既製服を縫っている人は短時間で洋服を縫い上げていきます。その要因の一つにマチ針を使わずに洋服を縫っている事が上げられます。
量産になると、特種ミシン(ポケットを作るミシン、ボタンを付けるミシンetc)を使い分け縫い工程を決めていくのですが、ここでは一般の人達が洋服を縫う時間短縮のためにマチ針を使わないミシン練習方法を書きます。
まち針を使わずのミシン練習と言えばシーチングのような生地に直線やカーブが描いてある布をなぞるようにミシンを踏むのが一般的ですが、私がミシンを教えるときどうするかというと・・・・・。
私は学生など初心者にミシンを教えるとき、はじめに好きな生地、もしくは切ってしまって良い洋服(Tシャツetc)など何種類、15cmが数枚、11cmが10枚くらい取れるものを持ってきてもらいます。
素材は(綿、ポリエステル、カットソー、ウールetc)何でも良いのです。
下の写真のような15cm、11cmの正方形の型紙を作ります。
裁断は地の目(縦地を通す)だけ気をつけて重ねて裁断してOKです。
裁ち端がギザギザしても大丈夫!
それではここから何をするか?
スラッシュキルトって聞いたことありますか?生地を数枚重ね基本は45度(正バイヤス)にステッチを縫って間を切る手法です。
まず好きな生地を数枚重ねて正方形の対角線を1本縫います。その後1cm間隔で端まで、もしくは押さえ金幅(6mm)で端まで縫います。
絶対にマチ針を止めないこと!
ズレる それが正解です。
曲がる それが正解です。
伸びる それが正解です。
ズレる=原因はミシンの構造がそのように出来ているから、押さえの圧力で上の生地は手前に、送り歯で下の生地は向こう側に持っていかれてズレが生じるのです。
曲がる=これは怖くてゆっくりミシンを踏んでいるか、ミシンの押さえ圧力が弱く引っ張っている手の力に負けて生地がよれているかですが、これはちょっと慣れてくれば直ぐに真っ直ぐ縫えるようになります。
伸びる。これは生地の45度バイヤス地の目の特徴です。
それが解ればミシンと生地の声を聞いて仲良くなれば良いのです。
下の生地が持っていかれるのあれば下の生地だけ引っ張るように生地の持ち方を工夫すれば良いのです。例えば生地を折り返すように持つ(上に折り返すことで下側の生地の外周り分引っ張られる) もしくは下の生地だけ持ったり目打ちで押さえたりしても良いのです。
バイヤス地の目が伸びるのを紙ヤスリ(ヒロアミー洋裁HP道具のページ参照)などで上の生地を噛み付かせ押さえることで伸びも解消され直線も追いかけられます。
カーブを縫うとギザギザになる。
円をチャコペンで書いてみたら悲惨なほどにギザギザに!
この円をなぞる?イヤイヤ綺麗な円を縫っていくには押さえを上げる回数とタイミングを習得すれば良いのです。
左手は円に合わせて向こう側へ回すように押す(ポケットの袋を縫うときはこの手つきと同じになります)、目打ちで生地をしっかり押さえ一番外側は4目に一度押さえを上げ回転させ向きを修正、内側で円が小さくなるほどに3目、2目、1目と押さえを上げて回転させる距離が小さくなってなめらかな円を縫っていけます。
後は押さえの上げ下げのタイミング(針が落ちて押さえを上げ回し押さえを下げる)
これもミシンの構造を理解すると良いかと思います。ミシンは押さえが上がっている時は上糸が通ってくるお皿と呼ばれる部分が開くのです。なので押さえが少しでも上がっている状態でミシンを進めてしまうと上糸がズルズルの状態なので糸調子がくるって糸切れの原因になったりするのです。
職業用、工業用のミシンは、ひざ上げで押さえの上げ下げをするので、そのタイミングを習得できるとより早く綺麗に縫えるようになります。
*ひざ上げとは(ヒロアミー洋裁講座HPの道具ページ参照)
まずは絶対にマチ針を打たないで縫うことだけで、ズレても曲がっても伸びても全く問題ありません。
まち針を打たないで縫うことを怖がらずやってみることから始めてみて下さい。
初心者さんでも意外と出来てしまうのです。
このやり方で毎年何クラスもの1年生を教えて一年目の終わりには裏付き両玉フラップポケットテーラードジャケットまで縫えるよになっている実践済みです。
そして洋裁を楽しんで好きになるこが一番の上達の秘訣だと私は思います。
なので、自分の好きな生地(初心者に難しい生地OK)で好きなように縫ってみることで工夫する事を覚えるのです。
初心者で直線しか縫えないからカーテンだったら?カーテンの用な大きなものは初心者さんはかえって扱い難いです。それに大きなものは直線だけと言っても時間がかかり、カーテン素材は生地も厚いものが多いので家庭用ミシンだと手に負えなくなってしまう可能性も・・・。
なので小さくて達成感を得られるスラッシュキルトのコースターでミシン練習です。
コースターだったの?そうなのです。仕上がりはコースターになります。
グシャグシャでも初めて自分で作った作品は嬉しく愛着が持てるはずです。
次のブログではスラッシュキルトでデザインを楽しみながらのミシン練習を書きます。
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