莉子の誕生日と感情 | 池袋暴走事故 遺族のブログ

池袋暴走事故 遺族のブログ

平成31年4月19日、池袋において発生した交通事故。10人が重軽傷を負い、私の最愛の妻と娘の尊い命が奪われました。
再発防止について活動して行きます。
何卒よろしくお願いいたします。

こんにちは。松永です。いつもブログを見てくださり、ありがとうございます。

今日は
・莉子の誕生日
・自分の心と向き合うこと
・交通事故の死別
について書きたいと思います。

・莉子の誕生日

明日1月11日は莉子の誕生日です。

明日は恐らくブログを書くことが出来ない状態になるので、今日書きたいと思いました。
というのも、昨年9月の真菜の誕生日は、仕事がなかなか手につかず、ブログも書けなかったからです。

以前、遺族の会(あいの会)の方が、
「亡くなった人の誕生日や記念日、クリスマス、お正月などのイベントは辛いよ。何年経っても。それが死別というもので、覚悟が必要かと思うから予め伝えておくね」
と教えてくれました。実際真菜の誕生日を迎えると、「もし生きてたら、今日帰ったら3人でケーキ食べてたのかな」などと考えてしまい、どうしても辛かったです。
こういった誕生日、記念日にムリして悲しみの感情を抑え込むことは逆に自分を追い込むので、明日は感情のまま過ごしたいと思います。

・自分の心と向き合う

しかし、それ以外の日常生活においては、乱れないように、出来る限りコントロールしています。

私が事故後、どう自分の心(感情)と向き合ってきたかを書きたいと思います。
皆様が今後悲しみや苦しみを体験した時に、少しでも参考になればと思います。

私は心理学者でも脳科学者でもない素人なので、これが絶対に正しいと言いたいわけではないです。人はそれぞれ考え方や思想が違うのが当たり前なので、正解も不正解も無いと思います。あくまで私の中での1つの対処法としてご紹介させていただきます。

私は妻と娘の無残な遺体を見て、自殺を考えるほど絶望しました。
しかし、果たして死ぬことが私のやるべきことなのか?何かやるべき事があるのではないか?と葛藤しました。
結果、「他の人にこんな経験をして欲しくない」と考えるようになり、それが最初の会見に繋がりました。

まず最初に優先的に考えたのは、
「人に事故の再発防止を訴えかけるためには、まずは自分のこのグチャグチャな感情をコントロールしなくてはいけない。」
ということでした。

そこで、インターネットで脳科学のことを調べ、「メタ認知」と言うものを知りました。
メタ認知とは簡単に言うと、「他人目線で自分を見る」ことです。自分の思考や行動を客観的に把握することにより、自分自身の感情のコントロールを試みる手法です。

そして、メタ認知をより効果的にするために、「瞑想」も取り入れることが効果的ということでしたので実践しました。
出来る限り心を無にし、雑念が湧いてきてはまた無にし…と繰り返しました。不思議と、グチャグチャの心が整理されていくのが分かりました。

これらメタ認知や瞑想は、今や企業でも取り入れるほどメジャーなものなようで、「そんなこと知ってた」という方も多いと思います。

瞑想に限らず、心を無にする意味では、写経なども効果的の様です。

もし皆様が今後、悲しみ、苦しみ、ストレスに対面する時があったときに少しでも思い出していただければと思い書こうと思いました。

・交通事故の死別

もちろん死別は交通事故だけでなく、病死や自死など、様々なパターンがあると思います。それぞれの方が本当に辛いお別れだと思います。

私は交通事故で死別した立場として以下のことを述べさせていただきたいと思います。

交通死亡事故は年間約3500件。しかも、これは24時間以内に死亡した方の件数です。24時間以上経った後の死亡を含めれば、もっと多いのが現実です。

それほどの遺族が死別し、上に述べたような苦しみ、葛藤と向き合っています。私はそれが心苦しいです。
今読んでくださっている貴方に、被害者にも、遺族にも、加害者にもなってほしくない。同時に、誰しもがそうなる可能性があります。

だから、より現実的に交通事故の死別を感じて欲しいと思っています。
それが、ミクロな視点でみれば各自ドライバーの意識向上に繋がり、マクロな視点で見れば、交通に関する制度改善、環境改善、技術改善に繋がっていくと思っています。それらが積み重なり、目には見えないけれど、1人でも命が救われることに繋がると思っています。

以下の写真は、2016年1月11日。莉子が誕生し、初めて抱っこした時の写真です。