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「M3GAN/ミーガン」

 “M3GAN”(2023/アメリカ/東宝東和)

 

 監督:ジェラード・ジョンストーン

 原案:アケラ・クーパー ジェームズ・ワン

 脚本:アケラ・クーパー

 

 アリソン・ウィリアムズ ヴァイオレット・マッグロウ

 エイミー・ドナルド ロニー・チェン ロリー・ダンジー

 

 おすすめ度…★★★★☆ 満足度…★★★★★ 

 

 
 
ジェームズ・ワンの世界観を知ったのは出世作の「ソウ」シリーズではなく「死霊館」シリーズの「死霊館 エンフィールド事件」(2016)から。
 
そもそもオカルト系映画の金字塔「エクソシスト」や「オーメン」がドンピシャ世代なので、ジェームズ・ワン=オカルト映画という認識からスタートしている。
 
そんな事前の刷り込みもあって、予告編でちょっと気になっていたこの「M3GAN/ミーガン」もホラー映画という括りで見ていた。
 
いやー面白かった。
SFホラーというにはあまりにもリアルタイムすぎるAI搭載人形M3GAN(この表記はAI人形の型式に由来している)というキャラクターがまずいい。
 
しかもそのビジュアルがずっと注目している日本の若手女優桜田ひよりと重なる部分もあって、まずその佇まいに引き込まれてしまった。
 
かつては人工知能という四文字熟語で表されることが多かったこの手の最新技術は、今やAIという記号に置き換えられたことでより身近な存在になっている。
 
作品の前半に出てくるAIペットは一時期日本でもヒットしたファービーそのものであるが、タブレットを通して情報を伝達することでよりリアルな反応を示す。
 
そこから一足飛びにM3GANというのはやや飛躍しすぎる感も拭えないけれど、ここ数年で実際に目にしてきたAIBOやASIMOなどのAIロボットの存在を考えるとさもありなんという気もする。
 
あくまでもフィクションとしての映画なので、そのあたりの細かい考察はさておいて、実際にこういう人型AI玩具が実用化されるとしても驚かない。
 
これまでもAIの暴走を描いた作品はたくさんあった。
あまりにも有名な「ターミネーター2」におけるT-1000と旧型T-800 の死闘だったり、個人的には「オートマタ」とか好きだった。
後半に向かってM3GANの暴走が描かれるシーンでは、まぜかサイコホラーの傑作「キャリー」の映像が思い出されたりもして、ちょっと切ない気持ちも感じられた。
この辺りはジェームズ・ワンの世界観なんだろうな。
 
いずれにしても「ターミネーター」の頃には遥か先の未来だったはずの人工知能搭載ロボットの反乱が、今では誰でもすぐそこの未来として想像できる時代。
 

本作のM3GANの暴走にしても、この時代にSFホラーとして描くにはあまりにもリアリティがありすぎるので、最後はB級アクション並みのエンタメテイストに仕上げたのはありだと思う。

 

例えば個人的に大好きな「クラス・オブ・1999」は、荒廃する学園に導入されたアンドロイド教師の力による制圧に、生徒たちが立ち向かっていくアクション作品で公開されたのは1990年。
 
学園版「ターミネーター」風のB級テイストとチープさゆえにあの時代に成立したSF映画なのだけど、もし今映像化するとしたら逆にもっとリアリティある作品になっているかもしれない。
 
また人形系のホラー作品では「チャイルド・プレイ」シリーズのチャッキーを重ねる映画ファンも多いだろうけど、自分はこのシリーズは未見のままなのでわからない。
 
一方で前述の通り「エクソシスト」「オーメン」世代なので、例のM3GANの四つ足歩行やTik Tokで話題になったらしいクネクネダンスも、むしろあの時代のテイストが感じられて懐かしささえ覚えた。
 
交通事故で両親を失った少女ケイディを姪として引き取ることになったおもちゃ会社の研究開発者ジェマは、なかなか心を開かないケイディの守り役のために、開発中のAI人形M3GANを与える。
M3GANはケイディを守るという目的のために障害となるものを文字通り排除していく。
 
M3GANを新プロジェクトととして売り出していこうという会社側の思惑の中、やがてM3GANの暴走を察知したジェマとそれに気づいたM3GANとの攻防などがテンポよく描かれていく。
 
ケイディを演じたバイオレット・マッグロウは「ブラック・ウイドウ」でフローレンス・ピュー演じる妹のエレーナの子供時代も演じていたらしい。
 
M3GANのスーツアクターを演じたエイミー・ドナルドはダンスワールドカップでも活躍するニュージーランドのダンサーで今年13歳らしい。
 
この手の作品で主役を演じた子役は「エクソシスト」のリンダ・ブレアのように、その後もキャラクターイメージに引っ張られて苦労するケースもあるけれど、ひとまずこの子役は注目しておこう。
 
先の「チャイルド・プレイ」シリーズと同じく、日本でも「貞子」シリーズ(あえて「リング」シリーズとは言うまい)のようにキャラクター優先で作品が作られ続けるパターンは多いけれど、さすがにこのM3GANはここで完結でいいと思う。
 
一応ラストでM3GANは破壊されたけれど、エンディングで次へと繋がるワンシーンがあったりもするが…果たして。
 
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