敵を知る(概要編) | 片耳日記 〜 Acoustic neuroma 〜

片耳日記 〜 Acoustic neuroma 〜

2017年の11月に聴神経腫瘍が見つかり、2018年の5月に摘出手術を受けました。現在は年1回の経過観察通院中。手術により右耳の聴力を喪失。
そんな”片耳生活”のアレコレをブログにしたためています。
試しにgoogleで、「片耳日記」と検索してみてください(^^)

退院5日目、少し落ち着いて来たところで、これまで私を苦しめてきた「聴神経腫瘍」についてのおさらいです。「チョウシンケイシュヨウ」と読みます。

「彼(か)を知り己を知れば百戦殆う(危う)からず」

孫子の兵法でとても有名な言葉です。

一度ぐらい聞いたことがあるかもしれません。

私はこの言葉が大好きで、これまでいろんな場面でピンチに陥った時に、それを乗り越えるために自分に言い聞かせてきた言葉でもあります。

私の父親がこういうの好きなので、その影響もあるかもしれません(笑)

 

『孫子』の「謀攻」に、

----------------------------------------

彼を知り己を知れば百戦殆(あやう)からず

彼を知らずして己を知れば、一勝一負す

彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し

----------------------------------------

これらの意味は、

敵と自分の実情を熟知していれば、百回戦っても負けることはない

敵情を知らないで自分のことだけを知っているのでは、勝ったり負けたりして勝負はつかない

敵のことも自分のことも知らなければ必ず負ける

 

つまり、「戦において、敵と自分のことを熟知していれば負ける心配はない」というようなことを言っている訳です(^^)

 

前置きが長くなりました。

私がこのブログを書いている目的の1つに、この「聴神経腫瘍」で苦しんでいる、又は今後苦しむかもしれない方、若しくはそのご家族の方々にこの病気のコトを知ってもらい、精神的・肉体的な苦痛を少しでも和らげる為に参考にしていただけたら、という思いがあります。

 

この「聴神経腫瘍」という「敵」と戦う為にまずは、相手の正体を知らなければなりません。いたずらに怖がっていては、打ち勝つことは出来ないのです!

(実は私も、最初調べるのが怖くてネットを使うのをためらっていました...。)

 

それから、戦う為の武器。様々な治療法や対応できる医療施設、専門の医師について調べます。

そして一番重要な、戦いに臨む自分の心構えをキチンと整えることが必要です。

 

一患者として、かなり大ざっぱな説明しかできないので、正確に知りたい方はちゃんとした資料を確認したり、お医者さんに質問してくださいね。

 

【はじめて読む方は、こちらからどうぞ】

 

そもそも聴神経というのは、左右に12対ある主な脳神経のうち8番目の神経( 第VIII脳神経 )で、耳(内耳)につながるところで、聴覚を伝える神経「蝸牛神経」と平衡感覚を伝える神経「前庭神経」に分かれています。(「前庭神経」はさらに2本に分かれている)

さて我々の敵「聴神経腫瘍」のほとんどはこのうち前庭神経を包む「鞘」の細胞から発生するそうです。(ほぼ99%! だから「聴神経鞘腫」とも呼ばれる)

※ちなみに第Ⅰ脳神経は「嗅覚」、第Ⅱ脳神経は「視覚」を伝えます。

 

【東海大学医学部脳神経外科のサイトより転載】

(松前光紀著「脳腫瘍の理解」クリニカルスタディvol.29,no.14,2008年 メヂカルフレンド社 イラスト:北原 功 )

 

主治医の説明では、私の場合、腫瘍による圧迫のために右側の前庭神経の2本ともだいたい50%ぐらいしか機能していない状態でした。普通はこれでめまいやふらつきなどが起こるわけですが、私にはそういう症状は、ほとんどありませんでした。

おそらく、ものすごくゆっくり腫瘍が大きくなったため、左側の同じ機能が徐々に右側の機能を代替していたのではないかと思います。(私の解釈ですが...。)

 

もともと良性の腫瘍で、大きくなる速度も一年に1mm~2mm程度なので、小さいうちは慌てる必要は無く、経過観察する場合も多いようです。また、治療を行う場合でも小さいうちなら、手術の他にガンマナイフ(放射線)による治療も選択できます。こちらは頭に穴を開けることなく、つまり手術のリスクや苦痛無く治療が可能です。デメリットしては、腫瘍が大きくなるのを止めるのが目的なので、手術のように根治することは無く、また腫瘍の細胞を取り出すことがないので、本当に良性なのか組織検査で判定することができません。非常に稀ですが放射線により腫瘍が悪性化する例もあるそうです。

 

私の場合、見つかった時に約31mmと既に大きくなっていたので、経過観察は意味ないし、放射線もサイズオーバーで不可、手術しか選択の余地がなかった訳です。

【これまでの経過⑧ ~大学病院へ(その3)~ を参照】

 

放っておくとさらに腫瘍が大きくなり、人が生きて行くのに重要な役割を持つ脳幹などを圧迫して命が無くなります(^^;

この病気が厄介なのは、腫瘍が小さいうちに何か症状が出て見つかれば良いのですが、腫瘍が非常にゆっくり大きくなるため、私のようにかなり大きくなってから症状が出て気づくというパターンが多いところです。

 

脳ドックでも定期的に受けていれば別ですが、普通の人はそんなのやりませんよね。お金もかかるし...。

【 次回、具体編(仮)にづづく...かも(^^; 】

 

(注)

この記事はアメリカの超有名な医療機関「メイヨー・クリニック(Mayo Clinic)」のサイトにある「聴神経腫瘍(Acoustic neuroma)」に関する解説を参考に記述しています。正確な内容をお知りになりたい場合は、こちらのサイトのURLを一番最後に記載しているので、是非ご覧になってください。

全編英語ですが、とても分かりやすいですよ(笑)

Acoustic neuroma (vestibular schwannoma)

An acoustic neuroma (vestibular schwannoma) is a benign tumor that develops on the balance (vestibular) and hearing, or auditory (cochlear) nerves leading from your inner ear to the brain, as shown in the top image. The pressure on the nerve from the tumor may cause hearing loss and imbalance. In some cases, the tumor may grow and affect the cerebellum or other brain tissues, as shown in the computerized tomography (CT) scan and illustrations above.

https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/acoustic-neuroma/symptoms-causes/syc-20356127

 

こちらのサイトも是非覗いてみてください!!

↓↓↓