経済危機のなか、臨時国会閉幕。「ねじれ国会」の混迷まざまざ。 | こころ、デトックス

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法案成立率67%過去10年で最低

 第170臨時国会が25日、93日間の会期を終えて閉幕した。経済対策を盛った今年度第1次補正予算が10月に成立。

その後、与党は会期を25日間延長してインド洋給油活動延長法と金融機能強化法を衆院再可決で成立させた。

「ねじれ国会」の影響で、政府が新たに提出した法案の成立数は10本、成立率は67%にとどまり、過去10年間で最も低かった。

(25日 21:51 NIKKEI NET)

さて、「ねじれ国会」が民意だとしたら、見事にその民意に応えた国会運営だった。

法案成立が「細川・羽田(非自民)連立内閣」、「村山自社さ連立内閣」当時の混迷政局以来の法案成立率になった。熱狂的高支持で発足したその内閣の崩壊は早かった。


そもそも、「ねじれ国会」の中では、与野党合意し易い法案が優先的に提出・成立ということになりがちで、

改正国籍法(未婚の日本人男性と外国人女性の間の子供について、父親が出生後に認知すれば日本国籍の取得を認める)

改正銃刀法(ダガーナイフ所持規制を盛り込んだ)

改正国保法(国民健康保険で「無保険」状態の中学生以下の子供を一律に救済)

などは、あっさり成立している。


参院で多数の野党は、否決されると判っていながら、郵政株式売却凍結法案、雇用対策関連法案などを提出し政局を演出した。


民主党をはじめとする野党は、重要法案の衆議院での再可決を批判するが、憲法でも認められた、国政停滞解消の手段である。極めて高い3分の2以上という多数は、野党の言う「国民の意思」であろう。


野党側は参院の多数を頼みに「なんでも反対」を叫ぶが、元々思想も党利も異なるわけだから一致するほうが難しい。もし離脱などで自公が3分の2を維持できなくなれば、国会運営は立ち行かなくなる。


野党としては、それも政権交代のチャンスと言うことだろうが、首尾よく政権を手に入れても、社民党、国民新党などの動きによっては参院の多数を失うこともありえる。野党間の主義主張の違いは明らかに違うと思われる。


やはり、2院制下では、与野党間の政策対立は衆議院選挙で決着を付けるしかないが、参院は、政権与党の重点政策についての大枠に反対しないという合意形成が必要である、そうでないとどこが政権を獲ろうと「ねじれ国会」では結局”衆院再可決”に頼ることになる。


つい最近まで反省を込めて語られた、失われた10年、政局混迷の時代はめぐるのか?


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<資料>京都産業大学法学部・吉永一行(民法)のサイト 引用 ↓


衆議院の優越

国会の決議は原則として、衆議院と参議院の両方が議案を可決することによって成立するのであるが、憲法は例外として衆議院の議決のみで国会の決議を成立させること(衆議院に優先権)を認めている場合がある。

衆議院に優越が認められるのは、衆議院については解散があり(69条 )、また、任期も参議院の6年(46条 )に比べて衆議院では4年(45条 )と短いことから、参議院よりも国民の意思により近いと考えられているからである。

優越が認められるのは次の場合である。

  • 第60条1項 予算の先議権を独占していること
  • 第69条 内閣不信任決議権を独占していること
  • 第59条2項 法律案について、参議院で否決されても、衆議院で3分の2以上の多数で議決すれば、法律となること
  • 第60条2項 予算について両院協議会でも意見が一致しない場合は、衆議院の議決を国会の議決とすること
  • 第61条 条約について両院協議会でも意見が一致しない場合は、衆議院の議決を国会の議決とすること
  • 第67条2項 内閣総理大臣の指名について 両院協議会でも意見が一致しない場合は、衆議院の議決を国会の議決とすること

両院協議会

法律案の議決(59条)、予算の議決(60条)、条約締結の議決(61条)、内閣総理大臣の指名(67条)について、両院で異なった議決が行われたときに、意見を調整する臨時の機関。各議院から、各々10名の委員を選挙して、組織することになっている(国会法89条)。

両院協議会では、両院の意見を調整し、その妥協点を探り、出席委員の3分の2以上の多数決で成案を作定する。この成案が、両議院に戻って審議され、採択されれば、国会の議決となる。

しかし、成案が成立しない場合、あるいは成立した成案がどちらかの議院で拒否された場合、憲法の各規定により、衆議院の優越が認められる。


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