、2作目の「ハンガーゲーム2」は年末の12月27日にひっそりと公開初日を迎えるという大作にしてはありえない扱い。
そうなるとおそらく上映期間も短いだろうと腹を括って、正月早々に地元で唯一上映されたシネコンまで観に行った。
 
そして完結編となる「ハンガーゲーム FINAL」は二部作に分けての公開。
もともとこのシリーズでジェニファー・ローレンスのファンになったので、最後までこのシリーズは楽しめたし、原作小説もそろえて途中まで読んでいる。
 
今回の新作も原作小説が先に刊行されていたようなので、後日手に入れたいと思う。
 
さて「ハンガーゲーム0」はこれまでのシリーズで独裁国家パネムの中央都市キャピタルを支配するスノー大統領の若き日が描かれる。
彼が現在の独裁者への変貌のきっかけとなる少女との出会い、さらにシリーズのヒロインであるカットニスに執着する理由などが明らかにされていく。
 
自分のようにシリーズ全作を観てきた人と初めてこの作品で「ハンガーゲーム」の世界観を知った人とでは温度差はあるかも逸れないが、いわば「ハンガーゲーム」とは何ぞやという部分も含めてわかりやすい導入部になっていると思う。
 
ハンガーゲームとは簡単にいえば貴族の娯楽。

各エリアから男女二名を抽選で選び、生き残りをかけた殺し合いをさせ、そのすべてを実況中継するというもの。

参加者の事前の自己アピールや戦闘能力などに対して、視聴する貴族たちからは賞金が加算されていく。

 

これまでのシリーズではジェニファー・ローレンス演じるカットニスが驚異的な戦闘能力を発揮し勝ち残り、やがて凱旋した彼女が圧政に抗う民衆の象徴となり、ついにはレジスタンスの中心的存在となっていく。

 
ちなみにシリーズで第1作でカットニスが参加したハンガーゲームは第74回大会で、本作でアカデミーの学生である若き日のスノーが教育係として参加するのは第10回大会なので、これまでのシリーズから60年以上前の時代背景となる。
 
アカデミーの学生である若きスノーが教育係として担当するのは第12地区の少女ルーシー・グレイ。
事前の情報から貧しく戦闘能力も弱い存在であるルーシーには勝ち目がないと思われていたが、彼女には民衆を一気に引き込んでいく歌声があった。
 
ここまできて「これはマクロスじゃないか」と思ってしまうのは世代ゆえか。
そう強大なゼントラーディ軍を翻弄し、全人類の希望となったのはリン・ミンメイの歌声…脱線しました。
 
ルーシーの歌唱シーンが効果的に挿入されるのでまるでミュージカル映画を観ているような感覚もある。
それもそのはずで、ルーシーを演じるのはスピルバーグ版「ウエスト・サイド・ストーリー」でマリア役だったレイチェル・ゼグラーだった。
 

ストーリーは三部構成になっていて、教育係のスノーとルーシーの出会い、もちろんハンガーゲームの本番、そして失脚したスノーがルーシーと再会後に待ち受ける運命。

 

終盤にカットニスの名前が出てきたときはシリーズファンとしては感慨深いものがあった。

 

今回も160分近い長尺ながら、主演のスノーを演じるトム・ブライスの端正なビジュアルとレイチェル・ゼグラーの魅力もあって飽きずに観ることができた。

 

ハンガーゲームを仕切るゴール博士役のヴィオラ・デイヴィス、小男のアカデミーの教授役のピーター・ディンクレイジ、ハンガーゲーム中継の司会者役のジェイソン・シュワルツマン、脇を固めるキャストもなかなかの曲者ぞろいで面白かった。

 

シリーズの全容が見えたことで、改めて全シリーズを観なおしてみたくなったけれど、さすがに600分はかかるので難しいか。

とりあえず直近の完結編二部作は録画されているので観なおしてみようか。

 

そういえばジェニファー・ローレンスも今は子育て真っ最中。
やはりフランシス・ローレンスと組んだ「レッド・スパロー」がかなり衝撃的な作品だったけれど、落ち着いたらまたアクション作品でもやってほしいな。
 
今回も年末ながら、ひとまず高崎での上映初日の初回に足を運んで観ることができてよかった。
 
 
 109シネマズ高崎 シアター1