「氷菓」 | MCNP-media cross network premium/RENSA

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「氷菓」(2017/KADOKAWA)

 

 監督:安里麻里

 原作:米澤穂信

 脚本:安里麻里

 

 山崎賢人 広瀬アリス 小島藤子 岡山天音 天野菜月

 眞島秀和 貫地谷しほり 本郷奏多 斉藤由貴

 

 おすすめ度…★★☆☆☆ 満足度…★★★☆☆

 
 
 
広瀬すずも好きなんですが、どちらかといえば広瀬アリス派なので「先生」未見の状況で、先にこちらの「氷菓」を鑑賞です。
 
しかし広瀬アリスのあの二の腕掴みはすごいインパクトがあります。
あんな風にじっと見つめられて二の腕を掴まれたら、きっと尻込みしちゃうだろうに、山崎賢人君はクールに「めんどくせーな」的なリアクション。
 
まるで先に観た「斉木楠雄のΨ難」ならぬ斉木楠雄の再来かと思わせるキャラクターは偶然なんでしょうが、今回も心の言葉をモノローグで被せるという演出。
ますます山崎賢人の役者としての資質を再確認するのが難しくなりました。
 
ということで彼が演じるのは「薔薇色の日々」ではなく「灰色の日々」でいいから平凡で普通の高校生活を送ることだけを考えている折木奉太郎。
そういう意味では斉木楠雄との共通点といえるでしょうか。

 

作品としては学園ミステリーというジャンルになるのかな?
海外を旅する姉からの手紙で、高校に入学早々渋々「古典部」に入部することになった奉太郎。
入部届をもって部室に向かうとそこには同じ一年ながらクラスの違う女生徒千反田えるがいた。
 
そこで「やらなくてもいいことならやらない。やらなければいけないことなら手短に」という主義の省エネ探偵の奉太郎が持ち前の推理力を発揮したことをきっかけに、彼の中学時代の同級生でもある摩耶花と里志も古典部に入部、4人で文化祭に古典部の文集を出すことになる。
そんな中、えるからかつて古典部に在籍していて10年前に失踪したままの叔父の関谷純をめぐる謎の解明を頼まれる孝太郎。
 
一方で新しく文集を出すために過去の文集のバックナンバーを探し出す4人。
その文集の序文に書かれた叔父についての記述から、30年前に学園で起こったある事件の真相に迫ることになる。
 
きっと小説で読んだら面白いだろうなというストーリー展開ですが、その分テンポがいまいちでついウトウトしそうになります。
奉太郎のモノローグが余計にそうさせるのでしょうね。
 
安里麻里監督の作品を観るのは「バイロケーション」以来ですが、あの作品はの2ヴァージョンがあって結構楽しめました。
原作も読みましたが監督自ら脚本も手掛けたことで世界観にも統一性を感じられました。
 
前作の「劇場版 零~ゼロ~」は、中条あやみ・森川葵・小島藤子など、最近赤マル急上昇の若手女優が出ていたので観たかったのですが、地元での上映がなく断念しています。
 
深夜枠のアイドルドラマなどを多く手掛けてきたので、どちらかというとB級映画専門というイメージもありますが、今回は山崎賢人に広瀬アリスがW主演ということで注目度も高めながら、公開規模はそれほど大きくないようですね。
 
また「角川映画40周年記念作品」とクレジットされますが、「角川春樹事務所映画」時代のファンの一人としてはやや寂しい印象は拭えません。
 
えるの叔父関谷の学生時代を本郷奏多(「ラブホの上野さん」)が演じたり、失踪前の関谷役が眞島秀和(「大魔神カノン」)だったり、そういうキャスティングにも深夜枠の香りがプンプンします。
 
推理物としては途中でいろいろ伏線も見えてしまいますし、全体的にややインパクトに欠けるのは、やはり主人公のキャラゆえなんでしょうね。
 
広瀬アリスが演じるセーラー服の女子高生えるは、今から17年前の2000年の地方の豪農のお嬢さまという設定。
だから今どきのJKよろしくスマホもギャル語も一切飛び交いません。
 
さらに叔父がえると同じ高校生として高校に通っていた時代は、さらに33年前の1967年ということで、全体的に昭和ノスタルジーを漂わせる空気感は悪くないです。
 
それにしても広瀬アリスから毎回漂う無垢なる母性とでいうような不思議な包容力はなんでしょう。
妹すずが人気女優の王道をひた走る現状はありますが、姉アリスには彼女の魅力を最大限に生かした作品を上手に選んであげて欲しいです。
 
ひとまず今は朝ドラ「わろてんか」のリリコさんで、広瀬アリスの名前をさらに印象づけることを願っています。
 
そうそうタイトルの「氷菓」についても作品中で謎解きがありますが、アイドル時代の榊原郁恵ファンだったので、頭の中であの曲が鳴り響いていました。
 
 
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