「オートマタ」
“AUTOMATA”(2014/ブルガリア・アメリカ・スペイン・カナダ)
監督:ガベ・イバニェス
脚本:ガベ・イバニェス
イゴール・レガレッタ・ゴメス ハビエル・サンチェス・ドナテ
アントニオ・バンデラス ディラン・マクダーモット
メラニー・グリフィス ビアギッテ・ヨート・ソレンセン
ロバート・フォスター (声)ハビエル・バルデム
「オートマタ」というちょっと興味をそそるタイトルは気になっていたけれど、よくあるAIの反乱ものと予想して二の足を踏んでいた一本。
物語の舞台は2044年、太陽風の増加による地球の砂漠化の影響で人口は99.7パーセント減少して2100万人
残された人類は大気汚染と酸性雨の影響化で機能的に生活するため、高い防御壁に囲まれた生活エリアに人工雲を発生させ暮らしている。
ハイテク企業のROC社は人型ロボットであるオートマタを開発、様々な作業のみならず家事やセックスも含めたあらゆる人間生活の補助をさせていた。
オートマタには管理維持のために<1:生命体への危害の禁止>と<2:自他のロボットの修正(改造)>というふたつのプロトコル[制御機能]が組み込まれていた。
ある日、自らを修理しているオートマタが発見され、第2プロトコルが失われていることが分かり、ROC社保険部の調査員ヴォーガンが捜査にあたることになる。
時代設定が2044年という近未来なので、80年代の「ブレードランナー」の頃に見るその風景と違って、逆にその時代のイメージが膨らまないというか、果たしてあと30年で底まで地球環境が悪化するのかと少し現実的に考えさせられてしまう。
「オートマタ」はその80年代の「ブレードランナー」と00年代の「アイ,ロボット」を合わせたような世界観なのだけれど、SF的というよりもどこか人間臭く刹那的にも感じるのは、やはりあの丸刈り頭のアントニオ・バンデラスの哀愁漂う雰囲気ゆえか。
ROC社から追われる身となったヴォーガンは娼婦型オートマタのクリオとともに防御壁の外の世界へと飛び出していくが、どこまでも続く砂漠の大地が横たわるだけで、その先にヴォーガンが夢見ていた海岸線は見えなかった。
このあたりの展開はちょっと「進撃の巨人」を思い出してしまう。
車を失い食料や水もない砂漠の中、クリオは飲料水を科学的に作り出したり、昆虫などで食料も確保しながら、ヴォーガンの生存のために尽力する。
そしてクリオもまた自らがオートマタとして生きるために行動していることが明らかになる後半の展開から続くラストシーンが余韻を残す。
この感じ、昔なんかあったな?と思い返したら、やはりアントニオ・バンデラスが主演した「私が、生きる肌」だ。
あの作品も「生きていく」ことの意味を考えさせられるラストが印象的だった。
デュプレ博士役にメラニー・グリフィス、久々に懐かしい名前とも再会できたのも嬉しかった。
ちなみにアントニオ・バンデラスの細君だったのは知らなかった。
2016.3.8 MOVIX伊勢崎 シアター11
おすすめ度…★★★☆☆ 満足度…★★★★☆